あらすじ
汝の敵
1943年、連合軍の進攻で戦況が覆りつつあったイタリアの小さな村に、3人のアメリカ兵がやって来た。村人の中で唯一英語が話せる少年マルチェロの仲介により、村人と打ち解けるアメリカ兵たち。しかし、昼は地雷原の前で日向ぼっこをし、夜は村人とパーティー三昧という奇行を繰り返すアメリカ兵に対し、村人は徐々に不信感を抱き始める。そんなある日、マルチェロはアメリカ兵にキスをされそうになった姉のアイーダを追い、地雷原に入り込んでしまう。
愛しのテディーベア
1943年、ドイツ国内にある第14空軍捕虜収容所に、新たな敗残兵チャーリー・ロイドが送られて来た。優しく気のいい性格で、同じ捕虜はおろか、ドイツ兵からも人気者となったチャーリー。しかし、チャーリーは、彼にだけ見えるという熊のぬいぐるみテディーと日常的に会話をしている、とびきりの変人でもあった。すでに戦争が終わったかのような振る舞いをするチャーリーに対し、ドイツ兵を激しく憎む捕虜のアニマルは、彼に対し苛立ちを覚え始める。
エルベの笛
1945年、連合軍とソ連軍の挟撃によって崩壊寸前となったドイツ軍。闇商売で稼いだ金を持って脱走したハンスは、同僚から追われている最中に意識を失い、ユダヤ人の家族によって命を救われる。目を覚ましたハンスに対し、ユダヤ人の男性は、孫娘のヘルガたちを安全地帯まで連れて逃げるように依頼をするのだった。
楽園のあちら側
ノルマンディー上陸作戦が開始されて1か月、快進撃を続けていた連合軍に対し、ドイツ軍が猛反撃を開始した。レジスタンス狩り専門のドイツ軍少尉・白い狼を逃れ、本隊との合流を目指していたピーボディの分隊は、とある町の遊園地にいた老人の一団に遭遇。戦争終結後に戻ってくる者のために、遊園地の遊具を修理していたという彼らの身の上を聞いたジョニーたちは、残り少ない時間を割き、修理を手伝うことになる。
不死身のジャン
1944年、フランスのメーヌ地方。全滅した米軍落下傘部隊の遺志を引き継ぎ、ドイツ人捕虜のミューラーをアンリにある米軍前線基地へと護送していた農夫のジャン。護送中、ジャンのスキを見て逃亡したミューラーだったが、そこで過激派のレジスタンス組織に捕まり、縛り首を待つばかりの身となってしまう。
紅はこべ団の冒険
1943年、ドイツ占領下のフランス。パリに住んでいた少年ニコラ・ジュアンは、友人のジャンとともに、秘密組織「紅はこべ団」を作り、彼らを監視する校長モレリの目を盗みながら、学校の合間にレジスタンス活動にいそしんでいた。ある日、紅はこべ団のアジトに、レシュブールから派遣されたアランが迷い込み、彼の依頼を受けたニコラは、救援を求めにレジスタンスのアジトまで出向くことになる。
ローラン
1944年、ドイツ占領下のフランスで、廃墟となった街で金目の物を探していたクロードとジョエルの兄弟は、爆撃で命を落とした若者の帽子と武器を回収する。その若者は伝説的なレジスタンス闘士ローランであり、遺品を身に着けていたクロードはレジスタンス組織の老人からローランと勘違いされ、隠れ家まで案内されてしまう。
穴の中
1945年、フランスのモーゼル地方で生き埋めになった子供を救うため、隊を離れていたドイツ兵のクラウス・ヴァンツァーは、現場を通りがかった連合軍の小隊に降伏し、助けを求める。ドイツ軍の勢力下での救出活動は危険だと諌めるラルフの進言を聞き流し、一向は力を合わせて救助活動を開始するのだった。
コネティカット州のアメリカの奇跡
ノルマンディー上陸から11か月。ドイツ軍の降伏も時間の問題となったある日、敗残兵を追っていた連合軍の小隊は、森の中に潜んでいたドイツ軍狙撃兵の攻撃で窮地に立たされてしまう。人殺しを忌避する二等兵のシドニー・ブラウンは、田舎育ちの本領を発揮し、狙撃兵の居場所を巧みに見抜いていく。
登場人物・キャラクター
マルチェロ
エピソード「汝の敵」に登場する。イタリア人の少年で、年齢は11歳。父親から英語教育を受けていたため、村にやって来た3人のアメリカ兵の通訳を任される。将来はアメリカへ移住し、大金持ちになるのが夢。姉のアイーダを助けるために、ためらわず地雷原へと足を踏み入れるなど、勇気溢れる性格をしている。
チャーリー・ロイド (ちゃーりーろいど)
エピソード「愛しのテディーベア」に登場する。第14空軍捕虜収容所に捕虜として収容されたパイロットの男性。殊勲章を受けるほどの英雄だったが、戦闘機の撃墜時に奇跡的に生き残って以来、幼い頃に持っていたぬいぐるみのテディーの姿が見えるようになり、戦闘に対する意欲を失う。収容所でもテディーと会話し、変人扱いされていたが、明るく優しい性格をしているため、捕虜はおろかドイツ兵からも人気がある。
ハンス
エピソード「エルベの笛」に登場する。ドイツ軍を脱走した男性。仲間のヨハン、オイゲンと共謀して軍需物資を横流しする闇商売に手を染めていたが、ヨハンたちの裏切りを察し、売上金を持って逃亡する。連合軍に降伏をするために西へ向かっている最中に意識を失い、ヘルガの家族に助けられる。強欲なユダヤ人を死ぬほど嫌っている。笛の達人で、子供の頃は真剣に音楽家を目指していた。
ピーボディ
エピソード「楽園のあちら側」に登場する。連合軍に所属する男性。百戦錬磨の軍曹で、ドイツ軍の猛反撃を受けて壊滅寸前に陥った分隊を率い、本隊への合流を目指している。退却中に訪れた街で、遊園地にいた老人の集団と出会い、彼らを手伝って遊具を修理する。
ジャン(不死身の) (じゃん)
エピソード「不死身のジャン」に登場する。フランス人の農夫の男性。家族を守って死んだ米軍の落下傘部隊に恩義を感じ、彼らが護送していたドイツ人捕虜ミューラーを米軍前線基地まで連行することを決意した。見た目はただの老人だが、裏ではレジスタンス組織を率い、次々とドイツ兵を倒していたことから、不死身のジャンの異名を持つ。アルコールを使った即席の爆弾を扱う。
ニコラ・ジュアン (にこらじゅあん)
エピソード「紅はこべ団の冒険」に登場する。英雄と称されるレジスタンス闘士を父親に持つ少年。廃墟の地下室をアジトとして、友人のジャンと一緒にレジスタンス組織「紅はこべ団」を作る。活動内容はごっご遊びレベルだが、校長のモレリからは目を付けられている。
クロード
エピソード「ローラン」に登場する。幼い頃に父親に捨てられた孤児出身の青年。街をうろついてその日の糧を得る宿無し。廃墟の街に出向いた際に見つけた、レジスタンス闘士ローランの死体から羽飾り付きの帽子を取り、それをかぶっていたことで、レジスタンス組織の老人からローラン本人と勘違いされてしまう。
ラルフ
エピソード「穴の中」に登場する。連合国の兵士で、大学院で考古学を学んだ後に戦場に送られた青年。戦争と面倒ごとに巻き込まれるのを嫌っており、降伏して来たドイツ兵クラウス・ヴァンツァーの要請で、小隊が生き埋めになった子供の救助を始めた時も、放置して撤退することを進言する。
シドニー・ブラウン (しどにーぶらうん)
エピソード「コネティカット州のアメリカの奇跡」に登場する。メガネをかけた、コネティカット州出身の純朴な青年。人殺しを忌避しており、戦争終結まで誰も殺したくないと強く願っている。「田舎を笑う者は田舎に泣くずら」がモットーで、映画が大好き。敗残兵を追って踏み込んだ森でドイツ軍の狙撃兵に襲撃された際に、驚異的な動物的カンを発揮して狙撃兵の居場所を見抜く。
アイーダ
エピソード「汝の敵」に登場する。イタリア人の少女で、ここ最近で色気づいてきた15歳。アメリカを解放者として見ており、アメリカ兵が村を訪れてくれることを願っていた。村に来たアメリカ兵からキスを迫られ、パニックに陥って地雷原へ逃げ込んでしまう。
アニマル
エピソード「愛しのテディーベア」に登場する。第14空軍捕虜収容所に捕虜として収容されていた大柄で乱暴な男性。ドイツ軍の攻撃によって両親と恋人を失っており、ドイツ人に対する憎しみが非常に強い。収容所からの脱出計画を練っていたが、すでに戦争が終わったかのような態度を見せるチャーリー・ロイドを許すことができず、彼に暴力を振るう。
テディー
エピソード「愛しのテディーベア」に登場する。7フィートもある、大きな熊のぬいぐるみ。チャーリー・ロイドが子供の頃に持っていたもので、戦闘機の撃墜から生還したチャーリーにだけ、その姿が見えるようになった。周りからはチャーリーの妄想だと思われていたが、アニマルにもその姿が見えてしまう。
ヘルガ
エピソード「エルベの笛」に登場する。ユダヤ人の少女で、誰もいなくなった街で家族と隠れていた。街中で意識を失っていたハンスを匿い、祖父の指示でハンスと一緒に逃げることになる。ユダヤ人だが、敬虔なクリスチャンでもある。
カール
エピソード「エルベの笛」に登場する。年端も行かない少年。ヘルガの弟として扱われていたが、もともとは血の繋がりがない戦災孤児。目の前で両親を殺されたショックで、誰とも口を利かなくなった。壊れた銃を肌身離さず持ち歩いており、たびたびハンスに向けていたが、笛の上手いハンスに徐々に心を開いていく。
白い狼
エピソード「楽園のあちら側」に登場する。レジスタンス狩りを専門に行っているドイツ軍少尉の男性。本名は不詳。見せしめのためには街や村でも平気で焼き討ちする冷酷非情な性格から「白い狼」の通り名で恐れられている。ノルマンディーに上陸した連合国を押し戻すために出撃し、ピーボディの分隊を半壊に追い込んだうえで追撃している。
ミューラー
エピソード「不死身のジャン」に登場する。米軍落下傘部隊の捕虜となり、護送の途中だったドイツ軍の男性。ヒトラーの暗殺計画に関与していたため、ナチの親衛隊から追われている。米軍落下傘部隊の全滅後はジャンによって護送されるが、その途中で脱走する。
モレリ
エピソード「紅はこべ団の冒険」に登場する。小学校の校長を務めている男性。教師が組織したレジスタンス運動に加わっていたが、密告によりナチに逮捕された。仲間は誰一人戻って来なかったが、モレリだけは無事に戻って来たため、ニコラ・ジュアンからナチのスパイとして疑われている。
ジャン
エピソード「紅はこべ団の冒険」に登場する。父親がナチの収容所に連行されてしまった少年。廃墟の地下室をアジトとして、友人のニコラ・ジュアンと一緒にレジスタンス組織「紅はこべ団」を作る。国を想う志はニコラと同じだが、より我慢強い性格。
ローラン
エピソード「ローラン」に登場する。「サン・マロの狐」と称される伝説的なレジスタンス闘士の男性だったが、とある作戦に参加する直前に、ドイツ軍の爆撃によって死亡した。羽飾りが付いた帽子をトレードマークにしており、何度死んだと噂されても、そのたびに武勲を挙げていた英雄中の英雄。
ジョエル
エピソード「ローラン」に登場する。宿無しの青年。兄のクロードとともに廃墟の街で物資をあさっている際に、瓦礫に埋まったローランの死体を発見する。臆病な性格をしており、幼い頃から何かと兄に頼りきりだった。
クラウス・ヴァンツァー (くらうすゔぁんつぁー)
エピソード「穴の中」に登場する。ドイツ軍に所属する男性。撤退中に発見した生き埋めの子供を放置することができず、軍を脱走して現場へと駆けつけた。現場を通りかかったラルフたちの小隊に降伏し、一緒に子供を救助してくれと懇願する。