赤ちゃんと僕

母親を事故で亡くした小学生の榎木拓也と保育園児の榎木実の兄弟を軸に、家族の日常生活を描いた作品。コメディーではあるが、いじめ、老人介護、コンプレックスなど、深刻な問題を取り上げたエピソードも多い。第40回小学館漫画賞受賞。

あらすじ

第1巻

小学5年生の榎木拓也は、1か月前に母親の榎木由加子を事故で亡くして以来、2歳の弟、榎木実の幼稚園の送迎や身の回りの世話をするようになっていた。だが、それにより自由に遊べなくなった事を悲しみ、また自分のそばにピタリとくっついてくる実の存在に苛立ちを覚えていた。ある時、実を連れて散歩に出かけた拓也は、実さえいなくなれば自分は自由になれると、実を無視して歩き進める。しかし実の姿が見えなくなった時、我に返った拓也が引き返すと、実は「バカ犬フランソワーズ」と呼ばれている犬のネコに吠えられ、一歩も動く事ができずに泣き出しそうになっていた。(第1話)

第二ひまわり保育園で拓也の迎えを待つ実は、迎えに来た母親と男の子が嬉しそうに話している姿を見て、その子の頭を積み木で殴ってしまう。少し遅れてやって来た拓也は先生からその状況を聞かされ、母親とその子にひたすら謝り続ける事となった。母親の教育が悪いと言葉を返された拓也は、実のせいで母親が悪く言われた事で不機嫌になる。険悪なムードになる中、父親の榎木春美は二人を遊園地に誘い、会社の同僚の女性、大谷を2人に引き合わせて、彼女が1日ママになってくれると告げる。実は大谷と楽しく遊ぶものの、拓也は彼女の事を受け入れず、実ばかりが楽しい思いをして、自分の事は誰もなにも考えてくれないと塞ぎ込む。(エピソード「お兄ちゃんと僕」)

実は母親に甘えている子供を見ると怒り、テレビで母親と子供の感動シーンを見ると泣いたり、拗ねたりする日々を送っていた。そんな中、向かいに住む木村のおばさんが、春美にお見合いの話を持ち掛けてくる。最初は実のために母親が必要ではないかと考えたものの、拓也も春美も由加子以外の女性を受け入れる事ができるとは思えないため、春美は見合いの話を断る。やがて迎えた10月10日、拓也の誕生日。家族で遊園地へと行く計画を立てたものの、見合いの断りの連絡が伝わっておらず、春美は木村のおばさんに押し切られるまま、見合いをする事になってしまう。(第2話)

週末、拓也の親友の後藤正は、忙しい両親の代わりに、妹の後藤浩子の世話をするように言われた。しかし妹の世話など面倒なうえ、浩子をかわいいとも思えない正は、彼女を拓也に預けてしまう。拓也と実は、その見た目から浩子が女の子だと知らずにいっしょに遊ぶが、実は浩子の堂々たる姿を見て怯え始める。(第3話)

実は絵を描くのが好きで、画用紙だけでは飽き足らず、家の壁に落書きをしていた。拓也は実を軽く叱り、写真の整理を始める。しかし実は、拓也が目を離したスキに、生まれたばかりの拓也と由加子が写っている写真に落書きをしてしまい、拓也を怒らせる。春美は二人を仲直りさせようと、除光液で落書きを消そうとするが、結果的に写真の画像まで消してしまう。大切な写真に落書きをされた事で怒りが鎮まらない拓也に代わり、春美が実を保育園に連れていく。一方、実もまた大いに反省しており、翌日の発表会の練習にも身が入らない状態となっていた。(第4話)

榎木家では、毎年クリスマスに、母親の由加子の手作りのケーキを囲んで過ごしていた。しかし今年、拓也はクラスメイトの玉館時男が主催するクリスマスパーティーに招待される。クラスの友達が多く来る事から、拓也も参加したいと考えていたが、実もついていきたいと、だだをこねる事がすでに予想できていた。そして当日、拓也は実の目を盗んで外出し、クリスマスパーティーに参加するが、その心は実を欺いた罪悪感でいっぱいになっていた。(第5話)

第2巻

年末のある朝、榎木拓也あてに不幸の手紙が送られてきたり、無言電話が掛かってくるという嫌がらせが多発した。犯人に心当たりのない拓也は、後藤正と共に不幸の手紙差出人を探すが、手掛かりがつかめない。実は嫌がらせをした犯人はとなりのクラスの男子、熊出充であった。熊出は、同じクラスの女子、中西亜由子に告白したが、拓也を好きな彼女に断られた事から、逆恨みをしていたのだった。(第6話)

新年になり、拓也は榎木実榎木春美とコタツを囲んで雑炊を食べていた。その最中、実はくしゃみをして餅を吐き出し、さらには転んでその餅が髪に絡みついた。拓也と春美はハサミで餅がついた髪を切ろうとするが失敗し、結果的に実の頭を丸坊主にしてしまう。ショックを受けた実は、頭をお気に入りのクマの帽子で隠し、拓也と春美と共に初詣へ出かける。その先で、拓也達は後藤浩子とその家族に遭遇。実はかつてネコから助けて以降、浩子に好意を持たれていたが、実の方は浩子におびえていた。拓也の後ろに隠れて浩子から逃げ回っていた実は、転倒して帽子が脱げた事により、浩子に坊主頭を見られてしまう。(第7話)

ある日、実が一人で靴下を履けるようになったり、うまくご飯を食べる事ができるようになった事に気づき、拓也は実の成長を喜ぶ。しかしその反面、実が自分の手から離れて行く事に寂しい気持ちも抱くようになっていた。そんな中、拓也は喉に痛みを覚え、声がかすれてしまう事に違和感を覚える。風邪を引いたのかと疑う拓也だったが、そんな彼にクラスメイトの藤井昭広は、声変わりが始まったのだと教えるのだった。(第8話)

第二ひまわり保育園の実のクラスに、浩子が転入して来た。実の心は曇っていくが、一方の浩子は大好きな実といっしょにいる事に幸せを感じていた。しかしそこに、昭広の妹で、実よりも一つ年上の藤井一加が現れる。一加も実に恋心を抱いていたのである。こうして保育園内では、実を中心とした三角関係が出来上がり、浩子と一加はそれ以来、実を巡って事あるごとにケンカをするようになる。険悪な雰囲気に耐えられない実は、浩子と一加に対し、嫌いと言い放つ。(第9話)

実のお迎えに行く途中、拓也は公園の裏で1羽のウサギを見掛けた。ウサギの丸い瞳が実と似ていた事から、拓也は実にもウサギを見せようとして公園に寄り道をする。そこで拓也と実は、ウサギに餌をあげていた大学生の公浩と出会う。公浩は、ペット禁止のアパートでウサギのさちこちゃんをコッソリと飼っていたが、大家に見つかったため公園の裏に放し、毎日ご飯を持って来ていたのだという。以後、さちこちゃんに会うために頻繁に公園を訪れるようになった拓也と実は公浩と親しくなるが、ある日を境に公浩はぱったりと公園に来なくなった。拓也が公浩のアルバイト先の薬局に消息を聞くと、公浩が交通事故で亡くなったと聞かされる。(第10話)

第3巻

小学6年生になった榎木拓也は、榎木実と父親の榎木春美と共に町内会主催の運動会に参加する事になった。さらに同じ町内会の後藤正と妹の後藤浩子玉館時男、木村のおばさんと木村源一、そして妹の藤井一加にせがまれた藤井昭広も一堂に会し、運動会はにぎやかなものとなる。そんな中、正は運動神経の優れた拓也と昭広の二人のうち、足が速いのはどちらなのかと気にし始める。これに対し、拓也と昭広は相手の方が速いのではないかと答える。そんな話をしていたところ、拓也と昭広はそれぞれ、運動会最後のリレー競争のアンカーに選ばれる事となった。(第11話)

実は特撮ヒーローのシャボンファイブが大好きで、第二ひまわり保育園でも浩子や一加といっしょにシャボンファイブごっこをしていた。そんなある日、シャボンファイブのヒーローショーが行われる事を聞きつけ、拓也と春美は実を連れてデパートの屋上へ向かう。シャボンファイブを目の前で見た実は大喜びするが、その後、楽屋を覗き込んだ実は、着ぐるみを脱いだシャボンファイブの姿に衝撃を受けてしまう。(第12話)

拓也のクラスには「噓つき娘」と呼ばれる深谷しな子という女子がいる。彼女は、ある時は母親が元大女優で父親と共に海外にいると言ったり、別の日には日本に住んでいると言ったりしてクラス中を困惑させていた。そのうえ、誰に対しても上から目線で発言する事で嫌われており、拓也や正も近づきにくい存在だと感じていた。そんなある日、拓也が目を離したスキに実が行方不明になってしまう。消息がつかめず、拓也は泣きそうになるが、そんな彼の前に実を連れた深谷がやって来る。(第13話)

実が無事に見つかったものの、涙目になっていた事を深谷に笑われた拓也は、ますます深谷が嫌いになっていく。しかし、実は深谷をいい子だと言って聞かず、拓也自身も、深谷を傷つけるような自分の発言を後悔し始める。そんな中、拓也は深谷が古く大きな家で、老夫婦と共に暮らしている事を知る。さらに、家の中に深谷の母親が舞台に立っていた時の写真が置かれているのを見つけ、深谷が噓をついていなかったという事を知る。(第14話)

夏休みに入り、拓也は一家で海へとやって来た。そこで拓也達は、春美の会社の部下達と遭遇する。拓也は、春美に思いを寄せる大森和美、そしてその大森に思いを寄せる江戸前秋生の乱入によって、せっかくの家族だんらんを台なしにされ、苛立ちを覚え始める。その翌朝、拓也と実は、田舎の男の子二人が車に十円傷を付けているところを目撃する。傷のついた車を見た持ち主が激昂すると、男の子達は拓也に罪をなすりつける。(第15話)

拓也達は次に泊まる宿へと移動する。辿り着いた温泉宿は築80年の古びた旅館であった。温泉を堪能する拓也達だったが、その日の晩、拓也の枕元に菊子という女の子が現れて死の宣告をする。翌朝、拓也は熱にうなされ、実と春美は大慌て。そんな中、拓也から菊子の話を聞いた女将の梅子は、拓也によく似た青年の正臣とその妹である菊子の話を始める。(第16話)

第4巻

神社のお祭りに出かけた榎木拓也榎木実は、藤井一加とその弟の藤井正樹、さらに彼ら二人の面倒を押し付けられた藤井昭広と出くわす。実や一加、正樹はかき氷やジュース、キャラクターのお面をほしがるが、わがままをすべて聞いてもらえず泣きわめく。さらに一加は、姉だからと何かにつけ我慢させられる事に不満を爆発させ、実を連れて行方をくらませてしまう。(第17話)

拓也に冒険ものの絵本を読んでもらっていた実は、うとうとと眠ってしまい、夢を見始める。夢の中で実は、「村長」と名乗る木村源一に「勇者」と呼ばれ、妖精となった拓也と共に闇の魔女から女神を救う旅に出る。(第18話)

拓也と実は、公園のベンチにずっと座っている一人のお爺さんとなかよくなった。数日後、お爺さんの家に招かれた二人は、お爺さんの息子夫婦と、拓也と同じくらいの年の孫と知り合う。そしてお爺さんが大事にしている、名前を思い出せないというサボテンを一つ、プレゼントされるのだった。その後、拓也は図鑑で調べ、そのサボテンが「月世界」と呼ばれるものである事を突き止める。この事を早くお爺さんに教えたいと思った拓也は、実を連れてお爺さんの家に向かうが、そこで彼が老人ホームに入居する事になったと知らされる。(第19話)

ある日、後藤正は拓也に恋愛相談を持ち掛ける。相手はとなりのクラスの女子、槍溝愛。拓也は正に代わり、日曜にデートの約束を取りつけるよう言われ、断きれなかった拓也は、槍溝に会いに行く。デートを承諾する槍溝だが、好きな人がいるという事を先に告げられる。真実を正に打ち明けられない拓也は、実を連れて、正と槍溝のデートに同行する事になった。そこで槍溝が、昭広の話題ばかり出す事から、拓也は槍溝の好きな人は昭広なのではないかと勘繰る。(第20話)

ある日、第二ひまわり保育園で先生達が紙芝居を読んで聞かせるが、絵が怖すぎて園児達が泣きし始める。実に至っては、大泣きしたうえにお洩らしをしてしまう。それ以来、実は一人でトイレに行く事ができなくなったり、風の音や会社帰りの榎木春美の影を見ただけで叫ぶように泣き出し、拓也もこれに振り回される。(第21話)

第5巻

榎木拓也の家の前に知らない男が座り込んでいた。その男は木村成一といって、6年前までは向かいの家に住んでいた。当時、手のかかる問題児であった成一は、周囲から嫌われ、商店街に立ち入り禁止を言い渡されるような悪さをしていた。家に帰る事に引け目を感じている成一は、拓也の家に転がり込む。榎木春美や商店街の人達は、成一にはあまりかかわらないようにと、拓也と榎木実に言い聞かせる。(第22話)

6年ぶりに突然帰って来た成一が、木村源一、木村のおばさんと和解する事ができず、拓也の家に転がり込んで1週間が経った。拓也も過去に、成一に悪戯をされて酷い目に遭っていたが覚えておらず、周囲同様に成一を責める気になれないでいた。一方、春美は会社帰りに木村太一を連れた木村智子と出会い、成一が智子と結婚して、子供も授かっている事実を知る。(第23話)

大晦日、藤井昭広の家では大掃除が始まった。しかし、両親共に多忙のため、六人の子供達だけで掃除をする事になり、昭広はまたも藤井一加藤井正樹を押し付けられた状態で掃除をする。しかし、満足に掃除のできない一加と正樹は厄介払いされ、ほかの兄弟達だけで掃除が進む。掃除が一段落すると、兄弟達は一加と正樹の姿が見えない事に気づき、家の中を捜索し始める。すると、押し入れからの奥から家族の悪口が聞こえてくる事に気づく。(第24話)

新年を迎えた拓也達のもとに、成一と智子が来訪する。新年の挨拶に来たのかと思いきや、二人で出かけたいという理由で、成一と智子は拓也に太一を預けにやって来ただけであった。おとなしい太一を拓也や春美が抱っこをしてあやしていると、太一よりも年上の実はヤキモチを妬き、拓也にいつも以上に甘え始める。(第25話)

拓也が春美と実と夕飯の買い物から帰って来ると、家の前には榎木由加子の伯母・逢坂藤子が待っていた。表向きは線香を上げたくてやって来たと言うが、逢坂の本当の目的は、家の跡継ぎとして拓也を連れ帰る事であった。ある日、拓也が実を第二ひまわり保育園に迎えに行くと、実はすでに逢坂と共に園を出たと知らされ、拓也もそのまま母親の実家である逢坂家へ足を運ぶ事になる。そこで拓也は、由加子は自分を身籠った事で、仕方がなく春美と結婚をしたと聞かされる。(第26話)

逢坂家に一泊した拓也と実は、朝から逢坂に、後継ぎとして厳しい躾をされ、居心地の悪さを感じるようになっていく。そして逢坂は、春美の会社にやって来ては、改めて拓也を返さないと宣言。春美も子供達を譲る気はないと断言するが、帰宅した逢坂は拓也に真逆の事を伝え、拓也と春美の縁を切ろうとする。前の日は帰りたくないと春美に言った拓也であったが、この件に実を巻き込んだ事に罪悪感を覚え、拓也は雨が降る中、家を飛び出して春美のもとへ向かう。(第27話)

第6巻

春でもまだ肌寒いという時期に、榎木拓也は風邪を引いてしまった。榎木実に風邪がうつる事を危惧し、榎木春美は実を拓也から離そうとするが、実はなかなか言う事を聞かず、春美は頭を悩ませる。翌日、後藤正が、後藤浩子と実を第二ひまわり保育園に迎えに行きつつ、拓也のお見舞いに来る。また、拓也の看病を春美に頼まれた木村成一もやって来て、榎木家は騒がしさを増していく。(第28話)

拓也のクラスに転校生がやって来た。日陰秀という少年で、前髪で目が隠れているせいか暗い印象を与える。不愛想で、人の好意を受け取る事ができず、クラスメイトから距離を置かれていく。特に秀は、なぜか拓也に対してはきつく当たり、第二ひまわり保育園の藤井一加と同じクラスに編入してきた弟の日陰学に対し、実をイジメろと命令する。気にくわない相手に対しては嫌がらせをする秀はある時、ペンと財布が盗まれたと騒ぎ出す。持ち物検査をすると、藤井昭広の机からペンが見つかり、財布は拓也の鞄の中から見つかる。二人は人の物を盗む人ではないと信じた先生は、拓也と昭広に罰を与える事はしなかった。しかしこの問題は、クラスの保護者会で持ち上がる。(第29話~第31話)

昔に関する事を題材に、グループ研究をする課題が出た。拓也は、正、昭広、深谷しな子玉館時男、生徒会長の森口仁志と共に、父親が昔、どんな遊びをしていたのかを研究する事を決める。それぞれが自分の父親の幼い頃のエピソードを聞き出す中、拓也は春美に連れられて、春美が20年前に通っていた駄菓子屋へと足を運ぶ。(第32話)

第7巻

8月4日。榎木拓也は、榎木春美榎木実、向かいに住んでいる木村成一木村智子木村太一と共に、車で旅行へ行く事となった。運転をする智子は、免許を取得して5日目。拓也や春美は恐怖を感じながらも乗り込むが、あまりにも酷い事から、春美が運転を代わる。普段車に乗らない春美は、慎重に運転をするが、車内で成一と智子が喧嘩を始めた事で次第に苛立ちを見せ始める。また目的地に着いたあとも、楽しく過ごす拓也と実に対し、成一と智子は事あるごとに喧嘩してしまう。すると、普段おとなしい太一が、突然大泣きをし始める。(第33話)

夏休みが終わる頃、拓也は後藤正と共に自由工作をする。当然後藤浩子もやって来るが、そこに暇を持て余した藤井一加藤井正樹もやって来て、いつものように一加と浩子の喧嘩が始まる。日が暮れて、正と浩子は家に帰るが、家に帰っても楽しくないと言う一加と正樹は、榎木家に泊まりたいと言い出す。(第34話)

春美の仕事はシステムエンジニアで、肩書は課長。部下には大森和美江戸前秋生がいるが、自由奔放すぎるために春美はいつも頭を悩ませている。ある日、仕事を済ませて早く家に帰れると喜ぶ春美のもとに飛び込んできたのは、課で作り上げていた膨大なデータを、江戸前が消去してしまったというハプニング。大きなミスをしてしまったと落ち込む江戸前に対し、春美が代わって復元作業を始める。罪悪感の拭えない江戸前は、春美の家へ電話をして、拓也に春美の帰りが遅くなる事を告げると、電話越しで実がお腹を空かせて騒いでいるのを耳にする。(第35話)

拓也は2泊3日の修学旅行へ出かける。行先は京都。拓也や正、藤井昭広達は観光名所を楽しむが、クラスメイトの平井果子、萌、美樹という女子三人組が大喧嘩をし、拓也は心の底から修学旅行を楽しむ事ができなくなっていく。一方実は、拓也がいない事で、日に日に不機嫌になっていく。(第36話~第37話)

拓也と実は、公衆電話で漫画の原稿を見つけると、落とし主と思われる一人の男性が駆け寄って来る。それはとなりのクラスの男子、広瀬努の父親で、漫画家になる事を夢見ていた。拓也はその夢を応援していると言うと、息子の広瀬努は、拓也に対して怒りをあらわにする。そしてある日、拓也は努が文房具屋で万引きをしている瞬間を目撃する。それは、家庭を省みずに一人夢を追いかける父親の姿に苛立ちを覚えた末の犯行だった。(第38話)

第8巻

第二ひまわり保育園の園内に貼られているカレンダーの12月8日には、謎の赤丸が付いている。それは園長の向井洋二の誕生日であり、洋二が勝手に付けた印であった。しかし、榎木拓也をはじめ榎木実達園児や保護者は、そもそも園長である洋二の顔はおろか、その存在自体を知らないでいた。拓也や実が洋二と対面する事があっても、子供が大好きな洋二は、サングラスの下でニヤニヤと笑う事から、変人と怯えられ、藤井一加からは子供の敵だと言われる。これではあまりにも可哀想だと思った先生達は、園児と協力して洋二の誕生日会の準備を始める。(第39話)

クリスマス当日、藤井正樹と一加はクリスマスらしい事をしたがるが、家族は用事で出払ってしまう。そこに一人残っていた藤井昭広に、一加と正樹はケーキや七面鳥の丸焼きを作るようにお願いするが、聞き入れてもらえない。結局二人は、小銭をかき集めてケーキと七面鳥を買いに出かける。しかし、少ないお金ではワンホールケーキを買う事ができず、ショートケーキ一つと手羽元を購入した。その帰り、買い物をしている拓也と実に出会うと、拓也からシャンメリーを1本もらい、一加は上機嫌になる。そんな中、正樹は拓也に突然、サンタクロースはちゃんと来てくれるだろうかと相談を持ち掛ける。(第40話)

拓也の町内会には、平山という女性がいた。平山は長年にわたって犬のコロを飼っていたが、ある日、コロを置いていなくなってしまった。捨てられたコロを可哀想だと思う拓也は、家で飼いたいと言い出すが、榎木春美に反対される。春美を説得できない拓也は、定期的にコロにご飯を届けに行くと、そのうち実もコロを飼いたいと言い始める。しかし、身寄りのない老犬のコロは生ゴミを荒らしたりして、迷惑な犬として扱われ始めると、近所の人の通報によって保健所に連れて行かれる事が決まってしまう。(第41話)

1月3日、榎木家にたくさんの年賀状が届く。その中に、1月3日に遊びに行くという江戸前秋生からの年賀状があった。予告通り、拓也の家には江戸前をはじめ、大森和美達社員がお酒を持って来訪。酔いが回って盛り上がる部下や春美がいる空間が億劫になった拓也は、実を連れてとなりの部屋に引きこもる。そこに今度は木村成一と妻の木村智子木村太一がやって来る。(第42話)

パチンコが趣味の成一は、智子に怒られながらも逃げ出すように家を飛び出し、道すがら出会った拓也と実を連れて店へ行く。拓也と実は入り口のフロアで待たされるが、そこには千夏と冬美という二人の女の子がいた。二人は母親の節子を待つが、約束の時間になっても節子は二人のもとに現れない。千夏と冬実は泣き出し、拓也は二人をなだめようとするが、そこに節子の借金の連帯保証人になっている松田一人という男を探しに来た、サラ金業者の男、飯塚孝之がやって来る。(第43話)

拓也がおたふく風邪に罹ってしまい、春美は実を極力拓也に近づけないように、木村のおばさんに実の送迎をお願いしたり、春美が帰宅するまで預かってもらったりという配慮を始める。こうした日々が10日ほど続き、拓也の体調がよくなって一安心したが、実もおたふく風邪に罹ってしまった。春美は会社に対し、10日ほど休暇をもらいたいと言うが、その前10日間も会社を空ける事が多かったため、上司に叱られる。結局春美は、家で仕事をしながら実の看病をし、拓也が学校から帰って来てから出社をするようになった。春美の大変そうな姿を見た拓也はある日、担任の松本秀男に、春美を手伝うために早退をしたいと言い出す。(第44話)

第9巻

榎木拓也は、道すがら出会ったクラスメイトの森口仁志から借りたハンカチで、榎木実の鼻水を拭いであげた。しかし、仁志から渡されたハンカチは、明という青年が落としていったもので、中には数字が書かれいていた。洗濯をするために拓也がそのハンカチを預かるが、ハンカチを求めた明と共に優作が拓也達のもとを訪れ、銃を突きつける。彼らは逃走中の銀行強盗で、ハンカチには持ち出した金庫の鍵の番号が記されていた。秘密を知った拓也と実、仁志は誘拐されるが、ハンカチに書かれた数字が実の鼻水で滲んでしまい、読めなくなっていた事に気づく。優作は拓也を連れ出し、書かれていた番号を聞き出そうとする。一方、犯人がいなくなった部屋に押し込められた仁志と実であったが、実は通風口から脱出に成功。実が出た先には、仁志の母親で警官の森口文子と、スナックのママをしている森口広嗣に、その従業員達がいた。広嗣は実の持つ、血文字で「たすけて」と書かれた紙を見つけ、その紙が広嗣が文子にずっと隠していた1枚の写真であった事から、仁志が事件に巻き込まれている事を察知する。(第45話~第47話)

「僕・私の友達」という作文を書く課題が出され、拓也は藤井昭広について書く事となった。昭広とは仲がよく、兄弟共に付き合いがあるために、いっしょにいる事の多い二人であるが、改めて作文しようとすると、昭広とはどんな人なのだろうかと悩み始める拓也。しかしその悩みは拓也だけではなく、拓也の事を作文にしなくてはならない昭広も同じであった。(第48話)

榎木春美の会社には、安西律子というお局様がいる。仕事に厳しく、人を寄せ付けないところがあり、春美も仕事を頼む際には緊張をしてしまう。しかし、食堂でいっしょに食事をした事で、春美は安西の優しさを知り、気さくに接するようになる。そんな仲のいい二人を見た大森和美と拓也は彼らの関係を疑い、拓也に至っては春美が再婚をするのではないかと、不信感を覚え始める。(第49話~第50話)

第10巻

第二ひまわり保育園の園長、向井洋二は大の子供好きで、いつも子供達の喜びそうな事を考える。しかしその行動はいつも裏目に出るせいで、子供達を泣かせ、先生達に怒られてしまう。そんな洋二は年齢不詳で、頑なにサングラスを外さない事から、園内で謎の多き人と言われる。どうしても洋二の素顔を知りたい先生達は、藤井一加榎木実を使って、サングラスを外させ、素顔を見ようと奮闘する。(第51話)

ギャンブル大好きの木村成一に日々頭を悩ましている木村智子は、ある日、成一が仕事を休んで競馬に行っていた事を知った。怒った智子は成一を家から追い出す。すると成一は榎木拓也の家へ転がり込んで来る。拓也は、成一の服を家に取りに行かされたり、お互いの伝言を預かったりと板挟みに遭う。そんな日々が続いていたが、ある日、智子は高校の時に自分に思いを寄せていた新村忍と再会し、高校の同窓会がある事を知らされる。新村の初恋の相手が智子だったという事実を知った成一は、なぜか拓也と実を連れて、智子の同窓会について行く。(第52話~第54話)

ある日曜日、藤井昭広が風邪で寝込み、一加と藤井正樹は昭広の看病をしようとする。しかし、失敗ばかりの一加と正樹に任せると、病状が悪化すると判断した昭広は、拓也を呼んで看病を頼む。慣れた手つきでお粥を作る拓也に安心をする昭広であった。その間、一加が美容師ごっこと称して正樹の髪を切ろうとすると、過去に丸坊主にされた苦い経験を思い出した実が大泣きし、美容師ごっこは中断される。正樹は髪を切られずに済んだが、自分ばかり怒られる事に腹を立てた一加は、正樹と実を連れて外へ飛び出し、自宅で休息を取っている榎木春美のもとへ行くのだった。(第55話)

拓也のクラスメイトの竹中七海は、中性的な顔立ちで、性格も穏やかなため、あまり男っぽくない事にコンプレックスを持っていた。父親は船乗りで、年に数回しか帰って来ず、普段は母親と二人で暮らしている。ある日、竹中が悩んだ顔をしていたので、拓也は気になって声を掛ける。竹中は悩みの理由を詳しく話す事はしなかったが、その日の夜、竹中は春美を訪ねてやって来る。春美に話を聞いてもらった竹中は、少しずつ元気を取り戻せたが、自分の知らないところで竹中と春美が秘密の話をした事で、拓也の心はギスギスとしていった。(第56話)

第11巻

紅南小学校の6年1組と2組で野球をやる事になった。1組側には熊出充や広瀬努、槍溝愛深谷しな子などがおり、2組側には後藤正森口仁志藤井昭広玉館時男、そして榎木拓也が参加する形となり、観客として見に来ていた榎木春美木村成一は審判を任される。男女混合の野球大会は、女子がうまくボールを打てなかったり、黄色い声援が上がる昭広に、嫉妬心を燃やす熊出が深谷に八つ当たりをし始めたりと紆余曲折していく。(第57話~第58話)

大晦日、拓也と春美は家の大掃除に精を出す。しかしそこに、姉の藤井明美と大喧嘩をした藤井友也、家の手伝いから逃げ出して来た正、妻である木村智子の手伝いをサボった成一の3人が意気投合してやって来る。いつも弱い立場にある3人の男は、明美、智子、そして正の母親に対して、「帰ってきてほしかったら謝りに来い」と、拓也を使って連絡する。(第59話)

拓也と実は、春美の社員旅行に便乗し、ハワイへとやって来た。家族で観光地を回ったのち、拓也達は宿泊先のホテルで、クリスとジェニファーという二人の子供と出会う。ジェニファーは、春美が亡くなった実の父親に似ているという理由で甘え始めるが、自分の場所を奪われたと感じた実がジェニファーに嫉妬をする。またクリスは、大嫌いな父親に似ている春美が目障りで仕方がなく、ジェニファーを春美から引き離そうと奮闘する。(第60話)

向井洋二が園長を務める第二ひまわり保育園と、兄である向井公一が園長をしている第一ひまわり保育園のあいだで、園対抗の新年相撲大会の開催が決まり、実や藤井一加後藤浩子等、子供達は練習に励む。またこの相撲大会では、子供達だけではなく、園長同士の相撲対決も行われる事が決まり、洋二が公一に負けた場合はサングラスを取るという約束をさせられる。すると先生達は、陰ながら園長の敗北を望むようになる。(第61話~第62話)

第12巻

2月18日は藤井一加の誕生日。普段から藤井家では誰かの誕生日を祝う事はないが、一加は兄弟全員と榎木拓也榎木実といっしょにおままごとをしたいと言い出す。藤井昭広や藤井友也は嫌々参加する中、長女の藤井明美は寛大に一加の望みを受け入れる。しかしその最中、明美の彼氏、沢田水杏が藤井家を訪れ、明美が一加の指示でやらされていた悪い魔女の役を全力でやっている事を沢田に見られて慌て始める。(第63話)

拓也と実は木村成一に連れられて、競馬場へ足を運ぶ。一通りレースが終わって帰ろうとした時、拓也達は腹部から血を流している一人の男に遭遇。その男は過去に拓也達がパチンコ屋に行った時に出会った借金取りの飯塚孝之であった。組の同僚に刺された飯塚は、成一達と顔見知りのふりをして競馬場を離れ、電車のトイレで成一に応急処置をされて命拾いをする。そして、飯塚が自分の昔話を始めると、成一は昔の自分を重ね始める。(第64話)

榎木春美はある夜、会社の部下である江戸前秋生達と飲みに行き、そこで最近の悩みを話し始める。その悩みとは、実の食育に関する事だった。実のご飯の食べ方について、拓也が厳しく教育をするようになった事で、実はご飯を食べる事が嫌になり、拓也とも険悪なムードになっているのだ。(第65話)

ある日、木村智子はダイエットを始める事を宣言。それ以降、太る原因になる物をいっさい食べようとしなくなった。そのままの体型でいてほしいと願う成一は、拓也に頼んでケーキを差し入れさせるが、智子はその魂胆を見抜き、ケーキを食べようとはしない。智子がダイエットに励むのには、成一からとある物を貰う賭けをしているためであったが、成一は賭け事をした事自体を覚えていない。それを知った智子は成一に怒り、拓也の家で塞ぎ込んでしまう。(第66話)

拓也のクラスの担任、松本秀男がケガで入院してしまい、寛野光という教師が代理を務める事となった。しかし寛野は、不愛想で摑みどころがなく、自分にはあまり期待をしないようにと発言し、拓也ら生徒を困惑させる。寛野はもともと人情味ある先生だったが、前の学校でイジメが原因で自殺した生徒を出しており、このせいで極度の人間不信となっていた。(第67話~第68話)

第13巻

榎木拓也榎木実は、物置から古いアルバムを見つける。その中には、榎木春美の両親の写真が入っており、これを見た春美は、両親や亡き妻の榎木由加子との思い出を振り返り始めた。大学生時代の春美は、無神経で軽い男であった。そして、両親が不仲であった事から、親の反対を押し切り、家を出るためのアルバイトを始めていた。家にいる事を拒む春美は、大学近くに部屋を借りている高校からの友人、朝日勇貴の部屋に転がり込み、寝食を共にしていた。そして、朝日と共に訪れたお弁当屋さんで、春美は由加子との出会いを果たす。最初こそは、軽い男だと言って由加子は春美を警戒していたが、二人の距離は日に日に近くなる。そうして大学生活が充実していく春美だったが、両親が突然交通事故で亡くなった事で酷く落ち込み、今も拓也達と住む家で、一人塞ぎ込んでいた。朝日から事情を聞いた由加子は、春美と同じように事故で両親を亡くしている身として放って置く事ができず、春美にお弁当を届け、元気付けようとする。この事がきっかけで、春美の心はより由加子に惹かれていった。ある日、由加子がストーカーの影で怯えている事を知った春美は、由加子を自分の家に匿い、家に住む代わりに料理を作ってほしいという交渉を持ちかける。これを承諾した由加子は、春美が家に帰ってこない日でも料理を作って待つようになった。月日が経ち、由加子が拓也を妊娠。中絶しろと言われる事を恐れた由加子は、春美の前から姿を消してしまった。偶然出くわした朝日が由加子の妊娠を知ると、春美にその事を報告し、きちんと話し合うように言うが、由加子はさらに行方をくらませた。もう大切な人を失いたくないと思う春美は、必死になって由加子を探す。(第69話~第73話)

8月のある日曜日、拓也達一家は、春美の部下である江戸前秋生達と釣りを楽しむ。二人一組でボートに乗り込んで釣りを堪能するが、大森和美が淀んだ湖の方へ行こうとすると、地元の老人達に、行ってはいけないと忠告される。湖の近くには慰霊碑らしきものがあり、拓也達は水難事故で亡くなった人がいるから危険だとわかるが、江戸前は拓也と実を連れて、興味本位でボートを進めていく。(第74話)

第14巻

おねしょをしてしまった藤井一加は、この事実を隠すために、家族が寝ているあいだに、布団を早々に押し入れにしまったりなどして証拠隠匿を謀る。また、おねしょをしてしまった事がショックで元気が出ず、榎木拓也榎木実が一加を心配をする。その日の晩、一加は翌日には藤井正樹に頼んで布団を干させようと目論んで就寝。しかし、夜遅くに物音がしたので起きると、正樹がおねしょをしたという事実を目撃し、一加はまんまと正樹を共犯者に抱き込むのだった。(第75話)

榎木春美は会社の人から、電動で動くオモチャの車を貰って来た。実はこれをとても気に入り、朝早くから乗ったり、食事をせずに遊んだりするので、無理やり車から降される事もしばしばあった。それでも飽きずにオモチャの車で遊ぶ実のもとに、木村太一が遊びに来て、オモチャの車に乗りたがる。最初は頑なに貸さないと言う実であったが、我慢して太一に貸すと、小さい太一はその車を壊してしまう。拓也は実に対して年上だから我慢するようにと言い聞かせる。しかし、その瞬間、拓也は昔の自分と今の実が重なり、実の気持ちがわかったような気がした。(第76話)

ある日拓也は、後藤正にそっくりなお婆さん、後藤光を目撃する。正の祖母にあたる光は、旦那の後藤正太郎と喧嘩をして家を飛び出し、正太郎が迎えに来るまでは許してやらないと豪語する。正の友人である拓也が気に入った光は、拓也を散歩に連れ出して楽しい時間を過ごす。すると彼女の前に、かつて正太郎を取り合った女性であり、玉館時男の祖母である玉館花恵が現れる。(第77話)

春日史穂は育児の相談ができる相手を求めていたが、勇気が出ずにママ友の輪には入れずにいた。しかしそんな史穂に対し、木村智子は気さくに声を掛けて友好を深め、史穂の悩みに耳を傾けた。史穂は何をやっても泣きやまない0歳の赤ちゃん、春日疾実の育児に頭を悩ませ、育児ノイローゼとなってしまったのだ。夫である春日淳は仕事人間で、育児にはまったく協力的ではなく、史穂の心はどんどん追い詰められていった。これを聞いた智子は、木村成一と拓也を連れて史穂の家を訪問。成一は史穂の代わりに茶碗洗いをし、拓也は疾実に対してある事をして、泣きやませる事に成功する。次の日の夜、成一はたまたま道で淳を見つけて声を掛けると、榎木春美も交えた三人で育児について話し始めた。(第78話~第79話)

2月13日、拓也のクラスでは女子が集まり、翌日のバレンタインデーでは誰が一番多くチョコレートを貰うかを予測する。候補に挙がったのは、広瀬努、藤井昭広森口仁志竹中七海、そして拓也であった。女子達は予想を的中させた人の商品を何にするか考えるが、突然やって来た槍溝愛がとんでもない罰ゲームを提案する。そしてバレンタインデー当日、女子が用意したチョコレートが次々と男子の手に渡っていく中、深谷しな子は一人、どうやって拓也にチョコレートを渡そうか悩み続けていた。(第80話)

第15巻

ある日、藤井昭広森口仁志の絵にダメ出しをした事で森口を怒らせ、翌日になってもその険悪なムードは継続していた。さらに、給食時間には昭広の分の給食が残っておらず、昭広の怒りは配膳をした竹中七海に向けられ、今度は、森口が竹中を女々しいと言った事で竹中を怒らせる。そんな三人の状況を見た榎木拓也は、まるでジャンケンをしているようだと感心するが、三人がそれぞれ怒りを爆発させた時、拓也が一番の被害者となってしまう。(第81話)

スイミングスクール1日体験教室のチラシを貰った拓也は、榎木実後藤浩子藤井一加藤井正樹木村太一、春日疾実、その保護者となる後藤正、藤井友也、昭広、木村成一木村智子、春日史穂と共にプールへと行く。子供達に水泳を教える講師の平塚祥介は滞りなく水泳を教えていきたいと思う一方、遊び半分の保護者達や浩子と一加の喧嘩に頭を悩ませる。そんな祥介の姿を横目に見ている息子の平塚亮は、父親の姿を見てガッカリとする。さらにその日は、祥介の別れた妻の桐香までが現れ、息子の亮を引き取りに来たと言って、騒動はどんどん大きくなっていく。(第82話~第83話)

実が拓也に絵本の「おおかみと7匹のこやぎ」を読んでもらっている途中、智子がケーキを持って来訪する。間もなくして拓也は、春美の忘れ物を届けるため、実を智子に任せて出かける。智子と太一はいるものの、実にとっては初めてのお留守番で不安が募っていくのだった。案の定、智子が長電話を始めてしまうと太一は悪戯を始め、実が必死でそれを止める。そして雨の降る中、成一が家の前まで来ると、実は成一の影を、絵本に出てきた狼と勘違いし、泣きながら帰れと大声を上げ続けるのだった。(第84話)

広瀬努の家では、広瀬努の父親の漫画の短期連載が決まってからというもの、締め切り間近になると努も手伝いを頼まれ、トーン貼りなどをしていく日々を送るようになった。そうして苦労して作り上げた原稿は、無事雑誌に掲載されるが、父親の苦労も知らずに漫画を楽しそうに読んでいる拓也や森口仁志に対して、努は不思議と憎しみを抱き始める。ある日、広瀬努の父親は編集者のダメ出しに心を折られ、漫画を描く事が辛くなってしまった。広瀬努の父親は家を飛び出し、公園で物思いにふけっていると、拓也と出会う。広瀬努の父親が拓也に悩みを話していると、そこに、偶然通りかかった仁志が、目の前にいるのが広瀬努の父親とは知らず、意気揚々と漫画の感想を述べ始める。(第85話)

第16巻

夏休み、榎木拓也は、後藤正藤井昭広と共に、森口広嗣の叔父がやっている離島の民宿へ泊りに行く事となった。当然ながら榎木実後藤浩子藤井一加藤井正樹も同行するが、これが大きな問題を引き起こす。広嗣の祖母、森口音子は女性と子供が大嫌いで、音子は子供達や森口文子にきつく当たる。音子が子供嫌いになったのは、過去に面倒を見ていた子供達が行方不明になり、やっとの思いで見つける事ができたが、その子供達に言葉で責められた事が原因であった。(第86話~第87話)

木村成一はある日、友人からインコの面倒を見てほしいと言われ、1羽のインコを押しつけられる。旅行のあいだだけ預かるという話であったが、成一達家族も翌日から旅行の予定があった事から、結局拓也が預かる事になった。しかし、拓也が目を離したスキに、実が鳥かごを開けてしまい、飛び出したインコはそのまま行方不明となってしまった。(第88話)

紅南小学校6年4組に在籍する宮前裕太は、両親の離婚をきっかけに、父親と二人で生活をしている。母親がいないという境遇が同じだと思い、裕太は拓也との距離を縮めようとしていった。しかし裕太は、母親が家を出て行った自分よりも、母親を亡くし、その上に実の世話を代わりにやらなくてはいけない拓也を可哀想と言い続けた。精神的に追い詰められた拓也は胃炎を患う。日に日に表情が暗くなる拓也。そんな時拓也は、塾の講師となった寛野光と偶然再会。拓也は胸の内にあるものを少しずつ寛野に話し始める。(第89話~第91話)

第17巻

榎木拓也は、榎木実後藤正後藤浩子を連れて、熊ノ井中学校の文化祭へとやって来た。そこで拓也は、藤井友也、藤井一加藤井正樹と出会う。中でも友也は、この学校に在籍する妹の藤井浅子に好きな人ができた事を知り、その男を見るためにやって来たのだった。浅子の意中の相手とは、坂巻延和という男子生徒。そして坂巻は、リーダーシップを発揮し、異常な騒ぎ方をして伝説との男と呼ばれた友也にずっとあこがれを抱いており、友也と対面する事ができて感動をしたのも束の間、お化け屋敷から逃げ出し、迷子となった実や浩子、一加や正樹の面倒を見る羽目になってしまう。また浅子は、坂巻に告白をするタイミングを探さしていたが、友也と会う事を回避する方を優先するようになっていく。(第92話~第93話)

正月休み、榎木春美木村成一ら大人と朝から晩まで飲み続け、休暇の最後の日に二日酔いになってしまった。拓也は春美を気遣い、実と外出。春美は一人、家でゆっくり寝る事となった。そして春美は夢の中で、ウエスタンになったり子供に戻ったり、宇宙へ行ったり、懐かしい人と再会を果たす夢を見る。(第94話)

第二ひまわり保育園には、過保護とも思える保護者が少なからずいる。寒いからといって子供に厚着をさせ、身動きが取れにくい状態になっている園児の服を先生達が数枚脱がせると、帰りには先生達が母親に怒られてしまう。ほかにも、衛生面を考慮し、砂場を使えないようにしろと言ったり、子供同士のじゃれ合いをイジメと捉え、遊ぶ友達に制限をかける保護者が現れ、向井洋二も先生達も頭を悩ませる。そんなある日、一人の男の子が理由もなく拓也を叩いてくるが、それを見ていなかった保護者は、自分の子供が叩くわけがないと反論。それからも拓也は何度か被害に遭い、遂には玩具の車を投げつけられた事で拓也は頭から血を流し、それを見た実が激怒する。(第95話)

前から自分達の部屋がほしいと望んでいた一加と正樹は、姉達の部屋に敷居を作り、勝手に自分の部屋を作ってしまう。これによって一加と正樹は家族を怒らせるが、一加に呼ばれてやって来た拓也が、段ボールを使って家を作る事を提案。使えそうなダンボールを集め、藤井家の居間に段ボールの家を完成させた一同は、その中で眠ってしまう。(第96話)

拓也の学校では、マラソン大会が行われようとしていた時、常日頃から拓也や藤井昭広に嫉妬心を燃やしている熊出充が、クラスメイトの藤原幸夫の力を借りて、拓也や昭広に勝とうと目論む。マラソンでの勝負に興味のない拓也だったが、藤原がマラソンの練習をしている最中に実を突き飛ばし、反省の色を示さない事に怒りを覚える。そして彼を見返すため、マラソンの練習を始め、大会当日を迎えるのだった。(第97話)

第18巻

高台にある古いアパートに幽霊が出るという噂を聞いた後藤正は、後藤浩子榎木実榎木拓也と共にその場所へ足を運ぶ。薄気味悪く人が住んでいる形跡はないが、そこに桃柿千広という男がいた。元テニスプレイヤーの桃柿は、恋人である麻衣子が癌で亡くなったのをきっかけにテニスを止め、この古いアパートで一人眠っているという。(第98話)

嫁の愚痴を聞く木村のおばさんは、嫁姑問題は自分には関係のない話だと思って聞き流していた。しかしある日、木村智子が拓也に木村太一を預けてデートに行った事を知って激怒。帰宅した智子に対して説教をするが、智子に反省の色は見えず、木村のおばさんは頭を悩ませる。しかし智子は、義理の母親である木村のおばさんに気に入られるため、家事や洗濯に精を出し始める。(第99話)

ある日の土曜日、拓也は正や藤井昭広森口仁志深谷しな子と共にお花見を楽しんでいた。そこに槍溝愛中西亜由子が拓也を見つけて接近。拓也が女子に囲まれている事をよしとしない熊出充の発言によって、集まっている女子全員が、拓也に思いを寄せている事が明るみになる。真実を知った拓也は呆然自失となり、お花見は最悪の形で終わった。月曜日になり、深谷は拓也を避けるようになり、中西は熊出に対して怒りをあらわにする。そして、拓也が最も気がかりだったのは、槍溝が自分に好意を抱いている事を、過去に彼女に思いを寄せていた正がすでに知っているのかどうかという事であった。(第100話~第101話)

お気に入りのクマの洋服に醤油をこぼして汚くしてしまった実は、拓也にそれを捨てられた事で不機嫌になって泣きわめく。翌日、拓也は実と共に服を探しに行く事となった。だが結局いい物は見つからず、拓也が日を改めようと提案するが、実は納得しない。いつものように泣きわめく実に苛立った拓也は、実の上着を脱がせ、嫌いだと言って実を置いていく。いつものように実は必死に拓也を追いかけるが、わき目も振らずに車道に飛び出した実は、車にはねられて意識不明の重体に陥ってしまう。3日のあいだに目を覚まさなければ、実は助からない可能性があると医師に告げられ、拓也は自分を責め、榎木春美は両親や榎木由加子を亡くした時の恐怖を甦らせてしまう。そんな拓也と春美の心を支えたのは、実の処置を担当した医師の一人であり、春美の友人、朝日勇貴であった。それから3日が経過。実は目を覚ますどころか容態は悪化していき、実は拓也と春美の目の前で集中治療室へと入っていく。(第102話~第103話)

登場人物・キャラクター

榎木 拓也

小学5年生の榎木家長男。家族想いで、誰にでも優しく真面目な男の子。普段は非常に温和だが、時に情緒不安的になるなど年相応の子供らしさも見せる。顔立ちも非常に整っており、クラスメートの女子からの人気も高いが、本人はまだ恋愛や異性には無関心である。

榎木 実

榎木拓也の2歳になる弟で、泣き虫で甘えん坊。物語開始時点では、言葉もほとんど話せないが、次第に語彙が増えていく。母の記憶はほぼなく、母代わりの拓也を「にーちゃ」と呼び慕っている。

榎木 春美

榎木拓也と榎木実の父親。ソフトウェアプロダクション社でシステムエンジニアとして働く。事故死した最愛の妻・榎木由加子が残した息子たちを溺愛しており、家事にも手は抜かない。しかし、それでも拓也に負担を強いていることは理解しており、心を痛めることも多い。

榎木 由加子

榎木拓也と榎木実の母親。物語開始時点で死亡しており、回想シーンや過去を描くエピソードにしか登場しない。両親を飛行機事故で亡くし、世話になった叔父の家を出てアルバイトで生活していた。18歳のときに学生だった榎木春美と出会い、結婚している。

木村 成一

榎木家のお向かいさんである木村家の息子で、洋食屋の料理人として働いている。元不良で、高校中退後家を出ていたが、妻子を連れて戻ってきた。榎木春美にとってはできの悪い弟分のような存在である。大のギャンブル好きで、それが原因でしばしば妻・木村智子と喧嘩になる。

木村 智子

木村成一の妻。成一との間に生まれた長男・木村太一と共に木村家に入る。鷹揚な性格で、舅・姑とも良好な関係を築いている。

木村 太一

木村成一、木村智子夫妻の息子。乳児であり、榎木実よりもさらに幼い。実とは対照的に、めったに泣かない。登場時には肺の病気を患っており、成一はその手術費を実家に頼ろうとした。

木村 源一

木村成一の父。榎木家のお向かいさんである木村家の主。息子である木村成一が家を出て行方不明になっていたため、長らく妻との二人暮らしを続けていた。妻と孫を連れて戻ってきた成一を許し、家に迎え入れる。

後藤 正

拓也の親友。がっちり型の体型にゲジゲジ眉など一見するといじめっ子タイプだが、友人思いの明るいムードメーカーである。

後藤 浩子

後藤正の妹で、榎木実と同じ保育園に通っている。兄の正そっくりの顔つきで、拓也と初めて会ったときには男の子と思われていた。実のことが大好きで、無口ながら積極的にアプローチしてくる。

後藤 正吉

後藤正、後藤浩子の父親。妻である後藤真美と共に、酒屋を営んでいる。生家は静岡県で、兄と父母が農業を続けている。

藤井 昭広

拓也のクラスメイト。端正なルックスとクールな振る舞いで、拓也と同様に女子からの人気が高い。6人兄弟の4番目であり、弟妹がまだ幼いこともあって、その世話を兄姉から押し付けられることが多い。そのことに不満が無いわけではないが、面倒見の良い性格であるためか、兄弟間の関係は良好である。

藤井 一加

藤井昭広の妹で、6人兄弟の5番目。兄譲りの整った容姿を持つ幼児で、わがままかつこまっしゃくれた性格。榎木実と同じ保育園に通っており、後藤浩子とは実をめぐってライバル関係にある。また、末弟の藤井正樹を子分的に扱っており、共に行動することが多い。

藤井 正樹

藤井昭広の弟で、6人兄弟の末っ子。榎木実とは年齢的に大差ないはずなのだが、非常に口が達者で、大人顔負けの発言を繰り返す。姉の藤井一加には従順で、そのわがままに振り回されることが多い。

森口 仁志

拓也のクラスメイト。児童会長を務める眼鏡の少年で、運動よりも漫画や絵を描くことを好む。あまり前に出る性格ではないようだが、女子や下級生からの人気は高い。

竹中 七海

拓也のクラスメイト。女の子と間違われるような美少年で女子からの人気が高い。父が船員であり家を長期間空けているため、実質的には母との2人暮らし。そのため、夢精を起こした際に相談相手がおらず、拓也の父である榎木春美を頼る。

玉館 時男

拓也のクラスメイト。裕福な家に生まれた、いわゆるお坊ちゃん。自分に有利な点があると、それを鼻にかける嫌味な性格である。後藤正とは犬猿の仲。

深谷 しな子

拓也のクラスメイト。いわゆる遅い子供で、両親共に高齢であることを気にしている。それを隠すためか、いくつかの些細な嘘をついたことで、クラスの女子からはあまり評判が良くなかった。拓也とその弟の榎木実を巡る騒動で女子たちと打ち解け、それがきっかけか、拓也に好意を抱くようになる。

松本 秀男

拓也の担任教師。5年2組(後に6年2組)担当。まだ若いためかやや頼りない面もあるが、子供思いのいい先生である。

熊出 充

拓也とは別のクラス(1組)の5年生。猿のような顔で、腕っ節には自信がある。非常に惚れっぽい性格だが、告白に成功した試しがない。拓也に好意を抱く中西亜由子にも振られており、そのため拓也に激しい敵愾心を燃やす。

村田 兄弟

拓也とは別のクラス(1組)の5年生で、双子の兄弟。問題行動の多い熊出充について回り、その行動をフォローする苦労人である。それぞれ「村田兄」、「村田弟」と名乗っており、本名は明かされない。

中西 亜由子

拓也とは別のクラス(1組)の5年生で、拓也に好意を寄せている美少女。ただし、拓也には名前すら知られていなかった。やや思い込みが激しいが、素直で思いやりのある性格。

槍溝 愛

拓也とは別のクラス(3組)の5年生。美少女ではあるが、「逆セクハラ」と称して男子の尻を撫でるなど、ちょっと変わった性格。後藤正の初恋の相手だが、本人は拓也に好意を抱いている。

向井 洋二

榎木実が通う「第二ひまわり保育園」の園長。大の子供好きだが、行動がやや極端で、部下の保母さんたちに窘められることが多い。また、常にサングラスをかけ、素顔をさらそうとしない。

江戸前 秋生

ソフトウェアプロダクション社で榎木春美の部下を務める男性。春美のことを上司として尊敬する一方、同僚の大森和美を巡る恋敵として一方的にライバル視もしている。悪い人間ではないが、軽薄な若者として描かれることが多い。

大森 和美

ソフトウェアプロダクション社で榎木春美の部下を務める女性。春美に恋しており、積極的にアプローチしているが、春美はあくまでも部下のひとりとして接している。

ネコ

『赤ちゃんと僕』に登場する「ネコ」という名前の犬。拓也たちからは、子供を見ると吠え掛かかってくる「バカ犬フランソワーズ」として知られている。登場時には飼い主は不明とされていたが、後に熊出充の犬であることが判明する。後藤浩子が榎木実に好意を抱くきっかけとなった。

集団・組織

シャボンファイブ

『赤ちゃんと僕』に登場するTV番組のヒーロー戦隊。正式名称は「洗濯戦隊シャボンファイブ」。「ザブ」、「サーフ」、「アタック」、「トップ」、「チアーズ」の5人組。榎木実は、このヒーローが大好きで、よく真似をしている。

紅南小学校

『赤ちゃんと僕』に登場する小学校。榎木拓也が通っており、多くのエピソードの舞台となる。

場所

流良町

『赤ちゃんと僕』の主な舞台となる架空の町。拓也の家がある。作中の表現により、東京またはその近郊と思われるが、明確な位置は不明。最寄り駅「熊ノ井駅」の北側に広がる住宅街で、近隣には「元町商店街」「栄町商店街」の2つの商店街もあり、そこそこの賑わいを見せている。

書誌情報

赤ちゃんと僕 全10巻 白泉社〈白泉社文庫〉 完結

第1巻

(2001年12月発行、 978-4592884187)

第2巻

(2001年12月発行、 978-4592884194)

第3巻

(2002年3月発行、 978-4592884200)

第4巻

(2002年3月発行、 978-4592884217)

第5巻

(2002年6月発行、 978-4592884224)

第6巻

(2002年6月発行、 978-4592884231)

第7巻

(2002年9月発行、 978-4592884248)

第8巻

(2002年9月発行、 978-4592884255)

第9巻

(2002年12月発行、 978-4592884262)

第10巻

(2002年12月発行、 978-4592884279)

赤ちゃんと僕 全9巻 白泉社〈花とゆめCOMICSスペシャル〉 完結

第1巻

(2010年4月発行、 978-4592198819)

第2巻

(2010年5月発行、 978-4592198826)

第3巻

(2010年6月発行、 978-4592198833)

第4巻

(2010年7月発行、 978-4592198840)

第5巻

(2010年8月発行、 978-4592198857)

第6巻

(2010年9月発行、 978-4592198864)

第7巻

(2010年10月発行、 978-4592198871)

第8巻

(2010年11月発行、 978-4592198888)

第9巻

(2010年12月発行、 978-4592198895)

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