迷宮魔術団

迷宮魔術団

永遠の命と引き換えに悪魔と契約し、人間の魂を悪魔に捧げ続ける事になった、とある一家があった。彼らが仇を追いながら、さまざまな街で極悪人の魂を狙う姿を、事件に巻き込まれた一般人の視点からオムニバス形式で描いたダークファンタジー。

正式名称
迷宮魔術団
作者
ジャンル
ダークファンタジー
レーベル
ジャンプコミックスデラックス(集英社)
巻数
全4巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

借金に苦しむ40代の男性・は、ある日強盗未遂を働いてしまう。結局何も盗まずに逃げた堤だったが、声をかけてきた謎の少女から「迷宮魔術団」というショーのチラシを受け取り、テントに入る。しかし、テントの中で行われていたのは、月見信継をはじめとする団員たちの、過酷な過去を模した残酷なショーであった。そこで堤は、信継の正体は16世紀に生まれた武士である事、命令によりオランダに渡り現地で結婚するが、魔女狩りにより妻のヘラと娘のミーナを火刑に処され信継も殺された事、信継が死の間際に現れた悪魔と契約し、家族三人が永遠の命を手に入れる代わりに、人間の魂を悪魔に捧げ続けるという契約をした事を知る。信継ら三人の辛い境遇を知った堤は、自分はまだあきらめてはいけないと自首と自己破産を決意する。(エピソード「開演」)

内藤強は、子供の頃に母親と義父を亡くしたが、その件に関するいっさいの記憶をなくしたまま成人し、刑事として働いていた。そんなある日、強は、大集満人が、夜な夜な女性を集団強姦しているという事実を知る。満人を追う過程で、強は「迷宮魔術団」のテントを訪れる。そこで行われている残酷なショーを見た強は、ショーの内容と、自分の母親と義父が死んだ経緯を重ね、記憶を取り戻す。強の母親は、義父に殺されたのである。しかし、過去を思い出し苦しむ強の前に、子供の頃に親しくしていたが、すぐに姿を消してしまった少女ミーナが現れる。ミーナの言葉により、母親の死は殺人ではなく事故であり、義父と母親は愛し合っていた事を理解するのだった。(エピソード「記憶」)

作家の十部真一は、5年前にヒット作を出して以来、鳴かず飛ばずの状態が続いていた。家族にも愛想を尽かされた真一の新作を待っているのは編集者の上条沙優花と、「S・K」と名乗るファンだけで、真一は「S・K」のメールに励まされる日々を送っていた。そんなある日「迷宮魔術団」のチラシを手に入れた真一は「迷宮魔術団」を題材に小説を書く事を思いつくが、売れっ子作家の京院省吾もまた「迷宮魔術団」に目をつけていた。どうしてもあきらめきれない真一は、省吾に合作にする事を持ち掛け、二人は取材として「迷宮魔術団」のショーを見に行く事となる。しかし、そこで繰り広げられていたのは、真一にはとても耐えられない残酷な内容のショーだった。真一は、ショーを目の当たりにした事で無理にヒット作を生もうとせず、自分の作風を大切にしようと考え直す。しかしショーの最中、省吾が本性を現して豹変。省吾の正体は黒魔術教団「K」の教祖であり、自分の理想世界を作るために、誘拐した沙優花の生き血を利用して悪魔をあやつり「迷宮魔術団」の団員たちを倒してその力を手に入れる事が省吾の目的だった。省吾の思惑を知った真一は、その過程で沙優花こそが「S・K」である事に気づき、省吾の野望を止めるためにも沙優花を助けに向かう。(エピソード「家族」)

作田吾一は、まじめでお人好しだが、さえない容姿のために女性にふられ続けている。ある日、吾一は傷心旅行で訪れた般若町の自殺スポットで、自分を裏切った元恋人を見かけたという情報を耳にする。しかしそこに彼女はおらず、代わりに吾一は謎の少女ミーナと、自殺志願者の女性・菜津子に出会う。ミーナと共に菜津子の自殺を止めた吾一だったが、なんとそこに全裸で傷だらけの姿になった元恋人が現れ、三人に襲い掛かる。彼女は般若町を牛耳る般若家の守護神であり、吸血鬼でもあるエド・サルストにより生き血を抜かれ、吸血鬼化してしまったのである。般若家の秘密を知った吾一たちは捕らわれ、逃げる途中で崖から落ちたミーナと離れ離れになってしまう。しかし、ミーナを保護した月見信継とヘラは般若家に現れ、エドを倒し、吾一らを助ける。その戦いの最中で吾一は瀕死のケガを負うが、信継の治療により回復する。そして、事件がきっかけで菜津子は吾一に思いを寄せるようになり、二人は、1年後結婚するのであった。(エピソード「復讐」)

第2巻

俳優の佐竹宙也は、役者としていまひとつ目が出ず、恋人の若手女優・近藤真央との人気の差に悩んでいた。ある日公園で演技の練習をしていた宙也は、そこに現れたヘラから「迷宮魔術団」のチラシを受け取り、ヘラに惹かれるようになる。一方真央は、宙也の課した「自分と交際を続けたければ、真央の所属する大手事務所に入れるよう、事務所社長に頼んでくれ」という条件を果たすため、事務所社長を呪術によってあやつろうとしていた。しかしそれはすぐさまばれてしまい、真央を案じて事務所社長の家に足を運んだ宙也もまた、事務所社長の手のものに大ケガを負わされてしまう。真央はそのまま捕らえられ、「迷宮魔術団」のショー中に集団強姦されそうになる。しかし、駆けつけた宙也は、ヘラの協力のもと真央を救出。怪我をヘラの力によって治療された二人は現在の事務所を離れ結婚し、夫婦二人だけで演劇を続ける事を決意する。(エピソード「信頼」)

名門大学・集英館女子大学に通う山野風花は、実家の地方銀行が倒産した事で仕送りがなくなり、極貧状態にあった。アルバイトを探していた風花は、偶然「迷宮魔術団」のチラシを拾う。しかし、アルバイト経験のない風花は、まじめに働くよりも、自分に好意を寄せているらしい貴明を利用する事にする。しかし、貴明の正体は、気に入った女性を、仲間と集団強姦して楽しむ極悪人であった。それを知らず、ある日風花は貴明に誘われ「迷宮魔術団」のショーに訪れる。そこで風花は、ショーに登場する父親キャラクターが、自分の父親に酷似していると気づく。自分のために尽くして苦しむ家族を無視してまで楽に暮らそうとする自分を、風花は一瞬省みるが、そこで貴明の仲間が現れ、ショーの最中でありながら風花を襲おうとする。だが、風花を助けたのは、はるばる実家から駆けつけた飼い犬のタロであった。 (エピソード「故郷」)

元野球選手の渋沢宅美は、以前はスーパースターとして活躍していたが、現在は肘を壊し、保険の営業として働く鬱屈した生活を送っていた。そんなある日、宅美は夢の中で悪魔と出会う。悪魔は、宅美が大切にしているものを一つ捨てれば、望みを一つだけ叶えてくれるという。一方「迷宮魔術団」の面々は、前回の貴明らとの戦いによりヘラが負傷し、悪人の生き血を十人吸った現在も、完全には回復できずにいた。ヘラを案じた月見信継ミーナは、ヘラの回復には、血以外にも何かが必要であると考える。そして「パラスリハビリテーションセンター」に不穏なものを感じた信継たちは、「迷宮魔術団」として「パラスリハビリテーションセンター」への慰問を決意する。その頃「パラスリハビリテーションセンター」では、院長がリハビリと称して、宅美の妻に自分の子種を注入し、彼女を吸血鬼達の食料となる子供を産ませる「食料製造機」にしようとしていた。 (エピソード「居場所」)

お笑いコンビ「デンシ・レンジ」のツッコミ担当として活躍する伝次は、相方を激しく殴打するという、過激な笑いで人気を博していた。しかし、連日の公演のせいで相方は鼓膜が破れ、脳内に出血までしてしまう。伝次は医者に殴打は控えるように言われ、さらに最近巷で人気のお笑い芸人「まだら男(ブンティング)」の噂を聞き、焦ってしまう。そこで伝次は「まだら男」の笑いのネタを盗み、自分のものにする事を思いつき「まだら男」の舞台に出向く。しかし、そこで行われていたのは人間達を巨大なネズミ捕りの中に落として殺し、その光景を見せて客を笑わせるという恐ろしいショーであった。やがて伝次もネズミ捕りの中に落とされそうになるが、そこに子供の頃に出会った少女ミーナが助けに現れる。ミーナは伝次に伝えたい事があるのだという。それは、当時の二人の共通の友人が、伝次のお笑いに関するスタンスに疑問を持っており、人に「笑われる」事で誰も幸せにならないお笑いよりも、人を「笑わせる」事でみんなが幸せになるようなお笑い芸人になってほしいというメッセージであった。「まだら男」たちは駆けつけた信継とヘラによって倒され、友人からのメッセージに考えを改めた伝次は、相方を酷使するお笑いをやめる。そしてコンビ名を「タキ火兄弟」と改めた伝次と相方は、お笑いコンビとして再出発を果たすのであった。(エピソード「笑い」)

第3巻

新聞社「集英新聞」で働く艶条貴和子は、恋人であり上司の有井良人の浮気癖に疲弊し、別れたいと考えていた。貴和子の亡くなった父親も同様に、貴和子の母親の浮気に苦しめられた結果家を去られ、辛い思いをしたからである。悩む貴和子は、ある日良人の命令で、京都府にある辞世寺へ取材に行く事になる。そこには尼の辞世院君子がおり、君子の言葉により自分を見つめ直そうと考えた貴和子は、しばらく辞世寺で過ごす決意をする。そこで貴和子は、君子が実は辞世寺に湧く「生き水」と呼ばれる水の力で400年以上生きている16世紀の人間で、当時からの思い人である月見信継を今でも待っている事を知る。一方、貴和子の行動を快く思わない良人は、無理やり貴和子を連れ戻すべく、仲間を連れて京都までやって来る。だがそこで、良人が極悪人であると判断した「迷宮魔術団」のショーが始まる。ショー中の良人の告白により、良人こそが父親を事故に見せかけて殺した犯人であると知った貴和子は、本性を現し、化け物となった良人を殺す。そして400年ぶりに信継と再会した君子は、現在の信継の境遇を知り、思いを告げる事なく別れるのであった。(エピソード「煩悩」)

「吸血鬼狩人(ヴァンパイアハンター)」の称号を持つルーマニア人の男性ヘルシングは、亡き妹ロレアの恨みを果たすため、仇である「迷宮魔術団」を追って日本にやって来た。妹は60年前、村に現れた吸血鬼に嚙まれた事で自らも吸血鬼にされ助からなくなり、ヘルシングが自らの手で殺したのである。東京に到着したヘルシングは、自分に「迷宮魔術団」討伐を依頼してきた人材派遣会社「エンジェル」本社を訪れる。「エンジェル」社長の周辺では人が次々行方不明になる事件が起きており、社長はストリガという協力者を通じてヘルシングの存在を知ったのだという。早速「迷宮魔術団」のショーに訪れるヘルシングであったが、ヘルシングと「迷宮魔術団」が交戦中に、突如ストリガが現れる。なんとロレアを吸血鬼にした真犯人は、当時「迷宮魔術団」と同時期にヘルシングの村を訪れていたストリガであり、ストリガは日本に来てからも何人もの女性を吸血鬼にしていたのだという。真実を知ったヘルシングはストリガに倒されかけるが「迷宮魔術団」と協力しストリガに勝利する。こうして仇を討ったヘルシングは、ルーマニアへ戻るのであった。(エピソード「仇」)

ヘルシングとの一件で、ロメ・バリアーニの仲間の住む家を突き止めた信継とヘラは、ロメに関する情報を得るため、遺品を調査していた。調査の結果、信継とヘラは、ロメが人類を滅ぼすため、ヨーロッパで「血の神」と呼ばれる謎の存在を復活させようとしている事を知る。一方その頃ミーナは、散歩中通りがかった集英中学校で山部良高と出会う。良高は父親を亡くしたうえ、父親の持ち物であり、父親の死後中学校へ寄付した鳩たちを何者かに惨殺され、深いショックを受けていた。その後すぐに信継たちは、ロメを追ってヨーロッパに向かう事が決まる。しかし、良高の事が気になるミーナは、ヨーロッパ行きの船へ乗る直前、もう一度集英中学校を訪れる。そこでは、鳩を殺した真犯人である校長が、良高を殺そうとしていた。ミーナの様子に事件の匂いを嗅ぎつけた信継とヘラもミーナを追い、集英中学校で、日本では最後となる「迷宮魔術団」のショーを開催する。 (エピソード「西欧へ」)

「迷宮魔術団」は、ロメを追い、ヨーロッパへ向かう事になった。豪華客船「チェリーマーメイド号」に隠れて乗船した三人は、そこで密航者の中野治と出会う。治の父親は海賊に襲われ殺されてしまい、治は仇を探しながら密航生活をしているのだという。治の生き方に感銘を受けた信継は、治に協力を申し出る。さらにその直後、仇は「チェリーマーメイド号」に乗船しているやくざの若頭・飛田であることが分かり、信継たちは「迷宮魔術団」のショーを開催、ショーの中で飛田を倒そうとする。しかしそこに、ロメの仲間である紅羅(こうら)が船内に蛭をばらまき、蛭に見出された飛田は、大量の蛭が融合したような姿の化け物に変貌する。化け物となった飛田は強力で、信継たちは苦戦するが、最終的には治の一撃が決め手となって飛田は倒される。しかし、この戦闘中に「チェリーマーメイド号」は大量に浸水してしまい、ヨーロッパ行きを中止して香港に到着する事になる。「迷宮魔術団」はひとまず船を降り、気を失ったままの治を治療し、日本大使館の前へ置いて、香港の街へと向かうのであった。(エピソード「出発(たびだち)」)

第4巻

月見信継ら「迷宮魔術団」は、ロメ・バリアーニを追い、香港に到着していた。そこでいっしょに船を降りたはずのロメの刺客・紅羅を探していた信継たちは、子供に暴力を振るう若い女性・美蘭を発見する。美蘭を悪人と判断したヘラは「迷宮魔術団」のチラシを渡すが、信継とミーナは、ヘラの様子がどこかおかしい事に気づく。ヘラには現地の亡霊が取り憑いており、ヘラはそのために普段よりも感情的になっていたのである。しかし、どうやら亡霊は紅羅に殺された人間のもので、亡霊が自分たちへ、紅羅に関する何らかのメッセージを発している事に気づいた信継は、ひとまず亡霊をそのままにし、紅羅探しの手掛かりにする事を決める。そして紅羅との戦いになり、勝利した信継たちはロメが「血の神」という神を復活させようとしており、もしそれが成功した場合、何百人もの人間が死ぬほどの大惨事が起こる事を知る。そして信継たちは、次は大陸横断バスに乗ってヨーロッパを目指すのであった。(エピソード「血の神」)

「迷宮魔術団」は、ロメを追い、香港からヨーロッパへ向かう大陸横断バスに乗車していた。しかし、その途中でバスが突如停車し、まったく進まなくなってしまう。この先にあるダムでバスが通行不可になるような事件が起きており、それが解決するまでバスはこのままなのだという。一方その頃、ダムでは瀕死の紅羅があやつり人形たちを使って「血の神」の復活条件である1万人の人間の血を集めていた。ダムにはダム建設の責任者である大東敏男も訪れていたが、紅羅の攻撃により、危機的状況にあった。そこに、信継たちと共にバスに乗った乗客・黄敏明がやって来る。敏明は、かつて自分の母親である可秀を強姦した敏男を殺すためにバスに乗車しており、今こそがその機会と考えていたのである。しかし、敏明が敏男を射殺しようとした瞬間、突如「迷宮魔術団」のショーが始まる。その中でお互いの本心を知り、ようやくわかり合えた二人だったが、敏男は紅羅に致命傷を負わされ、間もなく亡くなってしまう。しかし、敏男の本心を理解した敏明は、信継たちと交戦中の紅羅にとどめを刺し、これから敏男の遺志を継いでダムを守る事を誓う。(エピソード「父親」)

フリーのルポライター橋爪圭介は、戦争のルポを書くために、シベリア鉄道に乗車していた。そこでロシア陸軍のウラジミール・スルコフが、大量の武器を持って移動する姿を見かけた圭介は、関心を持ち、ウラジミールの車に隠れて乗り込む形で追いかける。一方その頃、大陸横断バスに乗ってロメのいるスイスを目指していた信継は、昔の友人である近藤居織ら四人の夢を見る。居織とは幼い頃から親しく、400年前にはオランダ友好使節団としていっしょにオランダへ渡った仲だったが、オランダに残ってヘラと結婚した信継に対し、四人は日本へ戻り、その後は音沙汰もなかった。なぜ今更居織たちの夢を見たのだろうと信継が不思議に思っていると、竜巻によって巻き上げられた石や木が降ってきた事により、バスが突如止まってしまう。飛んできた人形から、ロメの気配を感じた信継たちは、ロメが近くにいる事に驚きつつも、バスの運転手に頼んで気配のある方向へと向かう。(エピソード「友」)

信継のかつての友人たち四人は、サイカスクスでロメの手下となり、狼藉を働いていた。そのうちの三人を倒し、残る一人である居織もまたロメにあやつられていると考えた信継は怒りに燃えるが、三人に負わされた傷は深く、その場に倒れてしまう。助かるには新鮮な血液が必要だが、そのためにはこれまで通り悪人を探し、すぐさま吸血しなくてはならない。そうするには時間が足りず、混乱するヘラとミーナの前に、サイカスクスの町長が現れ、自分の命と引き換えに信継に血を与える。一方その頃、ウラジミールと圭介は、ナターシャがいるはずの町長宅へ突撃していた。しかしナターシャは敵に連れ去られてしまい、二人が追いかけていった先では、ついに再会した信継たちとロメが戦っていた。戦いは信継が優勢かに思えたが、そこに、ロメの手下がやって来る。それはなんと居織であった。信継は居織がロメにあやつられているだけだと信じるが、そんな信継に、居織は衝撃の事実を告げる。居織は400年前から信継に思いを寄せており、信継のそばにいたくていっしょにオランダに渡った。しかし、信継は自分ではなくヘラを選び、オランダに残ったため、居織は信継への愛情が憎しみに変わり、信継が自分のものにならないのなら自分の手で殺してしまおうと考え、自らロメの手下になったのだという。深いショックを受ける信継だが、そこに再び巨大な竜巻が吹き、信継たち三人は竜巻に巻き込まれてしまうのであった。(エピソード「再会」)

ロメらとの戦闘中、信継ら「迷宮魔術団」は、突如吹いた竜巻に巻き込まれてしまう。居織から受けた攻撃と、竜巻のダメージで瀕死の信継のもとに、信継たちを吸血鬼にした悪魔が現れる。悪魔は信継とロメの戦いを楽しみにしていたが、信継があっさり負けてしまいそうなので、つまらないのだという。そんな悪魔に、信継は「死にゆく自分をもう一度蘇らせ、ロメたちと戦う力を与えてほしい」と頼む。悪魔は了承するが、それには相応の見返りが必要で、具体的には、信継が、2つの儀式を通じて、信継の中に残っている人間らしい心を捨て去る必要があるのだという。もはや時間がないと判断した信継は、先ほど悪魔が言った、2つの儀式を実行する。その1つ目とは、幼き純粋な血で信継の口を濡らす事で、2つ目は、親しき者から、心からの憎悪を受ける事であった。(エピソード「運命(さだめ)」)

ロメの手によって1万人分の人間の血は集められ、とうとう「血の神」が復活してしまった。その正体は、太陽を覆うほどの暗黒の霧であり、1億年前に恐竜が絶滅したのも、10万年前に氷河期が起きたのも、実はこの「血の神」が降臨した事が原因なのだという。「血の神」が放たれ、少しずつ霧が広まっていくその頃、信継とミーナは、居織にあやつられたヘラを追う形で、ロメと居織のいる場所へ向かっていた。二人は本拠地であるアルプス山中の城におり、城は、ロメたちの手によって吸血鬼にされた人間に守られていた。しかし信継は吸血鬼たちとのコミュニケーションに成功し、共にロメを倒すため、ロメに恨みを持つ彼らを連れて城へと向かう。するとそこには、ミーナのかつての師であるバグザスが待っていた。バグザスは400年前、不当な魔女裁判によりミーナとヘラを失った事を今でも後悔しており、ミーナが姿を消したあと、ペストが大流行し、自分の生徒たちが次々と死んでいく際も、つねにミーナの事を思い出していたのだという。(エピソード「暗黒」)

「血の神」の正体である暗黒の霧が着々と太陽を覆うさなか、信継は、居織を倒す事に成功する。その直後、自らも心臓を貫かれてしまう信継だったが、すでに悪魔との儀式により怨念の化身と化した信継は吸血鬼の弱点をものともせず、即座に回復。吸血鬼を超えた「鬼」に変貌する。そんな信継の姿に悪魔は喜び、信継こそが自分の息子であり、自分の次に地上を支配する後継者であると宣言する。しかし、それを聞いたロメは、自分もまた悪魔によって蘇った存在である以上、後継者になる資格はあると名乗りを上げる。悪魔はそれを気に入り、信継とロメ、勝った方が次の地上の支配権を得ると言い出す。しかしミーナは、信継が悪魔になる事を嫌がり、信継を必死で説得する。ミーナは「迷宮魔術団」として旅をするうちにロメへの復讐心を忘れ、事件に巻き込まれた人々を心から思って活動するようになっており、それは信継も同じだったのではないかと語る。そしてその思いは天に届き、なんとミーナは生前いつも祈りを捧げていた神の力によって、天使に姿を変える。天使となったミーナは、信継を元の人間に戻す力を得て、正気を取り戻した信継はとうとうロメを倒す。ロメの死と同時に「血の神」も消え、地球には太陽の光が戻る。悪魔は後継者候補を失った事を残念がりつつも、去っていき、地球は平和を取り戻すのであった。そして、神の力により、歴史はほんの少しだけ変わる。ロメによってヘラとミーナが殺された事件は消え、信継ら三人は、魔女裁判を逃れて山の中に移り住んだという形に書き換えられたのである。そして16世紀のオランダで、三人は人間としての命を取り戻し、幸せに生きていくのであった。(エピソード「天使と悪魔」)

登場人物・キャラクター

主人公

殺人劇団「迷宮魔術団」の一員である日本人男性。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、青い髪全体を左に向かって流したショートカットヘアにしている。若い男性の姿をしているが、実際は1564年生まれで、若い頃に悪... 関連ページ:月見 信継

殺人劇団「迷宮魔術団」の一員であるオランダ人女性で、月見信継の妻であり、ミーナの母親。前髪を真ん中で分け、赤紫色の長い髪を、高い位置で一つにまとめたシニヨンヘアにしている。若い女性の姿をしているが、実... 関連ページ:ヘラ

殺人劇団「迷宮魔術団」の一員で、日本人・月見信継とオランダ人ヘラのあいだに生まれたハーフの娘。前髪を真ん中で分け、胸まで伸ばした金髪を縦ロールにしている。7歳の少女の姿をしているが、16世紀に生まれ、... 関連ページ:ミーナ

元オランダの検事長を務めていた男性で、現在は吸血鬼となっている。月見信継ら「迷宮魔術団」に仇として追われている。前髪を目の上まで伸ばしてカールさせ、顎の高さでカールさせたボブヘアにベレー帽をかぶり、口... 関連ページ:ロメ・バリアーニ

エピソード「開演」に登場する。有限会社「堤モータース」の社長を務める40代の男性。前髪を右寄りの位置で斜めに分けた癖のあるショートカットヘアにしている。妻の堤時江と、娘の堤理香がいる。「堤モータース」... 関連ページ:

エピソード「開演」に登場する。毒島(ぶすじま)金融の社長の息子で、年齢は20歳。前髪を上げて額を全開にした撫でつけ髪をし、三白眼が特徴で目がギョロギョロしている。10代の頃、幼い少女を二人殺し、5年間... 関連ページ:毒島 健作

エピソード「記憶」に登場する。ミーナの友人で、刑事として働く若い男性。がっしりした身体つきで、スポーツ刈りにしている。ミーナからは「強ちゃん」と呼ばれていた。父親は警察官だったが内藤強が幼い頃に亡くな... 関連ページ:内藤 強

エピソード「記憶」に登場する。「大集英商事株式会社」の副社長を務める若い男性。前髪を七三分けにしたストレートショートカットヘアに、眼鏡をかけている。一見品行方正に振る舞っているが、「レイプクラブ」と称... 関連ページ:大集 満人

エピソード「家族」に登場する。小説家の中年男性。前髪を右寄りの位置で斜めに分けたストレートショートカットヘアにし、頬がこけてややえらが張った顔をしている。5年前「妖美舞踊」という作品でヒットを飛ばすが... 関連ページ:十部 真一

エピソード「家族」に登場する。小説家の中年男性。前髪を真ん中で分けて額を見せ、肩につくほどまでのセミロングヘアにしている。発表したすべての作品が大ヒットする売れっ子作家として知られているが、その正体は... 関連ページ:京院 省吾

エピソード「家族」に登場する。出版社「滑蛭(ぬめひる)書店」で働く若い女性社員で、ファッション誌を担当している。前髪を目の上で切って右寄りの位置で斜めに分け、顎の高さまで伸ばしたボブヘアにしている。か... 関連ページ:上条 沙優花

エピソード「復讐」に登場する。雑貨関係の会社に勤める若い男性。スポーツ刈りで、小柄で太めの体型をしている。団子鼻が特徴。生真面目で心優しい性格だが、容姿がよくないために、女性からふられ続ける人生を送っ... 関連ページ:作田 吾一

エピソード「復讐」に登場する。ロメ・バリアーニの部下で、オランダ貴族の吸血鬼。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、肩につくほどの長さのセミロングヘアにしている。鼻が高く、顎が割れており、般若のような顔立... 関連ページ:エド・サルスト

エピソード「信頼」に登場する。俳優志望の若い男性。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアにしている。小学2年生の頃、母親が恋人を作って逃げ出した事、初めて真剣に交際した... 関連ページ:佐竹 宙也

エピソード「信頼」に登場する。佐竹宙也の恋人で、大手事務所「OKプロダクション」に所属する新進気鋭の若手モデル兼女優。前髪を真ん中で分け、肩につくほどの長さの外はねセミロングヘアにしている。ヘラに顔立... 関連ページ:近藤 真央

エピソード「故郷」に登場する。名門大学・集英館女子大学に通う女子大生。元は地方銀行の社長の娘だったが、銀行が倒産した事で、現在は仕送りが止まり、極貧状態にある。そこで、楽して金銭を手に入れるため、貴明... 関連ページ:山野 風花

エピソード「居場所」に登場する。元野球選手の若い男性。現在は保険の営業として働いている。がっしりとした体型で、髪型はスポーツ刈りにしている。野球選手時代はスーパースターとして知られ、将来を嘱望されてい... 関連ページ:渋沢 宅美

エピソード「居場所」に登場する。渋沢宅美の妻。前髪を右寄りの位置で斜めに分けたショートカットヘアをしている。交通事故により足が不自由で、車椅子に乗っている。宅美とは幼なじみで、宅美にとっては初恋の相手... 関連ページ:渋沢 知華

エピソード「笑い」に登場する。ミーナの友人で、人気お笑いコンビ「デンシ・レンジ」のツッコミ担当として活躍する25歳の男性。ミーナと子供の頃の友人ユウからは「デンちゃん」と呼ばれている。前髪を真ん中で分... 関連ページ:伝次

エピソード「煩悩」に登場する。新聞社「集英新聞」で働く若い女性。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、顎の高さまで伸ばした内巻きボブヘアにしている。生真面目で何事も一生懸命に取り組む性格。交通事故で亡くなっ... 関連ページ:艶条 貴和子

エピソード「煩悩」に登場する。艶条貴和子の恋人で、新聞社「集英新聞」で働く若い男性。前髪を上げて額を全開にした撫でつけ髪をしている。集英新聞においては、驚異的な若さで営業本部長常務取締役となった期待の... 関連ページ:有井 良人

エピソード「煩悩」に登場する。月見信継が仕えた、戦国大名の大村純忠の娘。若い女性の姿をしているが、実際は16世紀から生きているため、実年齢は400歳以上である。現在は京都府にあるお寺「辞世寺」の尼とし... 関連ページ:辞世院 君子

エピソード「仇」に登場する。ルーマニアに住む鍛冶屋の男性で、優しい性格をしている。年齢は77歳。禿げ上がった頭に、眉の高さから肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアにし、口ひげを生やしている。鍛冶屋と... 関連ページ:ヘルシング

エピソード「西欧へ」に登場する。ミーナの友人で、集英中学校に通う1年生の男子。前髪を眉の高さで切ったショートカットヘアにしている。ミーナからは「良っちゃん」と呼ばれている。伝書鳩の育成が趣味で、亡き父... 関連ページ:山部 良高

エピソード「西欧へ」に登場する。集英中学校で保健室教諭を務める若い女性教師。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、肩につくほどまで伸ばした外はねセミロングヘアにしている。3か月前に集英中学校に赴任して来たば... 関連ページ:育川

エピソード「出発(たびだち)」「血の神」「父親」に登場する。ロメ・バリアーニの手下の一人。ベビーカーに乗った、幼い少年の姿をしている。しかし、生まれたのは800年ほど前であるため、実年齢は800歳程度... 関連ページ:紅羅

エピソード「出発(たびだち)」に登場する。客船「チェリーマーメイド号」に密航して、父親の仇を追っている少年。年齢は10歳程度。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、髪全体をツンツンに立てたショートカットヘア... 関連ページ:中野 治

エピソード「血の神」に登場する。中国の香港で、娼婦として働く若い女性。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、ロングヘアを後ろで一つにまとめた髪型をしている。娘の華蓮と二人で暮らしているが、香港の正式な居住権... 関連ページ:美蘭

エピソード「父親」に登場する。中国の上海で、税理士として働く若い男性。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、後ろの髪の毛は刈り上げている。中国人の母親・可秀と、日本人の父親・大東敏男のあいだに生まれたハーフ... 関連ページ:黄 敏明

エピソード「友」「再会」「運命(さだめ)」に登場する。フリーのルポライターとして活動する34歳の男性。髪型は短いパンチパーマにしている。戦争に関するルポを書くため、ある日シベリア鉄道に乗車していたとこ... 関連ページ:橋爪 圭介

エピソード「友」「再会」「運命(さだめ)」に登場する。ロシア陸軍の伍長を務める若い男性。ハバロフスクにある駐屯地にいたが、ある日竜巻により、故郷であるサイカスクスにあるはずの品々が血まみれの状態で飛ん... 関連ページ:ウラジミール・スルコフ

エピソード「友」「再会」「運命(さだめ)」「暗黒」「天使と悪魔」に登場する。月見信継の友人で、16世紀に生きた武士の男性。現在は「イーオ」と呼ばれている。癖のあるウェーブがかった前髪を目が隠れそうなほ... 関連ページ:近藤 居織

地球を滅ぼす力を持つ神。太平洋台湾沖深くに、棺に入れられて安置されている。その正体は、太陽を覆うほどの量と厚さを持つ暗黒の霧で、1億年前に恐竜が絶滅したのも、10万年前に氷河期が起きたのも、実はこの「... 関連ページ:血の神

集団・組織

迷宮魔術団

月見信継、ヘラ、ミーナの三人で構成される劇団。三人の持つ吸血鬼の力で作られた、サーカスのテントのような異空間でショーを行う。そのためショーは場所を問わずに開催でき、また、三人が招待に値すると判断したも... 関連ページ:迷宮魔術団

書誌情報

迷宮魔術団 全4巻 〈ジャンプコミックスデラックス〉 完結

第1巻

(2001年4月発行、 978-4088591773)

第2巻

(2001年9月発行、 978-4088592251)

第3巻

(2002年1月発行、 978-4088592657)

第4巻

(2002年9月発行、 978-4088593203)

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