概要・あらすじ
高校生の針栖川哲は幼い頃から同級生の里見真桜に思いを寄せていた。子供の時に車の事故から真桜を助けて以来、彼女とは良き友達同士だが、今の関係が壊れることを恐れて告白できずにいる。ある日、針栖川はまたも車にひかれそうになった真桜を再び身を挺して助けるが、なぜか一面真っ暗闇の不思議な世界に閉じ込められてしまう。そこは真桜がリサイクルショップで買った鏡の中だった。
鏡は「愛牢鏡」という魔法のアイテムで、脱出するには相思相愛のベストパートナーを見つけなければならないという。ところが、真桜は針栖川が片想いしている相手が親友の松川咲だと勘違いしてしまう。
登場人物・キャラクター
針栖川 哲 (はりすがわ てつ)
同級生の里見真桜に片想いしている高校生。真桜の唯一の男友達で、他の男子生徒たちにうらやましがられ、八つ当たりされる日々を送っていたが、車にはねられそうになった真桜を助けた時に彼女の持つ鏡の中に閉じ込められてしまい、鏡を通した真桜とのドタバタ共同生活を始めることになった。正義感の強い熱血漢だが、恋愛に関しては優柔不断で、想いを寄せる真桜と自分を慕ってくれる松川咲との間で揺れることになる。 学校は日本一周マラソンの旅に出ると偽って休学中。
里見 真桜 (さとみ まお)
針栖川哲が鏡の中にいることを最初に知る少女。針栖川が松川咲に片想いしていると早とちりして、鏡の呪いを解くために2人の仲を取り持とうとする。男子生徒からの人気は絶大だが、子供の時のトラウマから針栖川以外の異性と接するのが苦手で、誘われたり告白されたりしてもすべて断っている。これが理由で針栖川が男子たちの恨みを買ってしまっているのだが、原因が自分であることにまったく気づいていない。
松川 咲 (まつかわ さき)
里見真桜の保育園時代からの親友。さっぱりとした性格の少女で、真桜のことを誰よりも大事に思っている。針栖川哲の真桜への気持ちは小学生の頃から気づいており、当初は親友を取られたくないという思いから彼のことを敵視していたが、不良たちに絡まれていたところを助けられたことから異性として意識するようになっていく。
門石 樹鈴 (かどいし じゅり)
里見真桜、松川咲の友人の少女。一緒に水着を買いにいったり、部屋に遊びにいったりするなど非常に仲がいい。オカルトを信じるタイプで、真桜の部屋で鏡に映る針栖川哲らしき姿を見てしまったことから、針栖川が死んで幽霊になったのだと思い込んでしまう。
徳江 岬 (とくえ みさき)
門石樹鈴の親友で里見真桜、松川咲とも親しい、縦ロールの髪型とメガネがトレードマークの女の子。知識が豊富で、くだらないことをよく知っている。オカルトなどはまったく信じておらず、針栖川哲の幽霊が出たと騒ぐ門石樹鈴に毎回ツッコミを入れていた。
須田 (すだ)
林間学校で里見真桜、松川咲と同じ班になった無愛想な男子。班内での打ち合わせの時に真桜の笑顔を見て以来、彼女のトリコになってしまう。キレやすくケンカっ早いと評判で、クラスメイトや教師たちから恐れられているが、実は意外と几帳面で優しい。小学校からの知り合いである椿からは「俊ちゃん」と呼ばれている。
椿 (つばき)
林間学校で里見真桜、松川咲の班の班長を務めた男子。小柄で女の子のような顔立ちをしていて女子に大人気だが、モテているというよりもマスコットとして扱われている。そのせいもあってか、きびきびとしていて男っぼい咲に憧れている。須田とは小学校時代からの腐れ縁で「俊ちゃん」「カズ」と呼び合う仲。
針栖川の父 (はりすがわのちち)
息子のエログッズを深夜にこっそり見るなど、くだけた性格のお気楽親父で、針栖川哲の休学の願いをあっさりと認めた。大学生の時に自転車日本一周やユーラシア大陸にバイク旅をした経験があり、妻とはアメリカでの横断ツーリングの途中で出会ったと語っている。
鏡 鏡子 (かがみ きょうこ)
魔法のアイテム「愛牢獄」を所持していた有名な女占い師。彼女の占いは絶対に外れることがないと評判だったが、なぜか半年前に店を閉めてしまい現在は休業中。「愛牢獄」のことをもっとも良く知る人物で、鏡の正体を知るために来訪した里見真桜たちに鏡の中から脱出する方法を教えた。オネエ言葉で話す息子がいる。
その他キーワード
愛牢鏡 (らぶみらー)
針栖川哲が閉じ込められた魔法の鏡。魔女が作ったといういわくつきの品だったが、鏡鏡子の息子が間違ってリサイクルショップに売ってしまい、里見真桜の手に渡ることになった。愛に満たされない孤独な心を吸い込んで捕える呪いの力がある。ただ、まったく出られないわけではなく、囚われた者は鏡のことを知る協力者と鏡越しに触れ合うことで、1時間だけ入れ替わることができる。 相思相愛のベストパートナーが現れ、囚われた者の心が愛に満たされれば完全に脱出することができるが、告白できるチャンスは一度きり。しかも、失敗すると囚われた者は永遠に鏡の奥底に消え去ってしまう。