あらすじ
第1巻
15歳のトーマ・アヴェニールは、相棒であるインテリジェントデバイスのスティードと旅をしている中、訪れた遺跡で、誰かの助けを呼ぶ声を聞いてしまう。声に導かれるまま遺跡に足を踏み入れたトーマは、そこで非人道的な実験施設と囚われた少女を発見する。少女を助けたものの証拠隠滅を図る研究員によって、絶体絶命の危機に陥る二人だったが、少女の不思議な力によってトーマが変身し、危機を脱する事に成功する。そして多くの謎を抱えつつもリリィ・シュトロゼックと名乗った少女は、トーマと行動を共にする事となった。トーマは身の安全を得るために、信用のできる人物に通報しようと教会を目指す。旅の途中に出会い、旅について来たアイシス・イーグレットの助けもあり、一行は無事に教会にたどり着くが、そこはすでに何者かに襲われたあとだった。警戒しつつ教会に踏み込むトーマは、そこで自らの過去にかかわる存在、ヴェイロンと対峙する事となる。
第2巻
圧倒的な戦闘力を持つヴェイロンに負けたトーマ・アヴェニールは気を失い、悪夢にうなされていた。教会襲撃犯に仕立て上げられた一行はトーマの看病もあり、人気のない森に潜伏していた。しかし、そこに訪れるヴェイロンの仲間、サイファーはトーマを連れ去ろうとするが、その直前で時空管理局の特務六課所属のシグナムの邪魔が入り、トーマの連れ去りに失敗する。シグナムとサイファーは激しい戦闘を繰り広げ、切り札の融合騎、アギトとの「ユニゾン」もあり、シグナムは優位に立つが、サイファーがディバイダーを起動させた事で状況は一変する。サイファーのディバイダーに呼応するかのようにトーマも変貌し、混乱する。シグナムも魔法が通じないサイファーの攻撃によって敗北し、瀕死の重傷を負わされる。さらに新たに現れたサイファーの仲間、アルナージの力によってトーマ、リリィ・シュトロゼック、アイシス・イーグレットの三人は囚われの身になってしまう。
意識を取り戻したトーマ達を待っていたのは、犯罪組織、フッケバインファミリーの本拠地である飛空挺フッケバインだった。フォルティスとドゥビルからエクリプス感染者の過酷な運命を聞かされたトーマは、深い苦しみに囚われてしまう。そしてフッケバインファミリーを捕らえるため襲撃して来た時空管理局との戦いの中、トーマはその身に眠る力を解放する。
第3巻
ゼロ因子適合者としての能力を覚醒させたトーマ・アヴェニールは、その能力で甚大な被害を周囲にもたらした。自分でも制御できない能力の暴走を恐れたトーマは、リリィ・シュトロゼックとアイシス・イーグレットを最後の力で助けたあと、自らは命を絶つため空中に身を投げ打つ。アイシスと特務六課の面々はそんなトーマを助けるべく駆けつけるが、トーマを確保しようとするフッケバインファミリー、さらには自らの意思とは無関係に周囲を傷つけてしまうトーマ自身と戦闘になってしまう。そんな事態が混乱する中、突如現れたフッケバインファミリー首領であるカレン・フッケバインの鶴の一声によって、フッケバインファミリーは退散。残された特務六課とアイシスは、トーマを止めるべく死力を尽くして戦うのだった。
第4巻
トーマ・アヴェニールを止めるために合流したスバル・ナカジマも助けもあり、アイシス・イーグレット達はトーマの力を暴走させていた「銀十字の書」の破壊に成功する。力を失って墜落していくトーマだったが、そこにリリィ・シュトロゼックが手を差し伸べる。自らの記憶と使命を思い出したリリィは「シュトロゼック」としての力を解放し、トーマと融合する事で破壊された「銀十字の書」を制御し、再構築する。リリィの力によってトーマはゼロ因子適合者としての力から解放され、事態は一応の決着を迎える事となった。そして時空管理局に保護された一行は、事情を説明し、事件に深くかかわる存在として、事件解決に協力して行く事となる。
一方、フッケバインファミリーはトーマとリリィの存在から、エクリプスウイルスで人体実験をする謎の存在がいる事に気づき、それを追っていた。そして人体実験をしていたのは兵器開発メーカー「ヴァンデイン・コーポレーション」である事を突き詰めたフッケバインファミリーは、同社の研究施設を襲い、自分達以外のエクリプスウイルス感染者の情報を手にする。実験の全貌をつかむため、非道な実験に手を貸すエクリプスウイルス感染者と戦うフッケバインファミリーだったが、戦闘の末に捕まえたエクリプスウイルス感染者は口封じに殺されてしまう。
第5巻
時空管理局で見習いとして働き始めたトーマ・アヴェニール、リリィ・シュトロゼック、アイシス・イーグレットの三人は訓練に精を出しつつも、平穏で充実した日々を送っていた。そしてトーマ達は、特務六課に正式配備される新装備、ラプターの調整のため「カレドヴルフ・テクニクス社」に訪れる。ラプターの実物を目にし、配備される事に大きな期待を抱く一行だったが、そこにフッケバインファミリーのサイファーが緊急の報をトーマに届ける。サイファーは、ラプターがエクリプス感染者であるグレンデル一家に狙われているという情報を語り、自らはそのグレンデル一家を狙うという。サイファーの情報を特務六課に伝え、トーマはラプターを守るため、グレンデル一家、そしてサイファーを相手取る三つ巴の戦いに身を投じる。トーマは一時はグレンデル一家のエクリプス感染者としての能力に翻弄され、劣勢に陥るものの、サイファーの助太刀によって無事にグレンデル一家を捕縛する事に成功する。そしてそこにケガを快癒させたシグナムが駆けつけ、サイファーに再戦を挑む。かつてサイファーの魔法無効化能力に為すすべなくやられたシグナムだったが、完成したCWXシリーズの装備を使う事で五分の戦いを繰り広げ、彼女を退ける事に成功する。
第6巻
「ヴァンデイン・コーポレーション」のハーディス・ヴァンデインは、表向きは時空管理局のエクリプスウイルス事件の捜査に協力しつつ、裏では怪しげな行動を取っていた。捕縛したグレンデル一家の情報提供により、ラプター強奪未遂の背後にはハーディスの存在がある事を知った特務六課は、「ヴァンデイン・コーポレーション」に対して強制捜査を開始。特務六課が完全武装でハーディスを逮捕に向かったところ、予想に反してハーディスはおとなしく縄に付き、拘置所に護送される事となった。余裕すら見せて、拘置所で静かに過ごすハーディスに疑問を抱く特務六課だったが、そこにフッケバインファミリーの襲撃を受ける。カレン・フッケバインとヴェイロンは、トーマ・アヴェニール達を足止めしつつ、情報を引き出そうとハーディスに襲い掛かるが、逆にハーディスが隠し持っていた圧倒的な力によって、たやすくねじ伏せられてしまう。応援に駆けつけた特務六課の存在もあり、カレン達は撤退するが、撤退の最中、特務六課の目を巧みに潜り抜けたハーディスの攻撃を受け、ヴェイロンが致命傷を負ってしまう。
登場人物・キャラクター
トーマ・アヴェニール (とーまあゔぇにーる)
一人旅が趣味の15歳の少年。旅の途中で訪れたルヴェラ鉱山遺跡で助けを呼ぶ声に導かれ、リリィ・シュトロゼックという謎の少女と出会う。そして、これをきっかけにしてエクリプスウイルスの感染者となり、大きな陰謀に巻き込まれていく。エクリプス感染者としての力を発揮する際には銀髪になり、通常ではありえないほどの力を発揮する事ができる反面、ほとんど無意識下で作業を行っており、制御する事はできない。 リリィを助けるため現地の警察から逃げたため、いくつもの冤罪をかぶる事となり、信用できる保護者と連絡を取るために逃亡生活を続ける事となる。その際にフッケバインファミリーのヴェイロンとも出会い、一連の事件には自分の生い立ちがかかわっている事も知る。 実は7年前に起きたヴァイゼン遺跡鉱山崩落事故の唯一の生存者で、事故を引き起こした二人組の犯人の姿を目撃している。スバル・ナカジマに保護されてからは、普通の少年のように笑えるようになったが、ヴェイロンが事件にかかわっていると誤解した際には、憎悪によって人が変わったような顔を見せた。スバルからは家族になるための申し入れを受けており、一人旅も本来は自分の心を整理し、過去と決別する物だったが、エクリプス関係の事件に巻き込まれたため、スバルをはじめとした知人にはとても心配されている。 リリィを助けるため逃亡生活を続けていたが、サイファーによって回収され、エクリプス感染者の過酷な運命を知らされる。そして心理的に追い詰められた事で、ゼロ因子適合者としての力を無差別に暴走させてしまう。 自暴自棄になり、リリィとアイシスを助けたあとは投身自殺を試みるが、駆けつけた仲間達によって力を削がれ、覚悟を決めたリリィの助けもあり、ゼロ因子適合者の力の制御に成功する。その後は時空管理局に保護され、エクリプスによる被害を防ぐため、隊員見習いとして時空管理局に協力していく。 高町なのはからは未熟だが筋がいいと認められており、訓練を重ねてメキメキと実力を伸ばしている。能力を制御してからはリリィと融合する事で、管制用ストレージ「銀十字の書」と銃剣型「ディバイダー996」を使う「黒騎士」となって戦う事ができる。
リリィ・シュトロゼック (りりぃしゅとろぜっく)
トーマ・アヴェニールがルヴェラ鉱山遺跡の隠された実験施設で見つけた少女。施設の研究者からは「シュトロゼック-4th」の名で呼ばれていた。研究所の職員達によって数々の実験の協力をさせられた挙句に、廃棄処分されそうになったところで無意識の内に助けを呼び、トーマに助けられる。長い研究生活で心身が疲弊しており、トーマが助けた直後は記憶と声を失うほど憔悴していた。 声を出す事ができないため、トーマ達とは精神感応の一種で会話をしていたが、スティードなどのデバイスには精神感応が通じず、会話できない。また記憶を失っていたため、トーマとリリィ・シュトロゼックは、事情がわからぬまま逃避行を行う事となる。逃避行中は、自分を守るために傷つくトーマの姿を心配しており、何もできない自分を強く責めていた。 フッケバインファミリーに捕まった際に、自らが人間ではなくエクリプス感染者用の人型の「リアクター」であると告げられる。その後、封じていた人体実験に無理矢理協力させられた記憶を呼び起こし、自らのせいでトーマがエクリプス感染者になってしまった、と自責の念に囚われる。 そしてゼロ因子適合者の能力を暴走させるトーマを助けるため、自らの能力と役目に向き合い、自らの声でトーマに呼びかけた。その後はリアクターとしてトーマと融合し、暴走の核となっていた「銀十字の書」を制御する事で、トーマのエクリプス能力を押さえ込んだ。時空管理局に保護されて以降は、トーマと共に隊員見習いとして時空管理局に協力していく。 エクリプスの暴走の危険性から、トーマと行動を共にするように義務付けられており、よくいっしょに行動している。また時空管理局で行動を開始してからは、精神的にも余裕が生まれ、普通にしゃべり、周囲とも円満なコミュニケーションを取っている。戦闘時はバリアジャケットとは似て非なる「エンゲージスーツ」をまとい、トーマと融合する事でサポートをする形で戦う。 また咄嗟にトーマと分離する事で、リリィ自身が単独で防御や攻撃を行うなどの戦い方も可能で、訓練を重ねる事で、トーマとは息の合った連携をするようになった。
アイシス・イーグレット (あいしすいーぐれっと)
服飾品を取り扱う陽気な露天商の少女。夢はファッションブランドのオーナー。ネイルアーティストの営業資格や洋裁検定2級を持っており、おしゃれには人一倍詳しい。トーマ・アヴェニールがリリィ・シュトロゼックの靴と服を揃えるために訪れた際には、リリィの服を見繕うだけではなく、彼女の散髪も行って多才な面を見せつけた。その際のトーマの様子にただならぬ事情を感じ、好奇心からトーマとリリィの関わる事件に首をつっこむ。 楽天的な性格で、トーマ達と共に時空管理局に追われる立場になっても楽しむ余裕を見せていた。好奇心旺盛で何も考えていないようにも見えるが、脱出ルートを把握していたり状況を的確に分析していたり、場慣れした雰囲気を持つ。事態の危険性にも気づいていたが、同年代の友人であるトーマとリリィの事が見過ごせず、何度も彼らの窮地に駆けつけている。 トーマがゼロ因子適合者の力を暴走させた際にも真っ先に駆けつけ、フッケバインファミリーの足止めを行った。トーマ達と共に時空管理局に保護された際に、実家からの連絡を受けて正体が判明する。実は「イーグレット・セキュリティ・サービス」の代表取り締まり一家の末っ子娘で、荒事の多い実家に嫌気が差して長期旅行中と偽って家出していた。 実家からは時空管理局でこき使われるのを黙認される形となっており、トーマ達といっしょに見習いとして時空管理局で働く事となる。持っているデバイス名は「パフィ」で、戦闘時は黒を基調とした「アーマージャケット」を身にまとって戦う。 実家の影響から荒事には強く、化粧品に偽装した爆薬や科学薬品を利用した戦い方をする。アイシス・イーグレットは護身目的で揃えた品だが、爆薬や薬品は魔法無効化状態でも一定の効果が見込めるため、フッケバインファミリー相手にも善戦する事ができた。特務六課に配属されてからは、厳しい訓練に不満をこぼすが、同時に自分の実力が着々と伸びているのを実感している。
スティード
トーマ・アヴェニールの相棒であるインテリジェントデバイス。小さな筒状のボディに2本のひも状のアームを持っている。普段はアームをつなげてトーマの首にペンダントのようにぶら下がったり、飛行機能を使って自律的に飛行して、アームを手のように使って作業を手伝ったりしている。戦闘用のデバイスではないため戦闘能力は皆無だが、写真撮影の機能や豊富なデータベースを持ち、トーマの一人旅を的確に支えた。 機械のためリリィ・シュトロゼックの精神感応が通じず、旅の当初は意思疎通を図る事ができなかった。フッケバインファミリーにトーマが捕まった際にいっしょに捕まっており、混乱の最中、一人取り残されてしまう。その後、一時期フッケバインファミリーと行動を共にし、彼らから言伝を預かってトーマに合流した。
スバル・ナカジマ (すばるなかじま)
時空管理局の特務六課に所属する防災士長の女性。年齢は21歳。レスキューレンジャーとして災害救助を主な任務としていたが、八神はやてに召集され、エクリプス感染者による事件を追う特務六課に配属された。幼少期に災害事故に遭遇したのを高町なのはに助けられて以降、なのはとレスキューレンジャーの仕事に強いあこがれを持っていた。 実際にレスキューレンジャーの仕事に就いた時は、すべての命を救う事ができなかったという理想と現実の壁にぶつかり、一時期落ち込んでいた。トーマ・アヴェニールとはその時期に出会っており、故郷を失って放浪していたトーマと気持ちを通じ合わせた。家族と故郷を失ったトーマが普通に暮らせるように奔走したため、トーマからは「スゥちゃん」と呼ばれて姉のように慕われている。 トーマが受け入れるなら、ナカジマ家で引き取って本当の弟にするつもりで、トーマが最後の心の整理ができるように、一人旅に出るのも見送った。戦闘では移動支援魔法「ウィングロード」と格闘戦技「シューティングアーツ」を利用した白兵戦闘を得意とし、ローラースケート型のデバイス「マッハキャリバーAX」を使って戦場を縦横無尽に駆け回る。 またエクリプス感染者対策としてCWXシリーズの「ソードブレイカー」を装備しており、スバル・ナカジマの個人技能「震動破砕」と合わせて使う事で、ディバイダーすら破壊が可能になる。「ソードブレイカー」はのちにラプターの基本装備にも採用されている。
高町 なのは (たかまち なのは)
時空管理局の特務六課に所属する一等空尉の女性。年齢は25歳。「エースオブエース」の異名を持つ凄腕で、八神はやてに召集されてエクリプス感染者による事件を追う特務六課に配属された。エクリプス感染者用の装備であるCWXシリーズの「ストライクカノン」の調整を行っており、「飛空挺フッケバイン」との戦いでは、数々の新装備を揃えて参戦した。 魔力無効化環境下でも活動できるように改修されたデバイス「レイジングハート・エクセリオン」を相棒に、豊富な魔力と的確な判断力で戦う。ゼロ因子適合者の力を暴走させたトーマ・アヴェニールの無力化に大きく貢献した。トーマ達が時空管理局に見習いとして入って以降は、ヴィータと共に、教導官として彼らの教育を担当している。 「聖王のゆりかご」事件で身寄りのない高町ヴィヴィオを娘として引き取っており、親子仲はいい。
フェイト・T・ハラオウン (ふぇいとてぃーはらおうん)
時空管理局の次元航行部に所属する女性執務官。年齢は25歳。ティアナ・ランスターと共に「銀十字の書」とディバイダー、エクリプス関連の事件を追っている。エクリプス感染者に対応するため、第五世代デバイスの実験運用も担当しており、「飛空挺フッケバイン」との戦いでは第五世代デバイスに改装されたデバイス「バルディッシュアサルト・ライオットブレードⅡ」を携えて参戦し、ゼロ因子適合者の力を暴走させたトーマ・アヴェニールの無力化にも力を貸した。 トーマを保護したあとは取り調べも担当し、エクリプス関連の捜査を進めて行った。捜査を続ける内に「ヴァンデイン・コーポレーション」の存在に行き着き、ラプター強奪未遂事件によってグレンデル一家から証言を引き出した事で、遂に強制捜査に踏み込む。 ハーディス・ヴァンデインの逮捕にも、完全武装の仲間を引き連れて直接向かった。
ティアナ・ランスター (てぃあならんすたー)
時空管理局の警防部に所属する女性執務官。フェイト・T・ハラオウンと共に 「銀十字の書」とディバイダー、エクリプス関連の事件を追っている。エクリプス感染者に対応するため、CWXシリーズの専用装備「オクスタン」を作られていたが、武器の用途と見た目が質量兵器の禁止事項に引っかかったため許可がなかなか下りず、装備の完成が大幅に遅れていた。 スバル・ナカジマの保護したトーマ・アヴェニールとは親しく、トーマからは「ティア姉」と呼ばれて慕われている。トーマが保護されてからもフェイトと共にエクリプス関連の捜査を進め、「ヴァンデイン・コーポレーション」の存在に行き着いた。ハーディス・ヴァンデインの逮捕にも、完全武装の仲間を引き連れて直接向かい、逮捕される時のハーディスの様子から、まだ何かがあるのではないかと考えている。
エリオ・モンディアル (えりおもんでぃある)
時空管理局の特務六課に所属する青年。エクリプス感染者とフッケバインファミリーに対抗するため、八神はやてによってキャロ・ル・ルシエと共に特務六課に召集された。「飛空挺フッケバイン」での戦いでは、敵地に乗り込んで、リリィ・シュトロゼックやアイシス・イーグレットの救助を手伝った。 トーマ・アヴェニールとは同性で年も近いから仲がよく、トーマが時空管理局に保護されてからはよくいっしょに行動する事が多い。時空管理局に長らく働いているため武器の扱いに長けており、武器に振り回されているトーマにアドバイスなどもしている。
キャロ・ル・ルシエ (きゃろるるしえ)
時空管理局の特務六課に所属する少女。エクリプス感染者とフッケバインファミリーに対抗するため、八神はやてによってエリオ・モンディアルと共に特務六課に召集された。戦闘では専用装備の「ヴァンガード・ドラグーン」を装備して使役している龍の「フリード」と共に、後方支援を主として戦う。料理が得意で、トーマ・アヴェニールとは料理仲間。 護送任務の際には、トーマと協力して全員分のお弁当を作った。
八神 はやて (やがみ はやて)
時空管理局の海上警備部の女性特務佐官。LS級艦船「ヴォルフラム」の指揮を担当する捜査司令でもあり、エクリプス関連の事件に対応するため、かつての仲間達を招集し、特務六課を創設した。冷静沈着な判断力と柔軟な思考を併せ持つ人物で、仲間達に的確に指示を下す。また本人も「歩く遺失遺産」と呼ばれるほどの凄腕魔導師で、戦闘では災害規模の大魔術をあやつって戦う。 ただし余りに威力が強すぎるため、その使用には制限が付きまとい、使用する際には関係のない周囲に被害をもたらさないため、本部の許可が必要となっている。「飛空挺フッケバイン」との戦いでも罠を張り巡らし、大魔法「ヘイムダル」を使ってあと一歩のところまで追い詰めたが、カレン・フッケバインの奇襲を受けて大ケガを負い、取り逃がしてしまう。 ケガを治してからは、引き続きエクリプス事件の捜査を担当し、ラプター強奪未遂事件のあと、グレンデル一家と司法取引をしてハーディス・ヴァンデインが事件に関与している情報を手に入れた。
リインフォースⅡ (りいんふぉーすつゔぁい)
時空管理局の海上警備部で、八神はやての補佐を務める司令補。アギトと同じく女性型の融合騎で、普段は人間と同じサイズで仕事をしているが、必要に応じて小さい妖精のような姿にもなれる。融合騎と似た力を持つリリィ・シュトロゼックの指導を担当し、模擬戦ではシグナムと融合してトーマ・アヴェニールとリリィの相手を務めた。
シグナム
時空管理局の特務六課に所属する一等空尉の女性。アギトと共にエクリプス関連の事件を追っていた。事件を追う内にサイファーがトーマ・アヴェニールを連れ去ろうとする現場に出くわし、サイファーと戦闘になった。非凡な戦闘力を持ち、鞭状の連結刃に変形する剣型デバイス「レヴァンティン」を使った変幻自在な戦いを得意とする。 魔法無効化能力を持つサイファーとも互角に戦えているように思われたが、ディバイダーを使ったサイファーには為す術がなく敗れた。その際に瀕死の重傷を負ってしまい、意識不明のまま長らく戦線離脱していたが、トーマ達が保護されて以降、意識を取り戻して退院する。トーマ達の良き先輩として模擬戦を行い指導したり、現場では上司として指揮を担当したりしている。 ラプター未遂事件でサイファーと再戦した際には、対抗兵器であるCWXシリーズが完成していた事もあり、終始優位に立っていた。
ヴィータ
時空管理局の特務六課に所属する二等空尉の少女。高町なのはと共に、エクリプス感染者に対抗するための兵器「CWXシリーズ」の調整を行っていた。「飛空挺フッケバイン」での戦いでは、なのはと共に砲撃を行い、フッケバインファミリーと戦った。トーマ・アヴェニール達が保護されてからは、なのはと共に彼らの教育を担当し、トーマの能力に警戒心を見せつつも、よき先輩として彼らを指導した。
シャマル
時空管理局の医療部に所属する医務官の女性。八神はやてによって特務六課の医療班に召集され、医務官として負傷者の治療とエクリプス感染者への医学的観点からの分析を担当する。トーマ・アヴェニールが時空管理局に保護されてからは、トーマのエクリプスウイルスの治療も担当している。トーマから強く信頼されるほど医療の腕は確かで、エクリプスウイルスに対しても着々と治療法を確立し始めている。 のちにその治療成果は「対EC薬剤」として実を結び、戦闘で使う事でエクリプス感染者の能力を弱体化させる事に成功している。
アギト
時空管理局の特務六課に所属する航空魔導師の少女。リインフォースⅡと同じく融合騎で、普段は人間の少女と同じくらいの体の大きさだが、必要に応じて妖精のような小さい姿にもなれる。自身も防御や支援といった魔法で戦う事ができるが、相棒であるシグナムと融合する事で、爆発的な戦闘力を発揮する事ができる。シグナムと共にエクリプス関連の事件を追っていたが、サイファーとの戦闘に敗れてしまう。 自身もケガを負ったが、さらに重傷なシグナムを心配しており、意識を取り戻してからケガを押して現場に戻ろうとするシグナムには、苦言を呈していた。
ハーディス・ヴァンデイン (はーでぃすゔぁんでいん)
「ヴァンデイン・コーポレーション」の第八企画室専務取締役を務めている男性。つねに冷静、理知的で、エクリプスウイルスを次世代のクリーンなエネルギーとして部下達に研究を指示していた。エクリプス感染者が起こす事件への関与は否定しており、フェイト・T・ハラオウンが捜査に訪れた際には、情報提供という形で捜査に協力していた。 娘が存在し、プライベートでは家族サービスを忘れない、よき父親として振る舞っている。実はエクリプス感染者を意図的に増やし、彼らを使って事件を起こしていた黒幕。子飼いのエクリプス感染者には、口封じのための自壊ユニットで使い捨てたり、非道な人体実験を繰り返していたり、人を人と思わぬ非道を繰り返していた。リリィ・シュトロゼックを含めた「シュトロゼック」を作ったのも彼らであり、トーマ・アヴェニールの存在にも強い興味を示していた。 グレンデル一家が情報提供したせいで自らの犯行が明るみに出ても、余裕の態度をいっさい崩さず、おとなしく護送された。ただしその際に一瞬見せた威嚇で、ティアナ・ランスターに、まだ「何か」あると強い警戒心を抱かせた。 拘置所ではおとなしく過ごしていたが、フッケバインファミリーを襲撃した際にはその非凡な戦闘力を発揮した。ほかのエクリプス感染者の能力をコピーする「模倣能力」も合わせてカレン・フッケバイン達を一蹴した。
カレン・フッケバイン (かれんふっけばいん)
凶悪犯罪組織フッケバインファミリーの首領。年齢不詳の女性で、陽気な姉御としてフッケバインファミリーをまとめている。エクリプス感染者の例に漏れず冷酷な部分もあり、初登場時は「飛空挺フッケバイン」と時空管理局に乱入し、八神はやてを刀で一刺ししている。ゼロ因子適合者と「原初の種」と呼ばれる存在を求め、方々を探し回っている。 戦い方はゼロ因子適合者の力を使うトーマ・アヴェニールと似通っており、魔道書とディバイダーの二刀流で戦う。奇襲とはいえ、はやてを含む特務六課の面々を一蹴するほどの高い戦闘力を持つ。またエクリプス感染者の持つ肉体再生能力を応用する術にも長けており、肉体を作り変える事で少女のような姿になる事もできる。 必要であれば殺しも厭わないが、現在は時空管理局と正面切って戦うつもりはなく、時空管理局の人間はなるべく殺さないように仲間達にも指示を下している。「原初の種」の在り処を求めてハーディス・ヴァンデインが囚われた拘置所を襲撃したが、ハーディスの思わぬ力に反撃に遭って撤退した。
ロザリア
リリィ・シュトロゼックと似た風貌を持つ少女。その正体は「シュトロゼック」のシリーズの一つで、エクリプス感染者専用のリアクタープラグ。第14管理世界を襲っていたエクリプス感染者のディーゴに道具のように使われていたが、フッケバインファミリーと交戦し、ディーゴがヴェイロンに殺された事で解放される。その後はアルナージに拾われ、フッケバインファミリーと行動を共にしている。 実はダメージを受けていたため、しばらくして体調を崩していたが、ソニカ・リーリャンに修理用のデータを提供してもらった。
ステラ・アーバイン (すてらあーばいん)
フッケバインファミリー所属のエクリプス感染者。幼い風貌の少女で、言葉をしゃべる事ができず、普段は年相応に無邪気に振る舞って仲間達と接している。ディバイダーはフッケバインファミリーの本拠地である飛空挺フッケバインそのもので、普段は飛空挺フッケバインを自動航行させるために能力の大半を割かれており、しゃべる事ができずにいる。 操舵手として飛空挺フッケバインとリアクトすると、本来のおしゃべりな面が出て人が変わったようになる。操舵手としての能力は絶大で、巨大な飛空挺フッケバインの存在もあり、時空管理局を何度も手玉に取っていた。ただし年相応に幼い部分があり、時空管理局に勧告した際には感情のまましゃべりすぎて、フォルティスから情報を漏らしすぎと苦言を呈されていた。
ソニカ・リーリャン (そにかりーりゃん)
フッケバインファミリー所属のエクリプス感染者の少女。金にがめついマイペースな性格で、たとえ仲間相手でも、仕事には相応の報酬を求める守銭奴。エクリプス感染者の中では珍しく初期状態で症状が止まっているため、戦闘能力は皆無だが、その代償に、生まれつき持っていた「情報窃盗(メモリースティール)」と呼ばれる能力が大幅に強化されている。 これは触れた対象の情報を読み取る能力で、普段はこの能力を活かして「占い師」の仕事をしていた。対象が隠し持っている情報を引き出すのに最適な能力で、フッケバインファミリーでは「尋問官」として力を発揮している。ハーディス・ヴァンデインから「原初の種」の在り処を聞き出すためカレン・フッケバインに同行したが、ハーディスが予想外の戦闘力を持っていたため、戦闘能力のないソニカ・リーリャンは危機に陥ってしまう。
ヴェイロン
フッケバインファミリー所属のエクリプス感染者。獰猛な性格をした青年で、トーマ・アヴェニールが目的地として教会を襲撃していた。トーマの仇であるヴァイゼン遺跡鉱山崩落事故の襲撃犯と特徴が似ていたたため、トーマからは一時期、仇であると誤解されていた。フッケバインファミリーの中では唯一、リアクターを持っていないため、エクリプス感染者の力を発揮できずにいる。 しかしそれでも力に目覚めたばかりのトーマ・アヴェニールを圧倒し、第14管理世界ではリアクターとディバイダーを揃えたエクリプス感染者のディーゴを単独で打ち倒している。普段は気性の荒い部分を見せるが、身内の年下にはやさしく、文句を言いつつもロザリアの看病もしていた。 カレン・フッケバインに同行してハーディス・ヴァンデインの囚われた拘置所を襲撃したが、ソニカ・リーリャンをハーディスからかばったため心臓を失う、という重症を負ってしまう。
サイファー
フッケバインファミリー所属のエクリプス感染者。眼帯をつけた褐色肌の女性で、トーマ・アヴェニールを連れ去るため現れた。その際にシグナムに邪魔をされたもののエクリプス感染者の「病化」能力を使い、シグナムに瀕死の重傷を負わせている。高い再生能力と剣戟の直撃にも耐える頑強さを持ち、二刀流の剣型「ディバイダー994」を振るって戦う。 敵には冷酷だが、身内には面倒見の良い顔を見せる事が多く、トーマの存在も気に入っている様子。エクリプス感染者として豊富な戦闘経験値も持ち、ラプター強奪未遂事件ではクイン・ガーランドの能力を見抜いてトーマに助言を与えた。シグナムと再戦した際には、エクリプス感染者の能力に対抗策を用意したシグナムに苦戦し、傷を負って退却している。
フォルティス
フッケバインファミリー所属のエクリプス感染者。理知的な雰囲気を漂わせている青年で、フッケバインファミリーの参謀格を務める。「飛空挺フッケバイン」に連れて来られたトーマ・アヴェニールにエクリプス感染者の運命について説明し、フッケバインファミリーに勧誘した。「飛空挺フッケバイン」にリアクトしたステラ・アーバインのサポートも担当しているが、素の性格になったステラのサポートには手を焼いている。
ドゥビル
フッケバインファミリー所属のエクリプス感染者。寡黙な大男で、「飛空挺フッケバイン」内部では上半身裸で行動する事が多い。空間移動をして一瞬で間合いを詰める「短距離瞬間移動(ショートジャンプ)」の能力の使い手で、戦闘では見た目に違わぬ怪力と、見た目にそぐわぬ機動力で他者を圧倒する。斧型「ディバイダー695」を持ち、リアクターを使う事で、全身鎧をまとった異形の姿に変身できる。
アルナージ
フッケバインファミリー所属のエクリプス感染者。陽気な少女で、誰に対してもずけずけと物を言う、あっけらかんとした性格をしている。普段の言動とは裏腹に、意外にも気づかい上手で、後先考えないサイファーのフォローなどもしている。リアクターをする事で銃型の「ディバイダー718」を使う事ができる。「ディバイダー718」は換装が可能で、実弾やロケットランチャー、プラズマ砲など相手に合わせて攻撃の種類を変える事が可能となっている。 第14管理世界で敵対するエクリプス感染者を倒し、ロザリアを拾って帰っている。
カート・グレンデル (かーとぐれんでる)
グレンデル一家の若き少年首領。エクリプス感染者となっており、「ヴァンデイン・コーポレーション」のハーディス・ヴァンデインの指示でラプター強奪事件を引き起こした。エクリプス感染者として高い身体能力を持つほか、制限さえあるものの、触れさえすれば対象を破壊する事ができる「ディバイド・ブレイク」という技を得意とする。 ラプター強奪の際には「ディバイド・ブレイク」を使い、トーマ・アヴェニールとラプターの武器を一度に破壊するなど離れ業を見せている。ラプターを強奪するまでは滞りなく運んだが、駆けつけたティアナ・ランスターの攻撃によって鎮圧され、捕縛されてしまう。エクリプス感染者としての能力は「遠隔取寄せ」。いくつか制限はあるが、同じ次元世界に存在する自分の持ち物ならば、どれだけ離れていても自分の手元に取り寄せられる能力で、条件さえ合致すれば、仲間に限るが、人も転送させる事ができる。 さらに身内と認めている人間ならば、触れている事で、その身内の所持品も取り寄せる事ができる。カートにとって切り札といえる能力であるため、人に知られるのを極度に嫌っており、仲間内でさえロロ・アンディーブ以外は能力の詳細を知らなかった。 「ヴァンデイン・コーポレーション」所属のエクリプス感染者の例に漏れず、口封じ用の「自壊ユニット」を植えつけられていたが、取り寄せの能力を応用して「自壊ユニット」の場所を頭から首筋に変更している。そのため時空管理局に捕まった際には「ヴァンデイン・コーポレーション」に関する証言を引き換えに、司法取引を申し出ている。 事件後は保護施設に収容され、エクリプスウィルスの治療を受けていたが、自らの能力を使って脱走を企て、失敗している。
ロロ・アンディーブ (ろろあんでぃーぶ)
グレンデル一家の「運び屋」。三つ編みがトレードマークの少女で、乗り物好きな性格が長じて一家の足を務める。エクリプス感染者であり、電気をあやつる能力を持つ。ロロ・アンディーブは電気で動く機械の能力を増幅するという形で使っており、「スタナー」でラプターを行動不能にしたり、電気を使う乗り物に使って性能を上げたりする使い方をしている。 ラプター強奪事件を引き起こしたが、カート・グレンデルがティアナ・ランスターの攻撃によって鎮圧された際に投降している。カートとは付き合いが長く、グレンデル一家の中でも唯一、カートの能力の詳細を知っていた。カートの能力で脱走した際にはヨットを運転して脱走を手助けしたが、その後すぐに再び捕まっている。
マリーヤ・ラネスカヤ (まりーやらねすかや)
グレンデル一家の「狙撃手」。冷静沈着な性格の少女で、カート・グレンデルの事は首領として認めつつも、能天気な行動にいつも頭を抱えている。特攻娘のクイン・ガーランドとは性格的な相性も悪く、いつもケンカしており、戦闘でも連携が取れず文句を言い合っている。エクリプス感染者で、銃弾を銃を使わず素手で撃ち込む能力を持つ。 命中精度は高く、両手を使う事で複数の目標に銃弾を叩き込むといった戦い方も可能となっている。ラプター強奪未遂事件に参加したが、アイシス・イーグレットに敗れて捕まった。カートの能力で脱走しようとしたが、すぐに再び捕まっている。
クイン・ガーランド (くいんがーらんど)
グレンデル一家の「特攻」を務めている。セーラー服を着た少女で、グレンデル一家の中で最も激情家な性格をしている。その性格なため感情のまま特攻する事も珍しくなく、マリーヤ・ラネスカヤからは文句を言われる事も少なくない。「ディバイダーVG4」を持ち、戦闘では白兵戦闘を行って戦う。また剣から粒子を放って攻撃する「粒子剣」の使い手でもあり、これによって近遠隙のない戦い方をする事ができる。 エクリプス感染者として戦闘経験の少ないトーマ・アヴェニールには圧勝したが、サイファーには手も足も出ず負け、その後、サイファーに殺されそうになるが、トーマにかばわれる形で捕縛された。カートの能力で脱走しようとしたが、すぐに再び捕まっている。
高町 ヴィヴィオ
高町なのはの義理の娘。St.ヒルデ魔法学院の中等部に通っている活発な女子生徒。ノーヴェ・ナカジマから格闘技の手ほどきを受けており、格闘戦技ストライクアーツの競技選手として全国レベルの腕前を持っている。つねにいっしょにいるうさぎ型のマスコット「クリス」は、「セイクリッド・ハート」という名のインテリジェントデバイスであり、高町ヴィヴィオを相棒として支えている。 トーマ・アヴェニールとは年が近いため友人関係で、母親とトーマ達に会いに訓練場に訪れた。姉妹作である藤真拓哉の『魔法少女リリカルなのはViVid』の主人公。
ノーヴェ・ナカジマ (のーゔぇなかじま)
スバル・ナカジマの妹。救急救命士の資格を持っており、時空管理局防災課の民間協力者として働いている。また格闘技指導者の資格も持っており、高町ヴィヴィオをはじめとした近所の子供達に格闘技を教えている。
集団・組織
時空管理局 (じくうかんりきょく)
次元世界の治安を守る組織。魔法の存在を知り、自由に交流ができる「管理世界」を中心に活動しており、犯罪の摘発から災害救助など幅広い活動をしている。また活動の方針から、人を傷つける「実弾兵器」の使用に強い忌避感を持っており、その使用には多くの規制がかけられている。近年、エクリプス感染者など魔力無効化能力による犯罪が激化しているため、その対抗策として第五世代デバイスやCWXシリーズの開発を進めているが、この「実弾兵器」を忌避する論調によって一部の開発に悪影響が出ていた。
特務六課 (とくむろっか)
八神はやてが設立したエクリプス関連の事件に対する即応部隊。エクリプス感染者による組織だった犯罪を未然に防ぐのが目的。「JS事件」を解決した「機動六課」が下敷きになっているため、同じメンバーが召集されており、部隊番号も偶然にも同じ「六課」となっている。「カレドヴルフ・テクニクス社」の「CWXシリーズ」の開発協力もしており、のちにラプターも実験配備される予定だった。
フッケバインファミリー
エクリプス感染者による凶悪犯罪組織。首領はカレン・フッケバインで、「管理外世界」を中心に、殺人や破壊工作といったさまざまな犯罪行為を行っている。一味の全員がエクリプス感染者で、エクリプス感染者への仲間意識は強い。本拠地の「飛空挺フッケバイン」は魔法を無効化する移動拠点で、無補給で長期間移動できるのもあり、時空管理局でも捕捉は困難となっている。
ヴァンデイン・コーポレーション (ゔぁんでいんこーぽれーしょん)
第16管理世界「リベルタ」を中心に活動するデバイスメーカー。民間警備会社向けの警備装備や軍用の特殊車両の開発、生産を中心に行っており、一般では「兵器メーカー」としての評価が高い。ハーディス・ヴァンデインが属する第八企画室は密かにエクリプス関連の実験をしており、人為的に感染者を作ったり、非道な人体実験を行ったりしていた。 また手下のエクリプス感染者には口封じのための「自壊ユニット」を頭に埋め込んでおり、裏切った場合は即座に処分できるようにしていた。グレンデル一家の証言によってハーディスが逮捕されて以降は、経営は風前の灯とされている。
グレンデル一家 (ぐれんでるいっか)
第1から第3管理世界を中心に活動する武戦派のならず者一家。首領はカート・グレンデルで、一家全員がエクリプスウイルスに感染している。「ヴァンデイン・コーポレーション」のハーディス・ヴァンデインの依頼でラプターの強奪未遂事件を引き起こすが、特務六課によって阻止され、囚われの身になってしまう。 以降はカートが司法取引を行った事で、実刑は免れないものの保護施設に保護されエクリプスウイルスの治療を受けていた。しかしスキあらば脱走しようと考えており、カートの手引きで1回は保護施設の外まで脱出できたものの、高町なのはにあっさり捕捉され、脱走は失敗してしまう。
カレドヴルフ・テクニクス社 (かれどゔるふてくにくすしゃ)
ミッドチルダ最大手の魔導機器メーカー。家庭用から業務用まで幅広い分野で商品を取り扱っており、スティードの部品の大半もカレドヴルフ・テクニクス社のものを使っている。民間では確かな実績を誇る一方、時空管理局では商品の採用実績は少ないため、ラプターを代表とする「CWXシリーズ」の導入をきっかけに、シェアの拡大を図ろうとしている。 特務六課とは持ちつ持たれつといった関係で、ラプターの調整にも協力していた。
イベント・出来事
ヴァイゼン遺跡鉱山崩落事故
新暦75年にヴァイゼン北西部の鉱山街「アリア」で起きた大規模な崩落事故。原因は局地地震によるものとされているが、その際に発生した有毒ガスで「アリア」の住民約230名が全滅したとされている。公的な記録では不幸な自然災害とされているが、建物の破壊などに明らかな人為的な痕跡があるなど不自然な点も多い。トーマ・アヴェニールは唯一の生存者で、事件時に町を襲撃していた本を持った女性と銃剣を持った男性を目撃している。 襲撃犯はフッケバインファミリーを示す藍色のタトゥーを体にしていたため、トーマはタトゥーをしていたヴェイロンが襲撃犯にかかわりがある、と一時期誤解していた。
その他キーワード
飛空挺フッケバイン (えすくあっどふっけばいん)
犯罪組織「フッケバインファミリー」の本拠地にして移動拠点。船自体がディバイダーの一種で、大型艦艇にもかかわらず非常に高い機動力と双転移能力を持つ。またディバイダーの例に漏れず高い魔法無効化能力を持ち、時空管理局の艦載魔導武装ですら傷をつける事ができない。年単位での無補給飛行が可能で、普段は自動操縦で航行しているが、ステラ・アーバインが操舵を務める事で、機体の自動修復やさらなる高機動能力など真の能力を発揮できる。
ディバイダー
エクリプス感染者専用の武装。その性質上、「エクリプスウェポン」や「魔導殺し」と呼ばれる事も多く、これを使って戦う事でエクリプス感染者は魔法を分断し、無効化する事ができる。ディバイダーは単体でも使う事ができるが、反応触媒であるリアクターと合わせて使用する事で「世界を殺せる毒」として真の力を発揮する。ディバイダーは基本的にエクリプス感染者固有のもので、それぞれ形が違うが、「ヴァンデイン・コーポレーション」はディバイダーの能力と見た目を再現した「レプリカ」を作っていた。
リアクター
エクリプス感染者がその能力を扱うための反応触媒。エクリプス感染者はこれを体内に取り組む事で自らの能力を制御し、ディバイダーの真の力をあやつる事ができる。形状は個々のエクリプス感染者によって違い、基本的にナイフのような無機物の形状を取っている。ただし一部例外も存在し、リリィ・シュトロゼックやロザリアを含む「シュトロゼック」シリーズは、人の形を与えられた「リアクター」で、融合騎のように使用者と融合する事で、その能力を発揮する事ができる。 またリアクターには、エクリプスウイルスによる症状を制御する抗体作動としての役割もあるため、トーマ・アヴェニールはリリィと融合する事でその症状を緩和させる事ができた。
ラプター
「カレドヴルフ・テクニクス社」が開発した人型の自律作動方汎用端末。形式番号は「CW-ADX(アーマーダイン)」で、「CWXシリーズ」の例に漏れず、エクリプスを始めとした魔法無効化能力への対抗を意識した装備を整えている。充電式のバッテリーで駆動し、機械駆動であるため、人が入り込めない過酷な環境下での任務でも問題なくこなす事ができる。 また複数機存在するが、組織単位で知識や経験を共有するため個体ごとの個性は存在しない。基本装備として対象の武器破壊用装備「ソードブレイカー」を両手に装備しているほか、CWXシリーズの現行装備に対応しているため、人間と同じく装備を持ち替えて対応する事ができる。作中ではデフォルト装備としてカノンとハンマーを使用していた。 現在は時空管理局のヴァイゼン地上本部に12機が配備されて試験運用されている。
CWXシリーズ (しーだぶるえくすしりーず)
エクリプスを始めとした魔法無効化能力に対抗するために、時空管理局が「カレドヴルフ・テクニクス社」に開発を委託した兵器シリーズ。「AEC(アンチエクリプス)武装」とも呼ばれ、個人サイズの装備で、対象が魔力結合を分解するよりも早く、無効化不可能な物理エネルギーに変換して対抗するのをコンセプトとしている。また内部にバッテリーを内臓する事で、広域で魔法が無効化される戦域でも問題なく稼動できるように設計されている。 ただし全力稼動ではバッテリーの消耗が激しく、また十分な性能を発揮するために、現状のCWXシリーズでは必然的にサイズも大型化するなど課題も多い。またティアナ・ランスターの「オクスタン」はその性質上、時空管理局の禁止している質量兵器に抵触したため、運用許可がなかなか下りなかった、など別の課題も存在する。
第五世代デバイス (だいごせだいでばいす)
エクリプスを始めとした魔法無効化能力に対抗するために、時空管理局が開発中の新世代デバイス。「カレドヴルフ・テクニクス社」のCWXシリーズとは異なる技術体系、設計思想で作られており、既存のデバイスの長所を伸ばしつつ、魔法無効化能力に対抗するというコンセプトで作られている。現状は使用者に高い適性が求められ、運用も難しいため、フェイト・T・ハラオウンのデバイス「バルディッシュアサルト・ライオットブレードⅡ」が実験運用されているのみとなっている。
デバイス
魔法の使用を補助する専用端末。日常から軍事までさまざまな分野で使われており、用途によってデバイスの形も大きく違っている。また中にはデバイスそのものに自律した知性を与えた「インテリジェントデバイス」も存在し、トーマの相棒、スティードもその一種である。
バリアジャケット
魔力で使用者を守る保護服を作り出す魔法。薄手の普通の服のように見えて防御性能は高く、時空管理局の戦闘員は基本的に戦闘時に着用している。アイシス・イーグレットの使っている「アーマージャケット」は機能はほぼ同じだが、別の技術体系で作られた別物である。またリリィ・シュトロゼックのまとう「エンゲージスーツ」は、エクリプス感染者をサポートする機能などが追加されている。
融合騎 (ゆうごうき)
独立した人格型支援ユニット。所有者の魔法構築を補助する「インテリジェントデバイス」の役割をさらに突き詰めた存在で、人格と意思を与えられたユニットが状況を「判断」して、自律的に所有者をサポートする。術者と融合する「ユニゾン」を行う事で、爆発的にその能力を増大させる事もできるが、相性などいくつか条件も存在するため、誰とでもできるという訳ではない。 作中では融合騎のアギトがシグナムと融合している。また融合騎は人間の姿をしているが、必要に応じて体の大きさを変える事ができ、アギトは普段は人間の少女くらいの大きさをしているが、必要があれば妖精のような小さい姿になる。融合型リアクターであるリリィ・シュトロゼックは、融合騎の存在を参考に作られているため能力の共通点が多い。 そのためリインフォースⅡがリリィの教育を担当した。
銀十字の書 (ぎんじゅうじのしょ)
エクリプス感染者用のストレージデバイス。研究者によって封をされた状態で運搬されていたが、ルヴェラ鉱山遺跡でトーマ・アヴェニールがリリィ・シュトロゼックと接触してエクリプスウイルスに感染した際に、封を破ってトーマの手元に転移してきた。以降はディバイダーと共に銀の腕輪となってトーマの力を引き出している。 「銀十字の書」はエクリプス感染者の武器管制システムであるが、これ単体では術者本人に制御する事ができず、暴走の危険がつねに付きまとう。当初、トーマが力を使った際に意識を失っていたのはそのせいであり、トーマがゼロ因子適合者としての力を発揮した際には精神性が悪化していた事もあって、自動防衛機能が暴走し、敵味方関係なく攻撃してしまった。 正しく制御するためにはリリィによる統合制御が必要で、トーマとリリィが融合して以降は制御下に置く事に成功している。古代ベルカの魔導書を参考に作られたなど、その性質には未だ謎の部分が多い。カレン・フッケバインの持っている魔導書もよく似た形をしており、カレンは「銀十字の書」に直接メッセージを届けるといった事もしている。
エクリプス
肉体に大きな変化をもたらす謎の奇病。リアクターとの接触によって感染し、適合しなかった場合は即座に死に至る。適合した場合はさまざまな特殊能力が開花し、ディバイダーとリアクターを手にする事で「世界を殺せる毒」として強大な力を発揮する事ができる。エクリプス感染者の多くが持つ魔法無効化能力は時空管理局には天敵で、場合によっては社会に致命的なダメージを与えると危険視されている。 また特筆すべき点として、エクリプス感染者は例外なく殺人衝動を覚えるようになり、人を殺さずにいると肉体的、精神的に耐え難い苦痛を感じるようになる。そして仮に殺人衝動を耐え切ったとしても、その先には自己対滅による死が待ち受けているため、トーマ・アヴェニールはこの事実を知った時、自らの命を絶とうとした。 「感染」「発症」「適合」「病化」の4段階がある。「病化」まで症状が進行すると肉体が大きく作り変わる事となり、エクリプス感染者はこの肉体変化を応用する事で、四肢の欠損を瞬時に修復するなど強力な再生能力を発揮できる。またカレン・フッケバインはこの再生能力を応用する事で、自らの姿を少女のような外見に一時的に変化させた。
自己対滅 (じこついめつ)
殺人衝動を解消しなかったエクリプス感染者の末路。肉体的、精神的な苦痛が頂点に達し、エクリプス感染者の持つ再生能力が暴走して、最終的には物言わぬ肉塊になってしまう現象。トーマ・アヴェニールはリリィ・シュトロゼックを助けた研究施設で、数多くの自己対滅の成れの果てを目にしている。
ゼロ因子適合者 (ぜろどらいばー)
エクリプスウイルス感染者の完成形ともいわれる存在。エクリプスウイルスに含まれる「ゼロ因子」が宿主と適合する事で生まれる。ゼロ因子適合者は通常のエクリプス感染者を遥かに超える肉体強化と物理エネルギー生成能力を持ち、通常は体やディバイダーにまとうだけの魔法無効化能力を広範囲で放つ事が可能となっている。反面、力の代償として感覚を失う事があり、強すぎる能力を制御できず、無差別に攻撃してしまう事もある。 実際、トーマ・アヴェニールがフッケバインファミリーと接触して身の内に眠る「ゼロ因子」の力に目覚めたが、視力を失って暴走し、敵味方問わず無差別に攻撃し大きな被害をもたらしてしまった。「ゼロ因子」は通常そのまま休眠状態に陥ったままであるため、「ゼロ因子」に適合するエクリプス感染者は非常に稀である。
クレジット
- 原作
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都築 真紀