あらすじ
第1巻
「ACCA」の5長官の任期が満了し、後任の長官達が首都バードンへとやって来た。5長官の中でただ一人留任する事になったスペードに対して、新たな長官の一人であるパスティスがその経緯を尋ねる。通常、5長官のポストは「ACCA」の管轄する13区のいずれかの区長を経てから就任するものであり、スペード以外の四人もみなそれを経験していた。パスティスの問いにスペードは「賭けに負けた」と答え、自身の過去を語り始める。かつてスペードは、13区の一つであるヤッカラ区で刑事として働いていた。同僚のバカラから自身の追っている逃亡犯を見つけたという連絡を受けたスペードは、バカラと共にその逃亡犯を逮捕するが、その背景にはバカラの思惑があった。数年後、スペードはバカラとカードで賭けをし、その賭けに負けたスペードは「ACCA」の5長官の一人となった。そして、その話を聞いた残りの四人もまた、それぞれの経緯を語り始める。
第2巻
「ACCA」の5長官の一人スペードは自分と同じく5長官になったパスティスの話を聞く。パスティスはスイツ区の出身であり、区の支部長を務めていた。パスティスの部下だったウォーブラーは、ほかの区からやって来た職員であり、パスティスのもとでさまざまな雑務をこなしていた。そんなある日、ウォーブラーは区の内部でクーデターが企てられている事を知る。ウォーブラーからその事を知らされたパスティスだったが、実際に支部長として動き出す前に「ACCA」の長官としての辞令を受ける。クーデターはウォーブラーの活躍で未遂に終わり、パスティスはスイツ区をもっとよりよい区にする事を誓って彼のもとを去っていく。こうしてパスティスは5長官を拝命し、スペードと共に「ACCA」を管理する立場となるのだった。
登場人物・キャラクター
スペード
「ACCA」の5長官の一人である男性。「ACCA」の管轄する13区の一つであるヤッカラ区の出身で、長官になる以前はヤッカラ区で刑事として働いていた。刑事という職業についても上昇志向などはなく一生ヒラ刑事でも構わないと思っている。刑事として共に働く事になった同僚のバカラと出会い、彼からACCAの長官へと推薦される。ギャンブルが大好き。
バカラ
ヤッカラ区でスペードの同僚だった男性。スペードと共に刑事として働いていたが、刑事という職業はあくまでも上を目指すための足がかりと考えており、ヤッカラ区の区長の座を狙っていた。バカラ自身が区長になりたいために、スペードを「ACCA」の長官へと推薦する。バカラは結果的にスペードを利用した形になったもののスペードとの関係は良好であり、長官となったスペードを時おり気にかけている。
パスティス
「ACCA」5長官の一人である男性。スイツ区の出身で、伯爵の称号を持つ貴族。なにかと区民をルールで拘束するスイツ区の支部長に就任後、ルールを緩和する政策を打ち立てたが、その直後に「ACCA」の長官へと推薦されスイツ区を離れる。パスティス自身が「ACCA」の長官に就任した事はスイツ区からの厄介払いである事を知っており、いずれスイツ区に戻り区長となる野望を抱く。
ウォーブラー
スイツ区職員の男性。ほかの区の出身で、人事異動でスイツ区へとやって来た。さまざまな規制が多いスイツ区において、できるだけ周囲の人々との軋轢を起こさないように心を砕いている。支部長のパスティスのもとで頭角を現し、パスティスが「ACCA」の長官に就任する際にはスイツ区の支部長の座を引き継いだ。
パイン
「ACCA」5長官の一人である男性で、ジュモーク区の出身。人当たりのいい性格のため、つねに多くの人達の輪の中心にいる。ジュモーク区では天才肌の優秀な仕事ぶりから若くして支部長の座に就任し、その後「ACCA」の長官として推薦される。180cmを超える長身であり、自身の体型にもつねに気を配るスタイリストでもある。
マホガニー
ジュモーク区でパインの同僚だった男性。パインとは幼い頃からの知り合いであり、学業や仕事ではつねにパインの次点に甘んじて来た。パインが「ACCA」の長官に就任した際にはパインから支部長を引き継ぎ、その後は長官となったパインをさまざまな形でサポートする。パインとはなにかと張り合う事も多いが、互いに信頼しあっており、良好な関係を築いている。
リーリウム
「ACCA」5長官の一人である男性。フラワウ区の出身で、フラワウ区を支配する名家の御曹司。フラワウ区出身者が「ACCA」の長官になる事が稀だったが、将来的には「ACCA」そのものを支配する事を考えている。ただし、その手段はあくまでも平和的なものでなければならないと考えており、周囲との協調性を重んじている。
カナリー
フラワウ区職員の男性。ほかの区の出身で、人事異動でフラワウ区にやって来た。部下からの報告が上がって来る事が異様に遅い事に苛立ち、上司であるリーリウムに掛け合うが逆に懐柔され、その後はリーリウムに従うようになる。リーリウムが「ACCA」の長官に就任した際には支部長の座を引き継いだ。
グロッシュラー
「ACCA」5長官の一人である男性。ロックス区の出身で、長官への推薦を受けた際には「よくない事が起こる」と直感していた。ロックス区では区民達からの支持を集めて支部長を務めており、「ACCA」の長官に就任する際には支部長を離任する事を惜しむ声も多かった。寡黙で必要以上に自身の事を話そうとはせず、ほかの4長官とも距離を置いている。
オウル
「ACCA」の監察課で課長を務める男性。童顔のため年齡よりも若く見られる事が多く、それを気にしてヒゲを生やしている。新たに就任したスペードら5長官のもとで主に事務作業などの雑務に従事している。事務処理能力に優れ、人心掌握術にも長けているためさまざまな交渉事に駆り出される事も多い。
集団・組織
ACCA (あっか)
13の自治区を持った「ドーワー王国」において、警察や交通といった都市機能を掌握する独自組織。ドーワー王国の政治とは一線を画する組織であり、それぞれの自治区から代表を出して組織の方向性を決定する。
ベース
ACCA13区監察課 (あっかじゅうさんくかんさつか)
「もらいタバコのジーン」という異名を持つ食えない男、ジーン・オータスはドーワー王国の13区に跨(また)がる巨大組織「ACCA」の監察課副課長として各区の不正防止のため、不定期に13区の支部を巡検する役... 関連ページ:ACCA13区監察課
関連
ACCA13区監察課 外伝 ポーラとミシェル (あっかじゅうさんくかんさつか がいでん ぽーらとみしぇる)
オノ・ナツメの『ACCA13区監察課』の外伝作品。「ACCA」の5長官の一人グレッグ・パインとその親友であるレイモンド・マホガニーの娘達の物語。外伝という位置づけのためグレッグとレイモンドの家族を中心... 関連ページ:ACCA13区監察課 外伝 ポーラとミシェル
BADON (ばーどん)
オノ・ナツメの代表作『ACCA13区監察課』から世界観を引き継いだ作品。ドーワー王国の首都「バードン」を舞台に、チーロ・ハートが刑務所で知り合った中年男三人と共に、自分たちの夢のために第2の人生を歩む... 関連ページ:BADON