概要・あらすじ
伊豆のとある集落にある閉鎖寸前の温泉旅館山里館に暮らす山里康成、龍之介の父子の元に謎の男溝田とおるという男が訪れる。彼は父子に立ち退きを迫る組合理事を舌先三寸でおい返し、一宿一飯のお礼に山里館再興のため一計を案じると言い出したのだった。
登場人物・キャラクター
山里 龍之介 (やまざと りゅうのすけ)
『限界集落温泉』の主人公の一人。伊豆下田の限界集落にある廃業状態の温泉宿山里館の息子で、小学校四年生の男子。短めに切りそろえた髪と比較的整った顔立ちが特徴。利発で理解力が高く、記憶力もいい。物事の本質を見抜く能力がある。学校の友達に対しては色々嘘をついてからかっている。声はソプラノで歌と絵が上手だが、体育は苦手。 父山里康成と二人暮らしで、母山里いずみは5年前に病死している。山里館の権利が川辺の手に渡ってしまうのを防ぐため、近くの洞窟に住み着いていたホームレスの溝田透を巻き込んで一芝居打つ。その後は溝田透の立てる山里館再生計画を手伝う。山里館にやってきたネットアイドル及川あゆの扱いが上手い。
溝田 透 (みぞたとおる)
『限界集落温泉』の主人公の一人。都会から伊豆下田の限界集落に逃げてきた元ゲームクリエイター。眼鏡と、後ろで縛った長髪が特徴の男性。洞窟でホームレスをしていたところを、廃業状態の温泉宿山里館の息子山里龍之介に誘われ、旅館の権利が川辺の手に渡ることを防ぐための芝居を打つ。 その後、自殺しようと山里館に入り込んだネットアイドル及川あゆと、彼女を追ってきたファンのおたく達を使って、山里館の再生計画を立てていく。映像に映る際には正体を隠すためサングラスを掛け、紙製あるいはマジックで書いたどじょうひげで変装しペルリ伯爵と名乗る。頭の回転が速く口が立ち、交渉力と企画力に長けている。 いいアイデアが浮かぶと「悪魔の微笑み」と呼ばれる恐ろしい形相で笑う。気力が切れると鬱で動けなくなる。
山里 康成 (やまざと やすなり)
伊豆下田の限界集落にある廃業状態の温泉宿山里館の主人。銀髪で眼鏡を掛け、やや鼻が大きいのが特徴の男性。5年前に妻山里いずみが病死し、息子山里龍之介と二人暮らし。何かをやる前に諦めてしまう男。旅館を立て直すため小説を書こうとしていた。元ゲームクリエイター溝田透の立てる山里館再生計画に困惑しつつもそれに乗り、最終的には下田市長選挙に立候補する。 真面目で気に病むタイプで、切羽詰まると頭や腹が痛くなるが、適度に酒に酔うとスラスラと話せるようになる。自殺しようと山里館に入り込んだネットアイドル及川あゆと性的関係を持ってしまう。
及川 あゆ (おいかわ あゆ)
ショートカットの美人で女性コスプレイヤー。日に数万ヒットを稼ぐネットアイドルでもある。自称23歳だがネットでは28歳と噂されている。国際アニメのディレクター平松と思われる人物と不倫しており、彼が構ってくれないため自殺を演じようと伊豆下田の限界集落にある廃業状態の温泉宿山里館に入り込んだ。 そこで山里館の息子山里龍之介、元ゲームクリエイター溝田徹と出会い、山里館を立て直すためのキーパーソンに祭り上げられる。自己中心的で無責任かつメンヘラ気味。ただし根は正直。右手の爪の爪半月をジュネ王子と名付けており、落ち込むと一人で会話する。 歌が下手で、その歌がネットで公開された際には歌詞の「見守る」が「びばぼる」に聞こえたためビバボル姫と仇名された。山里龍之介のことが気に入っている。山里館主人山里康成とは性的関係を持った。
金田一 琢磨 (きんだいち たくま)
やや太めの体格、小さめの目と広い鼻が特徴の男性で、プロのモデラー。ござる口調で話す。ネットアイドル及川あゆのファンで、彼女が伊豆下田の限界集落にある廃業状態の温泉宿山里館で自殺を図ろうとした際、止めるために山里館に乗り込んできたメンバーの一人。 その後、元ゲームクリエイター溝田徹と出会い、山里館を立て直すためのメンバー「アユの友」に組み入れられる。造形全般が得意だが陶芸は未経験。片手でアクションフィギュアのポーズ付けができる、という特技を持つ。
ロバート町田 (ろばーとまちだ)
長身で長い顔、坊ちゃん刈りが特徴の男性で、プロの漫画家。ただし賞は佳作止まりで、単発では雑誌に載るが連載はない。ロバート町田はペンネーム。20代後半。ネットアイドル及川あゆのファンで、彼女が伊豆下田の限界集落にある廃業状態の温泉宿山里館で自殺を図ろうとした際、止めるために山里館に乗り込んできたメンバーの一人。 その後、元ゲームクリエイター溝田徹と出会い、山里館を立て直すためのメンバー「アユの友」に組み入れられる。格闘技経験があり、実は痩せマッチョ。もともとアナログで絵を描いていたが、山里館でデジタル作画に挑戦する。 また対象をよく観察することの意味にも気がつき始める。
神保 ゆうじ (じんぼ ゆうじ)
眼鏡にパーマで、いつもソフト帽を被った男性。関東一ソフトという会社でゲーム音楽に携わっていたが、現在は仕事がなくて廃業寸前。ネットアイドル及川あゆのファンで、彼女が伊豆下田の限界集落にある廃業状態の温泉宿山里館で自殺を図ろうとした際、止めるために山里館に乗り込んできたメンバーの一人。 その後、元ゲームクリエイター溝田徹と出会い、山里館を立て直すためのメンバー「アユの友」に組み入れられる。音響機器に詳しい。またピアノの演奏できる。腕力はなく「DSより重い物は持てない」と冗談を言う。
川辺 (かわべ)
伊豆下田にある温泉宿天正館の主人で、旅館組合理事長。白髪で額を出した川端康成のような髪型で、太い眉にギョロ目の老爺。伊豆弁で話す。廃業状態の温泉宿山里館の借金を立て替えており、その権利を買い取って公共温泉施設に建て替えようと画策していた。 保守的な考え方の持ち主で、旅館の価値は一流の料理や建物の風情、訓練された仲居のもてなしなどにあり、奇抜な企画よりも大事なのは心だと考えている。天正館の経営は長男川辺和男に任せているが、遊び暮らしている次男川辺伊豆雄に期待を寄せている。
川辺 伊豆雄 (かわべ いずお)
伊豆下田にある温泉宿天正館の次男。茶髪で目付きの悪い男性。実家を出て一人暮らしをしている。一橋大学に二浪して入学できず早稲田大学を卒業、地元の建設会社に入ったが喧嘩により退職。31歳独身。無職で釣りや狩猟をしつつ遊び暮らしている。頭は切れる。 馬鹿にされるのが嫌いで田舎者扱いされるとキレる。都会者とサーファーも嫌いで、都会から来た溝田透が、廃業状態の温泉宿山里館を立て直そうとするのが気に喰わず、妨害を企てる。その手段の一つとして、サークルクラッシャー気質を持った新興宗教の信者中願寺有希を山里館へと送り込んだ。
康二 (こーじ)
小太りで髪が薄く、眼鏡と厚い唇が特徴。中年に見えるが28歳独身。伊豆弁で話す。伊豆下田の役所の職員。旅館組合理事長の川辺やその次男川辺伊豆雄の走狗として、廃業状態の温泉宿山里館の権利譲渡に協力する。一方でネットアイドル及川あゆのファンでもある。 彼女が、元ゲームクリエイター溝田透の山里館再生計画に協力しているため、協力メンバー「アユの友」に組み入れられ、山里館側にも便宜を図ることになってしまう。多重スパイのような状態だが口が軽く、双方にどんどん情報を漏らしてしまうため、スパイには向かない人物。またナチュラルに他人を苛立たせる言葉を放つ。 及川あゆから玉川上水と仇名を付けられている。
中願寺 有希 (ちゅーがんじ ゆき)
ロングヘアの女性で、美人。伊豆下田の限界集落にある廃業状態の温泉宿山里館に、ボランティアで手伝いをしたいと現れた。おたく系の知識はないが差別はせず理解を示す。また人は周囲に望まれる仕事をするべき、信じて努力すれば必ず叶う、とポジティブな思考を持つ。 美人で優しいためいわゆるサークルクラッシャー的な気質を備えているが、本人はなぜ自分の近づいたグループがギクシャクしてしまうのか理解していない天然系。実は新興宗教の信者で、山里館のおたくメンバーの内部分裂を狙う川辺伊豆雄の手引きで山里館に近づいた。山里館が富士山の爆発を抑えるパワースポットだと考えている。
大森 (おおもり)
太めの女性で、後ろでまとめた髪と細いツリ目が特徴。プロデビューしたネットアイドル及川あゆのマネージャー。プロ根性のない及川あゆに手を焼いており、逃げ出した彼女を追って伊豆下田の限界集落にある廃業状態の温泉宿山里館を訪れる。及川あゆを働かせられるのであれば、山里館を再生させたい勢力、潰したい勢力のどちら側にでも付く。 お菓子を大量に食べる癖がある。
但馬 真一 (たじま しんいち)
下田市長。白髪の男性で、眼鏡と長いもみあげが特徴。好色。伊豆弁で話す。市長を4期務めており、次の選挙でも対立候補が弱いため次回も当選確実と見られてはいるが、市民の評判はあまり良くない。旅館組合と癒着している。廃業状態の温泉宿山里館がネットアイドル及川あゆを担ぎ出して再生の道をたどっているのを快く思わない川辺伊豆雄の手引きで、成果を横取りするような形で横槍を入れる。 その後、山里館の主人山里康成が市長選挙に立候補したため、激しい選挙戦を演じることになる。
場所
山里館 (やまざとかん)
『限界集落温泉』に登場する温泉宿。伊豆下田の限界集落に建っている。大正時代以前に建てられた木造建築で、広い湯船は現在の基準では許可されない深さがあるのが特徴。経営に失敗して客足が遠のき、第1話の時点で最後の営業を終えて3ヶ月。浴場の蛇口も半分は水が出ないなど施設各部が破損しており、廃屋だと誤解されることもある。 主人の山里康成が息子の山里龍之介と二人暮らしをしており、仲居も板前も解雇してしまった。廃業状態だったが、元ゲームクリエイター溝田透、ネットアイドル及川あゆと彼女のファン達がこの旅館に偶然集まったことにより、再生への道を歩み出していく。