ALDNOAH.ZERO

ALDNOAH.ZERO

TVアニメ『アルドノア・ゼロ』の物語前半にあたる第1クールを、原作にほぼ忠実にコミカライズした作品。火星の国家「ヴァース帝国」の「カタクラフト」と呼ばれる超兵器を相手に戦う地球人達を描くSFロボットバトル作品。ピナケスにとって初となる作品で、全編描き下ろしで発行された。

正式名称
ALDNOAH.ZERO
ふりがな
あるどのあ ぜろ
原作者
Olympus Knights
作画
ジャンル
その他SF・ファンタジー
関連商品
Amazon 楽天

世界観

西暦2014年の世界が舞台となっている。火星が植民地化され、人型のロボット兵器、カタクラフトが実用化されているなど科学は進んでいる。火星には「ヴァース帝国」を名乗る国家があり、地球よりも進んだ文明を持つが、皇帝や貴族が存在するなど、政治的には封建的な体制を取っている。火星の文明発展は、アポロ17号によって発見された古代火星文明の遺産、アルドノアを利用する事で実現したものである。かつて月においてヴァース帝国と地球のあいだで戦争が発生し、それに伴うアルドノアの暴走によって月は破壊された。火星には今も地球に対する主戦派と和平派がおり、相互に火種をくすぶらせている。一方地球では、火星との来たるべき次の戦争に備え、民間でも広くカタクラフトの運用のための訓練が行われている。

あらすじ

第1巻

火星「ヴァース帝国」のプリンセス、アセイラム・ヴァース・アリューシアが親善大使として地球を訪れた。しかし、テロ事件が勃発してパレードの車が爆破され、ヴァース帝国はこれを大義名分として地球への侵攻を開始する。戦乱の中、地球の少年、界塚伊奈帆は偶然に、影武者を立てていたために生き延びていたアセイラム皇女と出会い、彼女を保護すると共に、高校で訓練用に使われていたカタクラフト、「KG-6スレイプニール」に乗って、トリルランがあやつる火星カタクラフト・ニロケロスを迎撃する。鉄壁の防御能力を持ったニロケロスの弱点を探り当てる事に成功した伊奈帆は、ニロケロスを破壊する事に成功。トリルランはかろうじてニロケロスから脱出したが、その直後にスレイン・トロイヤードの前でアセイラム皇女暗殺の計画について口にしたため、アセイラムの味方であるスレインによって射殺された。

第2巻

界塚伊奈帆は高校の友人と、そして地球の民間人と誤解されて保護されたライエと共に、アセイラム・ヴァース・アリューシアを安全な地球連合本部に送り届けるべく、軍船に乗船した。しかし旅の途上、ブラドという火星の軍人があやつる、強力な刀のような武器を用いるアルギュレという火星カタクラフトが伊奈帆らを襲う。愛機「KG-6スレイプニール」で出撃した伊奈帆は、アルギュレの刀の弱点を一瞬にして見抜き、一時これを撃退する事に成功する。アルギュレは再度来襲したが、船の上の戦いで伊奈帆によって海に落とされたアルギュレは、刀の持つエネルギーの暴走によって水蒸気爆発を起こし、破壊されたのであった。しかしその後休む暇もなく、今度は拳のような形の武器を飛来させる性質を持った火星カタクラフトとの戦いが勃発する。

第3巻

拳を飛ばす火星カタクラフトは「ボーティス」と呼び、フェミーアンという女性軍人があやつっていた。軍船は沈められてしまったが、スレイン・トロイヤードの乗る戦闘機が地球側へ加勢に加わった事もあって、界塚伊奈帆達はボーティスを撃破する事に成功する。利敵行為の発覚によりクルーテオに拷問されるスレインであったが、気絶する間際にアセイラム・ヴァース・アリューシアの生存を告げた事で、クルーテオはスレインが自分と志を同じくするアセイラム王女派であった事を悟る。だが、クルーテオはその直後、アセイラム暗殺計画の首謀者であるザーツバルムによって暗殺されてしまう。一方、新しい船に乗り込んでいた伊奈帆ら一行であるが、実はテロリストの一味であったライエが、シャワー室でアセイラムを殺そうとするという事件を起こす。

第4巻

界塚伊奈帆の手早く首尾のいい応急処置によって、アセイラム・ヴァース・アリューシアはかろうじて蘇生し、一命を取りとめる。ライエは拘束された。その後、ザーツバルムが「揚陸城」と呼ばれる兵器と、自らのカタクラフトであるディオスクリアによって地球に侵攻して来た。バリアを張り、刀で攻撃し、しかも拳を飛ばす事ができるディオスクリアは強敵であったが、拳を飛ばす時にはバリアを解除しなければならないなどの弱点もあった。その弱点を突き、伊奈帆はディオスクリアを撃破する。だが、ザーツバルムはスレイン・トロイヤードに救助されて生きており、揚陸城のアルドノア・ドライブを停止させたアセイラムを銃撃する。スレインはそれを見て激昂し、ザーツバルムを撃つが、とどめを刺す事はできなかった。そしてスレインはさらに、自分に銃を向けた伊奈帆の頭を撃ち抜くのであった。

メディアミックス

TVアニメ

2014年7月からTOKYO MXほかで放映されたTVアニメ『アルドノア・ゼロ』第1クールが本作品の原作にあたる。なお、2015年の1月から放映された同作第2クールも、冬野万博の作画により『ALDNOAH.ZERO 2nd Season』のタイトルで、別途コミカライズされている。

登場人物・キャラクター

界塚 伊奈帆 (かいづか いなほ)

高校生の少年。地球にやって来てテロ事件に巻き込まれて困っていたアセイラム・ヴァース・アリューシアと偶然出会い、彼女を守るため、また祖国である地球を守るため、戦いの中に巻き込まれていく。性格は沈着冷静かつ大胆不敵であり、いつもポーカーフェイス。元は練習機であるオレンジ色のカタクラフト、「KG-6スレイプニール」を愛用しており、その事からスレイン・トロイヤードには「オレンジ色」というあだ名で呼ばれている。

界塚 ユキ

界塚伊奈帆の姉で、准尉の地位にある若い軍人の女性。戦争が勃発するまで、伊奈帆らの高校でカタクラフトの操縦を教える軍事教官を務めていた。身内というだけの事はあり、つねに無表情で感情をうかがわせない伊奈帆の心の動きを、手に取るように見抜く事ができる。

ライエ

スパイとして地球に紛れ込んでいる火星人の少女。火星の主戦派の末端の構成員であり、アセイラム・ヴァース・アリューシアを暗殺するためのテロ事件にかかわっていたが、口封じのために仲間もろとも殺されそうになった。その後は地球連合軍に保護され、界塚伊奈帆やアセイラムと行動を共にするようになる。のちにアセイラムをシャワー室で絞殺しようとする事件を起こした。

スレイン・トロイヤード (すれいんとろいやーど)

地球人であるが、火星でアセイラム・ヴァース・アリューシアとクルーテオに仕えている少年。地球にやって来てアセイラム暗殺の陰謀を知り、アセイラムを火星の主戦派から守るために暗躍を始める。初めてコンタクトを取った際、カラスに似た黒い戦闘機に乗っていた事から、界塚伊奈帆には「カラス」というあだ名で呼ばれている。

アセイラム・ヴァース・アリューシア (あせいらむゔぁーすありゅーしあ)

「ヴァース帝国」皇帝の孫娘にあたる少女。地球と火星との和平を望む和平派の中心人物であり、地球との親善交渉のために地球にやって来たところで、陰謀に巻き込まれて暗殺されそうになり、界塚伊奈帆らによって地球連合軍に保護される。伊奈帆に初めて会った時に「セラム」という偽名を名乗り、それ以降本名を伝えてからも、伊奈帆には「セラムさん」と呼ばれている。

クルーテオ

火星人の貴族であり、また軍人である中年男性。その苛烈な性格からスレイン・トロイヤードには主戦派の一人ではないかと目されていたが、実際にはアセイラム・ヴァース・アリューシアの忠実な側近である。ザーツバルムがアセイラムの暗殺を謀った事、またアセイラムが生存していた事を知り、何らかの対策を講じようとしたが、その事実を知ったザーツバルムに先手を打たれて暗殺される。

ザーツバルム

火星人の貴族であり、また軍人である中年男性。火星の主戦派の中心人物であり、アセイラム・ヴァース・アリューシアを暗殺しようとしたテロ事件の首謀者。のちにアセイラムが生きていた事を知ったあとも、執拗にその命を狙い、ついにはアセイラムをその手で銃撃するが、同時に自分もスレイン・トロイヤードによって撃たれてしまう。

トリルラン

クルーテオの食客をしていた火星人の青年。クルーテオの指揮のもと、鉄壁の防御能力を持つ火星のカタクラフト、ニロケロスに乗って出撃する。実はザーツバルムと通じていて、アセイラム・ヴァース・アリューシアの暗殺を謀った一味の一人であったが、その事実を知ったスレイン・トロイヤードによって射殺される。

集団・組織

ヴァース帝国

火星にある国家。名前の通り帝政を採用しており、現皇帝はアセイラム・ヴァース・アリューシアの祖父にあたるレイレガリア・ヴァース・レイヴァース。レイレガリアは自らが解明した火星古代文明の力、アルドノアの力で火星の開拓を成功させ、強大な軍事国家を築き上げた。

その他キーワード

カタクラフト

人型の戦闘ロボット。火星にも地球にも存在するが、技術体系はかなり異なっているため、区別する場合は「火星カタクラフト」などと呼称する。地球のものは銃器を持つ形で射撃を行う人型の量産機がほとんどだが、火星カタクラフトはアルドノアを利用したオンリーワンの超兵器で、基本的に一機種一機体である。

アルドノア

古代火星文明のテクノロジーの総称。詳細は不明であるが、3万年ほど昔の技術体系であるとされている。「ヴァース帝国」の建国者レイレガリア・ヴァース・レイヴァース博士によって蘇らされ、アルドノアの起動因子アルドノア・ドライブは、レイレガリアとその血族の遺伝子に焼き込まれた。ヴァース帝国の皇族達は、その因子を主従の契りを交わした軍人達に貸し与える事でその技術を拡散し、国家の運営に充てている。

クレジット

原作

Olympus Knights

SHARE
EC
Amazon
logo