鴉天狗カブト

鴉天狗カブト

戦国時代を舞台に、はるかな昔から歴史の裏で戦い続けてきた鴉天狗一族と、その宿敵である黒夜叉道鬼の戦いを描いたファンタジー作品。「月刊フレッシュジャンプ」1987年5月号から1989年1月号にかけて掲載された。1990年7月29日から1991年6月30日にかけて、NHK衛星第2テレビジョンにてTVアニメ版が放送されたほか、1992年7月24日にはOVAも発売されている。

正式名称
鴉天狗カブト
ふりがな
からすてんぐかぶと
作者
ジャンル
ファンタジー
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

大永一年。戦国の世を迎えた日本に、魔界の扉を開けて黒夜叉道鬼が姿を現す。彼の狙いは鬼を呼び寄せ、世を混乱に陥れる事だった。そんな中、黒夜叉道鬼が放った手下から逃げる一人の男がいた。彼は二代目鴉天狗カブトとして、宿敵である黒夜叉道鬼と戦う運命を背負っていた。黒夜叉道鬼と戦うため、二代目鴉天狗カブトは、初代鴉天狗が作った妖剣・飛龍を手に入れ、さらに仲間である紅天狗地雷屋朱雀青龍の四神に召集をかけた。 その後、一行は黒夜叉道鬼の居城である「鬼面城」へ乗り込む。そこで黒夜叉道鬼を封じるべく、二代目鴉天狗カブトは四神に「四門封殺の陣」を行わせる。だがそれに対抗するため黒夜叉道鬼が呼び出した六車輪童子に敗れ、黒夜叉道鬼を逃がしてしまう。さらに六車輪童子との戦いで、四神らの武器も壊れてしまう。しかし二代目鴉天狗カブトは、魔に対抗できる宝刀「打竜牙」と「雷迅風」と呼ばれる鉄棒の存在を語り、四神と共に探しに出る。そして困難の末、一行は二つの武器を入手し、さらに風魔一族に伝わるとされる空飛ぶ戦艦「竜卍船」を手に入れる。 その後カブトたちは「竜卍船」に乗り込み、黒夜叉道鬼を追って宇宙へと向かった。対峙した両者は互いに主砲を撃ち合い、二代目鴉天狗カブトは黒夜叉道鬼もろとも鬼面城を破壊する。だが死の間際、黒夜叉道鬼は自身の復活と、鴉天狗一族との終わらない戦いを予言するのだった。

第2巻

二代目鴉天狗カブト黒夜叉道鬼の戦いから月日は流れ、予言通りに黒夜叉道鬼は復活する。そして武田騎馬隊を圧倒し、黒夜叉道鬼は武田軍の将である山本勘助の肉体を乗っ取った。その頃、町では世間を騒がす盗賊を捕えるため、お竜が同僚と共に待ち伏せしていた。だが盗賊は瞬く間に逃げ去り、天狗堂へと入って行く。彼こそが二代目鴉天狗カブトの息子、三代目鴉天狗カブトであった。 天狗堂へ戻った三代目鴉天狗カブトは、堂内の天狗像に祈りを捧げる女性の姿を発見する。彼女は勘助の娘・であり、静は天狗の力を使って父親を救ってほしいと語る。しかし話の途中でお竜が乱入、さらには黒夜叉道鬼の手下たちの襲撃を受ける事となってしまう。そんな中、三代目鴉天狗カブトは、先代と同じく妖剣・飛龍の封印を解き、お竜、静と共に脱出。その後、黒夜叉道鬼の復活を知った三代目鴉天狗カブトは、黒夜叉道鬼に戦いを挑むも敗れ、静も殺されてしまう。黒夜叉道鬼との戦いで瀕死の重傷を負った三代目鴉天狗カブトだったが、四神の力をその身に宿し復活。そして空飛ぶ戦艦「竜卍船」を呼び出す。それからは黒夜叉道鬼を倒すべく、三代目鴉天狗カブトは、お竜、そして三代目鴉天狗カブトの指南役である白龍老人と共に戦いを挑んでいく。

登場人物・キャラクター

二代目鴉天狗カブト (にだいめからすてんぐかぶと)

天狗流の二代目を名乗る男性。つねに冷静で、どんな苦境に陥っても取り乱す事はない。宿敵である黒夜叉道鬼の復活を知り、それに対抗するため父親である初代鴉天狗が作った妖剣・飛龍の封印を解く。その後、紅天狗ら四神を呼び寄せ、黒夜叉道鬼の居城、鬼面城へ乗り込んだ。そこで四神を使い、鬼の力を封じる術「四門封殺の陣」を行うが、黒夜叉道鬼が呼んだ六車輪童子に阻まれ失敗に終わる。 だがカブトは諦めず、四神と共に伝説の武器である「打竜牙」「雷迅風」を入手し、さらには空飛ぶ戦艦「竜卍船」をも手に入れた。その後、再び黒夜叉道鬼と対峙し、「竜卍船」の主砲で鬼面城もろとも破壊した。

三代目鴉天狗カブト (さんだいめからすてんぐかぶと)

二代目鴉天狗カブトの息子。先代から天狗流の技は受け継いだが、本人はそれを黒夜叉道鬼を倒すためでなく、盗賊稼業のために使っている。自身の宿命も知ってはいるものの乗り気ではなく、争いを続けて黒夜叉道鬼を呼び寄せてしまう人間たちを自業自得だと見下していた。ある日、天狗堂で静と出会い、父親・山本勘助を助けるように依頼され、金目当てに承諾。 二代目鴉天狗カブトと同じく妖剣・飛龍の封印を解き、山本勘助の身体を乗っ取った黒夜叉道鬼の鬼面城へ乗り込むが、力及ばず敗北し、同時に静も死なせてしまう。さらに自身も瀕死の重傷を負い、逃げた先の草原で倒れてしまうが、左腕に青龍、右腕に地雷屋(白虎)、胸に朱雀、額に紅天狗(玄武)の力を宿して復活する。 その後は空飛ぶ戦艦「竜卍船」を呼び出し、「四門封殺の陣」で一度は黒夜叉道鬼を撃退する。だが黒夜叉道鬼が行った、天に存在する「闇の門」を守護する五人の守護魔人を地に降ろし、その門から妖霊たちを解き放つという「降魔天星」の呪法を知り、黒夜叉道鬼が天空から降ろした五光星の魔人を倒すため各地を訪れる。

黒夜叉道鬼 (くろやしゃどうき)

鬼の力を使い、地球全体を手中におさめる事を目的に掲げる存在。不死に近い身体を持ち、戦や争いなど、世が乱れるたびに時代を超えて復活する。全身を鎧で覆っているため、人間かどうかもわからない。主に鬼を召還して戦わせるが、妖剣「女紋獣」を武器に自ら戦う事もある。戦国時代の幕開けと共に復活し、鬼の力を使い、日本を手に入れようと企むも、宿敵・二代目鴉天狗カブトに敗北。 しばらくの潜伏期間を経て復活し、武田信玄配下の将・山本勘助の肉体を乗っ取り、彼の城を鬼の力によって鬼面城に造り替えた。その後、自身を追って来た三代目鴉天狗カブトと対決。未熟な三代目鴉天狗カブトに深手を負わせ、さらには静の魂を自身が持つ剣「餓鬼道剣」に封じ込めた。 のちに、四神の力によって復活した三代目鴉天狗カブトに敗北する。だが、実は三代目鴉天狗カブトと戦う10か月前に、天に存在する魔を封じる門「闇の門」を守護する五人の守護魔人を地に引きずりおろし、地獄の門を開ける「降魔天星」の呪法を行っていた。その後、自身の身体に「天義星」の力を宿し、三代目鴉天狗カブトと月面で再び対決する。

紅天狗 (べにてんぐ)

代々の鴉天狗カブトに仕える四神の一人。北の方角を守護する「玄武」を司っているので、代々の鴉天狗からは「玄武」と呼ばれる事もある。全身が鉄でできており、天狗の面のような顔を持つ。二代目鴉天狗カブトの呼び出しを受けて、いち早く彼のもとに参上した。二代目鴉天狗カブトと共に黒夜叉道鬼の鬼面城へ攻め込んだが、六車輪童子に敗北。 その際、武器である「六尺棒」も砕かれてしまう。その後、二代目鴉天狗カブトと共に宝刀「雷迅風」を手に入れ、自身の新たな武器とした。二代目鴉天狗カブトの戦いが終わってからは天狗堂に石像として祀られていたが、三代目鴉天狗カブトの窮地を知り、彼の額に自身の力を宿した。

地雷屋 (じらいや)

鴉天狗カブトに仕える四神の一人。大柄な体格で、力自慢の男性。西の方角を守護する「白虎」を司っているので、その名で呼ばれる事もある。二代目鴉天狗カブトの呼び出しを受けて、彼のもとに参上した。二代目鴉天狗カブトと共に黒夜叉道鬼の鬼面城へ攻め込んだが、六車輪童子に敗北。さらには武器である「虎鉄」を折られてしまう。 その後、二代目鴉天狗カブトと共に宝刀「打竜牙」を探し出し、己の新たな武器とした。二代目鴉天狗カブトの戦いが終わってからは天狗堂に石像として祀られていたが、三代目鴉天狗カブトの窮地を知り、彼の右腕に自身の力を宿した。

朱雀 (すざく)

鴉天狗カブトに仕える四神の一人。四神の中では唯一の女性で、南の方角を守護する「朱雀」を司っている。針を使った攻撃が得意で、戦闘では全身から針を発射する「九十九針」という技を使う。二代目鴉天狗カブトの呼び出しを受けて、彼のもとに参上した。二代目鴉天狗カブトと共に黒夜叉道鬼の鬼面城へ攻め込んだが、六車輪童子に敗北。 その後は、「雷迅風」「打竜牙」を探す旅に同行する。さらに二代目鴉天狗カブトと共に空飛ぶ戦艦「竜卍船」を手に入れるため尽力。途中、毒に倒れた二代目鴉天狗カブトの命により、単身で探索にあたっていたところ黒夜叉道鬼の配下の九面鬼に襲われあやつられてしまうが、復活した二代目鴉天狗カブトに助けられ、ついに「竜卍船」を発見する事となった。 二代目鴉天狗カブトの戦いが終わってからは天狗堂に石像として祀られていたが、三代目鴉天狗カブトの窮地を知り、彼の胸に己の命を宿して瀕死の三代目鴉天狗カブトの命を救った。

青龍 (せいりゅう)

鴉天狗カブトに仕える四神の一人。東の方角を守護する「青龍」を司る少年。戦闘では独楽を使い、相手に投げつけて攻撃する。二代目鴉天狗カブトの呼び出しを受けて、彼のもとに参上した。二代目鴉天狗カブトと共に黒夜叉道鬼の鬼面城へ攻め込んだが、六車輪童子に敗北。その後は、「雷迅風」「打竜牙」を探す旅に同行すし、二代目鴉天狗カブトから、青龍の家に伝わる龍水晶を取ってくるよう指令を受けた。 試練を乗り越えて龍水晶を手に入れた青龍は、自身の腕に竜神の力を宿す事に成功。そして二代目鴉天狗カブトと合流し、竜神の力を持って、彼の体内に入り込んだ毒を取り去った。二代目鴉天狗カブトの戦いが終わってからは天狗堂に石像として祀られていたが、三代目鴉天狗カブトの窮地を知り、彼の左腕に自身の力を宿した。

お竜 (おりゅう)

盗賊・三代目鴉天狗カブトを追っている女性。見た目は静とうり二つ。三代目鴉天狗カブトを追って天狗堂にやって来た際に静と出会い、さらに黒夜叉道鬼の手下の襲撃に巻き込まれる。その後、静の事情を知り、顔立ちがそっくりな事から、静に変装して黒夜叉道鬼の鬼面城へ潜入。しかし黒夜叉道鬼にばれてしまい、身体の中に地竜を埋め込まれてしまう。 それによって黒夜叉道鬼にあやつられ、一度は三代目鴉天狗カブトの命を狙うも、白龍老人が地竜を抑える天竜を埋め込んだ事で正気を取り戻す。黒夜叉道鬼を倒さない限り地竜が消えない事を知り、三代目鴉天狗カブトと共に戦う。

(しず)

武田信玄に仕える将・山本勘助の娘。ある時から様子がおかしくなった父親を助けるため、天狗堂を訪れ、三代目鴉天狗カブトと出会う。その後、静とうり二つの顔を持つお竜に協力してもらい黒夜叉道鬼の鬼面城へ潜入するも、黒夜叉道鬼に見つかってしまう。三代目鴉天狗カブトと共に逃げようとしたが、最後は黒夜叉道鬼の持つ「餓鬼道剣」に貫かれ、魂を刀に封印された。

白龍老人 (びゃくりゅうろうじん)

三代目鴉天狗カブトの剣術指南役を務める男性。早くから黒夜叉道鬼の行った、天に存在する「闇の門」を守護する魔人を地に降ろし、妖霊を呼び寄せるという「降魔天星」の呪法に気づいており、自分のもとを訪れた三代目鴉天狗カブトに、黒夜叉道鬼の真の狙いを伝えた。その後は地竜にあやつられたお竜を助けたり、黒夜叉道鬼の「降魔天星」を阻止するためため各地を訪れる三代目鴉天狗カブトを手助けしていった。

その他キーワード

飛龍 (ひりゅう)

初代鴉天狗が地獄の業と無敵の意志をもって鍛え上げ、血水によって焼きを入れたとされる妖剣。柄には天狗の顔のような模様が刻まれている。一度抜いてしまうと他人の血を吸うまで鞘におさまらないといわれており、長らく天狗堂に封印されていた。だが黒夜叉道鬼の復活を知った二代目鴉天狗カブト、三代目鴉天狗カブトによって引き抜かれる。 剣でありながら会話をする事が可能で、二代目、三代目の鴉天狗が引き抜こうとした際には、本当に自分を扱えるのかという問いを投げかけた。

SHARE
EC
Amazon
logo