概要・あらすじ
内気な中学生の主人公結城琴子は、ある日学校で霧島海がピアノを弾いているのを見て心を惹かれる。密かに想いを寄せていると、恋敵が現れ悩むことになる。さらに、叔父の家に霧島海と自分との関係を示す写真を発見し、さらに葛藤を抱えることになるのであった。
登場人物・キャラクター
結城 琴子 (ゆうき ことこ)
中学2年生。3組所属。ショートカットのおとなしめの女の子。自分のことには臆病だが、友達のためなら大胆な行動力を見せる。本が大好きで図書委員を務めている。初めて会った時から海のことが気になってしょうがない。友達になりたくてもなかなか声をかけられずにいた。幼い頃ピアノを習っており、途中で挫折したが、またピアノに興味を持ち、晴おじさんに教えてもらう。
小池 鈴子 (こいけ すずこ)
琴子と同じ3組所属のクラスメイト。中学入学時に声をかけ、親友となった。肩までの髪で少しパーマかかっている。男子にもからかわれるくらい気が強い。クラスの女子の中では中心的人物。優しい矢野先生への初恋に夢中になっている。琴子が矢野先生が好きと思っていたり、研一郎が琴子のことを好きだと思ったり、自分以外の恋愛に対してはかなり勘違いしやすい。
矢野 恭二 (やの きょうじ)
琴子の担任の先生。隣の中学から転任したばかりで担当は数学。25歳、独身。酒屋の次男坊。ノリが良く、男子にも女子にも人気が高い。鈴子が一方的に片思いをしていたが、彼女ができ、その後結婚する。
神崎 研一郎 (かんざき けんいちろう)
鈴子の幼馴染でくされ縁が続いていたが、中学2年にしてクラスが分かれる。メガネの学年一の秀才。テニス部所属。幼いころからずっと鈴子のことが好き。人の気持ちに敏感で、琴子の恋も誰よりも早く気づき、応援している。
霧島 海 (きりしま うみ)
琴子が美術の時間に絵を描いているところに、スケッチブックにぶつかったサッカーボールを蹴った少年。研一郎と同じクラスの友人で、サッカー部所属。ピアノの演奏も得意で、本当はピアニストになりたかったが、家庭の経済状況をみて断念する。琴子と似た感性をしており、お互いに惹かれていく。 母親と二人暮らし。周囲に彼女だと思われていた響子に押し切られるように付き合うことになり、本当に好きな女の子は別にいるらしい。
仁科 響子 (にしな きょうこ)
海の彼女。銀行のお偉いさんの娘で典型的なワガママお嬢様。長い黒髪に少しつり目の女の子。気が強く、いつも海を追い回している。小学校の時は研一郎を追いまわし、いつも鈴子を目の敵にしていたため、今でも2人の仲は悪い。家庭教師を2人つけていることもあり、成績は上位者。サッカー部のマネージャーでもある。
榊 晴海 (さかき はるうみ)
琴子の叔父。琴子が幼い頃、おもちゃのピアノをプレゼントしてくれ、今でも遊びに来るたびにお土産を持ってきてくれる。口髭が特徴で、30代半ばの独身。ピアニストを目指してウィーンに留学していた過去があり、ヨーロッパまで行ってピアノを買い付ける仕事をしている。琴子の家に近いマンションで一人暮らしをしており、そこで琴子にピアノを教えてくれている。 初恋の女性の写真を今でも大事に飾っている。
霧島 詩史 (きりしま しふみ)
海の母親。3年前に夫を亡くし、今は息子の海に手伝ってもらいながら、ひとりで喫茶店を切り盛りしている。琴子が姉と間違えるくらい若くて綺麗。琴子のことを気に入っている。実は琴子の叔父の晴海と同級生で、学生時代をともに過ごしていた。2人は付き合っていて、晴海がウィーンに留学した時も追いかけ、そこでできた子供が海である。 そのことを内緒にして帰国。男友達と結婚した。
仁科 奏一 (にしな そういち)
3年生、仁科響子の兄。メガネでクール。生徒会の議長をしている。女の子からモテるが、告白を受けたことはない様子。鈴子とは小学校も一緒で今でも同じ委員をしており、奏一のピアノを聴いてから鈴子は恋に落ちてしまう。実は琴子が図書室から聴いて気に入っていたピアノの音色の演奏者であり、幼い頃ピアノ教室で一緒だった男の子だった。 琴子は気づかなかったが、入学当時から琴子のことが気になって見ていた。
お母さん (おかあさん)
琴子の母親。いつも和服と割烹着姿で古風な姿。クイズが大好きで、子供たちにいつもクイズを出して楽しんでいる明るい母親。琴子の漫画を勝手に持ち出して読んでいるらしい。晴海の姉でもあり、いつまでも独り身の弟を心配して、お見合いの写真を集めたりもしている。
結城 天 (ゆうき たかし)
琴子の弟で、小学生。やんちゃで元気で、琴子とケンカもするが仲の良い姉弟。お年玉を貯めてスーパーファミコンを買う計画をしている。
お父さん (おとうさん)
琴子の父親。仕事が忙しく家にいることは少ないが、休日には息子の天と一緒にキャッチボールをしたり、家族サービスをしている。年頃の娘の琴子の扱いはイマイチわからず、戸惑っている様子。
クマ
結城家に飼われている犬。体が真っ黒で月の輪グマみたいな三日月が胸元にあり、いつもニコニコしている。お散歩が大好きで一日に何度も行きたがる。食い意地もはっていて、クッキーでも果物でも何でも食べてしまう。海の家の喫茶店の前でオルゴールを拾ってきて、それ以来、琴子の部屋に置いておくことになったが、実はかつて晴海から詩史へ送ったものであった。
みっちゃん
琴子と鈴子の同級生の女の子。黒髪で2つに結んでいる。2人の仲を心配したり、琴子と鈴子の間に入って話すことも多い。