概要・あらすじ
惑星、グランベル王国。そこは、ファンタジーの世界を体験できるテーマパークの星だった。しかし、いつの間にかお客は来なくなり、すっかり人々の記憶から消えていた。多くのボット(機械)が住むグランベル王国に、たった一人、人間の少年がいた。名前をシキといい、魔王(の配役の機械)が、10年前にどこからか連れてきた子どもだった。
その、祖父代わりの魔王も数年前に亡くなった。魔王はシキに「たくさんの国へ行き、たくさんの友達を作れ」と言っていた。また「自分のために涙を流せる友達がいたら、一生大切にしろ」とも教えており、シキの心に魔王の言葉は深く刻み込まれていた。ある日、打ち捨てられたグランベル王国に100年ぶりのお客があった。レベッカという名前の少女と、その相棒のネコ、ハッピーだった。
レベッカは「B・キューブ」という動画配信サイトで超有名になりたくて、そのネタのためにグランベルを訪れたのだ。初めて自分以外の人間を見たシキは、物珍しさにレベッカを触りまくって怒られるが、懲りずに後をつけ回し、半ば強引に友達になる。100年ぶりのお客に、盛大なパーティが行われ、楽しい夜は更けていった。
翌日、レベッカが目を覚ますと、丸太に縄でくくりつけられていた。驚いたシキは、ボット達のリーダーである城主に、レベッカの縄を解くように言う。彼女は自分の友達なのだと。しかし城主は、レベッカを殺して船を奪い、グランベルを脱出するという。ほかのボット達も全員、自分達を道具としか思っていない人間は敵だと言い出した。
ボット達はウイルスの感染により、自我が芽生えていたのだ。狂ったボット達に囲まれ、一方的にやられるシキ。シキが、ボット達を「友達だ」と自慢していた事を知るレベッカは、涙を流しながら訴えた。「友達に人間も機械もない」と。レベッカの涙を見て、シキは心を決めた。祖父である魔王の「自分のために涙を流せる友達を一生大切に。
そしてその涙のために戦え」という言葉に従う決意をしたのだ。魔王から受け継いだ「重力のエーテルギア」という力で、城主を倒したシキは、レベッカを救い出し、彼女の宇宙船に同乗する。シキはグランベル王国を離れて宇宙へと飛び立った。半壊した城主は、宇宙へ飛んでいくシキを見送りながら、満足そうな笑みを浮かべた。グランベル王国のボット達がウイルス感染したというのは、すべて噓だった。
ボット達は、寿命が尽きる寸前だったため、シキを宇宙へと旅立たせるために、一芝居打ったのだ。そしてそれが、亡くなった魔王との約束でもあった。やがて、惑星グランベルのすべてのボットの機能が停止した。グランベルを出たあと、シキとレベッカは冒険者達の星、惑星ブルーガーデンに向かった。
レベッカは、シキを「冒険者」として登録し、自分達のボディガードにするつもりだった。ブルーガーデンの冒険者ギルド・流星の灯に到着したシキは、さっそく冒険者シキ、グランベルとして登録され、冒険者カードが発行された。「グランベル」は、ファミリーネームが不明だったため、レベッカによりつけられた名だった。シキは、宇宙の女神、マザーに会いに行く事を、レベッカに提案する。
マザーは宇宙のどこかにいる、星より大きな女性で、正体不明の生命体だった。ギルドでマザーのホログラムを見たシキは、記憶のどこかにマザーの事があり、気になっていたのだ。レベッカは、一瞬たじろぐが、「最高の動画が撮れる」と目を輝かせた。こうして、二人と1匹は、マザーに会うために冒険の旅に出るのだった。
登場人物・キャラクター
シキ・グランベル (しきぐらんべる)
惑星、グランベル王国で、たった一人の人間として、多くのボット(機械)達と暮らしていた少年。ボットである魔王により、どこからか連れて来られたため、本当の出身地は不明。魔王から「重力のエーテルギア」を受け継いでおり、重力をコントロールする事により、様々な技を使える。グランベルを訪れたレベッカとともに、広い宇宙を冒険する旅に出る。 「グランベル」というファミリーネームは、レベッカによってつけられたもの。
レベッカ
B・キューブという動画サイトで「AONEKOチャンネル」を配信するB・キューバーの少女。面白い動画撮影のためには、危険を顧みずに行動を起こす。惑星ブルーガーデンの冒険者ギルド「流星の灯」に所属している。一人ぼっちで暮らしていた幼い頃に、ハッピーと出会い、離れられない友達となる。惑星、グランベル王国で、シキ・グランベルと出会い、一緒に冒険の度に出る事になる。
ハッピー
エクシド星のネコ。一人ぼっちで迷い猫になっていたところを、レベッカに助けられ、友達になる。交通事故により命を失うが、機械の体になって復活する。2挺の拳銃「ハッピーブラスター」に変形する事ができる。