あらすじ
第1巻
14歳で華々しく小説家デビューを果たした日暮二三は、15歳にして早くもスランプに陥っていた。二三は束縛の激しい兄と周囲からのプレッシャーから逃れるように、10年前まで暮らしていた、郊外にある実家へと戻る。母屋は火事に遭い焼失していたが、難を逃れた書斎のある離れだけは残っており、二三はそこでしばらくのあいだ暮らすことを決意する。そんな二三の前に、10年前の火事で両親と共に命を落としたはずの女中、ニコが現れ、自分は地縛霊となってこの建物に残っているのだと告げる。これまで経験したことのないオカルトな展開に二三は再びの転居を決意するが、自分が家事全般をする代わりに残って欲しいとニコに懇願され、奇妙な二人暮らしがスタートする。二三は初恋の相手でもあるニコを意識しつつも、想定外の出来事だらけの日常に、少しずつ笑顔を取り戻していく。そんなある日、二三たちが暮らす離れに担当編集者の佐倉虎司郎がやって来る。ニコの姿が見えない佐倉は、ここでの生活に対して次々と否定的な言葉を口にし、ニコは怒りに震える。
登場人物・キャラクター
日暮 二三 (ひぐらし つぐみ)
小説家を生業とする少年。年齢は15歳。14歳の時に栄えある文学賞を受賞し、未来を担う文豪として華々しくデビューを飾る。しかし、1年が経過した現在は周囲からのプレッシャーを受け、スランプに陥っている。今から10年前、両親と、女中で初恋相手でもあるニコを同時に火事で失い、心配性の兄と二人暮らしを始める。スランプと兄からの束縛を逃れるため、実家に戻り、火事を逃れた書斎のある離れで一人暮らしを始める。そこで地縛霊となったニコと再会し、家事をすべて彼女がこなすことを条件に同居生活をスタートさせることになる。打たれ弱く繊細な性格で、マイペースなニコにいつも振り回されている。ニコから幼少期は「つぐみ坊ちゃん」、再会してからは「つぐみくん」と呼ばれている。
ニコ
10年前まで日暮二三の実家で、女中として働いていた若い女性。幼い頃の二三をかわいがっており、二三がニコ自身に思いを寄せていることも知っていた。二三が5歳の時に火事に巻き込まれ、二三の両親と共に命を落とす。以降、火事で焼け残った書斎のある離れに地縛霊として過ごしている。小説家としてのスランプと兄からの束縛を逃れるためやってきた二三と再会し、同居を渋る彼に、自分がすべての家事をすることを条件にいっしょに暮らすことになった。それからは、甲斐甲斐しく二三の世話を焼いている。見た目は10年前そのままで、地縛霊でいるあいだは年を取ることはない。つねにメイド服を着用しており、よく見ると身体が少し透けている以外は人間の女性とほぼ変わらない。しかし、足の部分がぼやけており、宙に浮く特殊能力を持つ。二三が幼い頃は清楚で凛としたたたずまいの大人の女性だったが、地縛霊になってからはのほほんとしたマイペースな性格の子供っぽい雰囲気に変わり、彼をつねに振り回している。
佐倉 虎司郎 (さくら こじろう)
出版社に勤務している男性。日暮二三の担当編集者でもある。二三を私的にかわいがっているが、仕事になるとはっきりとした物言いで、二三と真摯に向き合う厳しい一面を見せる。二三が転居したと聞き、偵察に訪れたことをきっかけにニコと出会う。ニコの書いた文字は読むことができるが、声や姿を認識することはできない。男性ながらメイクをしており、女性らしい立ち振る舞いをする、いわゆるオネエ系。明るくポジティブな性格で、二三からの信頼も厚い。最初は警戒していたニコも、佐倉虎司郎の人柄を知るうちに心を許すようになった。二人からは「サクラ姉さん」と呼ばれている。