8♀1♂

8♀1♂

ある日突然現れた8人の花嫁候補から、結婚相手を1人選ぶことになった男子高校生の恋愛一色の日々を描いたセクシーラブコメディ。「ヤングマガジン」2012年第28号から2015年第7号にかけて連載された作品。

正式名称
8♀1♂
ふりがな
はちいち
作者
ジャンル
ラブコメ
関連商品
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世界観

10代の男女の恋愛と結婚が題材。漫然とした日々を送っていた男子高校生が、祖父の一存で突如8人の花嫁候補を選出され、8人全員と同居・交際しながら成長していく姿を描く。登場人物は全員が異なる結婚観を持っており、お互いに意見を交わしながら、自分なりの結論を導き出す物語となっている。

作品構成

本作『8♀1♂』は、主人公の木下紳一郎が花嫁候補の8人の女性と同時に交際し、並行して関係を深めていくという、ラブコメディにおいては珍しい構成を取っている。その8人のヒロインたちの立場が皆対等で、次に誰のエピソードが入るかわからないという構成のため、最終的に紳一郎が誰を選ぶのか予測できないスリリングな内容になっている。

単行本の装丁

コミックス各巻の本体表紙には、ネーム原稿やイラストのラフスケッチが掲載されている。そのため、コミックスに収録された実際の原稿と見比べて、違いを楽しむことができる。

あらすじ

大企業「木下財閥」の御曹司でもある木下紳一郎は、ある日突然、祖父からオーディションで選ばれた8人の女性の中から、1人を花嫁に選ぶよう告げられる。しかも、1年以内に決められなかった場合は、出家させられてしまううえ、期間中は彼女たちと一緒に暮らさなくてはならないのだという。紳一郎と8人の花嫁候補たちの、大混乱の1年間が始まる。

登場人物・キャラクター

木下 紳一郎 (きのした しんいちろう)

高校2年生の男子。前髪を眉上で短く切ったショートカットの髪型をしている。大企業「木下財閥」の御曹司だが、家を継ぐ気はなく、毎日漫然とゲームばかりする生活を送っていた。しかし、ある日突然、木下雄一郎の祖父の命により、8人の女性が暮らす屋敷に住み、彼女たちの中から自分の結婚相手を選ぶことを義務付けられてしまう。 優柔不断で性欲旺盛だが、おっとりした心優しい性格。初めは島本美優たち8人の女性たちとの生活に驚いていたが、前向きに受け止め、花嫁を決めることにする。

島本 美優 (しまもと みゆ)

木下紳一郎の8人の花嫁候補の1人で、18歳の女子。髪型は前髪を目の上で切り、ゆるく巻いた腰までのロングヘアにしている。上品で落ち着いた雰囲気の、話しやすい女性。突如始まった8人の花嫁候補との生活に驚く紳一郎をサポートする。穏やかで献身的な性格に加え、家事全般が得意なため、8人の花嫁候補たちの中では、まとめ役兼母親的存在。

岩清水 ナナ (いわしみず なな)

木下紳一郎の8人の花嫁候補の1人で、高校3年生の女子。年齢は18歳。髪型は前髪を右寄りの位置で斜めに分け、腰まで伸ばしたロングウェーブヘアにしている。しかし、外ではナンパされないように、髪型を変えて眼鏡をかけ、わざと地味な格好をしている。一見穏やかで大人っぽい雰囲気だが、実際はクールな性格で、恋愛に関してもシビア。 特に結婚については、「男性にとって女性は、家事をしてくれてセックスができれば、誰と結婚しても同じはず」という突き放した考えを持っている。そのため紳一郎に対しても見下したような態度を取っていたが、次第に親しくなっていく。8人の花嫁候補たちとは一歩引いて接しているが、島本美優の不在時など必要な時には、まとめ役を務めるお姉さん的な立場でもある。

三枝 楓 (さえぐさ かえで)

木下紳一郎の8人の花嫁候補の1人で、高校2年生の女子。年齢は17歳。前髪を目の上で切り、肩につくほどの長さのセミロングヘアをツーサイドアップにしている。口数少ない物静かな性格。もともとは北海道帯広市に住んでいたが、紳一郎と結婚するために引っ越し、同じ高校に転校してくる。両親はおらず、結婚して自分の家族を作りたいと思っている。

宮本 華 (みやもと はな)

木下紳一郎の8人の花嫁候補の1人で、16歳の女子。髪型は前髪を目の上で切り、肩につかない長さの外はねボブヘアにしている。明るく元気な性格で、スポーツ万能。スポーツするのも、スポーツ観戦するのも大好き。部活動はテニス部に所属しており、かなりの腕前。性欲旺盛で、紳一郎を頻繁にセックスに誘う。

松本 愛 (まつもと あい)

木下紳一郎の8人の花嫁候補の1人で、17歳の女子。髪型は前髪を右寄りの位置で斜めに分け、顎の高さで内巻きにしたボブヘア。明るく積極的な性格で、屋敷の中ではムードメーカー兼末っ子的存在。自分から紳一郎に身体を触らせたり、夜間に紳一郎のベッドに忍び込んだりと、セクシーなアプローチをする。特技はお菓子作りと自称しているが、実際はお菓子を作ったことなどなく、家事全般が苦手。 特に掃除が苦手で、よく葉山レイに叱られている。

葉山 レイ (はやま れい)

木下紳一郎の8人の花嫁候補の1人で、17歳の女子。髪型は前髪を目の上で切った、ふんわりとしたショートカットにしている。気が強く、言いたいことをはっきり言う性格で、紳一郎相手にも臆せず意見する。音楽が大好きで、趣味はカラオケ。実家は大家族で、貧しい暮らしをしたため、結婚後は絶対貧乏な暮らしはしたくないと考えている。 なるべく早く結婚して、子供がたくさんいる家庭を築きたいと考えている。

上原 みどり (うえはら みどり)

木下紳一郎の8人の花嫁候補の1人で、百合の丘女学院に通う17歳の女子。髪型は前髪を左寄りの位置で額が見えるように分け、胸まで伸ばしたストレートロングヘアにしている。長身で、眼鏡をかけている。生真面目で控えめな性格だがドジっ娘で、料理は苦手。食器を割ってしまったり、紳一郎がいると気づかずお風呂に入ったりと、お騒がせな一面がある。 部活動は演劇部に所属しており、長身を生かして男性役を演じることが多い。そのため、学院内の女生徒からは「ミド様」と慕われ、非常に人気がある。一方でずっと女子高育ちだったため男性が苦手。紳一郎の花嫁候補に立候補するが、紳一郎を好きになれるか悩んでいた。しかし、紳一郎の心優しい人柄に触れ、次第に惹かれていく。

宮沢 結衣 (みやざわ ゆい)

木下紳一郎の8人の花嫁候補の1人で、16歳の女子。髪型は前髪を右寄りの位置で斜めに分け、肩につくほどの長さの外はねボブヘアにしている。唇が厚く、ややぽっちゃり体型。食べるのが大好きなので、なかなか痩せられずにいる。そのため他の7人の花嫁候補に比べて自分の容姿が劣っていると感じており、ややネガティブな性格。8人の花嫁候補の中では平凡な存在だが、相手に合わせることができ、思いやりがある。

進藤 (しんどう)

木下紳一郎とタクヤの幼なじみ。同じ高校の同じクラスに所属する友人。前髪を目の上で切った、癖のあるショートカットの髪型をしている。三白眼で、ぽっちゃりとした体型。異性にもてないことに強いコンプレックスを感じているが、もてないのは女性への理想が非常に高いがゆえのもの。紳一郎を、自分と同じもてない仲間だと考えていたが、同じクラスに転校して来た三枝楓など、紳一郎が女性から人気を集め始めていることに気づき、焦っている。 トンカツが大好き。

タクヤ

木下紳一郎と進藤の幼なじみ。同じ高校の別のクラスに所属する友人。前髪を眉上で短く切ったショートカットの髪型をしている。大の女好きで、気に入った女性には積極的に声をかけるチャラチャラした性格。容姿はいいが、見掛け倒しと言われることが多く、いつも交際が長続きしない。

木下紳一郎の祖父 (きのしたしんいちろうのそふ)

木下紳一郎、木下雄一郎、木下源一郎の祖父。大企業「木下財閥」の会長を務める年老いた男性。前髪を上げて額を全開にし、撫でつけ髪にしている。口ひげとあごひげを長く伸ばしている。孫たちには、いずれ木下家の仕事を継がせたいと考えており、厳しい試練による人間的な成長が必要だと考えている。そのため、ある日、紳一郎を8人の花嫁候補のいる屋敷に行くよう指定し、8人の中から1人を選ぶように命じる。 社交的な性格の人たらしで、「経済界の石原裕次郎」と呼ばれるほど異性からもてる。

木下 雄一郎 (きのした ゆういちろう)

木下源一郎の弟で、木下紳一郎の兄。紳一郎からは「雄兄」と呼ばれている。前髪を右寄りの位置で斜めに分けたショートカットの髪型をしている。エリートサラリーマンで、木下総本社の重役を目指して日夜働いている。そのため仕事中は愛想が良く腰が低いが、実際は現実的で意地悪な性格。紳一郎同様、自分も花嫁候補たちと暮らしているが、わざと不快なことを言って半数を追い出し、4人の女性と暮らしている。 紳一郎の花嫁候補たち8人にも失礼な言動を取るが、三枝楓と島本美優は気に入っている。結婚は、お互い最も条件の合う相手とするものだと考えており、のちに加藤慶子を選んで婚約を交わす。

木下 源一郎 (きのした げんいちおう)

木下雄一郎と木下紳一郎の兄。年齢は30歳。職業は登山家で、紳一郎からは「源兄」と呼ばれている。髪型は前髪を真ん中で分けて額を全開にし、肩まで伸ばしっぱなしのセミロングヘアで、無精ひげを生やしている。豪快で、細かいことを気にしないワイルドな性格。就職せずに登山活動ばかりしていたため、木下家からは勘当されている。 その後、エベレスト登頂を機に、木下財閥からスポンサーになってもらっている。職業柄家にいないことが多いため、結婚は考えていない。雄一郎の結婚披露宴に参加したのを機に、紳一郎の8人の花嫁候補たちとも知り合う。特に岩清水ナナとは、倒木事故から助けたことがきっかけで親しくなる。

芹奈 (せりな)

百合の丘女学院に通う女子。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、胸まで伸ばしたロングヘアを、毛先だけゆるく巻いている。眼鏡をかけている。上原みどりに憧れており、「シスターの契り」を結びたいと考え、積極的にアプローチしている。真琴とは親しい。

真琴 (まこと)

百合の丘女学院に通う女子。髪型は前髪を左寄りの位置で斜めに分けたショートカットで、眼鏡をかけている。ボーイッシュで中性的な雰囲気の持ち主。芹奈に想いを寄せていたが、芹奈が好きなのは上原みどりだと考えていた。しかし木下紳一郎との関係を聞かれたみどりが、とっさに「婚約者」だと噓をついため、芹奈に告白する。

加藤 慶子 (かとう けいこ)

木下雄一郎が選んだ婚約者。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、胸まで伸ばしたロングヘアを毛先だけゆるく巻いている。東合大学卒業後に株式会社エフテレビに就職し、現在は女子アナウンサーとして活躍している完璧な女性。

山野 冬 (やまの ふゆ)

上原みどりと宮内瑠衣の友人。百合の丘女学院に通う女子。前髪を右寄りの位置で斜めに分けたショートカットの髪型をしている。明るく素直な天使のような雰囲気を持つが、実は男性が大好きで、複数の男性と同時に交際することに抵抗のない奔放な性格。ある日、瑠衣とともにみどりに誘われて木下紳一郎、進藤、タクヤの3人と合コンをする。 その際、進藤とタクヤを気に入り、2人にばれないように、同時に交際を始める。

宮内 瑠衣 (みやうち るい)

上原みどりと山野冬の友人。百合の丘女学院に通う女子。髪型は前髪を目の上で切り、肩につくほどの長さの内巻きセミロングヘアにしている。クールで落ち着いた雰囲気だが、二面性があり、怒ると人が変わったように、口調も態度も乱暴になる。レズビアンで、複数の女性と交際しながら、みどりに想いを寄せている。しかし、みどりからは、木下紳一郎という婚約者がいるという噓を聞かされていたため、紳一郎を快く思っていない。 ある日、冬とともにみどりに誘われて紳一郎、進藤、タクヤの3人と合コンをする。その際に後をつけて紳一郎の自宅を覗き、紳一郎と8人の花嫁候補が暮らしていることを知る。それをネタに紳一郎とみどりを脅し、ばらされたくなければ自分も仲間に加えるように持ち掛けてくる。

花魁の女性 (おいらんのじょせい)

木下紳一郎の祖父が所持するペンションに住み着いている幽霊。作中で容姿は描写されないが、三枝楓の証言から、若い女性と思われる。ある日ペンションを訪れ、自分が住み着いている部屋に泊まりに来た楓に取り憑き、身体を乗っ取る。そして一緒に泊まりに来ていた木下紳一郎、岩清水ナナ、松本愛、宮沢結衣にからみ、それぞれに鋭い指摘をして場をひっかきまわす。

リカコ

高校2年生の女子。木下紳一郎、三枝楓、進藤のクラスメイト。髪型は前髪を目の上で切りそろえ、顎の高さで切りそろえたボブヘアで、眼鏡をかけている。クールで無愛想な雰囲気だが、紳一郎に関心を持っている。ある日、紳一郎と楓のお弁当の中身が同じであることに気づき、2人の関係を疑う。そこから紳一郎と8人の花嫁候補の関係を知り、進藤とタクヤにばらしたりと、紳一郎にちょっかいをかける。 恋愛に関して独自の考え方を持っており、たとえば自分の恋人が複数の女性と交際していても構わないと考えている。一方で妄想癖な一面もある。

集団・組織

木下財閥 (きのしたざいばつ)

木下紳一郎の祖父が会長を務める大企業。木下雄一郎も働いている。明治時代、殖産興業の大号令のもとに創設し、産業革命とともに成長。さらに昭和恐慌、戦後を生き抜き、生糸から携帯ゲーム機まで幅広い事業を行って成長してきた。

場所

百合の丘女学院 (ゆりのおかじょがくいん)

上原みどり、芹奈、真琴、山野冬、宮内瑠衣が通う女子高。容姿端麗、頭脳明晰、そのうえ家柄も良い生粋のお嬢様のみが通える学校として知られている。近隣の学校の男子たちの憧れの的となっている。また、学内には親しい生徒同士が結ぶ「シスターの契り」という、独自の文化があることでも知られている。

その他キーワード

8人の花嫁候補 (はちにんのはなよめこうほ)

木下紳一郎の祖父が、木下紳一郎のためにオーディションで選んだ8人の女性たち。候補者となった島本美優、岩清水ナナ、三枝楓、宮本華、松本愛、葉山レイ、上原みどり、宮沢結衣は、1年間木下紳一郎の祖父が用意した屋敷で、木下紳一郎も交えた9人で共同生活を行い、それぞれにアピールしながら紳一郎と交際する。 期間中、紳一郎は誰を選んでも良いが、選んだ時点で共同生活は終了する。また、期間内に紳一郎が1人を選ばなかった場合は、紳一郎は出家されてしまう。8人の女性たちは紳一郎に性的なアピールはしてもいいが、紳一郎とセックスすることは禁じられている。誰か1人でもルールを破った場合は、8人の女性から花嫁候補を選ぶという取り決め自体が反故になる。 8人の女性は、オーディションは行っているが、もともと木下紳一郎の祖父と知り合いだった女性が多い。

シスターの契り (しすたーのちぎり)

百合の丘女学院で伝統的に行われている独自の文化。特別に親しい女子同士が契るもので、契りを交わした2人は、学内公認の関係となる。「シスターの契り」を交わしたペアは清い友情を結ぶ場合が多いが、中には交際まで発展する者もいる。意中の女子がいる者にとっては、「シスターの契り」は、片想い相手と交際する権利を得ることにも等しく受け止められている。

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