龍帥の翼 史記・留侯世家異伝

龍帥の翼 史記・留侯世家異伝

「修羅の門」シリーズを手掛ける川原正敏の代表作の一つ。紀元前3世紀の中国大陸を舞台に、亡国の遺臣である張良が中国大陸を統一した秦の始皇帝を討つため、旅先で出会った黄石、窮奇と共に戦乱に身を投じる姿を描いた中国大河ロマン。司馬遼太郎の小説『項羽と劉邦』をベースに、その主要人物であった張良と、半オリジナルキャラクターの窮奇、黄石を主役に据え、張良の知力と窮奇の武力、そして黄石の洞察力によって、さまざまな難問を打破していく様子が大きな見どころとなっている。また、本来の主役である項羽や劉邦も独自のキャラクター付けがなされており、いずれも魅力あふれる存在として物語を牽引する。講談社「月刊少年マガジン」2016年4月号から2023年1月号にかけて連載の作品。

正式名称
龍帥の翼 史記・留侯世家異伝
ふりがな
りゅうすいのつばさ しき りゅうこうせいかいでん
作者
ジャンル
東洋史
レーベル
講談社コミックス月刊マガジン(講談社)
巻数
既刊25巻
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軍師を主役に据えた新説『項羽と劉邦』

元となる『項羽と劉邦』は、新潮社「小説新潮」で1977年1号から1979年5号にかけて、『漢の風 楚の雨』のタイトルで連載された司馬遼太郎の人気小説。およそ紀元前200年頃に起こった「楚漢戦争」を描いた作品で、同じ中国を舞台とした『三国志』に匹敵する人気を博している。本作は、楚漢戦争の中心人物である天才軍師・張良の視点から描いた作品で、楚を率いる項羽と漢を束ねる劉邦の激闘のほか、張良が二人に与えた影響についても色濃く反映されている。

ユニークな天才軍師と、その仲間たち

本作のメインキャラクターとなる張良、窮奇、黄石の三人は、それぞれ異なる特徴を持つ。張良は、体が弱いものの天才的な知能を誇り、周囲の状況を冷静に判断したうえで、最善の行動を選択する。黄石は並外れた洞察力で、張良や劉邦の行動の指針を形作る役割を担う。窮奇は並外れた武力を生かし、張良や黄石が危機に陥った際に、腕力に物を言わせて悪漢を叩きのめす。そして三人は、お互いの足りないものを補い合って事態を打開し、戦局を有利に進めていく。

新たな時代を求めて戦う、二人の英雄

『項羽と劉邦』の主役の二人も、中盤以降の最重要人物として登場する。劉邦は、ふだんは自由奔放に振る舞っているが、その人柄で多くの人々から慕われており、張良や黄石の助言を受けて一軍の長として頭角を現す。一方、劉邦と覇権を争う項羽は、人を魅了するカリスマ性と窮奇すら上回るほどの腕っ節の強さから、劉邦にとっても張良にとっても、越えるべき高い壁として立ちふさがる。ある種の怪物といえる二人の争いは、やがて中国の未来を賭けた大戦へと発展していくこととなる。

登場人物・キャラクター

張 良 (ちょう りょう)

劉邦軍の軍師を務める男性で、字(あざな)は「子房」。天才的な智謀を誇るものの、健康や体力に不安を抱えている。ふだんは朗らかな性格で、誰に対しても敬語で接する。しかし、気持ちが昂ると言葉が荒々しくなり、挑発的な物言いも辞さない。「導引術」と呼ばれる特殊な運動を欠かさず行っており、この影響から実際の年齢よりかなり若い見た目をしている。六国の一つであった韓の遺臣だが、韓が秦に滅ぼされるのを黙って見ていることしかできず、強い屈辱と罪悪感を感じている。このことから秦の始皇帝への復讐を志し、各地を放浪している。そんな中、黄色い石を持った女の子と出会い、彼女を「黄石」と名付け、さらに目的地の一つであった「倉海の地」で出会った窮奇の武勇に惚れ込み、彼らと同行することとなる。始皇帝暗殺の好機を得るが失敗し、結局倒すことができないまま始皇帝は病没する。それからは、新しい世界の成り立ちを見届けることを目標に、黄石の導きによって劉邦と出会う。そして、彼こそが世界を変える人物だと見込んで窮奇や黄石と共に、その配下に収まった。実在の人物、張良がモデル。

窮奇 (きゅうき)

倉海の地に住む男性。本名は不明で、自らを中国神話に登場する神獣である「窮奇」と名乗っている。筋骨隆々とした大男で、成人男性が数人がかりで持ち上げることすらできなかった大槍を、軽々と振り回すほどの怪力を誇る。不愛想ながら情に厚く、張良や黄石に対してはぶっきらぼうな態度を取ることが多いが、つねに彼らを気にかけている。張良から一目見るなり気に入られ、始皇帝暗殺のために共に旅に出ることを懇願される。当初はためらっていたが、張良の知力と度胸を目の当たりにして興味を抱き、彼の申し出を受け入れた。

書誌情報

龍帥の翼 史記・留侯世家異伝 25巻 講談社〈講談社コミックス月刊マガジン〉

第1巻

(2016-09-16発行、 978-4063925456)

第2巻

(2016-10-17発行、 978-4063925517)

第3巻

(2017-01-17発行、 978-4063925623)

第4巻

(2017-04-17発行、 978-4063925777)

第5巻

(2017-07-14発行、 978-4063925920)

第6巻

(2017-10-17発行、 978-4063926071)

第7巻

(2018-01-17発行、 978-4065107485)

第8巻

(2018-04-17発行、 978-4065111956)

第9巻

(2018-07-17発行、 978-4065122129)

第10巻

(2018-10-17発行、 978-4065132005)

第11巻

(2019-01-17発行、 978-4065143025)

第12巻

(2019-04-17発行、 978-4065151785)

第13巻

(2019-08-16発行、 978-4065168288)

第14巻

(2020-02-17発行、 978-4065185841)

第15巻

(2020-05-15発行、 978-4065194270)

第16巻

(2020-08-17発行、 978-4065206157)

第17巻

(2020-11-17発行、 978-4065214947)

第18巻

(2021-02-17発行、 978-4065223666)

第19巻

(2021-05-17発行、 978-4065229637)

第20巻

(2021-08-17発行、 978-4065243787)

第21巻

(2021-11-17発行、 978-4065259528)

第22巻

(2022-02-17発行、 978-4065269367)

第23巻

(2022-08-17発行、 978-4065277478)

第24巻

(2022-11-16発行、 978-4065299692)

第25巻

(2023-02-16発行、 978-4065304594)

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