和風喫茶を舞台にした心温まる人間ドラマ
東京郊外に佇(たたず)む古民家風の和風喫茶「六楓堂」は、店主のスイをはじめとする四人のイケメン和服男子が営む、食事もできる甘味処(どころ)である。訪れる客は四人の外見に惹(ひ)かれた女性客、同業者や身内などさまざまだが、誰しもが多かれ少なかれ悩みを抱えていた。そんな人々が六楓堂の甘味と接客に癒され、いつしか悩みを忘れて元気になるハートフルストーリーが展開される。
読者をホッとさせる飾らない和菓子
本作で描かれる料理はほとんどが和菓子で、作り方やレシピが詳しく描写されるシーンは少ない。しかし、客に提供されるプレートの美しさや、それを口にした客の反応が、その美味しさを物語っている。
スイと双子の兄・東極八京の確執
六楓堂は元々スイの祖父が経営していた店で、幼い頃にスイと双子の兄である東極八京は、よく遊びに来てはあんみつなどに舌鼓を打っていた。スイは当時の思い出を忘れることができず、祖父が亡くなったあとも六楓堂で一人暮らしをしながら店を引き継ぐことにした。しかし、かつて良好な関係だった八京と決別しており、八京もスイの行動を快く思っていなかった。東極グループの御曹司(おんぞうし)兼副社長の八京と六楓堂の接点はないものの、部下にあたるパティシエの角崎が独断で六楓堂を訪れ、兄弟それぞれの動向を観察している。
登場人物・キャラクター
スイ
和風喫茶「鹿楓堂」の店主を務める男性。もともと祖父・京之介が営んでいたお店を引き継ぎ、鹿楓堂のリーダー的存在となり、スタッフのときたか、ぐれ、つばきと共に切り盛りしている。眼鏡をかけたイケメンで、お店ではお茶を担当している。大の猫好きで、鹿楓堂の看板猫「きなこ」を溺愛している。また読書や古書店、猫カフェ巡りを趣味にしている。剣道、茶道を嗜み、日本酒を好む。おっとりとした穏やかな性格で、頭脳明晰なうえに気遣い上手。職場だけでなくプライベートでも和服を身につけている。フルネームは「東極京水」。天下の東極グループの御曹司・東極八京の双子の弟で、外見もそっくり。しかし東極家とは確執があり、八京とも疎遠になっている。またスイ自身も、東極グループとの関係を表ざたにはしていない。誕生日は4月7日で、血液型はO型。
ときたか
和風喫茶「鹿楓堂」で料理を担当している男性。長い髪を後ろで束ねたイケメン。鹿楓堂のスタッフであるスイ、ぐれ、つばきとはプライベートでも仲がいい。趣味は時代劇やドラマを鑑賞することで、園芸や陶芸を嗜むなど好みも渋い。自宅では陶芸教室を開き、近所のご老人たちに陶芸を教えていることもあり、交友関係も幅広く、高齢者から慕われている。料理の腕もかなりのもので、手芸や卓球も上手にこなす。食べ物の中では特に煮豆を好む。物静かな性格で、物憂げな表情に少し影を感じさせるが、人に優しく人当たりがいい。フルネームは「永江ときたか」。誕生日は10月19日で、血液型はA型。
書誌情報
鹿楓堂よついろ日和 20巻 新潮社〈バンチコミックス〉
第1巻
(2014-07-09発行、 978-4107717566)
第17巻
(2022-12-08発行、 978-4107725516)
第18巻
(2023-07-07発行、 978-4107726223)
第19巻
(2024-03-08発行、 978-4107726933)
第20巻
(2024-11-09発行、 978-4107727664)