概要・あらすじ
登場人物・キャラクター
安倍 晴明 (あべの せいめい)
父は大膳大夫の安倍益材、母は人間ではなく、葛の葉という狐の子と噂される陰陽師。色白で長身、ポーカーフェイスで腹が読めないタイプ。貴族のたしなみもあり、万事対応がスマートで、一見友人の源博雅とは対照的。内裏の中心、紫宸殿の鬼門にあたる艮の方向に屋敷を構え、式神や人形、花の精などの物性を使役する。 幼い頃から特別な訓練なしに怨霊が見えるなど、異能の才に恵まれていたため、師匠・賀茂忠行に愛でられ、弟子として仕える。だが、忠行の子で賀茂家の跡継ぎの賀茂保憲との確執のため、賀茂家を飛び出した過去がある。友と呼べるのは、ほぼ博雅のみ。 非凡な能力と陰陽道の知識を武器に、博雅が持ち込む鬼や怨霊絡みの事件をあざやかに解決する。
真葛 (まくず)
10代の少女。鬼が見える見鬼のため、安倍晴明の屋敷に住み始める。度胸が座っており、負けず嫌いで、怨霊相手でも容赦しない。祐姫と双六をしたり、菅原道真のオヤジを碁で負かしたりしている。非常に弁が立つ。一人称はこれで、男言葉で話す。当時の貴族の女子の常道を逸しているため、源博雅には最初、人外の者だと思われた。 のちに晴明の妻となる。式神を使われるのが嫌いで、晴明をあごで使っている。また、晴明の元を訪ねる博雅をよくからかっている。晴明がよく家を空けるのに不満げだが、よく留守を守っている。
源 博雅 (みなもとの ひろまさ)
安倍晴明の無二の友。醍醐天皇の第一皇子、克明親王を父とする。今生天皇の甥にあたる。曾祖父は藤原北家の藤原基経。管弦の道を究めた殿上人だが、男女の機微の分からない朴念仁。そのため、詩歌は下手。楽器を持たせると食事も忘れるほどの管弦バカ。本人は無自覚だが、その笛の音は賊や怨霊の心を鎮めるほどの効果がある。 奥目で鼻が高い彫りの深い濃い顔で、当時としては美男ではない。実直で暑苦しい性格。怨霊の祐姫との約束も真面目に守るなど、人並みはずれて誠実な人柄のため、祟られるようなことのない人生を歩んでいる。生まれたときに天人が屋敷の上を舞ったという逸話がある。晴明と行動をともにして、よく着物をダメにするため、乳兄弟で忠臣の俊宏に、よく小言を言われている。
主上 (おかみ)
今生天皇、のちの村上天皇。よく楽の会を催しており、源博雅の管弦の才を愛でている。臣籍降下した親戚の博雅を通じて、たびたび安倍晴明に内密の相談を持ちかける。晴明には、よく「あの男」呼ばわりされている。
賀茂 忠行 (かもの ただゆき)
安倍晴明の師。陰陽寮に勤める陰陽師。温厚な人物。賀茂保憲の父で、師でもある。
賀茂 保憲 (かもの やすのり)
賀茂忠行の息子で、安倍晴明の兄弟子にあたる。凡庸だが努力家で、陰陽師としてそれなりの能力と地位を築くが、晴明の非凡な才と父の寵愛に嫉妬し、痛めつける。10代の頃の晴明は一時、自分に執着する保憲の念に悩まされた。だが、保憲もまた自分の内面をみつめ、晴明に対する執心を手放すことで魂のステージを上げる。
菅公 (かんこう)
『陰陽師』に登場する怨霊。菅原道真のなれの果て。眷属を従えた怨霊の元締。白菊好き。大宰府に左遷した藤原時平を深く怨んでおり、いじめている。怨霊になった今も理屈っぽく、勉学や詩歌を重んずる。
寿水 (じゅすい)
元は図書寮の役人の坊主。両親の病死をきっかけに、隠居がわりに出家。桂川近くの妙安時に籠って般若経の写経をしていたところ、百日余りすぎたところで怪異にあう。羅の単姿で妙に色っぽい口なし女が、夜毎現れるようになり、源博雅を通じて安倍晴明に相談。
赤毛の犬麻呂 (あかげのいぬまろ)
盗人。播磨国で坊主をやっていた頃に金無垢の如来を盗み出したのが始まり。返り血ばかり浴びているため、赤毛の異名がある。油屋に強盗に入って失敗した後、破れ寺のような晴明宅に入りこむが安倍晴明にからかわれ、化け物屋敷と逃げ出す。羅城門前の朱雀大路で、牛車に乗って内裏に向かう女の鬼と遭遇して魂が抜けたようになり、熱を出して死ぬ。
藤原 成平 (ふじわらのなりひら)
女好きの公家で源博雅の身内。広沢の遍照寺で安倍晴明と遭遇した際に、方術の腕を試そうとして仕返しにあう。朱雀大路の七条大路を過ぎた辺りで、牛の牽かない牛車に遭遇。後日退治しようとして、逆に啖われる。
祐姫 (すけひめ)
『陰陽師』に登場する怨霊。民部卿元方の娘でプライドが高く、キレやすい性格。主上の第一皇子広平親王の母。中宮安子の憲平親王に東宮の座を奪われ、息子広平親王にも死なれて、父元方と憤死。成明と憲平に祟っている。安倍晴明の屋敷に入って身動きできなくなり、真葛の遊び相手として双六をやらされたことがある。 元方とセットで現れることが多い。
黒川主 (くろかわぬし)
『陰陽師』に登場する化生の者。賀茂忠輔の孫娘、綾子の元に通うする妖物。人の姿をしているが、尾が生えている。女童に化けたカジカを供に連れている。実は、堀を魚を荒らすので忠輔に退治された獺の一家の生き残り。仕返しをしようとするうちに、綾子に懸想するようになる。安倍晴明に捕まった後、綾子が生んだ子をくわえて逃げる。
賀茂 忠輔
鴨の上流に住む鵜匠。両親を流行り病でなくした孫娘綾子と二人で暮らす。鵜飼いとしては一度に20羽異以上の鵜をさばくといわれる腕前。綾子が夜中に化生のものと逢瀬を重ねているのを目撃し、退治しようとする。
智応 (ちおう)
八条大路の西のはずれに住む憑きもの落としで評判の方士。黒川主を縛り上げることに成功する。右目をえぐって眠ったままの綾子を起こす方法を吐かせようとするが、喉を喰いちぎられ、水遁の術で逃げられて重症に。
その他キーワード
玄象 (げんじょう)
『陰陽師』に登場する楽器。付喪。亡き醍醐天皇が秘蔵とした唐渡りの琵琶。唐から渡ってきた旅の楽士漢多太の作。生前の妻スーリヤにうりふたつの女官玉草に懸想した鬼の漢多太が、偶然見つけて宮中から盗み出した。羅城門の上で奏しているところを源博雅に見つかり、安倍晴明の策略で漢多太の霊が玄象に憑いたのちは、さまざま不思議なことを行うようになる。 作中では、よく毛むくじゃらの手足の生えた琵琶の姿で描かれる。
クレジット
- 原作
ベース
陰陽師