ラジエーションハウス

医師免許を持ちながら、診療放射線技師として強いこだわりを持つ男性、五十嵐唯織は、一つの出来事をきっかけに、幼なじみの甘春杏がいる甘春総合病院で働き始める。甘春総合病院放射線科の人々や、問題を抱えて来院する患者達を大きく変えていく、唯織の奮闘を描いた画像診断医療コミック。「グランドジャンプ」2015年23号から連載の作品。

正式名称
ラジエーションハウス
原作者
横幕 智裕
漫画
ジャンル
医療
 
ヒューマンドラマ
レーベル
ヤングジャンプコミックス(集英社)
関連商品
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あらすじ

第1巻

診療放射線技師として働く28歳の男性、五十嵐唯織は、ある日、画像の取り違えを指摘したために、働いている病院をクビになってしまう。しかしその直後、唯織はかねてから働きたいと思っていた甘春総合病院の求人を見つける。そこで働く甘春杏は唯織の幼なじみであり、二人は幼い頃、いつか杏が放射線科医、唯織が診療放射線技師として、いっしょに働こうと約束していたのだ。即座に唯織は求人に応募し見事採用されるが、杏は苗字が変わっていた唯織の事に気づかず、冷たい態度を取るのだった。唯織はこれにショックを受けつつも働き始めるが、その直後、以前に唯織と河原で出会った男性、菊島亨が、院内で倒れる。最近頭痛に悩んでいた亨は、唯織のアドバイスに従って来院したのだが、特に異常は見つからなかった。しかし、帰ろうとしたところで突如倒れてしまう。そんな亨と改めて話した唯織は、亨がウェステルマン肺吸虫という寄生虫に冒されている可能性に気づく。そこで脳の再検査を行った唯織は、この寄生虫を発見する。こうして早速成果をあげた唯織だったが、杏はそんな唯織が気に入らず、唯織が幼なじみの「窪田唯織」であるとは気づかぬまま、密かに観察を続ける。

第2巻

五十嵐唯織は、その技術力で菊島亨蛭田真貴を救い、順調に院内での評価を上げていた。しかし肝心の甘春杏とは気まずい関係のままで、自分が幼なじみの「窪田唯織」である事も、未だに打ち明けられずにいた。そんなある日、唯織は千葉美佐子と共に来院した少年、千葉健太郎と再会する。健太郎は現在、原因不明の膝の痛みを抱えているらしいのだが、杏には成長痛だと診断されていた。これを不審に思った唯織は、美佐子にも話を聞いたうえで、健太郎が「リ・フラウメニ症候群」という極めて珍しい、骨の癌にかかっているかもしれないと推測する。そこで再検査したところ、やはり「リ・フラウメニ症候群」である事が発覚。さらに以前乳癌になり、左胸を摘出している美佐子に唯織は、右胸も乳癌になっている可能性があると指摘する。美佐子は「デンスブレスト」と呼ばれる乳腺濃度の高い乳房の女性であったために、マンモグラフィだけでは、乳癌の可能性を見落とされていたのである。そこで唯織に超音波検査を勧められた美佐子は、右胸も失う恐怖を抱えながらも、その提案に応じる。

第3巻

超音波検査の結果、千葉美佐子の右胸に異常は見られなかった。これを知った甘春杏は、自分の診断が間違っていなかった事に安堵するが、まだ検査不足であると判断した五十嵐唯織は、MRI検査も行うべきだと進言する。この結果、美佐子はやはり乳癌であった事が発覚し、美佐子はショックを受けながらも、唯織に深く感謝するのだった。こうして美佐子は命の危険から救われるが、診断ミスをした杏は落ち込み、自分は放射線科医失格だと思い悩むようになる。そこで杏は友人と気晴らしに飲みに行くが、帰り道、偶然唯織に遭遇する。杏は唯織に家まで送ってもらうが、泥酔していたせいで、その夜の記憶はあいまいになっていた。しかし、唯織に親切にされた事だけは翌日も覚えており、これによって二人の距離は少しだけ縮まるのだった。その直後、別の病院から、坂元美月という若い女性が、原因不明の肩の痛みにより転院して来る。そこで杏は唯織の意見を聞いたうえで、再検査を決意。しかしこれを見ていた広瀬裕乃は、自分と唯織の差に落ち込み、うっかりして美月とぶつかってしまう。だが、これがきっかけで裕乃は美月と音楽の趣味が合う事を知り、美月と個人的に親しくなっていく。

第4巻

広瀬裕乃は、坂元美月が肩から背中にかけての痛みを押してバンド活動をしている事、次のライブを最後にバンドを解散する事を知る。そんな美月を応援したい裕乃は、美月に再検査を勧める。裕乃は高校時代バレーボールに打ち込んでいたが、練習中に大ケガをしてチームを離脱。その結果、チームメイトとも疎遠になり、今でもこの事を悔やんでいたのである。美月にはそんな思いをしてほしくない裕乃は、撮影当日、当初の設定よりも広い範囲を撮る事で、美月の肩だけでなく、背中も診断する。これが功を奏し、五十嵐唯織が、美月の気胸を発見。すぐに治療を行った事で、美月は最後のライブを無事成功させるのだった。そしてこの件を評価された裕乃は、診療放射線技師として頑張っていく事を改めて誓うのだった。その直後、唯織らの放射線科では、救急外来の看護師達も交えてAi(死亡時画像診断)を行う事になる。遺体の少年、藤本直樹は、近所の空き地で倒れているところを弟の藤本雄太が発見して運ばれて来たが、病院についた頃には心肺停止していた。しかし、直樹の両親がなぜかAiを拒否しているため、唯織と辻村駿太郎は、ひとまず遺体を直接診て、死因は心臓震盪の可能性が高いと診断する。

第5巻

小野寺俊夫藤本直樹の両親を説得した事により、直樹のAi(死亡時画像診断)が行われる事になった。俊夫はAiに強い情熱を抱いており、死因不明の遺体をきちんと調べる事は、残された家族にとって必要な事だと考えていたのである。直樹の腕に痣があった事により、児童虐待も考えられるままAiは始まり、最終的に死因は、肝臓破裂による失血性ショックと判明する。これは、Aiをしなくてはわからないものであり、かつ事故か、他者からの暴行がなくては起こらないものだった。五十嵐唯織ら放射線科は、Aiに非協力的なうえ攻撃的な態度を取る直樹の義父、藤本勝彦が直樹を暴行したのではないかと疑うが、ここで直樹の弟、藤本雄太が、自分のせいで直樹が亡くなったと告白する。そこで唯織は雄太から発見当時の情報を詳しく聞き、やがて犯人が左利きであると確信する。結果、右利きの勝彦は除外され、最終的に犯人は左利きで、直樹が死亡直前に会っていた直樹の友人、山村肇である事が発覚。肇は、直樹を父親との不仲に悩む仲間だと思っていたが、直樹と勝彦の関係がよくなり始めた事に強い怒りを感じていたのだ。そこで、事件当日直樹を衝動的に殴り、これが死因となったのである。こうして事実が判明し、直樹の両親はAiを行った唯織達に感謝するのだった。

第6巻

藤本直樹の死の一件で、鏑木安富は自分の言う事を聞かない五十嵐唯織を煙たく思うようになっていた。そこで安富は院長の大森渚に、最近唯織は診療放射線技師の領分を越えて仕事していると伝え、もしなにか問題が起きたら、その責任は渚が取るべきだと告げるのだった。その直後、放射線科のスタッフは安富が学会で不在のまま、急患の大腸癌手術を行う事になる。甘春杏は初めてのIVRに苦戦するが、その手術中に重大な勘違いをしていた事を唯織から指摘される。こうして唯織のサポートにより冷静さを取り戻した杏は無事に手術を成功させ、二人は信頼関係を深めるのだった。しかし、出先からこの件を知り、慌てて手伝いに戻って来た安富は、自分不在のまますべてがうまくいった事に、ますます機嫌を悪くする。そしてその夜、杏がお礼を言おうと唯織を探していると、唯織と渚が二人で話している場面に出くわす。思わず盗み聞きした杏は、唯織が医師免許を持ちながらそれを隠し、診療放射線技師として働いている事を知ってしまう。

第7巻

甘春杏は、五十嵐唯織の秘密を知り、なぜ医師として働ける彼が、診療放射線技師の仕事にこだわるのか疑問を抱くようになっていた。しかし本人に直接訪ねる事はできずにいたある日、杏は急性脳症の疑いがある3歳の少女、魚谷久美のMRI撮影を行う。だが当日、小児科医の上野は参加できなくなり、唯織と黒羽たまきの三人で作業する事になるが、撮影中、杏と久美が二人きりになった部屋で事故が発生。クエンチという、液体ヘリウムが突如爆発的に気化する状態に陥り、二人のいる部屋は外から開けられなくなり、室温と酸素濃度共に低下していく。杏は久美だけは守ろうと身を挺して久美をかばうが、そこに唯織が現れて無理やり部屋のガラスを割る。これによって杏は、以前も誰かとガラス越しに会話し、約束をした事を思い出すが、その相手が幼い唯織であった事には気づかないまま、再び彼に助けられるのだった。こうして杏と久美は救出され、唯織と杏の距離はさらに縮まるが、杏に思いを寄せる辻村駿太郎は、この事態に焦り始める。

第8巻

広瀬裕乃は、診療放射線技師になって初めての一人当直を行う事になった。一人当直では、軒下吾郎に助けを求める事になっていたが、その日にデートの予定のある吾郎はこれを嫌がっており、裕乃の緊張は高まっていた。そして迎えた当日、吾郎はマッチングアプリで知り合った女性のユウカと、自分の職業を医者と思い込ませてデートをしていた。しかし食事に選んだ店には、甘春杏辻村駿太郎も来店しており、もはや隠し切れないと吾郎は判断。ユウカに本当は医者ではなく、診療放射線技師である事を打ち明け、裕乃からの電話に応じて病院に戻るのだった。後日、ハロウィンが近づく院内では、子供向けに願い事を書いて貼るスペースが設けられる。そこで、子供がほしいとの願い事を見つけた杏は、それが虫垂炎の疑いで来院した若井陽子のものではないかと考えていた。万が一、陽子が虫垂炎ではなく虫垂腫瘍であった場合、妊娠できなくなる危険性があるのだ。その事を懸念した杏と五十嵐唯織は、陽子の再検査を決意する。

メディアミックス

2019年4月から6月にかけて、本作『ラジエーションハウス』のTVドラマ版が、フジテレビ系で『ラジエーションハウス ~放射線科の診断レポート~』のタイトルで放送された。脚本を大北はるか、プロデュースを中野利幸が務め、五十嵐唯織役を窪田正孝、甘春杏役を本田翼が演じている。

登場人物・キャラクター

五十嵐 唯織 (いがらし いおり)

甘春総合病院放射線科に勤める診療放射線技師の男性。年齢は28歳。前髪を目が隠れるほど伸ばした、焦げ茶色のふんわりとした短髪。吊り目で目つきが悪く、いつも眠そうな目をしている。小学3年生の時、ほかの医師や技師が見逃してしまうような細かな点に気づき、的確な診断をした経験がある。甘春杏とは幼なじみで、幼い頃に将来は杏が放射線科医、五十嵐唯織が診療放射線技師となり、いっしょに甘春総合病院で働こうと約束していた。しかし8歳の時に引っ越した事で、そのまま杏とは疎遠になった。そのため、杏がその直後に弟の「甘春久志」を交通事故で亡くした事、そして事故の要因となった犬が嫌いになった事を知らなかった。28歳のある日、甘春総合病院の求人に応募し、ついに杏との約束を果たす。しかし、苗字が「窪田」から「五十嵐」に変わった事で杏が自分に気づかず、正体を明かしそびれたまま、いっしょに働く事になる。実は医師免許を取得しており、放射線科医として働く事ができる。しかし、杏との約束にこだわってあくまで診療放射線技師として働く事を望んでおり、院長の大森渚以外にはこの事実を隠している。

甘春 杏 (あまかす あん)

甘春総合病院放射線科に勤める放射線科医の女性。年齢は28歳。甘春総合病院の元院長の娘でもある。前髪を目が隠れるほど伸ばして右寄りの位置で斜めに分け、腰まで伸ばした茶色のロングヘアにしている。まじめで責任感が強く、自分にも他人にも非常に厳しい性格の持ち主。さらに、身体を壊して引退した父親に代わって甘春総合病院を支えていきたいという気持ちが強く、必要以上に気を張ってしまっている。そのため近寄りがたく、放射線科のスタッフとも精神的に距離がある。また、診療放射線技師を見下したところがあり、マニュアルに沿って写真を撮っているだけの存在だと捉えていた。五十嵐唯織とは幼なじみで、幼い頃、将来は甘春杏が放射線科医、唯織が診療放射線技師となり、いっしょに甘春総合病院で働こうと約束していた。当時は明るく親しみやすい性格だったが、唯織が引越した直後の8歳のある日、弟の「甘春久志」を交通事故で亡くした事により、事故の要因となった犬が嫌いになった。また一人娘となった事で、自分が甘春総合病院を守らなくてはならないという思いが強く、現在の厳しい性格になってしまった。28歳のある日、診療放射線技師としてやって来た唯織と再会するが、唯織が両親の離婚により名字が変わっていたために気づかず、また職場を転々としている事を快く思っていなかった。しかし、いっしょに働くうちに、徐々に信頼を深めていく。特技は弓道。

広瀬 裕乃 (ひろせ ひろの)

甘春総合病院放射線科に勤める新人診療放射線技師の女性。年齢は21歳。前髪を目の上で切って左寄りの位置で分け、顎の高さまで伸ばしたボブヘアにしている。背が高く、胸とお尻も非常に大きい。明るい性格で、何事にも一生懸命に取り組むが、要領が悪く記憶力もよくない。また一つの物事に集中していると、誰かが声を掛けたり、ふざけて身体に触ったりしても、気づかない事が多い。そのため失敗が多く、自分は診療放射線技師には向いてないのではないかと悩んでいる。高校時代はバレーボール部に所属し、部活動に打ち込んでいた。しかし最後の大会に向けて練習していたある日、左膝靱帯断裂の大ケガを負い、部を離れざるを得なくなる。結果、チームメイトとも疎遠になってしまい、現在でもこの事を後悔している。そのため、坂元美月が甘春総合病院に来院した際は、バンドに打ち込む美月にかつての自分を重ね合わせ、美月が望むような音楽活動ができるよう、不調の原因を探すのに尽力した。

悠木 倫 (ゆうき りん)

甘春総合病院放射線科に勤める診療放射線技師の男性。年齢は22歳。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして、耳の高さまで伸ばしたショートボブヘアにしている。小柄な体型で中性的な雰囲気を漂わせ、目が大きく目つきが悪く、下まつ毛が長い。黒羽たまきからは「リンリン」と呼ばれている。クールで歯に衣着せぬ性格だが、たまきには振り回されがち。電子基板が大好きで、職場でもヒマさえあれば眺めている。また、医療機器に関する造詣も深く、患者に機械の仕組みについて丁寧に説明しようとするあまり、却って混乱させてしまう事がある。飲酒は判断力低下を招くと嫌っており、極力飲まないようにしている。しかし、職場の飲み会ではたまきに乗せられて飲んでしまう事が多く、その結果、いつも女装させられ写真を撮られている。

黒羽 たまき (くろはね たまき)

甘春総合病院放射線科に勤める診療放射線技師の女性。年齢は39歳。前髪を長く伸ばして左寄りの位置で分け、胸まで伸ばして右側に集めた、黒のストレートロングヘアにしている。スタイル抜群で胸が非常に大きい。穏やかで落ち着いた性格の頼りがいある人物。だが実はバイセクシャルで、女性職員、特に広瀬裕乃にセクハラをしたり、女性患者の身体をじっと観察したりしている。一方で男性職員には手厳しく、悠木倫と軒下吾郎は黒羽たまきに頭が上がらない。

軒下 吾郎 (のきした ごろう)

甘春総合病院放射線科に勤める診療放射線技師の男性。年齢は34歳。前髪をアシンメトリーに切った短髪にしている。小柄な体型で目が細く、耳が大きい。一見不愛想に見えるが、なんだかんだで親切で面倒見がいい。特に広瀬裕乃に対しては、先輩としてよく世話を焼いており、まだ知識の浅い裕乃にさまざまな事を教えている。また、仕事には非常に熱心で、少しでも撮影しやすくするために自分で作ったオリジナルの道具を持っている。黒羽たまきにはまったく頭が上がらない。おしゃれに気を遣っており、髪形には特にこだわりを持っている。

威生 圭 (いのう けい)

甘春総合病院放射線科に勤める診療放射線技師の男性。年齢は39歳。前髪を目が隠れるほど伸ばし、肩まで伸ばしたぼさぼさのボブヘアにしている。たれ目で下がり眉が特徴。普段は無口でとっつきにくい印象を与えるが、非常に美しい声の持ち主で、挨拶をしただけで周囲の女性をときめかせるほど。また、近寄りがたいだけで不愛想なわけではなく、必要な時には問題なく会話の輪に参加している。小野寺俊夫に、甘春総合病院でならAi(死亡時画像診断)ができるという理由で誘われてやって来た。そのため、俊夫のAiに対する情熱についても理解している。

小野寺 俊夫 (おのでら としお)

甘春総合病院放射線科に勤める診療放射線技師の男性。年齢は51歳。前髪を上げて額を全開にして撫でつけた短髪にしている。細めの体型で、無精ひげを生やしている。マイペースな性格で、一見仕事への熱意に欠けるように見えるが、実際は誰よりも患者の心を大切に思う熱血漢。特にAi(死亡時画像診断)については強い情熱を抱いており、原因不明で亡くなった患者には、すべてAiを行って死因を解明する事で、残された家族の無念を少しでも晴らしたいと考えている。医療関係者にもかかわらずヘビースモーカーで、職場内の禁煙エリアでも煙草を吸っている事が多く、よく職員から注意を受けている。また、女性職員によくセクハラ行為を行なっている。

鏑木 安富 (かぶらぎ やすとみ)

甘春総合病院放射線科に勤める放射線科医の男性。年齢は55歳。前髪を上げて額を全開にした撫でつけた短髪にしている。頭は小さいが耳は大きく、眼鏡をかけている。非常に高い技術を持つ名医だが、プライドが高過ぎるため自分に従わない者には攻撃的になってしまう。また、本来なら大森渚ではなく、自分が甘春総合病院の院長になるべきだったという意識が強く、どうにかして渚を院長の座から引きずり下ろしたいと考えている。五十嵐唯織とは、唯織が中途採用された事で知り合うが、唯織が放射線科医の医師免許を持っている事は知らない。そのため、唯織が放射線科医を差し置いて患者と接している事や、甘春杏が協力的な事を快く思っていない。

辻村 駿太郎 (つじむら しゅんたろう)

京北医科大学に勤める整形外科医の男性。年齢は31歳。週に3日、甘春総合病院の外来医師としても働いている。前髪を長く伸ばして右寄りの位置で分け、左側は前に垂らし、右側は後ろに流している。細めの体型で、眉が太い。甘いマスクの美形で、性格も穏やかな事から、女性に非常に人気がある。しかし、実は女性にいじめられる事に快感を覚えるマゾヒスト。そのため、クールで凛とした雰囲気を漂わせる甘春杏に密かに思いを寄せている。五十嵐唯織とは、唯織が甘春総合病院に中途採用され、放射線科で働くようになった事をきっかけに知り合う。唯織の事は高く評価しており、藤本直樹が死亡した件については互いに意見を交わし合い、死因解明にたどり着いた。一方で、唯織と杏が急接近している事には危機感を抱いている。

大森 渚 (おおもり なぎさ)

甘春総合病院の院長を務める女性。年齢は53歳。前髪を顎の高さまで伸ばして左寄りの位置で分け、顎の高さまで伸ばしたボブヘアで、眼鏡をかけている。穏やかな落ち着いた性格で、何事にも動じない。院内で唯一、五十嵐唯織が医師免許を持っている事を知っているが、唯織の意向に応じてそれを秘密にしている。

菊島 亨 (きくしま とおる)

世界的に有名な写真家の中年男性。前髪を額が見えるほど短く切った髪型で、たれ目にたれ眉。穏やかな性格で、つねに落ち着いている。ある日、甘春総合病院の近くで写真を撮っていたところ、偶然通りがかった五十嵐唯織と出会い、最近頭痛に困っている事を打ち明ける。唯織にできるだけ早く甘春総合病院で診察を受けるように勧められ、後日従う。しかし診察結果は異常なしで、そのまま帰る事になったところ突然倒れ、入院する事になる。当初は、過去に脳動脈瘤の手術を受けていた事から再破裂の可能性を疑われた。しかしその直後、甘春総合病院で働き始めた唯織と再会し、昨年撮影でボリビアを訪れた事を話したため、現地での食事が原因で寄生虫に寄生された可能性を疑われる。そして唯織の再検査と血液検査により、ウェステルマン肺吸虫が脳に寄生していた事が発覚。鏑木安富の判断により投薬が行なわれ、事なきを得た。近日中に娘が結婚予定で、結婚写真はボリビアのウユニ塩湖で撮影する事を約束し、この結婚写真はワールドグラフィック賞金賞を受賞した。自分を救ってくれた唯織を高く評価しており、結婚写真の撮影後、唯織は病の写真家であると書いたお礼の手紙を送った。

蛭田 真貴 (ひるだ まき)

ライターの女性。蛭田志朗の妻で、年齢は32歳。前髪を目が隠れるほど伸ばして真ん中で分け、胸の高さまで伸ばしたロングヘアにしている。細めの体型で、眼鏡をかけている。明るく穏やかな性格で、大のゲーム好き。オンラインゲーム上では「マキシマム」と名乗っているが、これは以前別のゲームでキャラクター名を決める際、「マキシマムラ」と入力しようとしたところ、「ラ」だけ文字数制限で入らなかったため。また、ゲーム上では男性騎士の「マキシマム」として活動しており、同じゲームをプレイする志朗にいつもサポートしてもらっている。志朗とは親同士が仲のいい幼なじみで、子供の頃からいつもいっしょにゲームをして遊んでいたが、高校を卒業する頃に一度疎遠になってしまう。大学時代、趣味が高じてゲームライターとなり、ある日一人でゲームをしていたところ、ゲーム内で「ヒルダ」という名前の自分に似た容姿の女性キャラクターと出会う。そして、すぐにプレイヤーが志朗であると気づき、これがきっかけで再び親しくなり結婚した。ある日、健康診断で乳癌の疑いがある事が発覚したが、志朗が五十嵐唯織に頼み込んで再検査を行い、乳癌ではなく良性腫瘤である事が判明する。

蛭田 志朗 (ひるだ しろう)

会社員の男性。蛭田真貴の夫で、年齢は32歳。前髪を上げた刈り上げの短髪にしている。たれ目で鼻が大きく、非常にがっしりとした体型をしている。真貴からは「シロちゃん」と呼ばれており、オンラインゲーム上では「ヒルダ」と名乗っている。これは以前、真貴が自分の仲間の女性キャラクターに志朗の苗字を使った事がきっかけで名乗るようになったもので、ゲーム内でも女性魔法使いの「ヒルダ」として真貴のサポートをしている。やや気の弱いところがあるが、穏やかで心優しい性格の持ち主。真貴とは親同士も仲がよく、幼い頃からいっしょにゲームをして遊んでいた。また、この時から真貴に思いを寄せていたが打ち明けられず、少しでも釣り合う男性になろうと柔道を始める。結果、地区優勝するほどの選手になるが、これを周囲から妬まれた事で、高校1年生の時にやめてしまう。さらに、これによって自信をなくして真貴とも疎遠になった。しかし、ある日「ヒルダ」を名乗って遊んでいたところ、真貴と再会して親しくなり、結婚した。32歳のある日、真貴に乳癌の疑いがある事を知るが、詳しく検査をするにはあまりにも時間がかかる事を知る。そこで甘春総合病院で偶然出会った五十嵐唯織に相談し、唯織に再検査してもらう事になる。

千葉 美佐子 (ちば みさこ)

出版社「光英社」で編集者として働く女性。年齢は46歳。小柴伸一郎の元妻であり、千葉健太郎の母親。前髪を顎の高さまで伸ばして真ん中で分け、肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアにしている。左目尻にほくろが一つあり、左胸は乳癌の手術で摘出している。そのため、女性としての自信をなくしており、これが伸一郎との離婚の要因になってしまった。まじめな性格で、非常に気が強い。多忙なために健太郎ともなかなかいっしょに過ごせずにいる。ある日、健太郎といっしょに甘春総合病院へ検診に訪れた際、自分の診察ついでに最近膝の痛みを訴えている健太郎を診てほしいと頼む。その日は診察してもらえなかったものの、後日甘春杏と五十嵐唯織に出会い、唯織に健太郎の「リ・フラウメニ症候群」と、千葉美佐子自身の右胸の乳癌の可能性を指摘される。すぐには唯織の言葉を聞き入れられずにいたが、最終的に検査した結果、乳癌である事が発覚し右胸を摘出した。また、この件をきっかけに伸一郎と復縁し、自分の雑誌に自分の乳癌が見つかりにくくなっていた要因である「デンスブレスト」を記事にして認知度アップに貢献した。

千葉 健太郎 (ちば けんたろう)

小学生の男子。小柴伸一郎と千葉美佐子の息子で、年齢は11歳。前髪を目が隠れるほど伸ばした短髪にしている。心優しく、遠慮がちな性格をしている。小学3年生の時に両親が離婚し、美佐子についていった事で「小柴」姓から「千葉」姓になった。ある日、膝の痛みを訴えたのを機に甘春総合病院で診てもらい、一度は成長痛と診断されるが、五十嵐唯織によって「リ・フラウメニ症候群」という、非常に珍しい骨の癌である事が発覚する。しかし早期の発見であったために、転移もしていなかった。

小柴 伸一郎 (こしば しんいちろう)

会社員の男性。千葉美佐子の元夫で、千葉健太郎の父親。年齢は47歳。前髪を額が見えるほど短く切った髪型で、眼鏡をかけている。美佐子には「伸ちゃん」と呼ばれている。心優しい性格で、美佐子が乳癌になった時も精神的に支えようとしていた。しかし乳房を亡くした事により、美佐子は女性としての自信を失っていたためうまくいかず、離婚した。現在でも美佐子と復縁したいと考えており、美佐子と健太郎が甘春総合病院に通うようになった事がきっかけで打ち明ける。当初は美佐子に断られるが、最終的には再び三人で暮らすようになる。

坂元 美月 (さかもと みつき)

大学生の女性。年齢は22歳。前髪を顎の高さまで伸ばして真ん中で分け、左側は垂らし、右側は後ろに流した編み込みボブヘアにしている。明るい性格で、大の音楽好き。女性の友人三人と結成したロックバンド「ザ・カーテンライズ」ではギターを担当しているが、大学卒業を機に解散が決まっていた。最後のライブが近づくある日、右肩から背中にかけて原因不明の痛みを感じるようになる。そこで藤江クリニックに来院するが原因がわからず、甘春総合病院に転院して五十嵐唯織ら放射線科のスタッフが調べる事になった。そんな中、音楽の話題がきっかけで、年齢も近い広瀬裕乃と親しくなる。診断では坂元美月の右肩ばかりが注目されていたが、美月は背中もかなり気にしている事に気づいた裕乃が、背中の状態もよくわかるレントゲン写真を撮影した。これが功を奏して原因が気胸である事が発覚し、すぐに治療してもらった事で、「ザ・カーテンライズ」のラストライブは成功した。

藤本 直樹 (ふじもと なおき)

中学生の男子。故人。当時の年齢は13歳。「藤本歩美」の息子で、藤本勝彦の義理の息子。藤本雄太の義兄でもある。前髪を目が隠れるほど伸ばし、肩につくほどまで伸ばしたウルフカットにしている。歩美と再婚した勝彦との関係がうまくいかず、非行に走るようになった。しかし、再婚や勝彦を嫌っていたりしたわけではなく、雄太との関係は良好で、勝彦との関係もいつか改善して、いっしょに遊びたいと考えていた。しかし、やがてこれを快く思わない非行仲間の山村肇にお金をせびられるようになり、ある日雄太まで巻き込まれそうになった事で、ひとまず雄太を逃がし、時間を稼ごうとした。しかし、雄太が藤本直樹のところへ戻ろうとする際に、肇に右胸のあたりを強く殴られて意識を失い、甘春総合病院に運ばれる。この時にはすでに心肺停止しており、その後、肝臓破裂による失血性ショックで亡くなった。当初は外傷がなかった事から事故として処理されかけたが、Ai(死亡時画像診断)により、肇からの暴行が原因で亡くなった事が判明した。

藤本 雄太 (ふじもと ゆうた)

小学生の男子。年齢は10歳。藤本勝彦の息子で、藤本歩美の義理の息子。藤本直樹の義弟でもある。前髪を目の上で切った短髪で、眉が太い。気弱でおとなしい性格をしている。野球が趣味で、直樹とは両親の再婚後、いっしょにキャッチボールをしてほしいと頼んだ事でなかよくなった。ある日、空き地で直樹と遊んでいたところ、彼から忘れ物をしたので代わりに家まで取りに行ってほしいと頼まれる。そこで一度帰宅するが、空き地に戻った時には直樹が倒れており、のちに死亡する。この事で、キャッチボール中に自分がボールをぶつけてしまったからか、あるいは戻るのが遅れて発見が遅れたからではないかと責任を感じていた。しかし直樹の死亡後、この事を五十嵐唯織ら放射線科のスタッフに打ち明けた事で、真相解明の手助けをした。

藤本 勝彦 (ふじもと かつひこ)

運転手として働く男性。「藤本歩美」の夫。藤本雄太の父親で、藤本直樹の義父でもある。年齢は38歳。前髪を上げて額を見せたぼさぼさの短髪にしている。がっしりとした体型をしており、強面で無精ひげを生やしている。歩美からは「勝っちゃん」と呼ばれている。短気で怒りっぽい性格だが、本当は家族思いで心優しい。家族を守るために他人に攻撃的な態度を取ってしまうため、暴力的な人物だと勘違いされる事が多い。ある日、歩美と再婚したが、歩美の連れ子である直樹とはうまくいかず、悩んでいた。しかし、非行に走った直樹が自分の財布からお金を盗むようになっても、証拠がない以上は直樹を信じる事にし、しばらくは様子を見ようと考えていた。だがそんなある日、直樹が突如亡くなり、当初は鏑木安富の話を信じて、Ai(死亡時画像診断)は行わず、少しでも早く家族を休ませようとしていた。しかし、小野寺俊夫に説得され、Aiを承諾した事で、直樹の死の真相を知る事になる。

山村 肇 (やまむら はじめ)

藤本直樹の友人の男子。年齢は17歳。前髪を眉上で短く切った刈り上げた短髪にしている。がっしりとした体型で、眉が太い。また空手の経験者である事から、非常に腕っぷしが強い。直樹とは、義父の藤本勝彦とうまくいかず非行に走るようになった頃に知り合い、自分も実の父親と不仲であった事から、共感してなかよくなる。直樹に勝彦のお金を盗ませ、自分に貢がせていた。しかし、やがて直樹が藤本雄太と真摯に向き合い始め、勝彦との関係も修復されそうな事を知り、裏切られた気分になる。そこである日、空き地で雄太と遊んでいる直樹を殴って気絶させた。これが原因で直樹は亡くなったが、殺すつもりはなかったため、直樹のスマートフォンを盗んで何とか証拠を隠蔽しようとした。当初はこれを事故として処理できると考えていたが、直樹が甘春総合病院に運ばれ、死後、Ai(死亡時画像診断)を行った事で死因が発覚。山村肇が空手の経験者であり、かつ左利きだった事が決め手で犯行がばれてしまう。

若井 陽子 (わかい ようこ)

アルバイトの女性。年齢は31歳。前髪を目の高さまで伸ばして真ん中で分け、顎の高さまで伸ばしたボブヘアをハーフアップにしてまとめている。6歳年下の夫「若井祐一」がいるが、祐一は子供が苦手な事と、金銭的にもあまり余裕がない事から、子供がほしいと言い出せずにいた。そんなある日、虫垂炎の疑いで甘春総合病院を訪れるが、検査の結果、虫垂腫瘍という極めて珍しい病気である事が発覚。気づかず放置しているといずれ妊娠できなくなる可能性があったが、早期発見だった事から、甘春杏の勧めですぐに手術する事になった。また、この件がきっかけで祐一と話し合い、将来子供がほしいという気持ちも打ち明けた。

クレジット

原作

監修

戸﨑 光弘 , 五月女 康作

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