新選組の生き様を綴る青春群像劇
本作は、安田剛士の『青のミブロ』の第2部であり、物語は芹沢鴨の死後、壬生浪士組が「新選組」と名を改めて再始動するところから始まる。前作に引き続き、におが主人公を務めており、新選組の隊士が増員されたことで、群像劇としての要素がより一層強くなっている。序盤では新たに加わった隊士たちの紹介や、隊士同士が競い合う剣術大会のエピソードが描かれ、シリアスな展開の中にも日常的なギャグが織り交ぜられている。なお、前作『青のミブロ』は、京都を愛する心優しい少年、におの視点を通じて、まだ「壬生浪士組」と呼ばれていた時代の新選組の日常や戦いを描いた時代劇で、テレビアニメ化をはじめとするさまざまなメディア展開が行われている。
壬生浪士組が新選組として再始動
文久3年の秋。剣客集団「壬生浪士組」は重鎮の芹沢を失い、その名を「新選組」に改め、新たな道を歩み出す。新選組の監察方として活動するにおは、同年代の斎藤や芹沢太郎と共に切磋琢磨しながら成長を遂げていた。一見平穏に見える日常や鍛錬の裏では、規律を維持するために厳格な「局中法度」が定められ、理想と現実の狭間で組を去る者も現れるなど、隊士たちのあいだにはさまざまな変化が生じていた。そんな中、新選組を狙う謎の剣客、岡田以蔵によって隊士が殺害される事件が発生する。この岡田以蔵との対峙を通じて、つねに笑顔を絶やさない天才剣士、沖田総司の秘められた過去が明らかになる。
新選組、池田屋事変前夜
仲間の死によって、藤堂平助は自責の念に苛まれていた。一方で、八番隊に新たに加わったかつての芹沢五人衆の一人、野口健司の不審な行動が目立ち始める。野口は、ある目的のために隊の資金を不正に流用しており、その結果、局中法度により切腹を命じられる。この出来事は、新選組の副長の一人である山南敬助の心にも大きな影を落とし始めていた。 同時に、新選組は将軍、徳川家茂の再上洛に伴い、警護の任務に向かうことになる。大坂での新たな出会いは、隊士たちを新たな戦いへと導いていく。やがて、京都では討幕派浪士たちの不穏な動きが強まり、物語は新選組の歴史における最大の見せ場であり、最恐の修羅場と称される「池田屋事変」へと移行していく。京都や大坂での任務、そして次々と起こる事件を通じて、隊士たちの信念や葛藤が掘り下げられ、迫力ある剣戟シーンも大きな見どころとなっている。
登場人物・キャラクター
ちりぬ にお
新選組監察方に所属する少年。初登場時の年齢は13歳。真っ白な長髪と青い瞳を持ち、人目を引く美しい容姿をしている。以前は髪を下ろしていたが、現在はポニーテールにまとめている。実直な性格で、弱い者を守りたいという強い正義感を秘めている。元々は京都の団子屋で育ての親である老婆と暮らしていたが、土方歳三との出会いをきっかけに壬生浪士組に入隊した。優れた観察眼と洞察力の持ち主で、その能力はまだ未熟な剣術を補うためにも活かされている。
斎藤 はじめ (さいとう はじめ)
新選組の十番隊に所属する少年。初登場時の年齢は13歳。近藤勇に拾われ、壬生浪士組に入隊した。口が悪く冷淡な態度をとることが多いが、時には冷静な判断力や面倒見のよさを発揮することもある。当初はその冷酷さが際立っていたが、におや太郎と共に戦う中で徐々に情に絆(ほだ)され、心身共に大きな成長を遂げた。本名は「次郎」だが、幼少期の育ての親であった斎藤一の死をきっかけに、その名を受け継ぎ「斎藤はじめ」と名乗るようになった。剣術の腕前は大人にも引けを取らず、つねに強さを追い求め、剣の道を究めるために修練を続けている。
芹沢 太郎 (せりざわ たろう)
新選組の二番隊に所属する少年。初登場時の年齢は13歳。かつて「田中太郎」と名乗り、芹沢に拾われて壬生浪士組の雑用係を務めていた。奉公先を転々とする中で厳しい扱いを受けてきたため、生きるためには手段を選ばない執着心と、したたかな強さを身につけている。しかし、におと出会ってからは本音を吐露するようになり、本来の毒舌家でお調子者な一面を見せるようになった。
前作
青のミブロ (あおのみぶろ)
安田剛士が長期連載となった「DAYS」シリーズ完結から、『PAUSE-ポーズ-』の短期集中連載を経てスタートした作品。幕末の京都を舞台に、剣客集団「壬生浪士組」の一員となったちりぬにおの出会いや戦いを... 関連ページ:青のミブロ
書誌情報
青のミブロー新選組編ー 7巻 講談社〈講談社コミックス〉
第1巻
(2024-09-17発行、978-4065367612)
第2巻
(2024-11-15発行、978-4065374252)
第3巻
(2025-01-17発行、978-4065380741)
第4巻
(2025-03-17発行、978-4065387115)
第5巻
(2025-05-16発行、978-4065393567)
第6巻
(2025-07-16発行、978-4065400067)
第7巻
(2025-10-17発行、978-4065411063)







