あらすじ
第1巻
相田えりなは美男美女ばかりが在籍する、国内でも有数の顔面偏差値の高さを誇るIT会社で働いている。華やかな表向きの生活とは裏腹に、実は重度のオタクであるえりなは、自由時間をすべて気ままなオタク活動に充てていた。そんなある日、えりなは自分が住むマンションの隣室に、怪しげな人物が引っ越して来たことを知る。おかしな人が隣人になったら嫌だと思っていたえりなの危惧は現実のものとなり、小汚いジャージ姿の男性が、さっそく引っ越しの挨拶にやって来るのだった。(第1話「私はオタク」。ほか、13エピソード収録)
登場人物・キャラクター
相田 えりな (あいだ えりな)
IT会社のEMFに勤めている若い女性。年齢は23歳。社内ではファッション系Webコンテンツを担当する編集者として働いている。華やかな雰囲気を漂わせる聡明な美女で、ファッションセンスも抜群。顔面偏差値は女性の最大の武器であると考えている自信家でもある。社内でのニックネームは「エリー」。仕事もテキパキとこなし、社内における容姿や学歴などの格付けでは、ほとんどの項目でトップ10入りしている。キラキラで順風満帆な人生を謳歌しているが、それは厳しいライバルとの争いで勝ち得たものだと自負しており、競争心は非常に旺盛。実は重度のオタクで、女子会やパーティーよりも自宅でお菓子をむさぼりながらドラマやアニメを鑑賞するのが何よりも好き。ただし、オタクであることに引け目を感じているため、会社にはオタクであることを隠している。ネット小説家の猫谷四之介の大ファンで、副編集長の葉室恵美から四之介を取材するように申し渡された際は、取材を断られてもあきらめず、紆余曲折の末、取材を取り付けることに成功した。同じ時期にマンションの隣室に引っ越してきた小汚いジャージの男性と、ひょんなことから交流を持つようになるが、その男性の正体が四之介であることにはまだ気づいていない。
猫谷 四之介 (ねこや よのすけ)
金髪のイケメン男性。背が非常に高い。絶大な人気を誇るネット小説家で、ペンネームは「猫谷四之介」。本名は「士郎」という。目立つことが嫌いで、最低限の露出のみで作家活動をしていたが、サイン会から写真が流出し、イケメンであることが判明した。そのため女性人気が高く、サイン会では毎回熱烈な女性ファンが集まる。口が悪く、暴言を吐くことも多々あるため、編集者ともたびたび衝突している曲者。プライベートでは赤いジャージを着て、無精髭も生やし放題という、だらしない恰好をしている。引っ越しあとに隣人となった相田えりなからは、いつも汚い恰好をしている人物であると思われ、距離を置かれていた。趣味はハッキングで、住所バレして引っ越しをするたびに隣人のパソコンを覗いており、その流れでえりなの素性も調べていた。えりなが会社の命令で取材に来た時も、彼女にほとんど無関心だったが、マンションの隣人となり、飼い猫を通じてえりなと何度か接するうちに、徐々に彼女に興味を抱くようになる。
兼子 (かねこ)
猫谷四之介のマネージャーを務めている女性。四之介の姉で、彼のことは本名の「士郎」と呼んでいる。四之介の小説家デビュー以来、彼のマネジメントを任されている敏腕マネージャーで、四之介の神秘的なイメージを保つため、国内から海外まで、あらゆるメディアの取材を断ってきた。相田えりなに興味を抱き、勝手にEMFの取材を受けてしまった四之介のことも厳しくたしなめていた。トラブルメーカーである四之介の尻拭いをさせられている苦労人。
葉室 恵美 (はむろ えみ)
IT会社、EMFの社員の女性。ファッション系Webコンテンツを作成する編集部の副編集長を務める。仕事に対する姿勢が厳格な女傑で、新人だった相田えりなを、スパルタンな教育で短期間のうちに一人前の編集者へと育て上げた経緯を持つ。ネットで有名なイケメン特集の企画で、目玉となる人気作家の猫谷四之介への取材をえりなに命じる。
林 ののか (はやし ののか)
IT会社・EMFの新入社員の女性。優しくおとなしい性格で、Webコンテンツ編集部に配属されたばかりの実習生。葉室恵美の命で、しばらく相田えりなの助手として働くことになった。容姿やファッションが地味なため、えりなをはじめ、ほかの社員からは内心で見下されている。まだ仕事に不慣れだが、懸命に自分の役割をこなそうとしている。
斎木 翔 (さえき しょう)
IT会社、EMFの社員の男性。Webコンテンツ編集部の一員。眼鏡をかけた優男で、編集部ではファッションを担当している。ノリと口が軽く、葉室恵美からそんなところを注意されることもある。編集部に実習生としてやってきた林ののかのことを、内心ではでダサい女性と侮り、蔑んでいた。
木崎 なつみ (きざき なつみ)
IT会社、EMFの社員の女性。Webコンテンツ編集部の一員。ファッショナブルで、編集部では美容系を担当している。編集部に実習生としてやってきた林ののかのことを、顔面偏差値が低く、若いだけが取り柄の女であると値踏みし、内心で見下していた。
東 颯也 (ひがし そうや)
IT会社・EMFの社員の男性で、プログラマーを務める。優しく穏やかな性格をした好青年。マサチューセッツ工科大学出身で、大学では弁論部に所属していた。考え方が理論的で、話が非常にうまい。面倒見がよく、実習生で右も左もわからなかった頃の相田えりなを支え続けた。そのため、今でもえりなのあこがれの先輩として慕われている。
場所
EMF
スマホ用のアプリなどの開発をしているIT企業。Webコンテンツの開発にも力を入れている。社長の方針で、互いに面識がない間柄では見た目がよいほど信頼を得やすい、という科学的研究をもとに、顔面偏差値が高い、眉目秀麗な人材を集めている。そのため、国内でも有数の美男美女が社員として在籍している。社内の競争は激しく、それぞれの社員がライバルを出し抜こうと日々しのぎを削っている。