概要・あらすじ
桜庭鯛子はヤングバレエコンクールで優勝するが、それは国際舞台への足がかりに過ぎなかった。全日本クラッシックグランプリで優勝し、ヴェネチァ国際コンクールへの切符を手にすることを目標とした鯛子は、既にプロとして活躍するトップダンサーの榊龍一とパートナーを組む。しかし、そこに生々しい踊りをする王烈が現れ、鯛子は彼の踊りに惹かれていく。
鯛子は新しさと古典という相容れぬ2つを融合させるために、新しい自分のバレエを模索する。
登場人物・キャラクター
桜庭 鯛子 (さくらば たいこ)
プリマドンナを目指すバレリーナ。4歳からバレエを始め、将来を嘱望されていた。しかしコンクールの前日に母が交通事故で死亡。これにより彼女はバレエを止めるが、踊ることが大好きなので復帰する。明るく前向きな性格で、さまざまな困難を乗り越えていく。クラシック・バレエよりドラマティック・バレエを得意とする。
榊 龍一 (さかき りゅういち)
世界で活躍するプロバレエダンサーの青年。通称「龍一王子」。母は往年のバレリーナで、今は指導者となっている谷川愛子。桜庭鯛子とは最初相容れない関係だったが、徐々に心を通わせていく。
王 烈 (うぉん りえ)
台湾人と日本人のハーフの男性。谷川愛子が今野静香のために選んだバレエダンサーで、肉体的な踊りを得意とする。普段はアルバイトで生計を立てており、病気の妹のために有名になりたがっている。
三上 朗 (みかみ あきら)
世界的に認められたバレエダンサーで桜庭鯛子の元恋人。公演中にパートナーの倉田真理が負傷し、その衝撃から踊りを止めて失踪するが、鳴海のバレエ団で鯛子と再会する。復活公演ドン・キホーテでは鯛子とパートナーを組む。
倉田 真理 (くらた まり)
桜庭鯛子の永年のライバルで、世界で活躍するバレリーナ。公演中の怪我でバレエを断念するかに思われたが、厳しいリハビリ後に奇跡の復活を果たす。ドン・キホーテで鯛子とダブルキャストで踊る。
今野 静香 (こんの しずか)
谷川愛子の内弟子で桜庭鯛子の親友。古典バレエが得意で、静謐なロマンティック・バレエを踊る実力者。しかし精神的に弱い一面を持ち、他人と争うのが苦手な女性である。榊龍一のファン。
小泉 レナ (こいずみ れな)
天才の呼び名高い新進気鋭のバレリーナ。全日本クラッシックグランプリでの最有力優勝候補。父が亡くなったショックで聴力を失うが、その事実を隠し心の音楽で踊る。幸福に満ちたオーロラの踊りは、美徳のすべてを持つ。
小泉 ルイ (こいずみ るい)
小泉レナの兄であり、パートナーも務めるバレエダンサー。レナのよき理解者である。
ミハイル・ユージン (みはいるゆーじん)
世界最高の白鳥を踊るアンヌ・ピレッタとパートナーを組むトップダンサーで、そのダンスは息をのむほどの神々しさを誇る。ヴェネチァ国際コンクールでは桜庭鯛子のパートナーを務める。高慢な性格だが、鯛子に敬意を払うようになり、打ち解けていく。
アンヌ・ピレッタ (あんぬぴれった)
ミハイル・ユージンのパートナーで、世界最高の白鳥を踊る。公私共にミハイルを支えている女性。最初は桜庭鯛子がミハイルのパートナーになることに難色を示すが、最終的には彼女の実力を認める。
オーレリア・アレン (おーれりああれん)
ヴェネチァ国際コンクールでの桜庭鯛子の最大のライバル。貴族のアレン家の娘だが、幼い頃に兄のリシャールと共に孤児院から引き取られた養女。悲しみと孤独を抱えている孤高のバレリーナだが、鯛子のまっすぐな明るさに触れて心を開く。優勝を確約されるが、1型糖尿病のためバレエを止める宣言をする。
谷川 愛子 (たにかわ あいこ)
元トップダンサーで、榊龍一の母。現在は桜庭鯛子の指導者を務めている。ダンサーを引退しようとしていた40歳のころに、20歳年下の新人時代の鳴海の申し入れを受け、彼とパートナーを組む。
稲葉 冴子 (いなば さえこ)
桜庭鯛子が最初に師事した指導者の女性。倉田真理のリハビリに協力し、彼女を復活させる。鯛子にドン・キホーテ出演を依頼する。
鳴海 (なるみ)
全日本クラッシックグランプリの審査委員であり、リヨン芸術劇場の芸術監督も務める男性。谷川愛子の最後のパートナー。破天荒な性格で、バレエ界に風穴を開けたいと考え、桜庭鯛子を支持する。
レナの母 (れなのはは)
娘である小泉レナを優勝させるためならどんな手でも使い、審査委員長の亀山とも密約を結ぶ。
亀山 (かめやま)
全日本クラッシックグランプリの審査委員長。レナの母との密約により、小泉レナを支持する。
宮脇 (みやわき)
テレビ局のディレクターでバレエ担当。公正な判断を求め、審査にカメラを持ち込む。桜庭鯛子を応援している。
金田 (かねだ)
三上朗のマネージャーだが、のちに桜庭鯛子のマネージャーも務める。やり手で、ドン・キホーテでは、ジプシーの女という依頼をキトリに変更させ、倉田真理とのダブルキャストを提案する。
ココ
パリでの桜庭鯛子の生活をサポートする通訳で、自身も売れないダンサー。明るい性格。
桜庭 寅夫 (さくらば とらお)
桜庭鯛子の父で、魚屋の店主を生業としている。妻の貴美子を事故で亡くしてから男手一つで鯛子を育て上げた。厳しいが、優しく愛情に溢れる人情派。