概要・あらすじ
江戸時代と思われる日本。公儀隠密を父に持つ少年・堀切勇矢は、母に命じられて、御役御免となった父を探す旅に出ることになる。道中、勇矢は、素浪人・ひまわり十九郎と知り合い、さしこみで苦しんでいたお駒を救って一行に加え、ともに旅をすることになる。
登場人物・キャラクター
堀切 勇矢 (ほりきり ゆうや)
7歳の少年。母に命じられて御役御免になった公儀隠密の父を探す旅に出てひまわり十九郎やお駒と知り合い、道連れになる。常識ある素直な人物で比較的冷静な性格である。道中、山おやじと知り合うきっかけを作るなどした。河童とも仲がよい。
ひまわり十九郎 (ひまわり じゅうくろう)
父を探す旅に出た堀切勇矢と出会い、道連れとなった。勇矢は「どう見ても三十すぎてる」と評した。なかなかの武芸者で腕も立つようだが、自分のためなら卑劣なことも躊躇なく実行する一面がある。偶然入手した密書を尾張へ届けようとして、くの一三人組(蓮花、梅、竹)につけ狙われるようになる。 おおらかな性格で、道中に知り合った人物の多くを友人にしている。とくに身よりは無いようで、ラストでも山おやじと旅を続けようとしていた。
お駒 (おこま)
『ひまわり武芸帖』の登場人物で14歳。木陰で体調を崩していた際に、堀切勇矢とひまわりと知り合い、道連れとなった。一人旅をしている様子で、宿帳には「家事手伝い」と記した。はじめ字が読めなかったが、字が読めるようになって自身の出自の秘密を知り、大きく運命が変わる。
勇矢の母 (ゆうやのはは)
堀切勇矢の母。江戸の堀切家の屋敷に「ばあや」とともに住んでいる。勇矢が旅に出たあと、家族不在をいいことに娘として振舞おうとするなどするが、勇矢のことを思い出して「ばあや」に問うなどしている。
裸の殿様 (はだかのとのさま)
堀切勇矢、ひまわり、お駒が道中に出会った「殿様の行列」の主で、突然、ふんどし一丁の姿になるなどする。無口でほとんどしゃべらない。家老は殿様とひまわりが似ていると考え、ひまわりに影武者を勧めた。蓮花、梅、竹ら「くの一」たちの主君の妻の妹の夫の友達の兄にあたる。
山じじい (やまじじい)
山に住んでいる妖術使い。山にこもって300年経ったという。堀切勇矢とひまわりが食事をしているところに現れ、勇矢がおにぎりをあげて知り合いになった。変身したり、石をおにぎりに変えるなどの術を使う。勇矢やひまわりと仲良くなってからはピンチを救うなどして活躍する。
蓮花 (れんか)
ひまわりが偶然、入手した尾張への密書をつけ狙うくの一三人組(蓮花、梅、竹)のリーダー格。堀切勇矢、ひまわり、お駒と関わり、協同して事にあたるときもあった。くの一としての誇りは高いが、風邪をひいた勇矢に薬を与えたり、策を計った梅と半人前の半蔵を見逃すなど、情にもろい一面がある。
梅 (うめ)
ひまわりが偶然、入手した尾張への密書をつけ狙うくの一三人組(蓮花、梅、竹)の一人で、半人前の半蔵と恋人同士である。堀切勇矢のひとことで忍者の宿命を逃れる方法を思いついた半蔵とともに、ある策を実行する。
竹 (たけ)
ひまわりが偶然、入手した尾張への密書をつけ狙うくの一三人組(蓮花、梅、竹)の一人。故郷の母親に「大名のお側妾に召し抱えられた」と見栄を張っていたが、母親は見抜いていた様子である。その後、裸の殿様の城内で意外な出会いをする。
半蔵 (はんぞう)
『ひまわり武芸帖』の登場人物。ひまわりが偶然、入手した尾張への密書をつけ狙うくの一三人組(蓮花、梅、竹)の一人・梅の恋人で、ひまわりを倒して梅と一緒になりたいと考えている。堀切勇矢のひとことで忍者の宿命を逃れる方法を思いつき、梅とともにある策を実行する。
尾張の殿様 (おわりのとのさま)
ひまわりが偶然、入手した尾張あての密書を受け取り、ひまわりや堀切勇矢を歓迎した。粗暴な性格のようだが、領民のことを思う領主で、密書を狙っていた蓮花の身を案じるなどした。
河童 (かっぱ)
『ひまわり武芸帖』に登場する、メガネをしたふんどし姿の河童。見世物小屋の親方に捕まってあちこちを旅していたが、逃げ出したところで地震にあい、岩の下敷きになっているところを堀切勇矢とひまわりに救われた。琵琶湖がふるさとで、勇矢とひまわりは河童を送り届ける事にした。山に住んでいる姉妹の次女・桜を気に入っている。
河童大王 (かっぱだいおう)
『ひまわり武芸帖』に登場する、カッパ王国の王で、河童の父。息子を琵琶湖に送り届けてくれた堀切勇矢とひまわりを歓待して「河童宮城」に招待したが、槍を持った「悪い奴」に捕まってしまう。
桜 (さくら)
山に住んでいる姉妹の次女。親がなく、弟、妹らを養うために、姉の藤にいわれて仕方なく山で強盗をしているが、そういう生活にピリオドを打ちたいと考えている。河童を連れた堀切勇矢とひまわりと出会い、河童が薬として高く売れるため一行を家に泊める事にした。
藤 (ふじ)
山に住んでいる姉妹の長女。親がなく、弟、妹らを養うために、妹の桜に山で強盗をさせている。強盗としての実力は妹の桜以上の様子で、情け容赦なく殺人を犯し、阿片を吸ったり、家事を何もしないなど問題の多い人物。河童を連れた堀切勇矢とひまわりと出会い、河童が薬として高く売れるため一行を家に泊め、のちに琵琶湖(カッパ王国)までつけ狙うなどした。