青のミブロ

青のミブロ

幕末の京都を舞台に、剣客集団「壬生浪士組」の一員となったちりぬにおの出会いや戦いを描いた青春活劇。「週刊少年マガジン」2021年46号から掲載の作品。

正式名称
青のミブロ
ふりがな
あおのみぶろ
作者
ジャンル
幕末
レーベル
講談社コミックス(講談社)
巻数
既刊13巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

壬生浪と少年

1863年の京都。長い白髪と青い瞳を持つ独特な風貌の少年、ちりぬにおは、団子屋「ちりぬ屋」を営む婆ちゃんに引き取られ、血のつながっていない妹のちりぬいろはと三人で店を切り盛りしていた。そこに客としてやって来たのが土方歳三沖田総司で、彼らは江戸からやって来た剣客集団「壬生浪士組」に所属する浪人だった。歳三は、手際よく働くにおが利発で洞察力が鋭いことに気づき、壬生浪士組に入らないかと誘う。におは両親を殺された孤児で、ちりぬ屋で働くまでたくさんの辛い思いをしたり、恐ろしい光景を見てきた過去を持つため迷った末に、自分も強くなって幼い子が理不尽な目にあうような世の中を変えたいと願い、婆ちゃんといろはに別れを告げて壬生浪士組に加入する。だが、そんなにおの思いとは裏腹に、壬生浪士組は町の人々から悪の集団と恐れられ、屯所は「鬼の棲(す)み家」と呼ばれて悪い噂(うわさ)が絶えなかったが、屯所にやって来たにおは壬生浪士組の隊士たちの優しさに少しずつ打ち解けていく。こうして、歳三たちと出会ったことで運命が動き出したにおは、内に秘めていた不条理に対する怒りと、世界を変えたいという純粋で誠実な志を胸に、新たな人生を歩んでいく。それは時に己の無力さに傷つき、残酷な真実に震えながらも「誠の道」を駆け抜けていく、激動の青春の始まりでもあった。物騒な事件が絶えない京の街で何が起きているのかを知りたいと思ったにおは、総司たちといっしょに街の見回りに出かける。そんな中、三条大橋のさらし首を目の当たりにしたにおは、「正義の天誅(てんちゅう)」の名目で人を殺した者が英雄扱いされていいのかと、疑問や葛藤を抱いていた。正義や真実について疑問を持ちながらも、壬生浪士組での仕事を粛々とこなしていたにおは、彼と同様に京都で壬生浪士組に加わった「三人の狼」の一人である田中太郎と出会う。太郎は破天荒な芹沢鴨に拾われる形で壬生浪士組の一員となり、日々雑用をこなしていたが、鴨からは奴隷のような扱いを受けていた。過去の凄惨な体験から憎しみと狂気を秘める太郎に興味を持ったにおだったが、そんな二人は鴨が起こした残酷な事件に巻き込まれてしまう。

敵の名前

素直で優しいが心の奥で正義を燃やすちりぬにおは、嫌われ者の浪士集団「壬生浪士組」、通称「壬生浪」に入隊したことで人生が大きく変わっていく。激動の青い春が幕を開けたにおと、強く勇ましい闘志を燃やす壬生浪士組の隊士は、「京の街を守る」という青き志を胸に「誠の道」を突き進む。曲者(くせもの)ぞろいの集団の中で、におは少しずつ認められ始められた矢先、芹沢鴨が隊員の一人である殿内を斬るという事件が起こる。鴨から殿内の遺体の始末を命じられた田中太郎を心配したにおは、遺体の様子を見てあることに気づき、遺体の始末を任せて欲しいと告げる。次の日の朝、橋の上に置かれた殿内の遺体を見た鴨は、太郎とにおが遺体に小細工をしたと察して二人を問い詰める。仲間殺しの真実を問いただすため、一歩も引かずに鴨と対峙(たいじ)するにおは、殿内が壬生浪士組を売ろうとした裏切り者であり、鴨は酔った勢いで殺したのではなく、仲間を守るために殿内を粛清したのではないかと指摘する。鴨は正直に真意を明かすことはなかったが、におは彼の中にある一つの正義を見出すのだった。後日、土方歳三斎藤はじめに付き添って見回りに出かけたにおは、はじめの特技が居合いであることを知る。一方、京都では夜な夜な辻斬り事件が発生し、会津藩関係者を殺害する五人の暗殺者集団が潜んでいることが発覚。会津藩に呼び出された壬生浪士組は、暗殺者捕縛の密命を受ける。におは最強の仲間たちと共に街を探索していると、はじめが暗殺者たちと接触して新たな戦いに巻き込まれる。討幕を目論む攘夷(じょうい)派と対峙するこの事件は、におに新たな決断と覚悟をもたらす。

それぞれの正義

京の街を守るため、「壬生浪士組」に入隊したちりぬにおは、京都に血の雨を降らせる凶刃に遭遇したことで大きいに動揺する。戦いの中で芽生えたさまざまな思いが交錯する中、壬生浪士組対討幕派の暗殺者五人、それぞれの正義を懸けた激闘は加速していく。会津藩を狙う過激派の暗殺者の一人、木村寿太郎と対峙したにおと斎藤はじめは、初めて相対した敵の正義と覚悟に触れる。そのうえで一つの決断を下したにおのもとには、もう一人の暗殺者で忍でもある京四郎も駆けつける。たとえこの国の未来を思う熱き志と覚悟に触れても、己の中に譲れぬ正義がある限り、におは壬生浪士組の一員として剣を取り、仲間と共に暗殺者たちに立ち向かっていく。におは、まずは寿太郎と戦うことになるが、戦いの途中で寿太郎に負けそうになったにおは、壬生浪士組を抜けて討幕派に入るよう勧誘される。その後、近くの川に落ちたにおのもとに駆けつけたのは、暗殺者の捜索をしていた沖田総司田中太郎だった。戦いは寿太郎と総司の一騎打ちに発展するが、議論ではなく剣士らしく剣で語り合うことを好む総司の剣は、敵を一瞬で討ちはらう。次の日の朝、気を失っていたにおは屯所で目覚め、土方歳三のもとへ出向いてふだん使っている木刀とは別に、自分用の真剣が欲しいと申し出る。話を聞き入れた歳三から剣を受け取ったにおは、人を斬る武器を持つことの重みを感じながら、以前と変わらぬ志を胸に新しい一歩を踏み出し、会津藩の者を暗殺することで世の中を変えようとする暗殺者を止めようと決意。見張りをしていた太郎と共に、先日出会った呉服屋の少年、世都のもとへ向かい、におは世都が暗殺者たちに会津藩や壬生浪士組の情報を、伝書鳩(でんしょばと)を使って流していたのではないかと問い詰める。暗殺者の潜伏先に関する新たな情報を得た壬生浪士組は、潜伏先として疑われている宿屋へ急行し、におと太郎、近藤勇の三人は、2階の一室で三人目の暗殺者と思われる謎の老人に遭遇する。だが、宿内で刃物を振り回さないという約束を店員と交わしていた勇は、見知らぬ老人相手に予想外の行動に出る。

強さの種類

京都に現れた暗殺者捕縛の功績を称えられ、「壬生浪士組」は正式に会津藩お預かりの組織として、京都の治安維持を任されることになった。それを祝う盛大な宴(うたげ)のあと、壬生浪士組はちりぬにおの提案でそろいの羽織を作り、それを新しい隊服にすることが決まる。さらに土方歳三の提案で、羽織の紋様や柄を婆ちゃんに任せることになり、におと斎藤はじめ田中太郎の三人は久ぶりに「ちりぬ屋」へと向かう。再会したばかりの婆ちゃんから店の手伝いを任されたにおたちは、しばらくのあいだは三人で店に泊まり込んで手伝いをすることになる。はじめや太郎も婆ちゃんとの交流を深め、におは過去のことを彼らに語りながら、たくましく生きる婆ちゃんから強さのあり方を改めて感じ取っていた。そんなある日、ちりぬ屋を訪れた謎の美少年、菊千代との出会いをきっかけに平穏な日常が崩れ、におたちは京都を揺るがす新たな事件に巻き込まれることになる。菊千代の命を狙う謎の集団を率いるのは、長剣をあやつる真っ白な着物をまとった剣士の直純で、彼と菊千代の出現は壬生浪士組の新たな戦いの幕開けを意味していた。直純とその仲間たちから逃げ惑う中、店にやって来た歳三、沖田総司藤堂平助の三人と合流したにおたちは、改めて菊千代が命を狙われている理由を聞くが、直純たちの正体はわからぬまま、菊千代の正体が征夷(せいい)大将軍の徳川家茂(いえもち)であると知る。なんとしても菊千代を直純たちから守り抜いて二条城へ無事に送り届けるという任務を担った壬生浪士組は、婆ちゃんの協力も借りながらいくつものグループに別れて散り散りになり、におが提案したかく乱作戦に出る。そんな中、におは菊千代と二人で行動することになり、彼が街に連れて来ていた馬と合流するも、彼の命を狙う直純に再び遭遇してしまう。直純は日本をかつてのような戦乱の「武士の国」に戻す「血の立志団」を名乗り、目的のために菊千代の命が必要なのだと語る。そんな直純との圧倒的な戦力差を埋めるため、におはある秘策を思いつく。菊千代を無事に守り抜くため、そして己を信じる正義を守って真の強さを証明するため、におは最凶の敵に挑む。

登場人物・キャラクター

主人公

京都の団子屋「ちりぬ屋」で働いている少年。真っ白な長髪と青い瞳の目立つ容姿で、まれに老婆に間違えられることがある。正義感が強く、家族思いで優しく素直な性格をしているが、その心の内には世の理不尽に対する... 関連ページ:ちりぬ にお

ちりぬ いろは

ちりぬにおと血のつながっていない妹。京都弁を話す。生まれてすぐに両親が亡くなって孤児となったが、婆ちゃんに引き取られてからは店を手伝いながら彼女と共に暮らしていた。のちに、におが引き取られてからは彼を本当の兄のように慕い、身を寄せ合いながら生きてきた。とある公家(くげ)に嫁入りすることが決まっている。字を書くのが苦手ながら、嫁入り後は時おり婆ちゃんのもとに手紙を送っている。

婆ちゃん (ばあちゃん)

京都の団子屋「ちりぬ屋」を営む老齢の女性。京都弁を話す。短髪で細身の体型で、かなりのイケメン好き。身寄りのないちりぬにおとちりぬいろはを引き取って大切に育てており、ふだんは三人で店を切り盛りしている。剣客集団「壬生浪士組」の悪い噂を気にすることなく、客として訪れた土方歳三と沖田総司のことを気に入っている。気の強い性格で、高い身分の相手にも物怖(ものお)じせずに遠慮もない。着物のセンスのよさは歳三からも一目置かれており、彼の提案で壬生浪士組の羽織のデザインを任されることになる。デザインを依頼するために、久しぶりにちりぬ屋に戻って来たにおと再会を果たし、彼と同行していた田中太郎と斎藤はじめとも知り合う。

土方 歳三 (ひじかた としぞう)

剣客集団「壬生浪士組」に所属する男性。紺色の長髪を一つに束ねた、下まつげの目立つ色男。ふだんは沖田総司と行動を共にしていることが多い。団子屋「ちりぬ屋」に客として訪れたのをきっかけにちりぬにおと出会い、初対面の時点で彼の洞察力の鋭さに着目し、におを壬生浪士組に誘う。子供は苦手ながら、におには厳しくも優しく接している。ラフな着物を好み、裃(かみしも)のようなかしこまった服装は嫌い。口数が少なくぶっきらぼうな性格ながら、心根は優しく仲間思いで、部下や仲間たちからも慕われている。志や正義のためであれば鬼にもなるという強い覚悟を持っており、におには壬生浪士組の一員としての心構えを説いている。私利私欲のためではなく、あくまで京都の治安を守りたいという信念を持つため、横暴で強引な芹沢鴨とは意見が合わないことがある。江戸の外れにある田舎(いなか)で育ち、故郷への思いは強く、徳川幕府にも恩義を感じている。誕生日は5月31日で、出身地は日野。好きなものは風呂、豆、俳句。嫌いなものは甘ったるい食べ物、ダサい着物、近藤勇と総司の暴走。剣術と知力に優れ、足の速さは鬼速級。実在の人物、土方歳三がモデル。

沖田 総司 (おきた そうじ)

剣客集団「壬生浪士組」に所属する青年。青紫色の長髪をポニーテールにまとめている。中性的な風貌の美男子で、女性に非常にモテる。団子屋「ちりぬ屋」に客として訪れたのをきっかけにちりぬにおと出会い、土方歳三の誘いで壬生浪士組に加わったにおにさまざまなことを教える。ふだんから歳三と行動を共にすることが多いが、彼とは正反対に子供好きで、よく屯所の近所の子供と遊んでいる。ふだんは陽気に振る舞っているが、剣術の腕は壬生浪士組随一で仲間からも信頼されており、天使と悪魔の顔を併せ持つ天才剣士として知られている。近藤勇と共に暴走を繰り返し、歳三を振り回すことが多い。敵に対しても明るく接するが、小難しい議論をするのは苦手で、あくまで剣を交えて語り合うことを好む。京都に潜む暗殺者の捜索中、木村寿太郎と対峙するが一瞬で倒した。出身地は多摩。好きなものは強敵、春画、かくれんぼ。嫌いなものは小難しい話、冬の朝稽古、歳三の小言。実在の人物、沖田総司がモデル。

近藤 勇 (こんどう いさみ)

剣客集団「壬生浪士組」に所属する男性。無造作に跳ねた癖の強い剛毛を短髪にしている。ふだんは髪を下ろしていることが多いが、外出時はオールバックにまとめている。ふだんはボーっとして変わり者に見えるが、実際は情に厚く面倒見がいい性格をしている。かなりの天然で、その行動や言動は仲間にも予想ができず、愚直なまでに他人を疑わないところは短所でもあり長所でもある。方向オンチで物忘れも激しいため、長い台詞(せりふ)は手に記している。新入りのちりぬにおに剣術を教えており、武士道には強いこだわりを持つ。器が大きく仲間思いで、におにも優しく接している。実は妻子持ち。超下戸で、酒を飲むとすぐに倒れてしまう。誕生日は11月5日で、出身地は多摩。好きなものはどくろマーク、卵料理、武士っぽいもの。嫌いなものはなし。実在の人物、近藤勇がモデル。

芹沢 鴨 (せりざわ かも)

剣客集団「壬生浪士組」に所属する男性。個性的な隊士がそろう壬生浪士組のリーダーとして、隊をまとめている。リーゼントヘアのような天然パーマの大男で、かなりの酒好きで破天荒な性格の持ち主。一人称は「某(それがし)」で、ふだんは四人の部下を引き連れて行動している。田中太郎を拾って雑用をさせているが、奴隷のような扱いをするため彼からは恐がられている。部下の殿内を酔った勢いで殺害し、遺体の始末を太郎に任せた。しかし実際は、裏切り者の殿内が敵に情報を流す前に粛清した。この真意をちりぬにおに見抜かれてからは、彼の観察眼に着目している。また、敵の多い壬生浪士組のまとめ役として汚れ役を担うこともあるが、物事の進め方がかなり強引なため、土方歳三たちも手を焼いている。酒癖は悪いが剣の腕は一流で、酔っぱらっても敵をあっさりと返り討ちにできるほどの戦闘力を持つ。何も気にせずに好き勝手に暴れたいという願望を持っているため、私利私欲を嫌う歳三とは意見が合わない。誕生日は10月28日で、出身地は水戸。好きなものは酒、絵、目立つこと。嫌いなものは歯向かってくる奴、偉ぶっている奴。実在の人物、芹沢鴨がモデル。

田中 太郎 (たなか たろう)

剣客集団「壬生浪士組」に所属する「三人の狼」の一人で、ちりぬにおと同年代の少年。外側にはねた黒髪短髪で、色黒の肌を持つ。ボロボロの袴(はかま)を着用している。ふだんは押入れで寝ているため、におとしばらくのあいだ出会っていなかった。両親が亡くなってからは、泥をすするような過酷で孤独な生活を送っていたが、京都に来たばかりの芹沢鴨に拾われた。鴨に奴隷のように扱われているが、自分はここでしか生きていけないという理由で酷い扱いも受け入れており、過去の体験もあって臆病で卑屈な性格になっている。鴨が酔った勢いで殺害した殿内の遺体の処理を任されるが、何かを察したにおに一任することになり、鴨の真意を見抜いていた彼を通して鴨との関係も変わりつつある。言葉や態度にはめったに出さないが、におのことは大切に思っており、彼を傷つける者にははっきりと怒りをあらわにする。におと友人になってからは、彼と斎藤はじめの三人で行動することが増え、笑顔を見せることも多くなった。羽織のためににおたちと「ちりぬ屋」を訪問した際に、婆ちゃんの手伝いをすることになる。その時に商売や給仕の才能があると彼女に褒められ、ちりぬ屋で働くことや彼女のことを気に入っていた。誕生日は7月7日で、出身地は京都。好きなものは書道、焼き芋、他人の失敗。嫌いなものは清廉潔癖、金持ちのボンボン、たくあん。

斎藤 はじめ (さいとう はじめ)

剣客集団「壬生浪士組」に所属する「三人の狼」の一人で、ちりぬにおと同年代の少年。深い青緑色の短髪で、黒っぽい着物を着用している。三白眼の鋭い目つきで不愛想に見えるが、本来は仲間思いな性格で、その心の内には強さを求める強固な求心力と熱い闘志を秘めている。近藤勇に拾われて壬生浪士組の一員となり、彼から剣術を教わった。ふだんは右手で戦っているが、本気を出す時は利き手の左手で居合い抜きをする。居合いの才能に長(た)けており、大人相手でも負けない戦闘力を誇る。誰よりも純粋に強さを求めており、剣術の稽古も欠かさずに行なっている。その一方で、におや田中太郎とは違って給仕などは得意ではなく、字を書くのも苦手としている。子供扱いされるのを嫌っているが、におが加入してからは彼や太郎と三人で行動する機会も増え、マイペースな二人にはよく振り回されている。出身地は京都で、好きなものは剣術、蕎麦(そば)、鳥。嫌いなものはなよなよした奴、水泳、甘い食べ物。実在の人物、斎藤一がモデル。

永倉 新八 (ながくら しんぱち)

剣客集団「壬生浪士組」に所属する男性。前髪が長めの短髪で、口ヒゲと顎ヒゲを生やしており、ふだんは前髪を下ろしているが外出時は七三分けに整えている。一人称は「ワシ」で、老人のような古風な口調で話す。生真面目な性格で、剣の道を極めることを目指している。のちに、壬生浪士組(新選組)の歴史を子供たちに語っている。実在の人物、永倉新八がモデル。

藤堂 平助 (とうどう へいすけ)

剣客集団「壬生浪士組」に所属する青年で、外側にはねたロングヘアにしている。剣も恋愛も一生懸命で、いつも明るく家族思いな性格をしている。藩主を務める父親と離れて暮らす母親のために手柄を上げたいと思っており、定期的に家族に手紙を送っている。女子にちやほやされたいという願望があるが、いまいちモテないのを悩んでいる。とある蕎麦屋で働く若い女性に一目惚(ぼ)れしたことをちりぬにおに相談し、壬生浪士組の隊士を巻き込んで恋心を成就させようとするも、結局は失恋に終わる。失恋で吹っ切れたあとは髪型を変え、新しい恋を追い求めている。出身地は江戸。好きなものはかわいい女子、ワイワイ騒ぐこと、水泳。嫌いなものは苦いお茶、足のいっぱい生えた虫、家族を大事にしない者。実在の人物、藤堂平助がモデル。

山南 敬助 (やまなみ けいすけ)

剣客集団「壬生浪士組」に所属する男性。長髪をポニーテールにまとめた美男子で、物事を冷静に見ている。ふだんは生真面目でおとなしく丁寧な口調で話すが、感情が荒ぶると口調が荒くなるため、周囲からは二重人格だと思われている。荒くれ者ぞろいの壬生浪士組の中では思慮深く落ち着いた人物で、たくさんの人と議論を重ねて京都の治安維持を願っている。壬生浪士組が会津藩に呼び出されたのをきっかけに、ちりぬにおに京都の現状を丁寧に説明すると共に、仲間たちに命を懸ける覚悟を問う。酒に酔うと壁に向かってしゃべり出す癖がある。実在の人物、山南敬助がモデル。

木村 寿太郎 (きむら じゅたろう)

京都に潜む討幕派の暗殺者の一人で、長州藩士の男性。黒の長髪を首後ろで一つにまとめ、黒い着物を着用している。病床に臥(ふ)せっている父親から託された刀を武器に戦う。外国が日本に入り込むことを快く思わない攘夷派で、開国以来、海外から阿片が入り込んで国が乱れていることに怒りを抱いて討幕の志士となった。暗殺者の捜索をしていたちりぬにおと斎藤はじめに遭遇し、におと対峙する中で剣客集団「壬生浪士組」が幕府や国の抱える問題を隠蔽し、はじめたちを騙(だま)していると指摘。そして、物事をよく見ているはじめの人柄や才能を見込んで討幕派に誘う。しかし、におたちの救出に駆けつけた沖田総司と一騎打ちになり、彼の剣に敗れて未練を抱えたままで死亡する。

京四郎 (きょうしろう)

京都に潜む討幕派の暗殺者の一人で、短刀や手裏剣を使う忍の青年。実際の見た目や振る舞いはあまり忍らしくなく、仲間はもちろん敵の前でも堂々と姿を現したり、大声で話したりする。暗殺者の捜索をしていたちりぬにおや斎藤はじめと遭遇し、はじめと対峙する。その後、沖田総司に敗れて同志の木村寿太郎が死亡したことに怒りを覚えつつも、勝ち目がないと判断して逃走。その後は再びはじめと対峙するも、左手の居合いを使った彼の剣術に敗北して捕縛された。薩摩出身。

世都 (せと)

京都の二条にある呉服屋の大店「鶴屋」の御曹司(おんぞうし)の少年。イギリス人の母親と日本人の父親のハーフ。金髪短髪で青い瞳を持つ。いつも飄々(ひょうひょう)としており、初対面のちりぬにおたちにも明るく好意的に接するが、何を考えているかわからないところがある。田中太郎に付けられたあだ名は「金閣寺」。母親はイギリスに帰ってしまったが、使用人に囲まれるにぎやかな生活をそれなりに楽しんでいる。京都で生まれ育ち、におと同様に地元愛は強い。京都弁で話す。会津本陣の周囲をうろついていたにおたちと出会い、討幕派の暗殺者たちの情報を彼らに提供した。実は裏で暗殺者たちに、剣客集団「壬生浪士組」や会津藩の情報を流しており、情報のやり取りは当時違法だった伝書鳩を使っていた。表向きはおもしろいからと語っていたが、本音ではよそ者でありながら京都を荒らす壬生浪士組も討幕派の志士も毛嫌いしており、双方に情報を流すことでつぶし合いをさせようと目論んでいた。これらの目論見や本音をにおに指摘されてからは、暗殺者の件から手を引いた。

直純 (なおずみ)

菊千代を追っている謎の剣士。いかつい顔つきの大男で、眉間の辺りに傷痕がある。黒の長髪で真っ白な着物をまとい、6尺もある長剣をあやつる。自らの目的のためであれば、たとえ相手が子供であっても容赦をしない冷酷な人物。強さや武力こそが正義だと考えているため、菊千代とは正反対の考えを持ち、武士たちから戦いを奪った徳川家康をはじめとする徳川幕府の人間を恨んでいる。日本をかつてのような戦乱の「武士の国」に戻すことを目指す「血の立志団」を名乗り、目的のために菊千代の命を狙っている。菊千代の護衛を務めることになったちりぬにおと対峙する。

菊千代 (きくちよ)

団子屋「ちりぬ屋」に訪れた謎の少年。長髪の美少年で、中性的な風貌をしている。一人称は「我」で、馬と遊ぶのが好き。直純と彼が率いる謎の集団に命を狙われており、ちりぬ屋を手伝っていたちりぬにおたちに匿(かくま)われることになる。その正体は江戸幕府第14代将軍で、「菊千代」は幼名であり、本名は「徳川家茂」。わけあって二条城を抜け出していたが、正体を明らかにしたあとは剣客集団「壬生浪士組」によって護衛されることになる。争い事は好まない温厚な性格で、武力はあくまで万が一の備えであり、人々に戦いを強いるリーダーは愚かだという考えを持つ。世界の現状から完全な攘夷は不可能と考えており、国が内側から乱れることを憂えている。開国しつつも、異人たちの好きにさせることや人々が殺し合うことを望まず、なんとしても国内紛争だけは避けたいと考えている。実在の人物、徳川家茂がモデル。

集団・組織

壬生浪士組 (みぶろうしぐみ)

京都の人々から嫌われている、謎の多い浪士集団。「壬生浪」の通称で呼ばれていることが多い。もとはほかの浪士たちと共に江戸からやって来た剣客集団だったが、大半が江戸に戻った中で京都に残り、壬生村にある「八木源之亟」の屋敷を屯所にして活動している。いきなり人を斬ったり強盗紛(まが)いのことをしたりと、乱暴狼藉(ろうぜき)が絶えない荒くれ者の集団として、人々からの悪い噂が絶えない。しかし、実際は幕府に仕えて京都の治安を守るために活動しており、宴好きで個性的な剣士たちが集うにぎやかな集団である。討幕派の長州藩などと敵対しており、京都を守るために時おり汚れ仕事を任されることもある。ちりぬにおの入隊後、京都に潜む討幕派の暗殺者集団を捕えたことで、正式に会津藩お預かりの組織として治安維持を任される。

書誌情報

青のミブロ 13巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2022-02-17発行、 978-4065266465)

第2巻

(2022-04-15発行、 978-4065275276)

第3巻

(2022-06-17発行、 978-4065281772)

第4巻

(2022-08-17発行、 978-4065286555)

第5巻

(2022-10-17発行、 978-4065294857)

第6巻

(2022-12-16発行、 978-4065299401)

第7巻

(2023-02-17発行、 978-4065305256)

第8巻

(2023-04-17発行、 978-4065312377)

第9巻

(2023-06-15発行、 978-4065318911)

第10巻

(2023-09-14発行、 978-4065328897)

第11巻

(2023-11-16発行、 978-4065335468)

第12巻

(2024-02-16発行、 978-4065345573)

第13巻

(2024-04-17発行、 978-4065351789)

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