透明人間の骨

透明人間の骨

初連載作『γ -ガンマ-』に次ぐ、荻野純の連載作品。舞台は現代の愛知県。崩壊した家庭で育った来宮花は、「ここに居たくない」と願ったある日、透明になる力を手に入れる。ある罪を背負いながら高校生になった花が、大切な友人たちと出会い、変化していく姿を描いた人間ドラマ。集英社「週刊ヤングジャンプ」2016年31号掲載の読み切り版を経て、同社「少年ジャンプ+」にて、2017年9月26日から2018年3月13日まで連載。

正式名称
透明人間の骨
ふりがな
とうめいにんげんのほね
作者
ジャンル
青春
 
友情
レーベル
ヤングジャンプコミックス(集英社)
巻数
全4巻完結
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透明になる力を手に入れた少女

主人公・来宮花は、両親、兄との4人暮らし。父は感情のコントロールができない人間で、機嫌が悪くなると怒鳴りまくる。花はそんな父を恐れていた。9歳の時、友達の家を訪れた花は、一緒に遊んでくれる、優しい友人の父を見て驚いてしまう。父親というのは怖いものだと思い込んでいたせいである。そんなある日、夜遅く帰ってきた父がいつものように怒鳴り散らし、母に暴力を振るう。「ここに居たくない」「別の家に生まれたかった」と真剣に願った花の体は、いつの間にか透明になっていた。自分の意思で透明人間になれるようになった花は、友達や先生を尾行したり、いじめっ子を転ばしたり、ちょっとしたイタズラで気を紛らわせるようになった。

透明人間になり父を殺害

その後も、父の暴力はエスカレートしていき、母はひたすら耐え続けていた。しかし、花が15歳になったある日、父に殴られた母が珍しく感情的になり、包丁を手に「自死する」と叫んだ。必死で母を止めた花は、母のことを好きな自分に改めて気づく。子どもたちのために、離婚もせずに15年間耐え続けている母の姿を見て、花は父の殺害を決意する。久しぶりに透明人間になった花は、繁華街を歩く父に近づき、ナイフを胸に突き刺した。そして、父の死後は保険金が入り、平和な暮らしが始まった。今まで交流することがなかったクラスメートたちとも話すようになった花は、高校では普通の生活を送れるのだろうかと自問する。しかし、「人殺し」である花は、普通にはなれないことを再認識する。

二人の少女との出会い

高校入学をきっかけに、花は一人暮らしを始める。アパートの隣には、同じ高校に通う同級生・水上伽奈が住んでいた。明るい性格の伽奈は、さっそく花に友達として接して世話を焼く。しかし花は、人殺しで真っ黒な自分が、何色にも染まっていない透明な伽奈を汚してしまうと感じて距離を置こうとする。そんな時、学校で出会ったのが、1年先輩の中山栞だった。初対面にもかかわらず花のことを知りたいという栞に、花は父親殺しのことを告白する。伽奈と栞、二人の少女との出会いにより、花は少しずつだが自分を受け入れ、過去と向き合う決意をする。

登場人物・キャラクター

来宮 花 (きのみや あや)

ショートカットと眼鏡が特徴の少女。内向的な性格の持ち主。感情が抑制できない父、父の暴力に耐える母、無関心な兄という崩壊した家庭で育つ。家にいたくないと願ったことをきっかけに、透明になる力を手に入れる。その後、中学3年生の時、透明になって父を殺害。人を殺したことを消化できないまま、高校入学をきっかけに一人暮らしを始める。

水上 伽奈 (みずかみ かな)

来宮花の高校の同級生で、花が住むアパートの隣人でもある少女。ポニーテールが特徴で透明感がある。陸上部に所属おり、明るい性格で、花と会ってすぐに友達として接する。自転車屋でアルバイトをしており、花に同じ店でのバイトを紹介した。

中山 栞 (なかやま しおり)

来宮花と同じ高校で、1年先輩の少女。学校でギターの弾き語りをしている時に花と出会う。花に何かを感じ取り「自分の作詞に活かしたい」という理由で交流を持つようになる。花に父を殺したことを告白されるが動じずに寄り添い、彼女が自分の気持ちに向き合えるようにサポートする。

書誌情報

透明人間の骨 全4巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉

第1巻

(2017-11-17発行、978-4088907307)

第2巻

(2017-12-19発行、978-4088907871)

第3巻

(2018-02-19発行、978-4088908649)

第4巻

(2018-03-19発行、978-4088910116)

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