E.T.O.

E.T.O.

ある日、自分が忍者の末裔だと知らされたごく普通の女子中学生である因幡ひよりが、世界の敵「ロウ虫」と戦う姿を描いた忍者バトル漫画。作中の出来事の多くが神奈川県の横浜を舞台としている。「月刊Gファンタジー」に連載された作品。

正式名称
E.T.O.
ふりがな
いー てぃー おー
作者
ジャンル
和風ファンタジー
関連商品
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世界観

一般の人々の目に捕らえることのできない、世界の影に潜み人心を操る怪物「ロウ虫」と、その敵の姿を捕える能力を持った忍者の一族「十二祇」の戦いが描かれている。「十二祇」は1000年以上の昔から「ロウ虫」と戦い続けてきた忍者たちであり、連綿と続いてきた両者の戦いの歴史を引き継いだ少女たちの葛藤が1つのテーマとして描かれている。そのため、主人公である因幡ひよりの母親、因幡ひなこを始め親世代も「十二祇」の忍者として戦ってきたという過去がたびたび作中に登場し、物語世界の時間に対して、過去にあったドラマを想像させるような奥行きを与えている。

あらすじ

中学3年生、14歳の因幡ひよりは体育の授業で跳び箱も跳べないような運動音痴だった。ある日、欲しがっていた携帯電話を餌に、お父さんに呼び出されたひよりは、そこで父親が「忍者」であったことを告げられる。冗談だと受け取ったひよりは、父親の話を無視して携帯電話の箱を開けるが、そこに収められていたのは「巴珠」と呼ばれる先祖代々から伝わる宝珠だった。「巴珠」の力によって深層心理に存在する忍者の姿へと強制的に変身させられたひより。戸惑い、現実を受け止められずにいる彼女のもとへ「ロウ虫」の尖兵である巨大な蜂、「発知神」が襲い掛かってくる。

特殊設定

本作『E.T.O.』は、干支をモチーフとした「十二祇」と呼ばれる12の忍者の一族の活躍を描いた物語である。「十二祇」は「ロウ虫」と呼ばれる世界の敵を見つけることができる存在であり、「ロウ虫」に抗う術を持つのは彼らのみ。「十二祇」の各一族は「」や「牛」「寅」などの対応する干支を冠しており、干支に応じた特別な力を持っている。また、「亥」の井ノ上の家の者が猪突猛進な性格をしているなど、それぞれの人物像にも干支が影響を与えている。各一族は、それぞれが「巴珠」と呼ばれる特殊なアイテムを継承しており、それを使用することで継承者の深層心理に思い描いている忍者の姿へと変身することが可能となる。「巴珠」は各家ごとに1つずつしか存在せず、一子相伝とされている。変身することによって「十二祇」たちは身体能力や、干支による特異な能力を更に強化されることとなる。

モデルになった町

本作『E.T.O.』は神奈川県の横浜が舞台となっており、実在する多数の街や観光地が登場している。作中では戦闘の舞台として氷川丸やランドマークタワーが使用された。また、因幡ひよりたちの生活圏も横浜を中心としていることが、背景に描かれたバス停などから読み取れる。

著名人との関わり

ジャングルはいつもハレのちグゥ』などの作品で有名な漫画家、金田一連十郎が本作『E.T.O.』のコミックス第1巻、第三話「<萌葱の章>#1 そらの場合」の製作に参加しており、スペシャルサンクスとしてクレジットされている。

作家情報

高田慎一郎は福岡県北九州市出身の漫画家。1994年に『ROUGH STONE』という作品で、エニックスが主催する第7回ビッグルーキー大賞に応募し、佳作を受賞。同作が「月刊少年ガンガン」に掲載されデビューを果たした。サバイバルゲームやFPSゲームを趣味と公言しており、飛行機をはじめとするメカ類に対する造詣が深い。本作『E.T.O.』をはじめ、執筆作品の多くに銃火器類が登場しており、その描写に反映されている。尊敬する作家には手塚治虫宮崎駿をはじめ、藤原カムイ、円英智、衣谷遊などを挙げている。

登場人物・キャラクター

因幡 ひより (いなば ひより)

「十二祇」の1つ、「卯」の一族の人間。セミロングの髪型をした14歳の少女で、ポジティブな性格の持ち主。自分の家が忍者の家系であることを知らされずに育ってきた。跳び箱も満足に跳べないほどに運動神経が悪く、ドジっ子。しかし、「卯」の家の忍者としてうさ耳の生えた忍装束姿に変身することで、兎のような俊敏な動きができるようになる。 さらに、数十メートル先にいる敵の気配から動きを察知するほどの、鋭敏な感覚を獲得できる。その能力と持ち前のポジティブさで、忍者としての先輩である白猿風子をはじめとする仲間たちのピンチを幾度となく救う。

琢峯山 ルフトハウザー メイ (たくほうざん るふとはうざー めい)

「十二祇」の1つ、「羊」の一族の人間。ドイツ人の血が入ったクォーターの少女。赤い瞳で、髪型は長い金髪の縦ロール。お金持ちの家のお嬢様で、お屋敷では侍女の鳥倉や執事の奥上、また住み込みのメイドである潮撫子とともに暮らしているが、資産は父親の代で使い果たしたと噂されている。胸が小さいことにコンプレックスを抱いており、人並み以上に胸のある撫子を羨んでいる。 母親であるメリルが残した「丸い本」の謎を解き明かそうと、撫子とともに毎日のように本の中を探検している。巨人を召喚して戦わせる能力を持っているが、巨人とは痛覚を共有しているため、巨人が負ったダメージはそのままメイ自身も受けることとなる。

潮 撫子 (うしお なでしこ)

「十二祇」の1つ、「丑」の一族の人間で、琢峯山ルフトハウザーメイの学友。メイの屋敷で住み込みのメイドとして働いている。背中までの長さの黒髪をした楚々とした佇まいの少女で、普段から口数も少なく、物静かな気質。かなりの天然にして不器用な一方で、一度こうと決めたら曲げない頑固な一途さがあり、諦めが悪い。余り目立たないがふくよかな胸を持っており、メイから羨まれている。 陰陽師としての力を持ち、術を使うことができるが、母親の言いつけでメイにはその事実を隠している。ところが、部屋の中を陰陽師の触媒や人形などで埋め尽くしているためメイはすでに感づいており、鈍い潮撫子本人はそのことに気付いてない。

白猿 風子 (しましら ふうこ)

「十二祇」の1つ、「申」の一族の人間。セミロングの髪型をした、21歳の女性。現在の「十二祇」の実働部隊の実質的なリーダーとして、皆をまとめ上げている。また、葛葉百人組という忍者の集団を率いて、政府機関の人間としてさまざまな任務をこなしている。さばさばとした性格だが、「十二祇」の使命と仕事に対しては一途。

長瀬 朱巳 (ながせ あけみ)

「十二祇」の1つ、「巳」の一族の人間。ツーサイドアップの髪型にメガネをかけた少女。「クリムゾンプロ」の芸能人として活動している。芸能人というイメージに反して、障子の張り替えからヤマゴボウのあく抜きなど、地味な日常生活を送っている。また、知名度も低く、世間の大半の人に名前を覚えられていない。「風魔戦隊カゲレンジャー」という戦隊ヒーローものに、黄島飯綱兼カゲイエロー役として出演している。 芸能事務所「ブルーバレットプロダクション」の安部から、清涼飲料のCMを餌に引き抜きを打診されている。

五色 そら (こしき そら)

「十二祇」の1つ、「酉」の一族の人間。背丈ほどもある黒髪を背中で1本に束ねた、無表情な少女。「酉」の一族唯一の生き残りで、「十二祇」の中でただ1人飛行能力を有している。敵に一切の情けを掛けない残虐な一面を持ち、邪魔をするなら味方にすら刃を向ける。昔、両親や妹を「十二祇」によって惨殺されており、父親の残した丸の中に三角を描いた紋様のダイイングメッセージを手がかりに仇を探している。

中禅寺 こだま (ちゅうぜんじ こだま)

「十二祇」の1つ、「子」の一族の人間。ショートヘアの小学生の女の子で、性格は気弱。普段は大きなリボンを髪飾りとしているが、鼠の耳のような大きな円形の髪飾りである「子子子子」を装着し、その機能を起動させることで、冷静沈着で古風なしゃべり方をする別人格へと変化する。戦闘時には「子子子子」の力で別人格を宿し、スナイパーライフルを使用した狙撃や、保長と正成という巨大なからくり人形を操っての戦いを得意とする。

鬼頭 りん (きとう りん)

「十二祇」の1つ、「午」の一族の人間。色素の薄い長い髪の毛をポニーテールの髪型にまとめた活動的な性格の女性。実家に2人の兄がいる。名馬の英霊である八十八騎が宿るエンブレムのついたバイクを巧みに操って戦う。鬼頭の家は元々武道の名家で、鬼頭りん自身も優れた腕を持っている。その実力は変身しなくても大柄な男性武道家を圧倒するほど。 その一方、実家においては最弱の存在であり、2人の兄に実力でも家族内のヒエラルキーでも下に置かれている。普段から体育会系の人間に囲まれて育ったため、線の細いインテリ系の男性が好み。

八十八騎 (とどろき)

バイクのエンブレムに宿った、かつて千里を駆けたとされる名馬の英霊。自我を有しており、口が悪い。「十二祇」の1つである「午」の一族に力を貸しており、鬼頭りんが所有している。彼の宿ったエンブレムをバイクに装着すると自在に操ることが可能となり、その力を利用してりんの「馬」として活躍している。バイクから取り外されると、掌程度の大きさの太った馬の姿になる。

井ノ上 ひびき (いのうえ ひびき)

「十二祇」の1つ、「亥」の一族の人間。セミロングの髪を外に跳ねさせた、活発で勇気溢れる性格の少女。「亥」の能力として「電撃」を操ることができる。弱冠13歳ながら、お菓子を取られた少年たちを助けるために、野良犬に素手で挑むほどの強い正義感を持つ。同時に難しいことは考えない性分で、いざ喧嘩となれば誰もが自分のように「電撃」を操れるものだと思い込んでいた。 「亥」の一族の人間だが、本人はその事実を知らされずに育ったため、因幡ひよりや琢峯山ルフトハウザーメイと同様、忍者としての自覚はない。

れん

「十二祇」の1つ、「戌」の一族の人間。井ノ上ひびきのクラスメイトの少女。8人も弟がいる大家族の家の長女で、弁当屋でアルバイトして家計を助けている。また両親が共働きであるため、自分を含む兄弟たちの炊事も担当しており、料理の腕は達者。長瀬朱巳とも知り合いで、ともにスーパーのセール品を狙う間柄。普段は心優しい大兄弟の姉だが、キレればキレるほど冷静沈着な性格となっていく。 戦闘時にもその気質は活かされており、犬のような姿に変身できる能力と相まって、逆境であろうと冷静に敵を制圧する強みとなっている。

亜虎 (あこ)

「十二祇」の1つ、「寅」の一族の人間。髪の毛を後ろで2つにまとめた11歳の少女で、頭に猫耳を生やし、両腕には巨大な鈴をぶら下げている。ローブのような外装に縞模様のニーソックスといった服装も相まって、初めて因幡ひよりと会った際には「秋葉原系のファッション」呼ばわりされていた。「寅」の巴珠を継承しているが、ひより以上のドジっ子で身体能力も低いうえ、本来の継承者である21歳の姉に代わって継承したため「寅」の家に伝わる必殺技である「発蹤抜虎」もうまく使いこなせないなど、頼りない部分が目立つ。

矢野 (やの)

因幡ひよりに気がある中学3年生の少年。黒髪の短髪をしている。年齢の割に性格や感情表現が子供っぽく、ひよりに対しても何かとちょっかいをかけるなど小学生男子のような想いの表し方をしていた。そのためひよりを困らせてしまい、同じ友人である未来に仲裁されていた。

未来 (みらい)

因幡ひよりの友人である中学3年生の少女。黒髪ロングヘアの垢抜けた人物。中学生だが携帯電話を持っているなど、ひよりに比べて流行を先取りしている。ひよりのことを憎からず想っている矢野のちょっかいから、ひよりのことを庇っていた。

お父さん (おとうさん)

因幡ひよりの父親。「十二祇」の1つ、「卯」の一族の人間。七三分けの髪型にメガネとスーツという、サラリーマン然とした外見をしている。細かいことを気にしない寛容な性格で、妻である因幡ひなこがコスプレまがいの格好をして娘のひよことともに戦った際には、いつまでも気が若くて良いこと、と笑い飛ばして見せたほど。 「十二祇」に所属する若い隊員たちが憧れていたひなこの夫であることが判明した際には、その地味な外見から不釣り合いだと一騒動になった。

因幡 ひなこ (いなば ひなこ)

因幡ひよりの母親。黒髪のロングヘアの、まるで10代の少女のような外見だが、実年齢は35歳。「十二祇」の1つである「卯」の家の忍者として活動していたが、現在では一線を退いている。現役時代はその可憐な容姿から男子隊員たちの憧れの的で、葛葉百人組の多摩川も彼女に憧れていた1人。「卯」の巴珠を返上して久しいが、その身体能力は健在で、ひよりとともに襲撃を受けた際には、手製の衣装を着て、現役時代の技を披露して見せた。 外見は若々しいが、オヤジギャグをはじめ、時に35歳相応のセンスを垣間見せる。

井ノ上 (いのうえ)

「十二祇」の1つ、「亥」の一族の人間。井ノ上ひびきの母親で、長い髪の毛を後ろで三つ編みにまとめた30代の女性。「旅行」と称し、娘のひびきに隠れて「十二祇」の活動へとたびたび赴いている。変身能力を娘のひびきに譲ってしまったため、戦闘力は現役時代より衰えている。しかし、「亥」の一族の人間らしい猪突猛進精神は健在で、アイルランドのアラン島でロウ虫との戦いに参加した際にも、拠点防衛を放棄して敵陣へ突撃していたほど。

潮 芹 (うしお せり)

「十二祇」の1つ、「丑」の一族の人間で、潮撫子の母親。黒髪のショートヘアの30代女性。撫子が未熟なため「十二祇」を譲るに至っておらず、未だに現役。また、琢峯山ルフトハウザーメイに対しても、その母親であるメリルに託された巴珠を託すという約束をしているが、未熟な2人に巴珠を渡し、「十二祇」のリーダーの座を譲っていいものかと心配している。

鳥倉 (とりくら)

琢峯山ルフトハウザーメイの屋敷で働いている侍女。ベリーショートの髪型で、口紅を厚く塗っている女性。屋敷はあるが資産のないメイの家によく仕えている。いつも笑顔を保っているため、目が細い。

奥上 (おうかみ)

琢峯山ルフトハウザーメイの屋敷で働く執事。白髪頭の初老男性で、少しふくよかな外見をしており、常に不機嫌そうな表情を浮かべている。父親の代で資産のほとんどを使い果たしたと言われるメイの屋敷で現在も働いている。

ユキ

芸能事務所「クリムゾンプロ」に所属する女性で、長瀬朱巳のマネージャーを務めている。黒髪のショートヘアにスーツ姿で性格は生真面目。朱巳の芸能人としては地味すぎる行動や、タクシー代節約のため徒歩で現地入りするケチっぷりなどに悩まされながら、彼女をサポートしている。

安部 (あべ)

芸能事務所「ブルーバレットプロダクション」に所属する、メガネをかけた中年太りの男性で、「ハンプティダンプティ」の異名をとる。長瀬朱巳を芸能事務所「クリムゾンプロ」から引き抜こうと、清涼飲料のCMをちらつかせて勧誘している。気軽にボディタッチをするなどセクハラじみた行動をする人物で、朱巳のマネージャーであるユキからは嫌われている。

多摩川 瞬 (たまがわ しゅん)

芸能事務所「ブルーバレットプロダクション」に所属する芸能人。爽やかな容姿の青年で、マネージャーの安部が長瀬朱巳にセクハラじみた行為をしていることをそれとなく謝罪するなど社交性にも優れ、自分が所属する事務所の悪評も自覚している。朱巳といる時に発知神に襲われた際には、咄嗟に朱巳を庇うなど正義感の強い部分もある。 特撮ドラマ「風魔戦隊カゲレンジャー」に出演しており、赤星才蔵という役を務めている。葛葉百人組に所属する忍者の兄が1人おり、兄弟そろって因幡ひよりの母親である因幡ひなこに憧れを抱いていた過去がある。ちなみに兄と異なり、多摩川瞬は忍者の世界のことを知らずにいる。

多摩川 (たまがわ)

葛葉百人組に所属する忍者の1人。白猿風子に従って、「十二祇」の任務に携わっている。マイペースな性格だが、新人時代に憧れていた因幡ひなこには弱く、前に立つと未だに緊張してしまう。兄弟に、多摩川瞬という芸能人の弟が1人いる。

貴久 (たかひさ)

鬼頭りんが憧れていた青年。メガネをかけたインテリ風の線が細い外見で、セミロングの髪型をしている。りんがバイクといる様子を毎朝のように眺めていたため、次第にりんに意識されるようになっていく。バイクの中型免許を持ち、限定解除して大型バイクに乗ることを夢見ている。

直実 (なおざね)

無精ひげを生やした中年の男性。黒髪をセミロングほどの長さに伸ばしている。ロウ虫に味方し、「十二祇」の敵に回っている人物で、刀を自在に操って戦う。戦い慣れしており、その実力は折紙付き。変身能力を使用した「十二祇」の少女たちを、単純な駆け引きや存在感だけで圧倒するほど。

季重 (すえしげ)

ロウ虫に味方する人物。金髪に染めた短髪の男性で、サングラスを掛け無精ひげを生やした外見をしている。その風体とは裏腹に老人じみた古風なしゃべり方をする人物で、性格も真面目。同じくロウ虫に味方する人物である、直実と行動をともにしていることが多い。

双月 (そうげつ)

頓宮流忍軍の本拠地で頭領を務めていた中年男性。刈り上げた短髪の髪型をしている。20年前にも「十二祇」と戦ったことを仄めかしており、当時の戦闘で白猿風子の母親に傷をつけられた因縁がある。ロウ虫に対して力を貸した見返りに、巨大なカブトムシのようなロウ虫に変身する能力を手に入れている。

宿禰 (すくね)

人類の敵であるロウ虫の1体。人型の虫ともいえる外見をしており、大きさは成人男性ほど。凄まじい剣の腕と、剣圧だけで小島を吹き飛ばすほどの力を持っている。ロウ虫の中でも将軍クラスの人物で、大規模なロウ虫の軍勢を率いている。

楊三兄弟 (やんさんきょうだい)

人ほどの大きさをしたカマキリの外見をしたロウ虫の三兄弟。3体で1組となって行動しており、両手の鎌を自在に扱って戦闘する。その戦闘力は並大抵のロウ虫を歯牙にもかけないほどで、実力を示すために50体ほどのロウ虫を一瞬のうちに切り裂いて見せた。

フジオ

ロウ虫に操られた人間によって、ファミレスで人質に取られた子供の1人。白猿風子を傷つけるための囮として解放された。男の子で、他にもあきよし、たかみつという兄弟がいる。母親の髪型はパンチパーマだが、フジオは癖のない黒髪をしている。

集団・組織

十二祇 (じゅうにし)

忍者の家系である12の家のこと。また、忍の国家機関そのものも指す。人類の敵であるロウ虫に対抗できる唯一の存在とされている。名前の通り12の家系が存在しており、それぞれに「卯」や「午」といった干支が割り振られている。また、各家は割り振られた干支にちなんだ能力や性格を有しており、その力を使用してロウ虫と戦っている。

(う)

代々続く忍の家系で、「卯」の「十二祇」を務める一族。巴珠の力で変身した際には、兎のような俊敏さと鋭敏な感覚を手に入れることができる。また、頭に特徴的なうさぎの耳のような髪飾りが装着される。「脱兎」や「月兎」という「卯」の一族のスピードを活かした技を使うが、そのどれもが一般の物理法則を無視しており、壁や天井を自在に足場としてみせることから、重力を操る力を持つとされている。 一説にはその力から「卯」の一族は月の民ではないかとも言われている。

葛葉百人組 (くずのはひゃくにんぐみ)

「十二祇」の「申」の家で活動する忍者、申忍の集団。多摩川が所属している。白猿風子の配下として行動しており、緊急時に召集される。「解(とき)」や「伏(ふせ)」といったいくつかの部隊が存在する。

頓宮流忍軍 (とんぐうりゅうにんぐん)

人間の身でありながら、ロウ虫に組した忍者の集団。ロウ虫に力を貸し、さまざまな事件を起こしている。中にはロウ虫との契約によってロウ虫へと変貌する力を得た忍者もおり、敵対する十二祇を苦しめている。

場所

横浜 (よこはま)

本作『E.T.O.』の舞台で、氷川丸をはじめ、元町やランドマークタワーなど、実在するさまざまなスポットが登場している。因幡ひよりの実家や、琢峯山ルフトハウザーメイたちの通う学校などがあり、十二祇たちの生活圏となっている。

丸い本 (まるいほん)

琢峯山ルフトハウザーメイが所有している本。半円型をしており、本を開くと円を描くようになっている。ページごとに絵が描かれており、メイが「開門(エフネン)」と唱えることによって絵の世界へと飛び込むことができる。本の内部はファンタジー世界のRPGのような状態となっており、モンスターが出現したり、住民が生活していたりする。 また、本の中で得た経験や能力、アイテムはメイや潮撫子たちにも反映され、実世界でも使用できる。かつてはメイと撫子の母親たちもこの本を利用していた形跡がある。

アラン島 (あらんとう)

アイルランドに存在する島。ロウ虫が絡んだ戦いが展開されており、膠着状態にあった状況を打破するために井ノ上ひびきの母親である井ノ上と、潮撫子の母親である潮芹が派遣されていた。温泉があり、井ノ上たちは戦闘後の楽しみにしていた。

その他キーワード

ロウ虫 (ろうき)

1000年の眠りから覚めた、全人類の敵とされる存在。心の弱い人間を操り、悪事を行っている。さまざまな種族が存在し、そのほとんどが昆虫をはじめとする節足動物、もしくは人型の虫のような外見だが、どれもが人間ほどの大きさ。通常は実体化しておらず、十二祇の一族に連なるものの目でしか見ることができない。発知神もロウ虫の一種。

発知神 (はつがみ)

ロウ虫の尖兵とされる存在で、巨大な蜂のような形をしている。「巴珠」から漏れ出た香をたどって、「十二祇」の忍として目覚めたばかりの因幡ひよりに襲い掛かった。

巴珠 (ともえだま)

「十二祇」の一族に連なる各家がそれぞれ有している珠。「巴珠」を継承することで「忍」に対する深層心理を具現化し、変身できるようになる。変身後の姿はそれぞれ大きく異なるが、「卯」の一族に連なる因幡ひよりが兎のような姿を取っているなど、継承者が担当している「十二祇」の中での干支にちなんだ姿である場合が多い。 「巴珠」からは独特の香が漏れ出ており、発知神などに探知されることがある。

子子子子 (ねねこ)

中禅寺こだまが頭に付けているリボンのような髪飾り。「十二祇」1000年の歴史が「子子子子」の中につまっており、起動することでそれらのデータへのアクセスを始め、戦闘時のサポートなども行う。また起動者を別人格にする機能があり、気弱なこだまでも戦闘に参加できるようになる。その際は、小学生としての外見とは裏腹に古風なしゃべり方をする、冷静な判断力と豊富な知識を備えた人格となる。

風魔戦隊カゲレンジャー (ふうませんたいかげれんじゃー)

長瀬朱巳が出演している戦隊ものの特撮ドラマ。作品内では乱波獣という敵と、カゲレンジャーの戦いが描かれており、朱巳は黄島飯綱兼カゲイエロー役を演じている。撮影中に乱波獣の着ぐるみに分した発知神が出現し、朱巳が狙われた。朱巳の他には葛葉百人組に所属する多摩川の弟である、多摩川瞬が赤星才蔵兼カゲレッド役で出演している。

脱兎 (だっと)

因幡ひなこが使用する技。「卯」の一族が持つスピードを活かして敵との距離を一気に縮めると同時に、まるで分身するかのような動きで姿をかき消す。他の一族に比べて力や技、頭脳の劣る「卯」の一族に与えられた、スピードという武器を存分に活かした技。考案したのはひなこ自身。

月兎 (げっと)

「十二祇」である「卯」の一族にのみ与えられた力。明確な武器がないことに悩む因幡ひよりの前で、因幡ひなこが使用してみせた。天地、壁、天井のすべてを足場として疾走することができる技で、ビルから落下している途中にその壁面に着地するといった芸当すら可能。

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