概要・あらすじ
動物と心を通わす優しい少年来留間慎一は、新人間(ニューマン)を生み出そうとする父来留間源三を始めとする十三人の学者によって、永遠の命を持つ存在への改造手術の実験台とされてしまう。だが慎一の手術を失敗と見た源三は、次に妻来留間静江を家で飼っていた動物たちを融合させた魔獣へと改造した後、慎一を殺害しようとする。
しかしその時偶然起きた落雷事故を機に、静江がその命と引き換えに慎一救助。母の魔獣の力を取り込んだ慎一は、源三と十三人の学者たちに復讐を誓うのだった。そして五年後、慎一はその運命の鍵を握る少女真理阿と出会う。
登場人物・キャラクター
来留間 慎一 (くるま しんいち)
少年時代は年相応にやんちゃで正義感が強く、優しい性格をしていた。当時生物学者である父来留間源三が家にライオンやゴリラを始めとする大型の珍しい動物を飼っており、慎一は彼らと大変仲がよく、意思疎通ができた。またお母さん子で、家に滅多に帰ってこない源三に対しては緊張してしまい他人行儀が抜けない面もあった。 源三を始めとする十三人の学者たちによって、永遠の命を持つ存在へと改造する手術を受けさせられるも、まだ子供で体が手術に耐え切れなかったため、失敗。細胞がバラバラになってしまうため水槽から出られない体になってしまう。見かねた源三に殺害されそうになったところを、源三たちによって魔獣へと改造された母来留間静江に救出される。 静江は死に、静江と融合し魔獣の力を手に入れた慎一は、姿を消した源三への復讐を誓う。その後5年間源三の後を追い続けた慎一の性格は一変しており、好戦的ながら冷静な判断力を持ち、敵であれば残虐な殺人も厭わないまさに魔獣そのものといった存在と化している。
来留間 源三 (くるま げんぞう)
来留間慎一の父親。生物学者で、科学技術庁でも重用されていた。行き詰った機械文明によって滅びの運命にある人間を人工的に進化させる新人間(ニューマン)の研究を進めており、自らを魔獣へと改造した。いわゆるマッドサイエンティスト。科学技術庁をクビになると、自宅の研究所に志を共にする十二人の学者を招き、次なる標的を実の息子である慎一に絞り、手術を決行するが、失敗。 次に妻来留間静江に手をかけ、魔獣化に成功するが、息子慎一を殺害しようとしたことに気付かれ、やむなく母子を始末する決断を下した。静江はシャフト博士が殺害、慎一は放っておいても死ぬであろうと判断、折りしも落雷によって火災を起こした研究所を破棄し、日本アルプス山中「神の道」に拠点を移した。 全能の神にして偉大なる指導者イヤスの教えを受け、1999年7月に起こるという神の復活を待つ。
来留間 静江 (くるま しずえ)
来留間慎一の母親。和服を着た柔和な物腰の女性。生物学者である夫来留間源三が飼っている動物たちの面倒を見ていたため、動物と心を通わせることができた。それに目をつけた源三を始めとする十三人の学者たちの手により、飼っていた動物たちと融合した魔獣の姿に生まれ変わる。源三が慎一を殺そうとするのに気付いて目覚め、魔獣と化して源三に襲い掛かるが、シャフト博士の短針銃によって頭部を撃たれ絶命。 その身に宿した魔獣の力は、静江と融合した慎一に受け継がれる。
天外真 理阿 (てんがい まりあ)
予知一族の少女。神を育てる聖母マリアとしての使命を持つが、本人は自覚に至っていない。来留間源三たち十三人の学者が彼女を手に入れるため、予知一族の村を襲い、彼女と弟天外富三郎の父母を殺害するという事件が起こり、おじいちゃん、天外富三郎と共に村外に逃れた。さらにそこで予知能力を持つという一族の秘密を守ろうとする長老からの追っ手に追い詰められたところを来留間慎一に助けられる。 弱い予知能力を持ち、次第にその力は強くなってきている。おじいちゃんの遺言で富三郎共々慎一の復讐に協力するため、共に行動する。
天外 富三郎 (てんがい とみさぶろう)
予知一族の少年。おじいちゃん、天外真理阿と共に村を出た。おじいちゃんの予知能力を使い、行く先々で当て物をして生活費を稼いでいる。金にがめつい性格。予知能力と呼べるほどの力はないが、勘が優れており、敵の攻撃を本能的に回避することができる。おじいちゃんの遺言に従い、真理阿と共に慎一の復讐に協力する。
天外
天外真理阿、天外富三郎の祖父。予知一族の一人。強い予知能力を持つが、自分を含め一族の未来を見ることはできない。来留間源三たち十三人の学者が真理阿を手に入れるため、予知一族の村を襲い、真理阿と富三郎の両親を殺害するという事件が起きたため、二人の孫ををつれて村外に逃れた。 予知能力を持つという一族の秘密を守ろうとする長老からの追っ手に追い詰められたところを来留間慎一に助けられる。来留間慎一に自分たちの来歴と、1999年7月に世界が滅ぶという予言を伝えている最中に、追っ手に殺害され、死亡。最後に富三郎と真理阿に慎一と行動を共にするよう言い残す。
バルビア
いわゆるマッドサイエンティストで、来留間源三をリーダー格とする十三人の学者たちの一人。すなわち来留間慎一を改造し、来留間静江を魔獣にした上で殺した犯人の一人でもあり、慎一から復讐相手として付け狙われている。「東北村科学研究所」を拠点とし、動物と人間を融合させる人体実験を繰り返していた。 また、慎一の行動に天外真理阿たちが合流した際は、真理阿を「真理阿様」と呼び、彼女を傷つけないようにしていた。
シャフト
いわゆるマッドサイエンティストで、来留間源三をリーダー格とする十三人の学者たちの一人。すなわち来留間慎一を改造し、来留間静江を魔獣にした上で殺した犯人の一人でもあり、慎一から復讐相手として付け狙われている。月の軌道を変え、任意の場所に洪水を起こす超兵器ムーンパラソル、超威力を持つミサイル粒子砲の発明者。 生体実験によって生み出した「30人の息子たち」によって身辺を護らせており、そのうちの数人は自らの体に寄生させるような形で融合している。
ユダ
いわゆるマッドサイエンティストで、来留間源三をリーダー格とする十三人の学者たちの一人。すなわち来留間慎一を改造し、来留間静江を魔獣にした上で殺した犯人の一人でもあり、慎一から復讐相手として付け狙われている。自らの息子二人も実験材料としたが、実験は失敗し霧状の生命体となってしまった。 それでも自分への信頼を失わない息子たちを見て、十三人の学者を裏切る決意をする。
ファーマム
バルビア博士に生体実験によって作り出された三獣士の一人。両肩に猛禽類らしき鳥の首が生え、4枚の翼で空を飛ぶことができる。手足は鉤爪状になっている。来留間慎一の正体を知らないバルビア博士の命令によって、彼を捕えるべく派遣された。
猿使いの男 (さるつかいのおとこ)
バルビア博士に生体実験によって作り出された三獣士の一人。下半身が巨大なオランウータンと化しており、無数の猿を手足のごとく使役できる。ファーマムと協力して来留間慎一に麻酔銃を打ち込む罠をしかけた。
蜘蛛使いの男 (くもつかいのおとこ)
バルビア博士に生体実験によって作り出された三獣士の一人。背中に巨大な蜘蛛が融合しており、長い手足で獲物を捕えることができる。吐く糸は特殊で、非常に強靭。
集団・組織
予知一族 (よちいちぞく)
『魔獣戦線』に出てくる一族。青森県の山奥にあるヘライ村からさらに数キロ行った場所に住む一族。祖先がキリストの落とし子であるという伝説がある。一族の人間の多くは、微弱ながらも予知能力を持ち、外部にその秘密が漏れないよう暮らしてきていた。
その他キーワード
ムーンパラソル
『魔獣戦線』に登場する超兵器。巨大なパラソル上の機械で月に光線を発射し、その軌道を変えることで、地球上の任意の場所に大洪水を起こすことができる機械。シャフト博士によって発明された。