概要・あらすじ
産休をとった先生に代わり、伊集院ポチという先生が中学校にやって来た。ポチはスーツこそ着ているが明らかに犬で、模型の骨に涎を垂らし、野球のボールを追いかけ、走って逃げる生徒をつい追いかけてしまう、という習性を持っていた。だが、ポチ本人は犬ではないと強く否定。そんな風変りなポチは、周囲から怖がられている不良生徒から不登校の生徒まで、どんな小さな悩みも見逃さず、解決のため教師として全力で挑む良い先生だった。
さらに教育実習に来たトイプードル、留学して来た猫といった個性的な動物たちが中学校に続々と現れ、人間の生徒たちやポチ先生と、楽しい中学校生活の日々を過ごすのだった。
登場人物・キャラクター
伊集院 ポチ (いじゅういん ぽち)
産休をとった先生に代わり、中学校にやって来た先生。雄犬だが、スーツを着こなし、人間の言葉をしゃべることができる。伊集院ポチ自身は犬ではないと、頑なに言い張っている。「人を不良という言葉で括るのは良くない」「どんな人でも話し合えば分かる」という信念を持つ人格者にして熱血漢。一方で本能には勝てないようで、野球のボールを追いかけたり、模型の骨に涎を垂らすこともある。 実はナンシーの飼い犬だが、ポチはナンシーのことを自分の彼女だと思っている。
委員長 (いいんちょう)
中学生の男子。クラスの皆から委員長と呼ばれ、放課後も残って黒板の汚れを拭く真面目な性格。この生真面目さが他の個性豊かなキャラクターたちの中に埋もれてしまい、少々影が薄い。卓球部に所属している。また5歳の妹がおり、「蘊蓄(うんちく)数珠つなぎゲーム」で遊んだり、クリスマスにはプレゼントを用意するなど、妹想いでもある。
梶 (かじ)
中学生の男子。学校をサボることが多く、周囲から不良として恐れられている。実は大の犬好き。伊集院ポチが中学校に現れて以来、心を奪われ、真面目に授業に出席するようになる。自宅でも多くの犬を飼っており、犬向けのお菓子を作ったりと、犬の扱いに関してはプロ級で愛情深い一面を見せる。
桃井 もか (ももい もか)
中学生の女子。ロングヘアに緩くパーマをかけている。犬である伊集院ポチに恋心を抱いている変わり者。犬好きと勘違いされやすいが、ポチ以外の犬は苦手。ポチの誕生日を祝うのに、蠟燭をポチの頭の上に落としてしまう、といった少々ドジなところがある。のちにポチに彼女がいることを知った際には、走ってその場を立ち去る。ところが、犬の習性によって、逃げる桃井もかをポチが追いかけてしまったので、ポチにも自分に対する気持ちがあると思い込み、一途な恋を続けることを決める。
武者小路 ジョセフィーヌ (むしゃのこうじ じょせふぃーぬ)
血統書付きの雄のトイプードル。中学校に教育実習生としてやって来た。生徒たちには「ジョゼ先生」と呼ばれている。つぶらな瞳をした、お洒落で金持ちの犬で、高級ブランドのスーツを着ている。ちなみに教育実習に来たものの教師になる気はなく、家の裕福さにかまけて働くつもりすらない。桜田門桜子とはセレブパーティで知り合った友人で、互いの家にも遊びに行く仲。 女性に人気で何人かの彼女がいる。
五代 五郎 (ごだい ごろう)
中学生の男子。かつて野犬に襲われ、怪我をして入院したことがある。そのため、トラウマとなっているほどの大の犬嫌いで、伊集院ポチのことも嫌っていた。だが、想いを寄せる桃井もかがポチと仲良くしている姿を見て、ポチの協力を得て犬嫌いを克服しようと試みた。その際、桃井が好きなのは犬全般というわけではなく、ポチ個人であることを知り、結果的にますます犬嫌いになった。
ティキー
フロリダから中学校に留学して来た大きな雌猫。学校では女子の制服を着ている。人間の言葉は一切しゃべらず、極まれに「ナー」と鳴く。梶に一目惚れしてからは喉を鳴らしたり、膝の上に乗ったりと、積極的にスキンシップを図るが、梶に「犬派だがら、猫に興味はない」と振られてしまう。このショックで、犬を見ると追いかける習性がついてしまった。
ナンシー
伊集院ポチの飼い主。ロングヘアの外国人の美しい女性。愛犬家で、ポチにしっかり躾をし、「取ってこい」や「お手」など芸も上手に覚えさせているほか、ポチのお嫁さんも探している。ちなみに、ポチには結婚も視野に入れた恋人と見なされているが、ナンシー自身はポチのことは飼い犬としてしか見ていない。また、ポチとは別に結婚予定の人間の彼氏がいる。
桜田門 桜子 (さくらだもん さくらこ)
伊集院ポチの中学校に転校して来た中学生の女子。ヘアスタイルは縦巻きロール、さらに毎日リムジンで登下校しているお嬢様。庶民嫌いで、今まで叱られた経験もなかったが、初めて自分を叱った伊集院ポチを気に入り、飼い犬にしようとした。結局、最終的には行儀の悪さを理由にポチを捨てるが、ポチは一時的とはいえ、高級で美味しいご飯が食べられたことに満足していた。
妹子 (いもこ)
委員長の妹。弱冠5歳にして哲学を愛する天才。兄妹仲が良く、よく一緒に「蘊蓄(うんちく)数珠つなぎゲーム」という謎の遊びをしている。非常に現実的でしっかりしており、すでにサンタクロースの存在を信じていない。さらに、早くも彼氏がいるという勝ち組でもある。
チロ坊 (ちろぼう)
伊集院ポチの幼なじみ。ポチが田舎にいた頃の弟分で、チロ坊もポチのことを兄のように心から慕っていた。元気いっぱいで、ポチと一緒に悪さをしたり豚に乗ったりと暴れ回っていた。当時はポチが世界一強いと思っていたが、梶の「強い犬はむやみに吠えない」という言葉に感銘を受け、今度は梶のことを兄のように慕う人懐っこい性格。
日向 (ひゅうが)
地獄高に通う男子高校生。梶のことを生意気だと因縁をつけ、喧嘩を仕掛けた不良。しかし、実は大の犬好きで、常に愛犬のチワワ「ショコラ」の写真を持ち歩いている。ショコラに話しかける時は赤ちゃん言葉になる。愛犬の話から梶と打ち解けて友人となり、メールアドレスの交換までする。
犬塚 (いぬづか)
中学生の男子。正真正銘の人間だが、外見が犬に似ており、それを気に止んで現在は不登校中。伊集院ポチの叱咤を受けて学校へ行こうと決意するが、その途中で事故に遭ってしまう。その後、入院先の病院の看護師からも犬と間違えられ、さらに心に傷を負って再び不登校となる。