概要・あらすじ
19歳の大学生にしてプロのカメラマンを目指す塩村ミキオは、行きつけのパブでピアノの弾き語りをしていた水沢文の部屋で目を覚ました。ミキオは文より5歳も年下だったが、「部屋(うち)においでよ」という文の言葉をきっかけに、彼女の部屋で同棲生活を始める。互いに惹かれあい、絆を深めていくミキオと文。だが、文がプロのピアニストとしてCDデビューを果たしたことから、2人の関係にズレが生じ始める。
登場人物・キャラクター
塩村 ミキオ (しおむら みきお)
カメラマン志望の19歳の大学生。行きつけのパブで知り合った水沢文と一夜を共にしたことから彼女との同棲生活を開始した。まだまだ子供っぽいところがあり、年上の文に甘えて怒らせてしまうことが多い。大学では写真部に所属しており、出版社でアルバイトをするなどプロのカメラマンを夢見て活動している。当初は撮りたいものを見つけることができずカメラへの情熱を失いかけるが、やがて自身の殻を破りカメラマンとしての才能を開花させていく。
水沢 文 (みずさわ あや)
昼はピアノ教室の講師、夜はパブやホテルで弾き語りをしている女性。塩村ミキオを自分の部屋に誘い、そのまま一緒に暮らすようになった。夢を追いかける男性に惹かれやすく、カメラマンを目指すミキオのことを応援していたが、自分の作曲した曲が認められてCDデビューを果たしたことから、スランプに苦しむミキオとの間にズレが生まれてしまう。 そんななか、学生時代の恋人であった今泉一也と再会。ピアノを止めたはずの今泉が、再びピアニストを目指していることを知って心が揺れる。
今泉 一也 (いまいずみ かずや)
水沢文の学生時代のピアノ仲間でかつての恋人。ピアニストになるという夢を捨てて父親の会社に就職したが、どうしてもピアノを忘れることができず、中原健の叔母が経営するピアノバーで時々弾かせてもらっていた。その後、文がCDを出したことを知り、もう一度夢を追いかけることを決意する。
中原 健 (なかはら けん)
K大学のカメラクラブに所属する大学生。自信家で自分の撮りたい写真を撮るためなら一切妥協しない青年。当初は塩村ミキオのことなど眼中になかったが、大学の合同写真展で彼の写真に衝撃を受け、以降ライバル視するようになる。ピアノバーを経営している叔母からは健坊と呼ばれている。
遠藤 美由紀 (えんどう みゆき)
プロカメラマンの遠藤信の娘。塩村ミキオの写真を見て彼に興味を持つ。やがて異性として心惹かれていき、ミキオを振り向かせようと写真のモデルを務めるが、優れたカメラマンゆえのミキオの残酷さを知り、それ以上近づくことはなかった。いつも派手な服に身を包んでいるスタイリッシュな美女だが、大衆居酒屋を好むなど意外と庶民的な一面も持つ。
大熊 (おおくま)
塩村ミキオが所属している写真部の先輩。ヒゲを生やしたいかついオッサンだが、風景写真を得意としていて、中原健からも一目置かれている。ミキオの才能をいち早く見抜き、被写体のテーマさえ見つければ、すぐに自分を追い越してしまうだろうと予言していた。
立川 (たちかわ)
塩村ミキオがカメラマンのアルバイトをしている出版社の編集者。ミキオのカメラの才能にほれ込んでいて、彼をボクシング雑誌のグラビアカメラマンに抜擢した。その後もミキオにさまざまなチャンスを与え、彼のさらなる飛躍を後押しする。
水無月 リカ (みなづき りか)
塩村ミキオの大学の後輩。ミキオに興味を持って写真部に入部した。まったくのカメラ初心者だったが、人物写真で好評を得てK大学との合同写真展のメンバーに抜擢されるまでになった。テクニックに走らない素直な写真が持ち味で、行き詰まるミキオにインスピレーションを与える。
マスター
水沢文が弾き語りをしているパブ「ちゃらんぽらん」のマスター。2人で店を切り盛りしているが、常連の塩村ミキオに臨時マスターを任せたこともあった。ミキオと文が付き合っていることを知っており、2人のことを何かと気づかう。
関 豊和 (せき とよかず)
水沢文の才能を見抜き、CDデビューを後押しした敏腕音楽プロデューサー。文のコンサートツアーを企画するなど、彼女のプロデュースを一手に引き受ける。かつてはバンドを組んでいて、ピアノからサックスまでさまざまな楽器を使いこなす。
遠藤 信 (えんどう しん)
遠藤美由紀の父。有名なカメラマンで、塩村ミキオと中原健を若手の有望株として大手出版社が主催するフォトコンテストに推薦した。娘をモデルにした写真も撮影しており、それを見て触発されたミキオは美由紀にモデルを頼むことになる。