概要・あらすじ
ニューヨークで「ブラザーズ探偵事務所」を開いたマッキー、リッキー、メモリー。この三人兄弟のうち、リッキーとメモリーは、シリコン製の細胞を持つ、より生物に近いサイボーグHEM(ホモ・エレクトロ・メカニクス)であった。超人的な身体能力と自己修復細胞を駆使して、彼らは依頼を次々に遂行していく。
だが、彼らには驚くべき誕生の秘密と、戦わなければならない重い宿命があった。
登場人物・キャラクター
マッキー・プルート・ケラ
ニューヨークで「ブラザーズ探偵事務所」を開いている青年。リッキーの弟で、メモリーの兄だが、彼だけ生身の人間。実は1938年にドイツで生まれ、日本に渡り7歳で冷凍睡眠に入り、1970年に覚醒して養父とともにマイアミに移住する。作品中の「現在」(1980年代)では、肉体的には20代の青年。 本名は、ルドルフ・ゴールドブルグ。探偵事務所で金をため、ある使命を果たそうとする。
リッキー・ネプチューン・ケラ
ニューヨークにある「ブラザーズ探偵事務所」のメンバー。マッキーの兄。2m近い巨漢。より生物に近いサイボーグであるHEMの身体を持っており、超人的な身体能力で活躍する。1936年にドイツで生まれ、9歳のときに脳と肝臓をHEMの身体に移植される。 一度日本の懈良博士(けらはかせ)に保護されるが冷凍睡眠に入り、博士の渡米に伴い1970年に覚醒する。本名は、カール・ゴールドブルグ。探偵事務所で金をため、ある使命を果たそうとする。
メモリー
ニューヨークにある「ブラザーズ探偵事務所」のメンバー。リッキーとマッキーの妹。外見は14歳の少女だが、リッキーと同じHEMの身体を持っており、超人的な身体能力で様々な任務を遂行する。1942年にドイツで生まれ、3歳のときに脳と肝臓をHEMの身体に移植される。 一度日本の懈良博士(けらはかせ)に保護されるが冷凍睡眠に入り、博士の渡米に伴い1970年に覚醒する。本名は、エベリン・ゴールドブルグ。マッキーを愛している。
爪のクローディア (つめのくろーでぃあ)
CIAのエージェントである若い女性。リッキーと接触し、その魅力で彼をCIAに引きこもうとするが、逆にHEMの人間離れした性交の虜になり、リッキーなしではいられない身体になってしまう。
アルベルド・ゴールドブルグ
マッキー、リッキー、メモリーの父。第二次大戦中のドイツでの物理学の権威で、物理博士。生物学者でHEMの開発者であったイングリットと結婚して、研究に飛躍的な進歩を与えて、HEM完成の立役者となる。試作HEMの暴走で、命を落としかけるが、妻の判断でHEMとしてよみがえる。 軍の攻撃で、幼い子供のカールとエベリンが撃たれてしまうが、二人ともHEMの身体に脳を移植して事なきを得る。その後も、様々な人間をHEMに改造し、戦後もずっと生きながらえている。
イングリット・ゴールドブルグ
マッキー、リッキー、メモリーの母。第二次大戦中のドイツの生物学者で、HEMの開発者。夫が死にかけたとき、HEMに脳を移植して救う。その手術の後、自分もHEMに脳を移植してもらう。しかし、そのボディ「アニタ」が特殊な女性形のHEMだったため、長期の睡眠からの覚醒には特殊な条件が必要になる。 戦後も長期の睡眠を行いつつ、生きながらえている。HEMのメンテナンスは、ほとんど彼女が行う。戦後は、ほとんどアニタと呼ばれ、イングリットという名前はほとんど用いられない。
アドルフ・ヒトラー
ナチス・ドイツの独裁者。HEMの開発を命令した。1945年4月30日に、自殺に見せかけHEMとなった(エバ・ブラウンもHEMになる)。その後、エバとゴールドブルグ博士の三人の子供とともにUボートで日本へ向かう。カムチャッカ半島近海で日本の呂号潜水艦とランデブーするが、アメリカの戦闘機の襲撃で、ヒトラーとエバはUボート内の冷凍睡眠装置で眠ったまま沈む。 1980年代になり、資金を得たマッキー・リッキー・メモリーと、マクマーンがヒトラーとエバを蘇生させ、新しいドラマが展開する。実在の人物であるアドルフ・ヒトラーをモデルにしたキャラクター。
エバ・ブラウン
ヒトラーの愛人。1945年4月30日に、自殺に見せかけヒトラーとともにHEMとなった。以後、ヒトラーと行動を共にして、Uボート内の冷凍睡眠装置で眠ったまま沈む。1980年代になり、ヒトラーとともに蘇生する。実在の人物であるエヴァ・ブラウンをモデルにしたキャラクター。
懈良博士 (けらはかせ)
日本人の科学者。第二次世界大戦末期、ドイツのUボートとランデブーした日本の呂号潜水艦の乗組員の一人。名前、年齢は不明。ゴールドブルグ博士の三人の子供を呂号潜水艦に乗せたところで、Uボートが米軍の攻撃で沈んでしまったため、三人を引き取り冷凍睡眠処置を施す。 1970年に客員教授として米国に渡る際、三人を覚醒させて養子にする。
ウィリー・マクマーン
元は東部No.1の麻薬王で、登場時はアラブ諸国に武器を輸出している「死の商人」。麻薬取引を復活する必要に迫られ、大金を得るため「ブラザーズ探偵事務所」に依頼してリッキーの身体能力を利用する。しかし、その大金は兵器用殺人ヒューマノイドの開発に使われた。 だがマッキーたちに、量産型ヒューマノイドの開発を阻止される。その後、マクマーンはその資金収集能力と国際政治の世界で顔が利くことから、ヒトラー蘇生に参加させられるが、彼がものすごいヒトラーフアンだったため、物語の展開に妙な形で関わっていくことになる。
グラハム・ワイルダー
ノーベル賞クラスの天才工学博士で、KR03(キラーロボット03)と呼ばれる兵器用殺人ヒューマノイドを開発する。NASAに勤めていて、宇宙空間・月面などでの作業用ロボット開発プロジェクトの責任者だったが、クビになってしまった。マクマーンから資金援助を受け、開発を進める。
アイザック
ワイルダー博士が開発・政策して、マクマーンが投資した殺人ヒューマノイド。外見は、リッキーなみの巨漢。当初は判断力のレベルも低く言葉も喋れなかったが、リッキーが稼いだ大金で購入した新型LSIを搭載され、行動のレベルも上がり、ある程度喋れるようになる。レベルアップ前はKR03(キラーロボット03)と呼ばれていたが、その後ロボット小説の大家「アイザック・アシモフ」から名前を持ってきて、「アイザック」と呼ばれるようになる。 マッキーたちをかなりのところまで追い込むが、機能や行動パターンを分析され、敗れる。その後プログラムを書き換えられ、マッキーたちに使われる。
イサー・ハール
イスラエルの情報機関、モサドの長官。マッキーたちが蘇生させたヒトラーとエバを執念深く追跡し、捕獲する。
エリザ
イスラエルの情報機関、モサドの美女エージェント。マクマーンの愛人のような形で彼に張り付き、ヒトラーの情報をモサドに伝える。
その他キーワード
HEM (へむ)
Homo Electro Mechanicsの略称で、シリコン製の細胞で構成される肉体を持ち、超小型核融合炉をエネルギー源にして動く。シリコン製細胞は損傷を受けても、短時間で復元する。人間の脳と、脳を維持するための肝臓が移植されており、より生物に近いサイボーグといっても良い。 脳の前頭葉が生み出す性衝動を処理するために、神経系に接続された人工性器が装備されている。100mを5秒で走り、垂直10メートルのジャンプ力、10-50トンの腕力があると推測されている(作中のペンタゴンでの発表より)。『さよなら!!岸壁先生』という作品(原作小池一夫)にも、同じ名称・概念が登場する。