なんでも妹にとられてきた不憫な主人公の逆転劇
小さい時から妹・花梨ばかりひいきされ、家族から蔑ろにされてきた主人公・柚子。妖狐の花嫁に選ばれた花梨はさらにわがままになり、柚子を使用人のように扱う。また、付き合っていた彼から「花梨を好きになった」という理由で、別れを切り出される。すべて妹に奪われてきた柚子の人生は、あやかしの頂点といえる鬼龍院玲夜の花嫁に選ばれたことで変わっていく。横柄で意地悪な花梨と立場が逆転していくさまが痛快な、和風シンデレラストーリー。
あやかしにとって花嫁は特別な存在
人間離れした美しい容姿と特殊な能力で、日本を陰から支えるあやかしたち。通常はあやかし同士で結婚するのだが、彼らは時に人間の女性を花嫁として迎え入れる。花嫁を手に入れたあやかしは、霊力があがり、その子供も強い霊力を持つ。そのため、一族の繁栄をもたらす宝として花嫁は歓迎される。あやかしが花嫁と出会える確率は低いが、出会えた場合、あやかしには一目でわかり、本能的に心をとらわれ、愛おしさを感じるという。
最高の権力を持つ冷酷で美しい鬼×家族から冷遇される不幸な女子高生
鬼龍院玲夜は鬼のあやかし。すべてのあやかしの中で最も力のある鬼龍院家の次期当主。権力も財力も美しい容姿も、すべて兼ね備え、皆が憧れる存在。しかし女性に心を開くことはなく、いつもどこか空虚な気持ちを抱えていた。
柚子は平凡な見た目の女子高生。両親は容姿のいい妹・花梨ばかり優遇し、お小遣いもなければ、誕生日を祝ってもらうことさえなかった。
姉妹喧嘩がきっかけで、火傷を負わされ、自分の味方はいないのだと絶望して家を飛び出した柚子。そんな彼女の元に息をのむような美しさの玲夜が現れ、柚子を抱きしめた。玲夜は鬼の能力で火傷を治し、柚子のことを「俺の花嫁だ」と言う。孤独だった柚子は初対面の玲夜に「私を愛してくれる?」と泣きながら尋ねてしまう。
愛されることに臆病な柚子
鬼龍玲夜は自分の全てを賭けてお前だけを愛すると柚子に誓い、柚子を苦しめる家族から引き離す手続きを始める。それは柚子の祖父母と養子縁組をし、柚子を鬼龍院家に迎えるというものだった。学費も全て面倒をみるという玲夜に、そこまで頼りたくないと反発してしまう柚子。家族から愛されてこなかった柚子は、一生愛され続ける保証などないと、玲夜のことを信じきれずにいたのだった。
登場人物・キャラクター
柚子 (ゆず)
もうすぐ18歳になる女子高校生。両親は一歳下の妹・花梨ばかりを溺愛し、家族から蔑ろにされてきた。お小遣いももらえないため、高校生からバイトをして自分で稼いでいる。祖父母だけは自分の味方をしてくれたが、祖父母に会うだけで父から殴られることもある。優しく思いやりのある女性で、忍耐強く、つらいことがあっても黙って耐えてしまう。
鬼龍院 玲夜 (きりゅういん れいや)
鬼のあやかし。紅い瞳と漆黒の髪、人外の美しさを持つ青年。あやかしの中で最も力のある鬼龍院本家の次期当主。冷酷で無表情だが、高いカリスマ性を持つ。たくさんの使用人がいる、大きなお屋敷に住んでいる。柚子と運命的な出会いを果たしてからは、彼女にだけは優しい表情を見せる。
花梨 (かりん)
柚子の一つ下の妹。社交的で愛想がよく、容姿端麗。親の期待を一身に受け、学費の高いあやかしの学園に入学する。そこで妖狐のあやかし・狐月瑶太に見初められ、花嫁に選ばれる。狐月家から多額の援助も受けており、両親はさらに花梨を優先するようになる。自分は特別な存在だと信じ、姉・柚子を下に見ており、傲慢で意地悪な性格をしている。周囲に甘やかされて、わがままに育ったため、自分が悪いなどとは認めず、責任転嫁する。
狐月 瑶太 (こげつ ようた)
あやかしの中でも上位の妖狐のあやかし。ハニーブロンドの髪に金色の瞳で、人間離れした美しい容姿を持つ男性。柚子の妹・花梨を花嫁に選ぶ。家は資産家で、花梨の家に多額の援助をしている。花梨に甘く、彼女の頼みは断れない。
小鬼 (こおに)
鬼龍院玲夜が柚子のために作り出した使役獣。白髪と黒髪の二匹の小さな鬼。人間の子供のような愛らしい姿をしている。柚子の手に収まるサイズで、頭には角がひとつある。柚子のボディーガードとして、いつも一緒に行動している。柚子を守るために攻撃力は高いが、言葉は「あいあい」としか話せない。
透子 (とうこ)
柚子の親友で幼なじみ。クラスメートでもある。猫又のあやかし・猫田東吉の花嫁。花嫁はあやかしの学園に通うのが普通だが、柚子と同じ公立の学校に入学する。柚子が一方的に大和にフラれた時は本気で怒り、柚子が学校を休めば何かあったのかと心配する。サバサバした性格で、思ったことを口にする。東吉の嫉妬深さも受け入れており、相思相愛。東吉の家で一緒に暮らしている。
クレジット
- 原作
-
クレハ
書誌情報
鬼の花嫁 6巻 スターツ出版〈noicomi COMICS〉
第1巻
(2022-08-25発行、 978-4813761242)
第2巻
(2023-02-24発行、 978-4813761761)
第3巻
(2023-07-28発行、 978-4813762102)
第4巻
(2024-01-26発行、 978-4813762713)
第5巻
(2024-05-24発行、 978-4813763161)
第6巻
(2024-11-22発行、 978-4813763772)