概要・あらすじ
41歳、独身の東雲ふたばは、勤めていたデザイン会社が倒産し、無職になった。彼女は安さに惹かれ、築50年以上の、郊外にあるたまのがわ団地に引っ越してきた。そこは全室角部屋、上から見るとY字型をして星のように見えることから「スターハウス」と呼ばれている。引っ越し早々キッチンのシンク下に土鍋が忘れられていることに気づいたふたば。鍋を触ろうとした瞬間、土鍋と一体化した猫の猫にゃんが飛び出してきた。胴体が土鍋でしっぽが二つあるその猫はしゃべりだし、「この土鍋で米を炊いてくれないか」と言う。最初は幻覚が見えているのかとも思ったが、米を炊けば成仏してくれるのではと思い、仕方なく土鍋で米を炊くふたば。美味しい米が炊き上がり、おにぎりを食べながら、窓を開けたふたばは、この部屋の日当たりの良さや心地よい風に気づく。そして猫にゃんは「自分は米を炊いてくれる人間に取り付く妖怪の鍋猫だ」と宣言するのだった。翌日、引っ越しの挨拶に行くふたば。下の階の住人はたぬきやほうきとおしゃべりしていた。そこで初めてふたばはこの団地が妖怪付き物件であることを知らされるのだった。こうして人間と妖怪が共存しているスターハウスでの慌ただしい日常が始まる。
登場人物・キャラクター
東雲 ふたば (しののめ ふたば)
41歳、独身、無職の女性。デザイナーの仕事をしていたが、勤めていたデザイン会社が倒産してしまい、家賃の安さに惹かれて築50年以上の、たまのがわ団地「スターハウス」に引っ越しをしてきた。前髪は真ん中分けで毛先にウエーブをかけている。髪は後ろで一つにまとめていることが多い。部屋には鍋猫が、団地内には座敷わらしやたぬき、カラス天狗が住んでいて驚くが、すぐにその現実を受け入れる柔軟性がある。
猫にゃん (ねこにゃん)
米を炊いてくれる人間に取り付く妖怪の鍋猫。以前は猫又だった。姿は白と黒のぶち猫でしっぽが二つあり、胴体の部分が鍋と一体化している。米を炊く時は鍋と分離するが、炊き終わるとまた元の姿に戻る。東雲ふたばの入居した301号室に住み、ふたばに小言を言ったり、世話を焼いたりしている。煮干しが好物。