あらすじ
星奏学院オーケストラ部への入部とコンクールに向けて(第1巻)
長野県に住む小日向かなでと如月響也は、地元でヴァイオリンの演奏を楽しみつつ、平凡な日常を送っていた。そこに響也の兄である如月律が帰省し、かなでと響也を、自身が通う星奏学院・音楽科への転入を勧める。最初は困惑していたかなでと響也だったが、関東の弦楽器コンクールを目の当たりにし、自分たちも挑戦してみたいと興味を抱く。そのコンクールの最中、高校生を対象にした大規模な全国音楽コンクールの開催が発表され、律は2人に対し、いっしょに出場しようと誘うのだった。その後、律によって半ば強引に星奏学院に転入させられた2人は、星奏学院オーケストラ部に入部する。入部テストを免除されたことや響也のやる気のない言動により、部員からは歓迎されていない2人だったが、かなでは「律のコンクールに出場する力になりたい」と気持ちを切り替え、練習を重ねる。かなでの情熱に後押しされるかたちで響也も奮起し、2人は全国音楽コンクールに参加するメンバーに選ばれるのであった。
全国音楽コンクールに向けて(第2巻)
全国音楽コンクールに向けて星奏学院オーケストラ部の部員たちは練習に励んでいた。特に如月響也は、入部当初のやる気のなさはどこにも感じられないほどの没頭ぶりであった。そんな中、全国音楽コンクールに出場予定の強豪校メンバーたちが東京近辺に集って来る。小日向かなでも、如月律を訪ねてやって来た神南(じんなん)高校の東金千秋、土岐蓬生や、横浜天音(よこはまあまね)高校の冥加玲士など手ごわいライバル達と知り合いになる。そんな中、かなでは律が手にケガを負っていることを知ってしまう。周りに手のケガを隠そうとする律であったが、かなでから「一緒にハーモニーを奏でている仲間をもっと頼って欲しい」と説得され、星奏学院オーケストラ部の部員たちに自分の状況を打ち明ける。前向きなかなでに救われた律は「これからも迷った時は音で導いてほしい」と、素直な気持ちを伝えるのであった。
登場人物・キャラクター
小日向 かなで (こひなた かなで)
長野県出身の高校2年生の少女。如月律と如月響也の兄弟とは幼なじみであり、昔から3人いっしょにヴァイオリンを学んできた。明るく素直で前向きな性格ながら、少々感情に任せて突っ走りがちなところがある。天才的な才能を持つヴァイオリニストではあるものの、コンクールなど大きな舞台では失敗ばかりをしており、その実力が発揮できずにいる。 律からの誘いを受け、響也と共に星奏学院・音楽科へ転入した。転入後は菩提樹寮に住み、星奏学院オーケストラ部に所属している。宝物は、小さい頃に律から「音楽の妖精がくれた」と言われて渡された王冠モチーフの指輪で、チェーンを通してペンダントとしていつも身につけている。律に対しては尊敬の念は抱いているものの、それが恋心なのか、自分でもわからず悩んでいる。
如月 律 (きさらぎ りつ)
星奏学院・音楽科に通う高校3年生の男子。星奏学院オーケストラ部の部長を務めている。実家は長野県にあり、如月響也は実弟で、小日向かなでとは幼なじみ。中学時代、急に横浜の高校に進学すると言って実家を出て、それ以来ほとんど帰省していない。長野県でくすぶっているかなでと響也を誘い、強引に星奏学院に転入させた。 星奏学院内でも優れたヴァイオリン演奏の実力者。感情を表に出さないクールな性格で、周囲からは生まれながらの天才と思われているが、実は陰では人一倍努力を重ねている。ミステリアスな雰囲気を漂わせているので、女生徒たちからの人気が高い。音楽ばかりに没頭しているため世間知らずなところがあり、ファミレスのドリンクバーに興奮していた。
如月 響也 (きさらぎ きょうや)
長野県出身の高校2年生の少年。如月律は実兄で、小日向かなでとは幼なじみ。小さな頃からかなでと律の3人でヴァイオリンを学んでおり、その時間を楽しく感じていた。しかし、律が横浜市にある星奏学院に通うために家を出たため、律に対して裏切られたような思いを抱えている。しかし律からの誘いを受け、自身もかなでと共に星奏学院・音楽科へと転入し、菩提樹寮に住んでいる。 律とは異なって明るく素直な性格の反面、感情的になりやすいところがある。星奏学院オーケストラ部に入部した際も、「たかが部活動」と発言し、水嶋悠人ら部員の反感を買ってしまう。これまでかなでに対して恋心を抱いているつもりはなかったが、支倉仁亜の「好きなんでしょ?」という発言により意識するようになる。
榊 大地 (さかき だいち)
星奏学院・普通科に通う高校3年生の男子。星奏学院オーケストラ部の副部長を務め、ヴィオラを担当している。高校入学当初、昼休みに偶然耳にした如月律のヴァイオリンの音に魅了され、未経験ながらも厳しい特訓を重ねて入部した。コミュニケーション能力に長けており、誰に対しても明るくユーモアあふれる優しい性格。そのため、女生徒たちからの人気が高い。 軟派な性格かと思いきや、落ち込んでいる小日向かなでを励ましたり、なかなか本音を言葉にしない律の言動を、さりげなくフォローしたりと、気配りができる人物でもある。
水嶋 悠人 (みずしま はると)
星奏学院・音楽科に通う高校1年生の男子。星奏学院オーケストラ部に所属しており、チェロを担当している。部員たちからは「ハル」と呼ばれている。星奏学院オーケストラ部の入部テストを免除されたうえ、「たかが部活動」と発言した如月響也が許せず、いっしょにいる小日向かなでに対しても、冷たい態度を取っていた。 非常に真面目な性格であり、曲がったことを嫌う正義感の持ち主である。
支倉 仁亜 (はせくら にあ)
星奏学院報道部に所属する高校2年生の少女。初対面の小日向かなでと如月響也が緊張してしまうほどに容姿端麗なロングヘアの美少女。菩提樹寮に住んでおり、かなでと響也とは同学年で親交を深めている。榊大地と仲が良く、報道部の資金源に榊の生写真を撮影し、ファンの女学生たちに販売している。
冥加 玲士 (みょうが れいじ)
横浜天音(よこはまあまね)高校に通う男子高校生。全国屈指のヴァイオリニスト。つねに険しい表情をしており、物事をはっきりと言う厳格な性格。全国音楽コンクールに出場する星奏学院オーケストラ部所属の小日向かなでに対しても敵意を抱いている。見た目は怖い雰囲気ながらも、実妹である冥加枝織はかわいがっており、所属している学校のオーケストラのメンバーからも慕われている。
冥加 枝織 (みょうが しおり)
冥加玲士の妹で、儚い雰囲気を持つ美少女。兄の玲士からもらった帽子を大切にしており、風に飛ばされそうになった帽子を拾ってもらったことにより、小日向かなでと知り合う。
東金 千秋 (とうがね ちあき)
神戸にある神南(じんなん)高校に通う高校3年生の男子。ヴァイオリンを担当している。関西弁で話す。コンクールにも度々出場しており、派手なパフォーマンスをするため人気が高い。気質はやや粗く、自分達を如月律の知り合いではないかと、こっそり尾行して来た小日向かなでに、乱暴な言動をするが、根は優しく、悪い人物ではない。 かなでへの容姿の評価は「地味」。父親が全国音楽コンクールの審査員メンバーに入っている。
土岐 蓬生 (とき ほうせい)
神戸にある神南(じんなん)高校に通う高校3年生の男子。ヴァイオリンを担当している。関西弁で話す。優しい性格で、特に女の子に対しては穏やかに接している。自分達を如月律の知り合いではないかと、こっそり尾行して来た小日向かなでにも紳士的な振る舞いをし、演奏会のあるパーティーに誘うなど人懐こい人物。
集団・組織
星奏学院オーケストラ部 (せいそうがくいんおーけすとらぶ)
星奏学院の部活動の1つ。在籍者は40名。部長は如月律、副部長は榊大地が務めている。音楽科の生徒がメインではあるものの、普通科の生徒も入部できる。律の強引な勧誘もあり、小日向かなでと如月響也も入部することとなった。本来ならば厳しい入部テストがあるため、律の推薦により免除されたかなでと響也に対する風当たりは当初強かったが、2人の実力を知ったあとは、快く迎え入れている。
場所
星奏学院 (せいそうがくいん)
横浜市にある男女共学の高等学校。音楽に力を入れていることで知られている。如月律の中学卒業後の進学先であり、のちに小日向かなでと如月響也も転入して来た。1学年普通科が5クラス、音楽科が2クラスある。創立は1947年と古く、エスカレータ式に大学へも進学できる。
菩提樹寮 (りんでんほーる)
星奏学院が保有する寮の1つ。地上3階、地下1階建ての洋館で、2つの棟に分かれた設計になっている。正面に向かって右手が男子棟、左手が女子棟で、食堂やエントランスはいっしょであるため、男女が顔を合わせる機会は多い。長野県から転入して来た小日向かなでと如月響也、支倉仁亜が住んでいる。
その他キーワード
全国音楽コンクール (ぜんこくおんがくこんくーる)
夏に開催される、全国の高校生が参加する音楽コンクール。個人ではなく、学校や部単位のオーケストラ構成で参加する。夏に開催なので、如月律ら高校3年生にとっては最後の大舞台である。
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