先生のおとりよせ

先生のおとりよせ

互いにファン同士で、図らずもおとなりさんだった官能SM小説家の榎村遥華と美少女漫画家の中田みるくは、ある日、出版社からコラボ企画を持ち掛けられる。最悪な出会いを果たしながら、趣味の「おとりよせ」を介して交流と友情を深めていく二人の姿を描く、おとりよせグルメコメディ。物語は、中村明日美子の描く漫画パートと榎田ユウリの書く小説パートが、エピソードごとにリレー形式で交互に展開される形式を採っている。また、作中に登場するおとりよせグルメは実在のもので、「お取り寄せINFORMATION」のコーナーで店舗紹介されている(なお、コミックス第1巻の内容は2014年6月現在、第2巻の内容は2018年2月現在のもの)。「クロフネZERO」で2013年1月から2017年9月にかけて配信された作品で、コミックス刊行にあたり描き下ろし・書き下ろしのエピソードも収録されている。2022年4月にテレビドラマ化。

正式名称
先生のおとりよせ
ふりがな
せんせいのおとりよせ
作者
ジャンル
作家・漫画家
 
その他料理・グルメ
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

時をさかのぼること数か月。官能SM小説家の榎村遥華は、リフレッシュ出版の担当編集者の岩石から、新創刊するコミックマガジン「クロフネ・ターボ」の目玉企画として、漫画の原作を担当してほしいと打診されていた。実は榎村は、作画担当者の候補として名前が挙がった美少女漫画家の中田みるくの大ファンであった。しかも岩石によれば、中田は「すっごいかわいらしー方」なのだという。やがて迎えた顔合わせの当日、榎村は期待に胸を膨らませてリフレッシュ出版に向かうが、通された会議室には、イケメンでどこかフェミニンではあるが、大柄でどちらかといえばむさくるしい男がいた。彼こそが中田であり、巨乳でロリ顔の美女を想像していた榎村はそのイメージを叩(たた)き壊され、思わず中田に暴言を吐いてしまう。その場は微妙な空気になるものの、ここで榎村と中田はどちらも、互いのファンであることが発覚。しかも二人とも、挨拶の品として「おとりよせ」の和菓子を持参していた。顔合わせに同席した編集者の岩石と稲本は、クールダウンのため二人が持参した和菓子を食べながら、お茶にしようと提案。こうして榎村と中田は一息つき、互いのおとりよせのセンスを認め合うものの、どうしてもわだかまりをぬぐえず、コラボ企画は頓挫するものと思われた。そんな中、会議室にクロフネ・ターボの編集長を務める九堂今日子が駆け込んでくる。そして、切れ長の目の女王様フェイスにたわわな巨乳と、自分たちの好みにバッチリはまる今日子の姿を目にした榎村と中田は、コラボ企画の可否を問う彼女に対し、二つ返事で「やります」と応えるのだった。(order.1「初対面は和菓子」)

榎村と中田は、九堂から編集長の座を引き継いだ男の娘編集長のもと、先日大好評の中、完結を迎えた「花魁バンパイアKYOKO」の2nd SEASONに向けて制作に励んでいた。だが、新たなプロットとネームを持参して臨んだ打ち合わせで、二人は男の娘編集長から手厳しいダメ出しを受けてしまう。男の娘編集長は歯に衣(きぬ)着せずに辛辣な意見を述べるが、要するに、二人が共同作業に慣れてきたため、マンネリ化しているというのだ。話を聞いた榎村は腹を立てるものの、一方でドMの中田は何かキュンキュンした、心ここにあらずといった様子を見せていた。それから数日後、中田から送られてきた修正ネームを見た榎村は驚愕する。その内容は、「花魁バンパイアKYOKO」のヒロイン、キョウコが、正論の毒舌で相手を言葉攻めするという、先だって自分たちが味わったのと同じようなシーンだったのである。榎村はとなりの中田の部屋に、公私混同するなと怒鳴り込むが、そこには富澤商店の「たまごふりかけ」を手に、倒れ伏す中田の姿があった。中田はネームの直しを終えて、ようやく食事にありつこうとしたものの、米を切らしてしまったのだという。話を聞き、「俺が救世主(飯屋)になってやる」と上手(うま)いことを言い残して自分の部屋へと戻った榎村は、おとりよせした農樹の「コシヒカリ kyoto rice has history.」を持って再び現れる。(order.11「再出発はノスタルジーを乗せて」)

作風

本作『先生のおとりよせ』の物語は、中村明日美子の描く漫画と榎田ユウリの書く小説で、交互に展開されていく。登場キャラクターのプロットなどについては両者のあいだで話し合われるものの、ストーリーについては事前の打ち合わせなどはほとんどなく、中村明日美子が仕上げた第1話のネームを見た榎田ユウリが、それに続く形で第2話のエピソードを書き、それを受けて今度は中村明日美子が第3話の物語を考える、という作業工程だった。そのため榎田ユウリは、事前情報なく来た球を打ち返すだけ! という意識で取り組んでいたが、時に思いがけないボールが飛んでくるのも楽しかった、と語っている。

単行本の装丁

本作『先生のおとりよせ』のカバーを外した本体表紙には、作中作である「花魁バンパイアKYOKO」「大江戸Dr.バンパイア」の設定画や、プロットのメモが掲載されている。

メディア化

テレビドラマ

2022年4月から、本作『先生のおとりよせ』のテレビドラマ版『先生のおとりよせ』が、テレビ東京ほかで放送された。これに伴い、Amazon Prime Videoでも2022年4月から先行配信されている。キャストは、榎村遥華を向井理、中田みるくを北村有起哉、九堂今日子を橋本マナミが演じている。

ネット配信ドラマ

2022年3月、テレビドラマ版『先生のおとりよせ』の放送に先駆けて、スピンオフのネット配信ドラマ『先生のおとりよせ ~配達員・鬼女島君のおいしい日常~』が、YouTubeのテレビ東京公式 ドラマチャンネルで配信された。全5話。鬼女島を神尾楓珠が演じている。

登場人物・キャラクター

榎村 遥華 (えのむら はるか)

官能SM小説家の男性。アラフォーで、青森県青森市出身。三白眼で銀縁眼鏡をかけた、神経質そうな顔立ちのイケメン。細身の色白で、どこか耽美(たんび)な雰囲気を漂わせている。「悦楽の断崖」「小指の爪」など、数々のベストセラーを世に放っている俊才で、リフレッシュ出版のコミックマガジン「クロフネ・ターボ」の創刊の目玉企画として、美少女漫画家の中田みるくと組んで、「花魁バンパイアKYOKO」を連載することとなった。慇懃(いんぎん)無礼な毒舌家で孤高を装っているが、自己愛が非常に強いだけで、寂しがりやな一面を持つ。また、ふだんはクールに振る舞っているが、実際は何かと感情の起伏が激しく、興奮すると津軽弁が出てしまう。また巨乳好きで、その性的嗜好(しこう)から、中田にはデカチチクラスタのオッサンを略して「チチクラサン」や「チッチ」など、さまざまなあだ名で呼ばれている。ちなみに、中田のマンションの隣室に暮らしている。もともと中田の大ファンで、コラボ企画を楽しみにしていたが、勝手に巨乳の美女作家だと思い込んでいた中田が、実はむさくるしいオッサンだったことで揉(も)めてしまい、当初は最悪の印象を抱くこととなった。だが、互いの趣味であるおとりよせグルメを通じて理解を深め、さらに中田の仕事に対する真摯な姿勢に触れるにつけ、友人としても良好な関係を築くようになっていく。時に退廃的、時に耽美、時にアナーキーな非常に尖(とが)った作風で、文壇でも一目置かれている存在。実は過去に大手出版社「大手田出版」の金平と組んで仕事をした際、金平を説き伏せることができずに不本意なまま作品を発表してしまい、大きなトラウマを抱えると同時に長期のスランプに陥った過去がある。そのため、現在は作品に関しては完璧主義者となり、少しでも納得のいかないところがあれば、とことんまで追求するようになった。また、フリーランスであることに誇りと共に危機感を抱いており、仕事に対する責任感が非常に強い。ちなみに酒には弱く、すぐに酔って昏倒(こんとう)しては、中田に世話をされている。

主人公

美少女漫画家の男性。年齢は34歳で、群馬県前橋市出身。大柄な体格であごひげを生やしたワイルド系のイケメン。リフレッシュ出版の「ぱふぃーっ娘」の看板作家であり、同じくリフレッシュ出版のコミックマガジン「... 関連ページ:中田 みるく

九堂 今日子 (くどう きょうこ)

リフレッシュ出版のコミックマガジン「クロフネ・ターボ」の編集長を務める女性。艶やかな黒髪で、切れ長の目の女王様フェイスにたわわな巨乳と、榎村と中田の好みを同時に満たす驚異のルックスの持ち主。さらに、少々天然気味の物腰柔らかいおっとりした性格で、非常に丁寧な言葉遣いに、少しかすれたようなセクシーボイスと、つねに妖艶な大人の色気を全開で振りまいている。当初、コラボ企画に乗り気でなかった榎村遥華と中田みるくがそろって企画にOKを出したのは、九堂今日子の存在が非常に大きい。のちに男の娘編集長と職場結婚し、クロフネ・ターボの編集長を退く。

岩石 (いわいし)

リフレッシュ出版のコミックマガジン「クロフネ・ターボ」の女性編集者。榎村の担当を務めている。黒髪ショートヘアのぽっちゃりした体型で、落ち着いた性格をしている。通称は「ガンちゃん」。当然ながら榎村が巨乳好きであることも知っており、彼が妙なことを口走った際にも、特にツッコむでもなく穏やかに見守ったりと、気難しい榎村の手綱を巧みにあやつっている。

稲本 (いなもと)

リフレッシュ出版のコミックマガジン「クロフネ・ターボ」の女性編集者。中田みるくの担当を務めている。穏やかな性格で、ボブヘアで眼鏡をかけている。通称は「いなっち」。ちなみに腐女子属性の持ち主で、耽美な男性が大好物。

鬼女島 (きめじま)

宅配業者「トラネコ便」で働く青年。金髪ロングヘアを縦ロールにしたゴージャスな美形で、いつも元気いっぱいだが、口調は穏やかで非常に礼儀正しい。榎村遥華や中田みるくの住むマンションを担当しており、配達する荷物の傾向から、彼らが小説家と漫画家であることは察している。のちに中田の家に配送に来た際に会ったハセガワに一目惚れし、半年の交際を経てスピード結婚した。また、集荷の際にも原稿が仕上がるのを待つなど融通を利かせることもあり、中田、榎村双方から頼りにされている。

金平 (かなひら)

業界でも3本の指に入る大手出版社「大手田出版」の編集者を務める男性。非常にノリが軽く、マイペースかつ身勝手な性格で、人に気を遣うことはいっさいない。そのため、これまで多くの作家を怒らせてきたが、編集者よりも俳優をやった方がいいのではないかと評されるほどのイケメンで、大御所女性作家の覚えがめでたいことからその立場が揺らぐことはなく、好き放題にやっている。ちなみに、裏ではそれらの大御所女性作家のことも悪口を言っており、榎村遥華には単純に「最低な男」と評されて嫌われ、初対面の中田みるくからも、「上っ面だけのおべんちゃら男」と手厳しい評価を下されている。かつて10年ほど前に榎村を担当したことがあるが、榎村が作品を書き直したがったにもかかわらず、そのまま出版を強行。この作品は書評でもさんざんに叩かれ、榎村に大きなトラウマを植え付けただけでなく、榎村を長期のスランプに追い込むこととなった。しかもその後はいっさいのフォローもなく、挨拶一つなく榎村との関係を断った。現在の榎村が自分の作品に対していっさいの妥協をしなくなったのは、これが原因である。スケジュールには多少の余裕があったにもかかわらず、榎村に書き直しをさせなかった理由は、進行がずれると入稿日が自分のハネムーンと重なる恐れがあったためであった。ちなみにこの時の結婚相手は金平が担当していた女流作家の「壇之浦蜜子」で、結婚後1年もしないうちに金平の浮気により離婚している。壇之浦はFカップの巨乳の持ち主で、当時の榎村のあこがれの存在だったということもあり、榎村が金平のことを「キンピラ」と呼び蛇蝎(だかつ)のごとく嫌うのは、この一件が大きく影響している。

中田 キヌ (なかた きぬ)

中田みるくの曽祖母。中田とは彼が故郷の群馬県前橋市から上京するまで、ほかの家族も含めていっしょに暮していた。穏やかでおおらかな性格で、中田家の女性の例に漏れず胸が非常に大きい。中田のことをかわいがっていた一方で、中田家の唯一の男子として、彼の将来に期待していた。そのため、中田が漫画に触れたり、芸術の道に進もうとすることを快く思っていなかった。中田が家族に、自分が漫画家であることを隠していたのは、これが大きな理由となっている。だが、実際はほかの家族と同様に、中田が漫画家になったことは早い段階で知っており、それ以来、中田の作品の一ファンとして応援し続けてきた。愛読していた「花魁バンパイアKYOKO」の最終話を待たず、99歳で大往生する。仕事の都合により、中田は中田キヌの葬式に出ることはかなわなかったが、キヌはコミックマガジン「クロフネ・ターボ」の愛読者アンケートとして、中田に対しメッセージを遺していた。

伊良子 (いらこ)

漫画家の青年。年齢は26歳で、神奈川県横浜市出身。デビューして5年になり、「イラ・イラコ」のペンネームで執筆している。「俺以外、全員サイキック!」という漫画の連載を開始したが、ほぼ同時期に中田みるくが「あたし以外☆全員エイリアン!」という漫画を連載開始し、コンセプトや内容はまったく違うにもかかわらず、タイトルがあまりにも似ていることから、どちらかがパクリなのではないかといった噂(うわさ)がネット上で拡散していた。事態を憂慮した中田から話し合いを持ち掛けられ、これをきっかけに彼と意気投合して、噂を逆に利用しコラボ企画をすることとなった。中田のように引きこもるタイプの漫画家ではなく、わりとアクティブで話題も豊富、またファッションもカジュアルながら、なかなかのセンスの持ち主。酒はそれほど強くはないものの食べることは好きで、昔アルバイトでバーテンをしていたこともあり、自ら料理やカクテルを作ることもできる。女子力が高いというより、気が利いた今どきの若者といったタイプで、かわいらしい彼女もおり、プライベートも充実している。ちなみに、もともと中田のファンだった。

男の娘編集長 (おとこのこへんしゅうちょう)

リフレッシュ出版のコミックマガジン「クロフネ・ターボ」の2代目編集長。非常に小柄でかわいらしく、その容姿は巨乳にしか興味のない榎村遥華にも、「可憐なる美少女」と評されるほど。クロフネ・ターボの初代編集長である九堂今日子と職場結婚し、九堂の大ファンだった榎村と中田みるくを絶望の淵に叩き込んだ。この時、九堂と二人、そろってウエディングドレスを着て結婚式を挙げたため、当初は榎村と中田に同性婚だと誤解されていたが、実際はいわゆる「ジェンダーレス男子」で、男の娘編集長自身は、女装をはじめとするフェミニンなファッションを好む男性である。結婚後、九堂が妊娠し出産休暇を取ることになったため、彼女に代わってクロフネ・ターボの編集長に就任した。もともとは青年誌を担当しており、海千山千の癖の強い作家たちを担当していたこともあって、外見に反して非常に肝が据わっており、S気質。仕事に関してもやり手で、作家に対する要求レベルも高い。

ハセガワ

多忙を極めるようになった中田みるくが、伊良子からの紹介でアシスタントとして雇った女性。また、中田と伊良子のアシスタントとは別に、都内のオフィスビルのカフェでもアルバイトをしている。福岡県博多市出身。黒髪ボブヘアの素朴な雰囲気を漂わせた美人だが、胸は小さい。実は筋金入りの腐女子で、「大江戸Dr.バンパイア」に登場する、榎村遥華をモデルにした「千々蔵(ちちくら)」にどっぷりとハマっており、「俺嫁」と呼ぶほど。千々蔵受けであれば、どんなジャンルの二次創作であっても大喜びで受け入れるほか、自分でも千々蔵受けの同人誌を執筆している。榎村に千々蔵を投影しているため、榎村の姿を見ては脳内で彼が凌辱(りょうじょく)されるあらぬ妄想を爆発させ顔を赤らめ、そんなハセガワの様子から、榎村には自分に気があるのではないかと完全にカンちがいされている。ちなみに中田はこれらの事情を完全に把握しているが、榎村の様子が面白いからと、彼に真相を伝えてはいない。のちに中田の家に配送に来た鬼女島に一目惚(ぼ)れし、半年の交際を経てスピード結婚する。ちなみにフルネームは「長谷川桃香」で、結婚後は「鬼女島桃香」となり、中田や伊良子にはひそかに「鬼が島に向かう桃太郎のようだ」と評されている。

ラララ

中田みるくのいとこの女性。漢字で「蘭々羅」と書く。双子の姉妹にキキキ(嬉々稀)がおり、中田には二人セットで「キキララ」と呼ばれている。ちなみにこの二人の命名は、前衛芸術家である父親によるもの。金髪ロングヘアで、中田家の女性の例に漏れず胸が非常に大きい。テンションが高くノリも軽い典型的なギャルだが、料理の腕はかなりのもの。中田の同年代の親族の中では唯一の既婚者で、夫は実年齢が判別できないほどの老け顔だが、ふだんは夫婦仲がよくラブラブ。

早乙女 (さおとめ)

都内の大手下着メーカーで働く女性。年齢は32歳。見合い相手として中田みるくと知り合った。ゆるふわのセミロングヘアに、ぱっちりとした目のかわいらしい顔立ちで、小柄ながら胸が大きく、中田の描く漫画のキャラクターを現実化したような人物。見た目は、20代前半にも見える。実はアメリカからの帰国子女で、もともとはっきりした性格ということもあり、自分の考えを強く主張するタイプ。これは仕事において特に顕著で、こと仕事の話になると非常にキツく、口調も荒っぽくなる。また家事などは苦手で、結婚したところで仕事を辞めて家に入る気はない。基本的に発言には筋が通っており、また気性の激しさも中田の好むところであるため、その本性を知った中田に好感を抱かれるが、実は早乙女自身は会社の部下である「島」という男性と相思相愛で、中田との件は結局は破談となった。なお、胸のサイズは「谷間製造機」の異名を持つ自社製品のブラジャーによるもので、実際はそこまで大きくはなく、中田にも初見でそれは見抜かれていた。

その他キーワード

花魁バンパイアKYOKO (おいらんばんばいあきょうこ)

リフレッシュ出版が新たに創刊したコミックマガジン「クロフネ・ターボ」の目玉企画として、連載が開始された漫画。原作は榎村遥華、作画は中田みるくが担当している。主人公のバンパイア少女、キョウコの戦いを描いた作品で、中田のロリ絵で展開されるリアルで耽美な殺戮(さつりく)シーンが特徴。吹き上がる血しぶきの中、「わっちゃァ、花魁バンパイアでありんす!」というのがキョウコの決めゼリフとなっている。美少女漫画家の中田と耽美系SM官能小説家の榎村という意外なタッグは連載当初から大きな話題となり、コミックスが刊行される前からアニメ化が決定されたほど。ちなみに作品も大好評のうちに完結し、すぐに2nd SEASONに突入することとなった。だが、クロフネ・ターボの編集長が男の娘編集長に変わったこともあり、2nd SEASONはいつまでもプロットにOKの出ない多難な船出となり、その結果、「大江戸Dr.バンパイア」として新生を遂げることとなった。

大江戸Dr.バンパイア (おおえどどくたーばんぱいあ)

リフレッシュ出版のコミックマガジン「クロフネ・ターボ」で、「花魁バンパイアKYOKO」の2nd SEASONとして企画された漫画。男の娘編集長にダメ出しをされ続けた原作担当の榎村遥華が、花魁バンパイアKYOKOのプロットからいったん離れ、自分たち作家陣をイメージした二人の主人公を創作。その捨て身の覚悟が男の娘編集長に受け入れられ、作画の中田みるくとのタッグ作品第2弾となった。江戸の蘭方医にして、不死身のバンパイアである仲田庵(なかたあん)と、その名推理で「かみそり千々(ちっち)」の異名を持つ、定町廻(まわ)り同心の千々蔵(ちちくら)の戦いを描いた作品で、男性ファンが多かった花魁バンパイアKYOKOに対し、「大江戸Dr.バンパイア」の方は女性ファンからの人気が特に高い。花魁バンパイアKYOKOと同様にこちらも大好評を博し、早々にアニメ化が決定することとなった。

クレジット

その他

榎田 ユウリ

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