リエゾン ーこどものこころ診療所ー

リエゾン ーこどものこころ診療所ー

ヨンチャンの代表作。原作の竹村優作にとってはデビュー作となる。児童精神科「佐山クリニック」を舞台に、ADHD(注意欠如・多動性障害)を持つ研修医の志保が、ASD(自閉スペクトラム症)の佐山院長と共に、子供たちの心の問題に向き合う物語。大学病院での研修中に問題を起こした志保は、最後の受け入れ先として佐山クリニックに配属され、自身のADHD診断を受け入れながら成長していく。そして、臨床心理士の千夏や言語聴覚士の涼子らと共に、不登校や虐待、ヤングケアラーなど、現代社会が抱えるさまざまな問題に取り組む姿が描かれる。本作は、医療漫画としての性質を持ちながら、専門用語の使用をなるべく抑えた、分かりやすい物語展開が特徴。また、患者の心理状態を象徴的な情景描写で表現し、診察シーンを丁寧に積み重ねる構成を採用している。現代日本の医療制度や教育現場の実態を反映させた世界観の中で、体操など独自のルーティンを確立したクリニックの診療体制が描かれる。講談社「モーニング」2020年14号から2025年31号まで連載。テレビドラマが2023年1月から放送された。

正式名称
リエゾン ーこどものこころ診療所ー
ふりがな
りえぞん こどものこころしんりょうじょ
原作者
竹村 優作
漫画
ジャンル
親子
 
医療
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊21巻
関連商品
Amazon 楽天

作品の概要

基本情報

ヨンチャンの代表作。原作の竹村優作にとってはデビュー作となる。

要旨と舞台設定

児童精神科の「佐山クリニック」を舞台に、発達障害(ADHD)を持つ研修医の遠野志保が、ASD(自閉スペクトラム症)の佐山卓院長と共に、心の病を抱える子供たちと向き合う物語。佐山クリニックでは、発達障害を「凸凹」と表現し、それぞれの特性に合わせた支援を行っている。

ストーリー展開

物語は、志保が大学病院での研修中に問題を起こし、最後の受け入れ先として佐山クリニックに配属されるところから始まる。そこで、ADHDと診断された志保は、その事実を受け入れながら成長していく。そして、佐山院長や臨床心理士の瀬川千夏、言語聴覚士の小野寺涼子らと共に、不登校や虐待、ヤングケアラーなど、現代社会が抱えるさまざまな問題に向き合っていく。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、医療漫画としての性質を持ちながら、専門用語の使用をなるべく抑えた、分かりやすい物語展開が特徴。各エピソードは1回完結ではなく、複数回にわたって問題解決の過程を描く構成となっている。

作品固有の表現技法と特徴

作品の表現技法として、患者の心理状態を象徴的な情景描写で表現し、医療現場での会話や診察シーンを丁寧に積み重ねることで、問題の本質にせまる手法が用いられている。

世界観の構築と設定

世界観の構築において、現代日本の医療制度や教育現場の実態を反映させながら、児童精神科という専門分野の実務や連携体制を描写している。佐山クリニックでは、体操などの独自のルーティンを確立し、患者に寄り添った診療を実践している。

社会的影響

本作は全国学校図書館協議会の選定図書となっている。これに伴い、家族の介護や世話などをしている子供たち、いわゆるヤングケアラーの支援に向けた国の会合に漫画担当のヨンチャン、原作担当の竹村優作が招かれ、意見を述べている。

連載状況

講談社「モーニング」2020年14号から2025年31号まで連載。

メディアミックス情報

テレビドラマ

2023年1月から3月までテレビ朝日系列にて放送。キャストは佐山卓を山崎育三郎、遠野志保を松本穂香が演じる。

発達障害と児童精神科をテーマとした医療漫画

本作は精神科をテーマにしており、特に発達障害の子供たちと児童精神科医を題材にした医療漫画。子供の10人に一人はなんらかの障害を抱えているとされる現代日本の、小さな児童精神科「佐山クリニック」を舞台にしている。発達障害の子供たちや、その保護者のさまざまな悩みと共に、男性医師の佐山卓と研修医の遠野志保が障害と真摯に向き合う姿が、リアルに描かれている。タイトルの「リエゾン」はフランス語で「連携」という意味で、別の診療科や福祉施設と連携する医療サービス「リエゾン精神医学」も重要なテーマとなっている。

発達障害を「凹凸」と呼ぶ精神科医が主人公

主人公の佐山卓は大きな総合病院の御曹司(おんぞうし)ながら、地方の小規模なクリニックを営んでいるため一部の人たちから変わり者と見られている。その一方で、どんな障害の子供たちやその家族を前にしても、冷静かつ誠実な姿勢で多くの人たちから信頼を寄せられている。また卓自身も発達障害を抱えており、発達障害を「凹凸(でこぼこ)」と表現しながら、さまざまな事情を抱えた親子たちと向き合っている。当初は謎に包まれていた卓の過去も、ストーリーの進行と共に明かにされていく。

発達障害と診断された小児科研修医の成長物語

もう一人の主人公である遠野志保は、小児科医を目指す研修医の女性。子供好きで生真面目ながら、些細(ささい)なミスや遅刻が多いため地方の佐山クリニックに飛ばされ、佐山卓の助手として勤務することになる。そんな志保は卓から発達障害と診断されショックを受けるが、彼のもとで学びながら前向きに児童精神科医を目指すことを決意する。本作はそんな志保がさまざまな患者と向き合い、時には葛藤に苛(さいな)まれながらも医者として成長していく姿が見どころとなっている。

登場人物・キャラクター

遠野 志保 (とおの しほ)

研修医の女性。明るく前向きな性格ながら、一度決めると猪突猛進となり、ドジで早とちりな一面を見せる。時間がないときに限って些細なことが気になって仕方なかったり、いつも何かに追われているような思い込みをしたりすることから、何かしら必ずミスをする。そのため、幼い頃からケンカやケガは日常茶飯事で、現在は薬の処方量を間違うなど仕事にまで悪影響を及ぼしている。それがネックとなり、本来ならば大学の附属病院で行うはずの臨床研修を続けることを拒否され、唯一手を上げてくれた地方の児童精神科「佐山クリニック」で世話になることになった。そこで医師の佐山卓と知り合うが、性格のせいと思い込んでいた自分の危うさが、発達障害によるものであると指摘され、自分自身と向き合うことを求められる。ネグレクトに遭った経験によって傷ついた心を胸に抱きながら、クリニックを訪れるさまざまな患者やその家族に親身になって対応し、遠野志保自身も少しずつ成長していく。もともと小児科医を目指していたが、卓と出会い、児童精神科医になることを決意する。

佐山 卓 (さやま たく)

佐山クリニックの男性医師。児童精神科を専門としており、日々多くの子供やその家族と真摯に向き合っている。明るく穏やかな性格で、長い髪を後ろで束ねている。昨今少子化が進んでいるにもかかわらず、児童精神科を受診する子供の数が増えていること、さらに医師が不足していることに懸念を抱いている。ある時、大学病院から研修医の臨床研修先として遠野志保を受け入れることにした。引継ぎ資料から彼女のこれまでのトラブルの数々を知り、志保が発達障害であると確信し、本人に告げた。さらに、志保が幼い頃に通っていたという小児科に足を運び、志保がネグレクトに遭っていた事実に辿り着いた。その後も志保が、自分自身と向き合いながら、患者やその家族に対して親身になって対応する姿を高く評価し、臨床研修修了後も児童精神科の研修医として志保を受け入れることを決めた。実は、佐山卓自身も発達障害を抱えており、発達障害のことを凸凹と表現している。

クレジット

原作

竹村 優作

書誌情報

リエゾン ーこどものこころ診療所ー 21巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2020-06-23発行、978-4065199053)

第2巻

(2020-10-23発行、978-4065207499)

第3巻

(2020-12-23発行、978-4065217689)

第4巻

(2021-03-23発行、978-4065226087)

第5巻

(2021-06-23発行、978-4065234525)

第6巻

(2021-09-22発行、978-4065245460)

第7巻

(2021-12-23発行、978-4065262542)

第8巻

(2022-03-23発行、978-4065270127)

第9巻

(2022-06-22発行、978-4065282397)

第10巻

(2022-09-22発行、978-4065290521)

第11巻

(2023-01-23発行、978-4065304853)

第12巻

(2023-02-21発行、978-4065306611)

第13巻

(2023-05-23発行、978-4065311745)

第14巻

(2023-08-23発行、978-4065326466)

第15巻

(2023-11-22発行、978-4065336670)

第16巻

(2024-02-22発行、978-4065345832)

第17巻

(2024-05-22発行、978-4065353752)

第18巻

(2024-08-22発行、978-4065366332)

第19巻

(2024-11-21発行、978-4065373644)

第20巻

(2025-05-22発行、978-4065386378)

第21巻

(2025-09-22発行、978-4065408070)

SHARE
EC
Amazon
logo