遮那王 義経

平安時代を舞台に、源義経の生涯を描く歴史ロマン。源氏を勝利に導いた源義経の正体が実は孤児の旅芸人で、幼少時に本物の牛若丸と入れ替わっていたという設定。続編に、源平合戦での源義経の活躍を描いた『遮那王 義経 源平の合戦』がある。第28回講談社漫画賞受賞。

概要・あらすじ

親を知らない子供の旅芸人・漂太は、連れて行かれた屋敷で自分とそっくりの少年・牛若丸と出会う。漂太が連れてこられた目的は牛若丸の身代わりとなることだった。牛若丸の境遇に同情し、身代わりを務めることを承諾する漂太。しかし、漂太演じる牛若の中に脅威を感じた平清盛によって、鞍馬寺に追放されてしまう。

それから数年後、修行の日々を送っていた漂太のもとに、牛若丸危篤の報せが入る。駆けつけた漂太に、牛若丸は打倒平氏の願いを託し、息を引き取る。亡き親友の遺志を継ぎ、牛若丸として生きる決意をした漂太は、打倒平家を誓い、藤原秀衡の治める奥州を目指す。

登場人物・キャラクター

漂太 (ひょうた)

孤児の旅芸人。仲間の少年たちと共に軒下一座を名乗り、大道芸をして暮らしていた。源氏の御曹司牛若丸とうり二つの容姿をしていたことから、その身代わりを頼まれる。子供と思えない度胸の良さと行動力で大役を見事務めるが、それが仇となり、平家の棟梁・平清盛に目を付けられる。 そしてその天賦の才を恐れた平清盛によって、鞍馬寺に追放されてしまう。それから数年後、遮那王を名乗り修行の日々を送る漂太のもとに、牛若丸危篤の報せが届く。死の間際、牛若丸から打倒平家の夢を託された漂太は、本物の牛若丸として生きることを決意。平家を討つ力を手に入れるため、家来となった武蔵坊弁慶と共に藤原秀衡が治める奥州へと旅立つ。 元服し源義経と名を変えた漂太は、奥州の地で多くの人々と出会い、頼れる味方を手に入れていく。身代わりを務めた牛若丸とは、身分を超え、固い友情で結ばれていた。背が低いことを気にしており、それがもとでケンカになることも。歴史上の実在の人物、源義経がモデル。

牛若丸 (うしわかまる)

源氏の棟梁・源義朝の息子。源氏の血を恐れた平清盛により、2歳のときから屋敷に閉じ込められて育った。元服までの間、屋敷を出て身を隠すため、自分とうり二つの漂太と入れ替わる。陰陽師・紫蘭の占いで自分の命が長くないことを知っていた牛若丸は、すべてを漂太に託すことに決め、残りの命をそのための準備に使おうと決心する。 家を出てからは漂太の仲間・軒下一座の孤児たちと一緒に暮らしていたが、平清盛の密偵に見つかってしまい、再び家へ戻ることになる。数年後、ついに病に倒れた牛若丸は、漂太に打倒平家の夢を託し、この世を去る。孫子などの兵法に精通しており、漂太に「勇・智・仁・信・忠」の5人の家臣を見つけるよう言い残す。 歴史上の実在の人物、源義経がモデル。

武蔵坊 弁慶 (むさしぼう べんけい)

漂太の家臣で「忠の者」。幼名は鬼若丸。生まれたときから歯が生え、髪も肩まで伸びていたため、鬼の子と呼ばれていた。父親に殺されかけたところを、比叡山の僧に助けられる。比叡山の使者として鞍馬寺を訪れた際、漂太(このときの名は遮那王)と出会い、友となる。 人並み外れた怪力が災いして比叡山を追放された後、次に訪れた地でも他の僧たちにうとまれ、無実の罪で追われてしまう。行き場を無くし、五条の橋で刀狩りをしていたところ、漂太と再会し、彼の家臣となる。優しい性格で争いを好まないが、戦場では鬼神のごとき戦いぶりを見せる。歴史上の実在の人物、武蔵坊弁慶がモデル。

平 清盛 (たいら の きよもり)

平家の棟梁。平治の乱で源氏を破り、天皇に匹敵する権力を手にした。主人公・牛若(漂太)の天賦の才に気づき、いずれ平氏を脅かす存在になるのではと危惧する。牛若を鞍馬寺へ追放したが、その後も刺客を差し向け、暗殺を謀る。歴史上の実在の人物、平清盛がモデル。

常磐御前 (ときわごぜん)

牛若丸の母親。源氏の棟梁・源義朝の妻だったが、彼の死後、藤原長成のもとに嫁いだ。陰陽師・紫蘭の予言に従い、漂太を息子の身代わりに立てる。親を知らずに育った漂太を不憫に思い、実の子と変わらぬ愛情をかける。歴史上の実在の人物、常磐御前がモデル。

紫蘭 (しらん)

牛若丸の母、常磐御前に仕える陰陽師。牛若丸に身代わりを立てることを提案した。牛若丸の身代わりとして漂太が選ばれたのも、彼女の占いによる。

峨山 直平 (がざん なおひら)

平家の家人。漂太(このときは牛若)の天賦の才に惚れ込み、未来の主と仰ぐようになる。漂太が平清盛によって鞍馬寺に追放されると、天狗に扮して彼の前に現れ、剣術を教えた。護法魔王は、その際に名乗った名前。

伊勢 三郎 能盛 (いせ さぶろう よしもり)

漂太の家臣で「勇の者」。源氏の侍・伊勢俊盛の息子。平治の乱で源氏が負けた後、父は平家に敵対した罪で殺され、さらに一緒に逃げた弟も死に天涯孤独の身となる。侍を捨て山賊・夜叉党の頭となっていたが、漂太(このときは元服して源義経)の器量に惚れ、彼の家臣となる。 動物が好きで、山賊時代は2頭の狼を家族同然に可愛がっていた。盛は山賊時代に名乗っていた偽名。歴史上の実在の人物、伊勢義盛がモデル。

源 頼朝 (みなもと の よりとも)

源氏の棟梁・源義朝の息子で、漂太が身代わりを務めた牛若丸の兄。平治の乱で父が亡くなった後、平清盛によって伊豆に追放された。追放先の伊豆で、監視役である伊藤家の娘・八重と恋に落ち、息子・千鶴丸をもうける。しかし、平家の怒りを買うことを恐れた伊藤家の当主・伊藤祐親によって千鶴丸は殺され、八重とも離ればなれになってしまう。 この事件が、源頼朝を平家への復讐に駆り立てるきっかけとなった。牛若(漂太)が味方としてふさわしいかを確かめるため、鞍馬寺に家来を送り、その力を見極めようとした。奥州へ向かう途中に立ち寄った漂太と出会い、打倒平家を誓い合う。 歴史上の実在の人物、源頼朝がモデル。

覚日 (かくじつ)

漂太が追放された鞍馬寺の僧。漂太の指導役を任された。盲目だが、日常生活に不自由はない。歴史上の実在の人物と思われる、覚日坊がモデル。

吉兆丸 (きっちょうまる)

鞍馬寺で修行中の稚児で、覚日の弟子。親に捨てられ、行き場を無くして鞍馬寺へとやってきた。先輩風を吹かし、新入りとしてやってきた漂太をこき使う。

東光坊 蓮忍 (とうこうぼう れんにん)

漂太が追放された鞍馬寺の僧。かつて牛若丸の父・源義朝の祈祷師をしていたことがあり、牛若丸を平家から守ることが自分に課せられた役目だと考えている。牛若丸と直接面識はなかったため、漂太と入れ替わっていることには気づいていない。仏門で修行することになった牛若(漂太)に、遮那王の名を授ける。 歴史上の実在の人物と思われる、蓮忍がモデル。

徳子 (とくこ)

平家の棟梁である平清盛の娘。父の病気平癒を祈願するため鞍馬寺を訪れ、漂太と出会う。お互いに惹かれ合うが、漂太が父の敵・牛若だと知り、ショックを受ける。政略結婚のため、天皇家に嫁いだ。歴史上の実在の人物、建礼門院がモデル。

吉次 (きちじ)

奥州を治める藤原秀衡に仕える商人。もとは武士。キレ者として知られ、漂太と牛若丸が入れ替わっていることに気がつく。牛若丸の義父、藤原長成の依頼を受け、漂太を奥州へ案内する。歴史上の実在の人物とされる、橘次がモデル。

かすみ

吉次に仕える間者。もとは河原育ちの軽業師だったが、その身の軽さを買われて盗人となり、のちに暗殺を生業とする刺客になる。殺しに嫌気がさし、刺客家業から足を洗った。自由の身になることを条件に、吉次の命に従い、奥州に向かう漂太を影ながら守る。無口で感情を表に出すことは少ない。 体術と暗器による攻撃が得意。

岩剛 破矢手 (いわごう はやて)

伊賀庄にある岩剛村の頭。貧しい村を救うため、平家の依頼を受け、主人公漂太の命を狙う。漂太の人間としての器の大きさに惚れ、平家と決別し、彼に忠誠を誓う。長年にわたって水を独占してきた蘇龍一族を討ち果たし、村を飢饉から救った。

藤原 秀衡 (ふじわら の ひでひら)

奥州を治める武将。平家に対抗する力を求めてやってきた漂太(このときは元服して源義経)を、食客として迎え入れる。普段は好々爺然としているが、ひとたび戦いとなれば息子の命を犠牲にすることもいとわない。漂太の才能を高く評価しており、彼の強い味方となる。歴史上の実在の人物、藤原秀衡がモデル。

佐藤 継信 (さとう つぐのぶ)

藤原秀衡に仕える佐藤家の長男。若い頃は阿修羅の継信と呼ばれ、近隣の悪童たちを束ねていた。藤原秀衡を強く尊敬しており、彼を侮辱する者はたとえ誰であろうと容赦しない。黒岩輝重の襲撃を受けた際、漂太(源義経)の機転で窮地を脱し、一目置くようになる。歴史上の実在の人物、佐藤継信がモデル。

佐藤 忠信 (さとう ただのぶ)

藤原秀衡に仕える佐藤家の次男。武芸に優れ、人望もある兄の佐藤継信に対し、コンプレックスを持っている。黒岩輝重の襲撃を受けた際、漂太(源義経)の機転で窮地を脱し、一目置くようになる。歴史上の実在の人物、佐藤忠信がモデル。

水樹 (みずき)

藤原秀衡に仕える佐藤家の娘で、佐藤継信と佐藤忠信の妹。男勝りの性格で、武芸もたしなむ。兄たちを慕うあまり、漂太(このときは元服して源義経)に対し、最初は何かとつっかかっていたが、やがて異性として意識するようになる。歴史上の実在の人物、浪の戸がモデルと思われる。

藤原 泰衡 (ふじわら の やすひら)

奥州を治める藤原秀衡の次男。気さくな性格で、漂太(このときは元服して源義経)ともすぐに打ち解ける。奥州奪取を企む清原氏の残党に誘拐されるが、漂太たちの活躍によって救出される。歴史上の実在の人物、藤原泰衡がモデル。

藤原 国衡 (ふじわら の くにひら)

奥州を治める藤原秀衡の長男。側室の子だったため、正室に弟の藤原泰衡が生まれると、皆が泰衡を嫡男として扱うようになった。これがきっかけで、内にこもった性格になり、馬にしか心を開かなくなった。藤原秀衡の頼みで愛馬の鷹楯黒を借りにきた漂太(このときは元服して源義経)を厳しく追い返す。 しかし、鷹楯黒の警戒心を解くため、自らの体に馬糞まで塗った漂太の知恵と行動力に感服し、快く貸し出す。歴史上の実在の人物、藤原国衡がモデル。

藤原 基成 (ふじわら の もとなり)

牛若丸の義父、藤原長成の親戚で、奥州にやってきた漂太(このときは元服して源義経)の面倒を見る。漂太が幼い頃に牛若丸と入れ替わったことについては聞かされていない。歴史上の実在の人物、藤原基成がモデル。

コヨウ

金国の姫。交易のために奥州へやってきた。攘夷派に襲われていたところを、漂太の家臣・武蔵坊弁慶に助けられる。女性としては大柄で、そのことが彼女の心に深い傷を作っていた。同じように心に傷を負っている武蔵坊弁慶に共感し、やがて愛するようになる。

藤原 範季 (ふじわら の のりすえ)

新任の陸奥国の国司。平家の棟梁である平清盛に依頼され、漂太が奥州にいるかを確かめにやってくる。しかし、本当の目的は、漂太を刺客の手から守ることだった。歴史上の実在の人物、藤原範季がモデル。

源 範頼 (みなもと の のりより)

源氏の棟梁だった源義朝の六男。牛若丸にとっては兄にあたる。漂太(このときは元服して源義経)に会うため、藤原範秀の供として奥州を訪れる。漂太が優れた武将であることを確信し、平家打倒を誓い合う。歴史上の実在の人物、源範頼がモデル。

(あんず)

藤原基成の屋敷で働く雑仕女。漂太の身の回りの世話を命じられる。ドジで失敗も多く、吉次からは「ダメ雑仕女」呼ばわりされている。漂太のことを慕っている。

龍也 (りゅうや)

奥州奪取を企む清原氏の残党に仕える暗殺者。病気の母を救うため、暗殺者になった。漂太から母がすでに死んでいることを聞かされ、自分がだまされていたことを知る。

源 頼政 (みなもと の よりまさ)

鵺退治の伝説を持つ武将。平治の乱で源氏の棟梁である源義朝を見限り、平家についた。たまたま訪れた鞍馬寺で漂太(このときの名は遮那王)と出会う。漂太に未来の源氏の棟梁となる可能性を見た源頼政は、密かに目をかけるようになる。歴史上の実在の人物、源頼政がモデル。

りん

漂太がいた旅芸人の一座・軒下一座の紅一点。一座の中では一番年下。漂太の働きで一度は鞍馬寺の僧兵見習いになるが、女であることがばれ、寺から追い出されてしまう。その後、白拍子である小磯の養女になり、彼女のもとで白拍子の修業を始める。

書誌情報

遮那王義経 全22巻 講談社〈講談社コミックス月刊マガジン〉 完結

第1巻

(2001年3月発行、 978-4063337624)

第2巻

(2001年7月発行、 978-4063337792)

第3巻

(2001年12月発行、 978-4063337990)

第4巻

(2002年4月発行、 978-4063338201)

第5巻

(2002年8月発行、 978-4063338393)

第6巻

(2003年1月発行、 978-4063338607)

第7巻

(2003年4月発行、 978-4063338751)

第8巻

(2003年8月発行、 978-4063338973)

第9巻

(2004年1月発行、 978-4063339208)

第10巻

(2004年5月発行、 978-4063339345)

第11巻

(2004年9月発行、 978-4063709520)

第12巻

(2005年1月発行、 978-4063709698)

第13巻

(2005年5月発行、 978-4063709872)

第14巻

(2005年9月発行、 978-4063710106)

第15巻 奥州編

(2006年2月発行、 978-4063710229)

第16巻 奥州編

(2006年5月発行、 978-4063710441)

第17巻 奥州編

(2006年7月発行、 978-4063710519)

第18巻 奥州編

(2006年10月発行、 978-4063710625)

第19巻 奥州編

(2006年11月発行、 978-4063710694)

第20巻 奥州編

(2007年2月発行、 978-4063710786)

第21巻 奥州編

(2007年5月発行、 978-4063710885)

第22巻 奥州編

(2007年8月発行、 978-4063711035)

遮那王義経 :源平の合戦 全29巻 講談社〈講談社コミックス月刊マガジン〉 完結

第1巻

(2007年11月発行、 978-4063711172)

第2巻

(2008年2月発行、 978-4063711301)

第3巻

(2008年5月発行、 978-4063711448)

第4巻

(2008年8月発行、 978-4063711592)

第5巻

(2008年11月発行、 978-4063711721)

第6巻

(2009年2月発行、 978-4063711851)

第7巻

(2009年5月発行、 978-4063711929)

第8巻

(2009年8月発行、 978-4063712049)

第9巻

(2009年11月発行、 978-4063712193)

第10巻

(2010年2月発行、 978-4063712308)

第11巻

(2010年5月発行、 978-4063712407)

第12巻

(2010年8月発行、 978-4063712520)

第13巻

(2010年11月発行、 978-4063712636)

第14巻

(2011年2月発行、 978-4063712735)

第15巻

(2011年5月発行、 978-4063712834)

第16巻

(2011年8月発行、 978-4063712957)

第17巻

(2011年11月発行、 978-4063713091)

第18巻

(2012年2月発行、 978-4063713206)

第19巻

(2012年5月発行、 978-4063713268)

第20巻

(2012年8月発行、 978-4063713404)

第21巻

(2012年11月発行、 978-4063713527)

第22巻

(2013年2月発行、 978-4063713633)

第23巻

(2013年5月発行、 978-4063713749)

第24巻

(2013年8月発行、 978-4063713862)

第25巻

(2013年11月発行、 978-4063713954)

第26巻

(2014年2月発行、 978-4063714074)

第27巻

(2014年7月発行、 978-4063714289)

第28巻

(2014年11月発行、 978-4063714470)

第29巻

(2015年6月発行、 978-4063714739)

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