隣りのタカシちゃん。

隣りのタカシちゃん。

明るくおバカな女子高校生と、その幼なじみのクールで優秀な東大生男子。対称的な二人が再び交流を持ったのをきっかけに、少しずつ距離を縮めていく姿を描いたラブコメディ。「別冊マーガレット」1999年8月号から2002年2月号にかけて連載された作品。

正式名称
隣りのタカシちゃん。
ふりがな
となりのたかしちゃん
作者
ジャンル
ラブコメ
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あらすじ

第1巻

交際相手にいつも裏切られてしまう恋愛運のない女子高校生、久保田紗希は、ついに男性不信に陥り、次の恋愛では相手を自分に惚れさせ、徹底的に利用してやろうと考えるようになっていた。そんなある日、紗希は母親から、隣家に住む幼なじみの澤井タカシが東京大学に合格したという話を聞く。タカシの将来性を見込んだ紗希は、長らく疎遠になっていたことも気にせず、さっそくアプローチを始める。しかし、幼い頃は気弱で、いつも紗希の言いなりだったタカシは、別人のようにクールで辛辣な性格に変貌していた。

第2巻

ゴールデンウイークの旅行で、久保田紗希浦霞涼は、2人そろって澤井タカシにはっきりとふられてしまった。すっぱり想いを諦めた涼に対し、紗希はどうしても納得がいかず、自分の何がいけないのかを真剣に考えていた。そこに、紗希に想いを寄せる玉井が現れる。玉井の気持ちを有難く思いつつも、現在はタカシ一筋の紗希は、玉井の一方的な想いや積極的すぎる行動に辟易してしまう。そして、タカシにとっての自分も同じであったと気づき、紗希は自身のこれまでの行いを反省する。結果的に紗希は、玉井の想いを誠実に受け止めつつも交際を断り、少し人間的に成長する。しかし、今度はタカシの元交際相手の越乃彩が現れ、紗希は焦るのだった。

第3巻

久保田紗希は、友人であり家庭教師でもある浦霞涼に課されたテストの目標点数を達成できず、罰として澤井タカシに当面会えず、別途塾通いもするという「タカシちゃん禁止令」を出されてしまった。しかし、仕方なく通い始めた学習塾「山田ゼミナール」でタカシが講師を務めていることがわかり、紗希はがぜんやる気を出す。楽しい塾生活が始まるかに思えたところで、塾仲間の大関由美もまたタカシに想いを寄せていると明らかになった。こうしてライバルとなった紗希と由美の2人は、タカシの気を引くため、勉強で勝負するようになる。

第4巻

久保田紗希は、学習塾「山田ゼミナール」の開催する夏季合宿中、誤って崖から海に転落してしまう。そんな紗希を助けたのは、喧嘩をして気まずくなっていた澤井タカシであった。事件を機に自分の想いを自覚したタカシは紗希に想いを伝え、2人はついに両想いとなる。とうとう訪れた幸せに有頂天になる紗希だったが、合宿から帰ったとたん、父親の名古屋への転勤が決まったと知らされる。一度は名古屋行きを了承した紗希だったが、タカシと遠く離れるのはやはりどうしても耐え切れず、家族と相談した結果、直近の模試で点数が国立大学の合格圏内に入った場合のみ、東京に残って一人暮らしすることを許可される。こうして紗希の猛勉強の日々が始まった。

第5巻

秋。模試で思うような結果は残せなかったが、十分に成績が伸びた久保田紗希は、家族と離れ、東京での一人暮らしを許されていた。しかし、一人暮らしの条件として小遣いをストップされた紗希は、澤井タカシとのデート資金を稼ぐため「白菊書店」でアルバイトを始める。そのアルバイト初日、紗希はアルバイト仲間である神亀を万引き犯と間違え、早速トラブルを起こしてしまう。そのお詫びとして、紗希は神亀の「ストリートカウンセラー」活動を手伝うことになった。そこで、怖い人物だと思っていた神亀のかわいらしい人柄に触れた紗希は、一気に神亀と親しくなっていく。だが、紗希がアルバイトを始めた理由を知らないタカシはそれを快く思わず、さらにタカシが学際の準備で忙しいことも重なって、紗希とタカシは喧嘩になってしまう。次の日、反省し謝ろうとする紗希だったが、突如体調を崩し倒れる。そこで紗希を助けたのは、タカシではなく神亀だった。そして紗希の盲腸が発覚し、紗希はタカシと気持ちがすれ違ったまま、入院生活を余儀なくされてしまう。

第6巻

冬。久保田紗希は盲腸で緊急入院、澤井タカシは学際の準備と、2人は長らくすれ違い生活が続いていた。しかし、紗希の退院を機に仲直りをし、ようやく平穏な日々が戻ってきた。ある日、もっとタカシとの距離を縮めたいと考えた紗希は、タカシの通う東京大学へ見学に行く。そこで紗希はタカシの友人の花伊吹と知り合うが、浦霞涼の「伊吹は強力なライバルである」という意図の忠告が理解できず、「自分とタカシは安泰なので大丈夫」と答えてしまう。そんな中、紗希とタカシの子供の頃の友人、春鹿富蔵が現れる。アメリカ合衆国の学校を卒業した富蔵は、以前から紗希に想いを寄せていたと2人に明かし、帰国を機に、紗希に再度アプローチを始めるのだった。富蔵の行動に驚きつつも、紗希は年末年始タカシと離れ、名古屋から戻ってきた家族や富蔵とともに過ごすようになる。しかし、元旦にタカシに電話をした際、タカシがなぜか伊吹といっしょにいることが発覚する。不安でならない紗希は、富蔵と共に出雲へ向かう。

第7巻

澤井タカシ花伊吹は2人きりで出雲に行ったのではなく、大学のゼミの教授も交えてのものだった。タカシに対する疑いは晴れたものの、出雲でのわがままで身勝手な行動を恥じた久保田紗希は反省し、タカシの負担にならない、理解ある恋人を目指そうとする。一方その頃、タカシは教授と共に、伊吹とアメリカ留学する話を進めていた。その話を知った浦霞涼は紗希を案じ、タカシに「紗希にいつ話すのか」と聞くが、タカシはなかなか言い出せない。そんなある日、タカシのゼミのパーティに誘われた紗希は、会場で教授の口からタカシと伊吹の留学を知ってしまう。ショックを受ける紗希にタカシは別れ話を持ち掛け、紗希はタカシのためにそれを受け入れる。

第8巻

久保田紗希澤井タカシへの想いを吹っ切るために、東京を離れて両親の住む名古屋への引っ越しを決意する。浦霞涼は紗希とタカシが分かれた原因の一端が花伊吹にあると考え、伊吹に腹を立てていたが、そのあいだにも紗希の引っ越しは近づいていく。しかし、そこで突如タカシが「留学をやめ、紗希のそばにいる」と言い出す。紗希は驚きつつも、タカシの言葉が信じられず、タカシがまた意見を翻すのではないかと素直に喜べずにいた。紗希の反応に、自分がいかに彼女を傷つけたかを痛感したタカシは、自らの行いを悔い、紗希に贈り物をするのだった。

登場人物・キャラクター

久保田 紗希 (くぼた さき)

黄桜高校に通う2年生の女子。前髪を眉上で短く切り、髪を肩につくほどまで伸ばした外はねセミロングヘアにしている。春鹿富蔵からは「紗希っぺ」と呼ばれている。明るく単純な性格をしている。何かと策を講じることもあるが、根は素直で善良なため、あまりうまくいかず、むしろ騙される方が多い。異性に関しては極端に見る目がなく、誠一やヤスノブなど、交際相手には、いつも浮気されて裏切られてしまう不幸体質。 そのため男性不信に陥り、優秀な男性を自分に惚れさせ、利用する人生を送ろうと考えるようになった。そこで幼なじみの澤野タカシに目をつけるが、冷たいようで親切なタカシに本気で恋してしまい、熱烈なアプローチをするようになっていく。偏差値が低い黄桜高校の中でも、際立って成績が悪く、また特技や熱中している趣味があるわけでもなければ、将来の夢もない。 そのため自分には何もないと感じており、自信が持てずにいた。しかし、タカシに釣り合う女性になりたいという思いと、タカシを通じて親しくなった浦霞涼の協力も得て、真面目に勉強するようになっていく。首の後ろに、2歳の頃、公園でブランコに乗っていたタカシとぶつかった際にできた大きな傷跡がある。 久保田紗希自身はまるで気にしていないが、タカシは今でも怪我をさせたことを申し訳なく思っている。性に対する関心が人一倍強く、よくタカシに迫っては逃げられている。

澤井 タカシ (さわい たかし)

東京大学に通う1年生の男子。久保田紗希の幼なじみにして想い人でもある。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした癖のあるショートカットの髪型をしている。何事にも動じない、クールで落ち着いた辛辣な性格。しかし、子供の頃はおとなしく気弱で、いつも紗希の言いなりだった。紗希と親しかったのは子供の頃で、その後は大学入学まで疎遠になっていたが、東京大学進学を機に、澤野タカシの将来性に目をつけた紗希と、再び交流を持つようになった。 昔は紗希に数々の意地悪をされており、再会当初はそれを根に持っていた。しかし、同時に紗希が2歳、タカシが4歳の頃に起きた衝突事故で、紗希に大怪我をさせてしまったことを今でも悔やんでおり、紗希がどんなに呆れるような行動をとっても見捨てず、なんだかんだと面倒見がいい。 容姿もよく、優秀に育ったために女性に人気があるが、タカシ自身は本気で恋愛をしたことがない。学習塾「山田ゼミナール」でアルバイトしており、講師を務めている。

浦霞 涼 (うらがすみ りょう)

東京大学に通う1年生の女子。学部は文Ⅱに所属している。澤井タカシと久保田紗希の友人。髪型は、前髪を真ん中で分けて額を全開にし、胸まで伸ばしたストレートロングヘア。気が強く自信家で、思ったことをはっきりと言う性格。タカシに想いを寄せており、出会った当初は紗希をライバル視し、何かにつけ意地悪を言っていた。しかし紗希個人を嫌っているわけではなかったため、一緒に過ごすうちに紗希と親しい友人関係になっていく。 紗希とはタカシを通じて知り合い、タカシが紗希の家庭教師をやめたのと入れ替わりに、紗希の家庭教師となる。のちにタカシにはふられてしまうが、そこですっぱり諦め、その後は紗希とタカシの関係をサポートするようになる。特に紗希の父親の名古屋転勤が決まり、紗希の東京での一人暮らしが始まってからは、紗希の監視役として久保田家に住むほど親しくなる。 家はお手伝いさんを雇っているほど裕福。そのため、苦学生で自分とは性格も育った環境も真逆の花伊吹は苦手。伊吹に関する話題になると、つい刺々しくなってしまう。クールな雰囲気の美人でもてるが、恋人はおらず、男性経験はない。 ちなみに笑い方が不気味で、紗希には「笑うと美人が台無し」と言われている。

神亀 (しんかめ)

「白菊書店」でアルバイトしている若い男性。久保田紗希のアルバイト仲間。前髪を上げて額を全開にし、髪全体を後ろに向かってツンツンにはねさせたショートカットヘアにしている。背が高く、がっしりとした身体つきをしている。やや単純だが、穏やかで、人の気持ちに敏感な心優しい性格。カウンセラーを目指しており、書店でのアルバイトに加え、街で道ゆく人の悩み相談に応える「ストリートカウンセラー」としても活動している。 しかし、なかなか相談されず困っていたところ、「白菊書店」の新アルバイトとしてやって来た紗希と出会い、紗希に迷惑をかけられたお詫びとして、「ストリートカウンセラー」のサクラになってくれるよう頼む。それがきっかけで紗希に想いを寄せるようになるが、最終的には紗希の澤井タカシへの想いを理解したのと、アルバイトをやめたのが重なり、紗希のもとから去っていく。 カウンセラーを目指しているが、恋愛の話題、特に性に関する話題は苦手。学校では非常に慕われており、後輩の女子達からも人気がある。

春鹿 富蔵 (はるしか とみぞう)

久保田紗希と澤井タカシの友人で、タカシと同じ年齢の男性。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、肩につくほどまで伸ばした外はねセミロングヘアに、無精ひげを生やしている。カウボーイファッションを好んで身につけている。明るく元気で、やや強引な、非常に情熱的な性格。紗希とタカシとは、春鹿富蔵が小学4年生の頃にアメリカ合衆国に引っ越してしまうまで、3人で仲がよかった。 紗希が高校2年生、タカシが大学1年の9月にアメリカの高校を卒業し、その後しばらくアメリカ中を放浪したあと、12月に日本に戻って来た。子供の頃は小柄を理由にいじめられており、タカシしか同学年の友人がいなかった。紗希とは当時喧嘩ばかりしていたが、引っ越し間際、当時とても欲しがっていたものをプレゼントしてもらったのがきっかけで、紗希を意識するようになっていた。 アメリカから日本に戻る際、掃除中にそのプレゼントを発見し、紗希に会いたくなって、いきなり久保田家を訪れた。以来、紗希に熱心にアプローチするようになる。

花 伊吹 (はな いぶき)

東京大学に通う1年生の女子。学部は文Ⅰに所属している。澤井タカシの友人。前髪を目の上で切ったショートカットの髪型をしている。小柄で、眼鏡をかけている。実家は出雲にあり、普段は標準語で話しているが、母親と話す時は島根弁が出る。物静かで目立たない性格で、容姿も地味なため、花伊吹自身は、自分を女性扱いされないタイプと考えている。 家は母子家庭で金銭的にあまり余裕がなく、大学にも奨学金で通っている努力家。タカシとは非常に親しく、密かに想いを寄せているが、自分に自信がないために言い出せずにいる。

誠一 (せいいち)

久保田紗希の元恋人の男子。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、肩につくほどまで伸ばしたボブヘアにしている。「誠一」という誠実そうな名前に反し、いい加減で浮気性。紗希との交際当時も、並行して別の女性と交際していた。ある日、浮気相手の女性とラブホテルから出てくるところを、紗希に目撃されたことをきっかけに別れた。その後、よりを戻そうと、再び紗希に会いに来るが、紗希が困っているのを察した澤井タカシにより撃退された。

ヤスノブ

都立N校に通う男子。前髪を眉上で短く切った、ふんわりしたショートカットの髪型をしている。久保田紗希とは、紗希が澤井タカシを諦めようと考えて参加した合コンで知り合った。出会ってすぐに紗希を気に入り、デートの約束をする。しかし、実は紗希を仲間と集団強姦しようと考えており、偶然その思惑を知ったタカシにより阻止された。 将来の夢は医者。

玉井 (たまい)

久保田紗希と同じ高校に通う2年生の男子。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして左寄りの位置で分けた、ショートカットの髪型をしている。真面目で誠実な性格。一方でやや執念深く、しつこい一面がある。紗希に想いを寄せており、ある日、告白をする。その際、紗希に「澤井タカシと交際している」と噓をつかれるが諦めきれず、タカシに会いたいと言い出す。 その後、紗希とタカシの関係を不審に思って紗希を問い詰めるが、紗希が噓を認め、タカシとの本当の関係を正直に話したために諦めて去って行った。

越乃 彩 (こしの あや)

澤井タカシの元恋人で、高校時代の同級生の女子大学生。前髪を目の上で切り、髪を耳の下まで伸ばした外はねボブヘアにしている。高校時代は髪型が違い、現在よりも地味な印象。前髪を眉上で切り、肩につくほどまで伸ばしたストレートセミロングヘアだった。穏やかで落ち着いた可愛らしい雰囲気で、一見儚げ。しかし芯が強く、恋愛においてもライバルに対して決して引かない手ごわい人物。 タカシとは高校生の頃に交際していたが、越乃彩に他に想い人ができたので別れた。しかし新恋人とはすぐに破局してしまい、タカシとよりを戻したいと考えたものの、タカシが断ったことにより疎遠になっていた。その後、高校の同窓会で再会したのを機にタカシに再度アタックし、家庭や学校での悩みを相談したいという口実で、タカシのもとへ頻繁に会いに来るようになる。 しかし、それを久保田紗希に指摘されて認め、タカシに「相談には乗るが、もう彩のことを恋愛対象としては見られない」と言われて諦め、去って行った。

大関 由美 (おおぜき ゆみ)

学習塾「山田ゼミナール」に通う高校2年生の女子。久保田紗希の塾仲間であり、澤井タカシを巡る恋のライバルでもある。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、ロングヘアを高い位置でポニーテールにした髪型をしている。色黒で三白眼。派手なギャルファッションとメイクを好んでいる。一見チャラチャラしているが、根は素直な性格。タカシに想いを寄せており、自分より遅れて入塾した紗希と親しくなるものの、紗希も同じくタカシを想っていることを知って焦る。 紗希よりもよい成績を取ってタカシにアピールしようと考えたが、その想いを朝香に利用され、朝香が不正入手したテスト問題を受け取ってしまう。問題が解決したあともタカシのことをは諦めておらず、しばらく紗希とライバル関係を続けていた。 夏合宿でタカシに振られ、同時に紗希とタカシの絆の深さを知って諦めた。

朝香 (あさか)

学習塾「山田ゼミナール」でアルバイト講師を務める男子大学生。澤井タカシや浦霞涼と同じく、東京大学に通っている。髪型は、前髪を真ん中で分けて額を全開にし、髪を肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘア。久保田紗希の元恋人である誠一に容姿や雰囲気が少し似ている。明るくチャラチャラとした性格で、女性に対して手が早いという噂がある。 実は以前、涼に想いを寄せていたが、「タカシが好きだから」という理由で交際を断られ、以来タカシを一方的に敵視している。そのため、タカシと親しい紗希に目をつけ、タカシから紗希を奪おうと画策。しかし、最終的にはその思惑がタカシにばれることとなった。それからは涼に叱られたこともあり、紗希とタカシの友人として付き合うようになった。

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