詠う! 平安京

詠う! 平安京

真柴真の代表作の一つ。平安時代の京都を舞台に、ごくふつうの男子高校生・藤原定家がタイムスリップする。未来へ帰還する手段を探す中、在原業平をはじめとする歴史上の人物たちとの和歌対決に巻き込まれていく姿を描いた、雅やかな和風ファンタジー。スクウェア・エニックス「月刊Gファンタジー」2012年3月号から2015年1月号まで連載。2014年7月にフロンティアワークスからドラマCD版『詠う! 平安京』が発売され、藤原定家を岡本信彦、在原業平を小野友樹が演じている。

正式名称
詠う! 平安京
ふりがな
うたう へいあんきょう
作者
ジャンル
東洋史
 
和風ファンタジー
レーベル
Gファンタジーコミックス(スクウェア・エニックス)
巻数
全6巻完結
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定家の祖母は和歌オタク

男子高校生・藤原定家の祖母は和歌オタクで、定家の名前も平安時代の歌人「藤原定家」に由来している。祖母の影響で和歌に関する知識は豊富だが、名前をいじってくるクラスメートからいじめを受けているため、定家自身は和歌や歌人たちを嫌っている。しかし、平安時代にタイムスリップしたあとは、和歌や歌人に関する知識によって助けられることが多い。そして、歌人たちとの交流を通じて、和歌に込められた思いに触れ、次第に和歌に対して好感を抱くようになる。

「歌合(うたあわせ)」は異能力バトルと化す

本来の歌合は、歌人を左右に分けて、詠まれた句の優劣を競う遊びだが、本作では異能力バトルの様相を呈している。真の歌人は、和歌に込められた言霊の力によって万物をあやつるとされ、「あなたと番えたい曲無き調べ 口ずさめ心の和歌を」という掛け声と共に扇を打ち合わせることで歌合が始まる。歌合では、詠まれた和歌の情景が現実世界に顕現する。定家がその和歌に感銘を受けて口ずさむと、顕現した情景はさらに力を増す。色彩豊かな和歌はより鮮やかに、危険な和歌はその危険度を増して顕現するため、定家は安倍晴明から危険視されるようになる。

現代に戻る方法は百人一首を集めること

定家は平安時代にタイムスリップする直前、祖母から百人一首のカルタを手渡されていた。平安京ではほとんどの札が真っ黒に塗りつぶされているが、定家が歌人の口から直接聞いた和歌だけは、絵と文字が浮かび上がる。小野小町は、この百人一首に込められた執着が呪力となり、定家をタイムスリップさせたのではないかと考察する。黒い札は呪力が尽きた状態であり、力のある和歌を聞くことで呪力が補充され、すべての札が呪力を取り戻せば現代に戻れることを知った定家は、在原業平や小町の協力を得て百人一首を収集していく。さらに歌人同士の争いに巻き込まれるなど、スリリングな日常が本作の魅力の一つとなっている。

登場人物・キャラクター

藤原 定家 (ふじわら さだいえ)

女性的な顔立ちと内気な性格が特徴の男子高校生。黒髪の短髪の中で、一房だけ長く伸ばしている。和歌オタクの祖母から、平安時代の歌人「藤原定家」と同じ名を付けられたことが原因で、クラスメートからいじめを受けている。修学旅行で京都の小倉山荘跡を訪れた際、平安時代の京都にタイムスリップしてしまう。いじめの一環として十二単を着せられていたため、在原業平からは「天女」とカンちがいされる。ふだんは業平の邸宅で世話になりながら、同じく現代からタイムスリップしてきた小野小町と共に、現代に戻る方法を探しつつ、六歌仙の選者である紀貫之の和歌収集を手伝う日々を送っている。感銘を受けた和歌を口ずさむことで、顕現した和歌にさらなる力を与える「言祝ぎの天女」と呼ばれる特別な能力を持つ。

在原 業平 (ありわらの なりひら)

平安京で名を馳せるプレイボーイとして知られる歌人。茶色がかった銀髪を短く整え、つねに女性を口説いている。3700人以上の女性と関係を持ったとされる伝説の持ち主。六歌仙の一人でもあり、和歌を詠むことで、その詩の世界を現実に顕現させる力を持っている。藤原定家が現代からタイムスリップしてきた際、空から落ちてくる定家を抱き止めた。そして定家を女性だと思い込み、恋心を抱くようになる。定家が小野小町の邸宅に身を寄せると、百夜通いも辞さない情熱的な一面を見せる。

書誌情報

詠う! 平安京 全6巻 スクウェア・エニックス〈Gファンタジーコミックス〉

第1巻

(2012-10-27発行、 978-4757537675)

第6巻

(2015-02-27発行、 978-4757545731)

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