概要・あらすじ
母親の不審死の真相を突き止めようと決意した北条安希子は、母親の故郷である鬼姫谷に向かった。そこで出会った旅行者の田代源太郎と共に、鬼姫と呼ばれた千也姫の祟りを知った安希子。自身も何度も窮地に陥るが、源太郎たちの協力により、祟りから解放された。
登場人物・キャラクター
北条 安希子 (ほうじょう あきこ)
ごく普通の少女だが、母親の北条千里の不審死の真相を追って、母親の故郷の鬼姫谷に向かう。そこで、かつて安希子が鬼姫谷の手掛かりを求めて手紙を出した、旅行家の田代源太郎と出会い、協力を得る。やがて母方の飛竜一族が、過去の因縁から、千也姫に祟られていることを知った。さらに、その祟りにより何度も窮地に陥る。 だが、源太郎たちの尽力により、祟りから解放された。
北条 千里 (ほうじょう ちさと)
北条安希子の母親。二十年前に起きた惨劇により叔父夫婦を失ったが、故郷を捨て幸せな家庭を築いた。しかし家の庭に黒百合の花が咲いた後、不審な死を遂げる。
お父さん (おとうさん)
北条安希子の父親。姓名不詳。飛竜一族の祟りに関して、詳しいことは知らない。妻の死を悲しみ、娘の安希子のことを心配する。
田代 源太郎 (たしろ げんたろう)
旅行家。『日本の秘境』という著書がある。北条安希子から手紙で鬼姫谷についての問い合わせを受け、後に鬼姫谷で出会う。安希子に協力し、鬼姫伝説の真実を暴き、千也姫の祟りを退けた。安希子に好意を寄せている。
千也姫 (ちやひめ)
戦乱の時代、猛将の松永三郎左ェ門が鬼神に願掛けして生まれた娘。額に角があり、残虐な性格をしている。弟妹を殺し、父親が不慮の死を遂げると城主になり、領土を拡大する。しかし家臣の飛竜正元基継の策にはまり、悲惨な死を遂げた。これを怨み、飛竜一族に祟り続けている。
松永 三郎左ェ門 (まつなが さぶろうざえもん)
戦乱の時代の猛将。千也姫の父親。戦の願掛けによって千也姫を得た。千也姫の出自と性格を怖れて殺そうとするが、かえって不慮の死を遂げた。
飛竜 正元 基継 (ひりゅう しょうげん もとつぐ)
松永家の家臣だったが、策を弄して千也姫を殺し、新たな城主となった。新城主になってまもなく、落馬して首の骨を折り死亡した。
フキ
豪雨による災害を鎮めるために、人身御供になった村娘。しかしこれは飛竜正元基継の策であり、実際に人身御供になったのは、千也姫であった。
秋月 (あきづき)
本名不詳。代々、飛竜家の家臣をしてきた秋月家の女主人。二十年前の惨劇を奇貨として、飛竜家の財産を乗っ取った。それを暴かれることを怖れ、北条安希子の命を狙う。千也姫の怨霊に操られていた節がある。
秋月 志郎 (あきづき しろう)
秋月夫人の息子。母親が北条安希子を殺そうとするのを阻止する。
川口 マサ (かわぐち まさ)
鬼姫谷の飛竜家で、北条千里のばあやをしていた。二十年前の惨劇で叔父夫婦を失った千里を連れて、鬼姫谷を後にする。千里の葬式に現れ、北条安希子に黒百合に注意するよう警告する。
場所
鬼姫谷 (おにひめだに)
G県とN県の境にある、深い谷間の小さな山村の名前。北条千里の故郷。鬼姫伝説の発祥地であり、二十年前に、千里が故郷を捨てる原因になった惨劇が起きた。北条安希子が訪れ、千也姫の祟りにより、何度も窮地に陥る。
その他キーワード
黒百合 (くろゆり)
飛竜一族の前に黒百合が現れると、不幸が降りかかる。千也姫のお気に入りで、城主になると家紋にした。何度も北条安希子の前に現れ、そのたび安希子が危機に陥る。
鬼姫伝説 (おにひめでんせつ)
千也姫に関する伝説を記した小冊子。