あらすじ
星野彩佳から星空の洞窟についての話を聞いた阿部たかし、石平京、山田三友貴、中原康の四人は、彩佳から危険だと注意されたにもかかわらず、親に内緒で探検する事を決める。康がインターネットを使って洞窟の場所を特定し、洞窟へと出発する。無事に星空の洞窟にたどり着いたものの、満潮の時間を迎えた事で、四人は洞窟に閉じ込められてしまう。(EPISODE.1「子供達と星空の洞窟」)
たかし達四人が学校帰りにかけっこをしていた際、康が育さんと衝突し、転倒させてしまう。京が育さんを助け起こすものの、康は謝る素振りすら見せなかった。その翌日、四人は山へ虫採りに出かけるが、そこで康が蛇にかまれてしまう。たかしがあわてて助けを求めに山を降りていくと、そこには育さんの姿があった。(EPISODE.2「子供達と育ばあさん」)
三友貴の母親の体調が優れないと聞いたたかしは、彼女の好物である魚を届けようと提案した。すると康が父親のクルーザーで釣りに行こうと言い出し、京も含めたいつもの四人組で出かける事を約束をする。しかしその当日は、古志木島の漁師達が参加する豊漁祈願祭が行なわれていた。漁師の息子であるたかしは、船の舳先に乗せてもらう事を夢見ていたが、父親に噓をついて参加を断り、クルーザーでの釣りに出掛ける。そして一行は、たかしが父親から教わった手釣りで、見事な真鯛を釣り上げる事に成功。しかしクルーザーが故障し、船が漂流を始めてしまう。(EPISODE.3「子供達とそれぞれの思い」)
工作の課題で、ガラクタを集めてオブジェを製作する事になったたかし達四人は、島でもっとも高い波が来る場所へ行き、漂着物を探し始めた。そこで三友貴は船で使用する信号弾を発見し、誤って爆発させてしまう。大事こそなかったものの、その衝撃の影響で三友貴は頭痛を起こしてしまう。そこで康は、自分が風邪をひいた際に五島健助から処方された薬を飲ませるが、しばらくすると三友貴が急激に咳き込み、動けなくなってしまう。しかも海岸は満潮で、子供達は海岸で孤立する事となる。(EPISODE.4「子供達、コトー先生に怒られる」)
「人助け」というクラステーマを与えられたたかし達。そこで四人は妊娠中の二見ゆりえが帰省している、兼業農家の二見家の手伝いに訪れた。そんな四人に対しゆりえは、お手伝いのお礼として次の日曜に「おいしいもの」を山に取りに行こうと提案する。当日、五人は山に入っていき、そこで目当ての「シマオオタニワタリ」という植物を採集し始めるが、急激に天候が悪化する。ゆりえはすぐに引き返そうとするが、欲張って採集を続けた康が途中ではぐれてしまう。康を捜索する途中、土砂崩れに巻き込まれたゆりえは、その衝撃で破水してしまう。(EPISODE.5「子供達と島のおいしいもの」)
たかし達5年生のクラスに、康以来の転校生となる伊佐省吾がやって来た。しかし省吾はたかし達四人にまったく馴染もうとせず、さらには三友貴を怒鳴りつけて全員と険悪なムードになってしまう。省吾には幼い頃に母親が自分をかばって交通事故死したという過去があり、それが人に対して心を閉ざす要因となっていたのである。そんな中、省吾の父親が工事現場で落石に遭う事故が発生し、脳内出血で古志木島診療所に運び込まれる事となった。心配して古志木島診療所に足を運んだたかし達は、島の神社で御札を手に入れて省吾に渡すが、省吾はその御札を投げ捨ててしまう。(EPISODE.6「ぼくら島の子供達」)
登場人物・キャラクター
阿部 たかし (あべ たかし)
古志木小学校4年生の男子。のちに5年生に進級する。母親はおらず、漁師をしている父親と中学2年生の兄と三人で暮らしている。阿部たかし本人も漁師を目指しており、釣りに関しては父親譲りの技術を持つ。クラスメイトの山田三友貴に片思いしており、中原康とは何かと張り合う関係にある。
石平 京 (いしだいら きょう)
古志木小学校4年生の男子。成績優秀で体育も得意としているため、阿部たかしからはあこがれのまなざしで見られている。四人の中ではもっとも活発でリーダー的存在だが、その好奇心がトラブルのもとになる事も多い。
山田 三友貴 (やまだ みゆき)
古志木小学校4年生の女子。のちに5年生に進級する。阿部たかしのクラスメイトで、学年では唯一の女子。阿部たかしと中原康に好意を寄せられているが、山田三友貴本人はまったく気づいていない。慎重な性格だが男子達の意見に流されやすく、トラブルに巻き込まれる事が多い。
中原 康 (なかはら こう)
古志木小学校4年生の男子。のちに5年生に進級する。阿部たかしとはクラスメイト。4年生の3学期に、父親の転勤に伴って本土から転校して来た。転校前は塾通いをしていたため勉強ができ、パソコンの操作も得意としている。たかしとは山田三友貴を巡ってライバル関係にあり、賢さを武器にアピールをするものの、失敗も多く友人達を何度もトラブルに巻き込んでいる。
五島 健助 (ごとう けんすけ)
古志木島診療所で働く男性医師。かつて東京で、難易度の高い手術をいくつも手がけてきた名医。現在は古志木島に移り住み、島の医師として多くの命を救っている。探検に出かけてケガをした子供達を手当てしたり、無謀な行動を優しくたしなめたりと、子供達を温かく見守っている。船が苦手。
星野 彩佳 (ほしの あやか)
古志木島診療所で働く女性看護師。古志木島に一つしかない診療所を、五島健助と二人だけで切り盛りしている。五島と同様に阿部たかしらを優しく見守っているが、子供達に対する物言いは星野彩佳の方が手厳しい。子供達に星空の洞窟の存在を教えたことで、四人が遭難する遠因を作ってしまった。
育さん (いくさん)
EPISODE2「子供達と育ばあさん」に登場する。古志木島一番の山菜採り名人の老婆。かけっこをしていた中原康に衝突されて転倒してしまい、さらにその責任を康になすりつけられる。その康がマムシにかまれた際、五島健助に助けを求めに向かっていた阿部たかしと偶然行き会い、康の救出に向かった。
岡部 明 (おかべ あきら)
EPISODE3「子供達とそれぞれの思い」に登場する。中原康の父親の部下の男性。自分の父親から譲り受けたクルーザーを所有している。ただし康は見栄を張り、阿部たかしらには「父親のクルーザー」と噓をついている。クルーザーの点検を怠っており、そのせいでたかし達が漂流する事となった。
伊佐 省吾 (いさ しょうご)
EPISODE6「ぼくら島の子供達」に登場する。古志木小学校5年生の男子。父親の仕事の都合で古志木島に来て、5年生に進級した阿部たかしらとクラスメイトになった。ただし、最初からクラスに馴染もうとはしておらず、たかし達とは折り合いが悪い。幼い頃に自分をかばって母親が交通事故死した過去があり、その影響から自分を責め、人とのコミュニケーションを拒絶している。
場所
古志木島 (こしきじま)
阿部たかしら子供達や五島健助が住む離島。豊かな自然に恵まれた島だが人口は少なく、島で育った子供達の中には本土に渡る者もいるため、過疎化が進んでいる。主な産業は漁業で、たかしの父親なども従事している。
古志木島診療所 (こしきじましんりょうじょ)
五島健助が医師を務める診療所。島民からは「Dr.コトー診療所」と呼ばれ、看板もそう掲げられている。五島のほか、星野彩佳も看護師として勤務している。古志木島で唯一の医療機関のため、あらゆる病気やケガに見舞われた人が足を運ぶ。また、島には高齢者が多いため定期的な往診も行われている。
星空の洞窟 (ほしぞらのどうくつ)
古志木島診療所の南にある洞窟。実際に星空が見えるわけではなく、洞窟の中にいる夜光虫が光って星空のように見えるため、そう呼ばれている。潮の満ち引きによって入り口がふさがれるため、阿部たかし達も閉じ込められる事となった。かつて五島健助と星野彩佳も、同様に閉じ込められた経験がある。