概要・あらすじ
初めて訪れた京都でいきなり財布をスられてしまった勝は、スリが落としたライターを頼りに雀荘「麻雀みやこ」を訪れる。そこではいきなり店員の指が切り落とされ、財布をスった男であるシュンの指も今まさに切り落とされようとしていた。勝はスられた財布の在りかをシュンから聞き出すため、シュン、指を狩る男、麻雀みやこのマスターの4人で卓を囲むことになった。
天才ギャンブラーの勝は、ぎりぎりの緊張の中で活路を切り開いていく。
登場人物・キャラクター
勝
一つ所に留まらず旅をしている青年。頬に十字の傷があるが、童顔で優しげな印象を与える。ぎりぎりまで自分を追い詰めて死中に活路を見出す生粋の勝負師(ギャンブラー)であり、ギャンブルの闇でしか生きられないことを自覚している。背中に背負ったボクサーバッグに大量の札束を詰め込んでいる。持っている財布には1円も入っていないが、カネより大事な一枚の写真が入っており、勝いわく「オレの生きた証」だという。 写真には勝を中心に右にハンサムな若い男性、左に可愛らしい女性が写っている。
シュン
雀荘「麻雀みやこ」で仲間3人と一緒にイカサマを繰り返し、金を稼いでいる青年。しかしイカサマがマスターにバレてしまい、指を狩る男を呼ばれてしまう。まさに指が切り落とされようとした時、京都駅で財布をスった勝が「麻雀みやこ」を訪れたことで、いったんはことなきを得る。金を貯めているのは、幼なじみの舞妓の志乃の水揚げを阻止するためであった。
マスター
雀荘「麻雀みやこ」のマスター。団子っ鼻でやや小太りの中年男性。歯が非常に汚い。シュンのイカサマに気づいており、「麻雀みやこ」に指を狩る男を呼んだ。また吉川の賭場「楽薗」に獲物として人を送り込むことも手掛けており、紹介料として吉川の勝ち分の20パーセントのマージンを取っている。
指を狩る男
雀荘「麻雀みやこ」のマスターが呼んだ、イカサマ師を潰す処刑人のような男性。イカサマを見抜き、その指を切り落として収集している。そのためのナイフと、今までに落とした指を瓶詰めにして持ち歩いている。
吉川
染め手を得意とする麻雀打ちの男性。元は染物師で、長年の染物をしてきたことにより手が藍色に染まっている。染物屋が火事になって失明してからは、麻雀での「染め」を行うようになった。牌の流れを読み、最初は安い手で早和了りを優先して、だんだんと牌を寄せて高い染め手を作っていく。妻の香代子、娘の愛美を火事の時に亡くしている。
志乃
シュンの幼なじみの舞妓。既に廃れた風習である水揚げをしつこく迫る能身が現れ、能身に対して「芸事で勝つことができたら求めに応じる」と条件をつけたところ、麻雀での勝負を持ちかけられてしまう。麻雀に関してはずぶの素人で、姉のような存在の月乃に麻雀の教えを請うも、あまり上達していない。
月乃
志乃と同じ置屋で暮らした舞妓で、志乃の姉のような存在。水揚げを希望する能身と打つために志乃に麻雀を教えるが、志乃はあまり上達しなかった。志乃を助けるために通しのサインを送ったが、代打ちの左京に即座に見破られてしまう。
裏プロ
京都イチの裏プロだが、賭場「楽薗」にて吉川に半荘2回で有り金をすべて奪われる。首の下の鎖骨付近にサソリの刺青を入れている。吉川を「魍魎(バケモノ)」と呼び、恐ろしい復讐を企てる。
吉川の取り巻き
賭場「楽薗」に入り浸る金持ちの男2人組。一人はオネエ言葉で話すオカマ風の男性、もう一人は老齢のスーツの男性である。人の破滅する姿を見るのが何よりも好きで、当初はスリルを求めて自らが吉川との高レート麻雀に挑戦したが、今は特等席で人の破滅を味わうために、吉川と一緒に麻雀を打っている。
能身
志乃の水揚げを画策した男性でかなりの金持ち。「能身医院」を経営する医者であり、女に薬を使いすぎて殺しても、自分の病院で死体を処理するような悪辣非道な男。志乃との麻雀勝負では自らは打たず、双子の代打ちの右京と左京を使った。
右京
能身に呼ばれた双子の代打ちの一人。左京の双子の兄で、長い黒髪で無口な性格。左京に比べ、時間にルーズという特徴がある。麻雀においては左京との息はピッタリで、まったく同じチートイツを同時に和了ったり、捨牌をまったく同じにしたりもする。
左京
能身に呼ばれた双子の代打ちの一人。右京の双子の弟。姿形は右京とそっくりだが、髪色が明るくおしゃべり。麻雀においては右京との息はピッタリで、まったく同じチートイツを同時に和了がったり、捨牌をまったく同じにしたりもする。
ドクロ
能身の策略で、勝を誘拐したグループのボス。ドクロの面をかぶり、更にフードをかぶっているため素顔はわからない。マスクの下の顔には無数の刺青を施している。勝との麻雀勝負では命を賭けた戦いになったため余裕を失い、勝に振り込んだズタブクロの腹を撃った。
メット
能身の策略で、勝を誘拐したグループの一人。ライダースーツにヘルメットをかぶった女性。ズタブクロがドクロに撃たれたのを見て、上がることを諦め安牌を切ることに専念する。そのため、ドクロには自分にアシストしない使えない女と思われる。
ズタブクロ
能身の策略で、勝を誘拐したグループの一人。頭にズタブクロをかぶっている太った男性。吃音のしゃべり方をし、いつもおどおどと自信がない。勝に振り込んだため、ドクロに撃たれた。そのことにショックを受け、どんどん狂っていく。
山田屋の兄
山田屋の妹の兄。旅館「山田屋」で暮らす男性。両親が亡くなったため旅館は閉めたが、妹と旅館に居住している。ギャンブルにはまってしまい、旅館を賭けて麻雀で勝負した際、残り1000点となった時に勝が訪れたことで救われた。それ以来、ギャンブルから足を洗う。
山田屋の妹
山田屋の兄の妹。山奥のバス停で雨に降られている勝に声をかけ、自分の家である旅館「山田屋」へ案内した少女。濡れた勝に自分の気に入りのクマのタオルを貸した。兄のことは好きだが、ギャンブルをするようになって変わってしまったと勝に打ち明ける。
場所
山田屋
田舎の古い旅館。旅館を経営していた夫婦が亡くなり、現在はその息子と娘が居住しているが旅館の営業はしていない。責任者である兄がギャンブルにはまり、旅館を奪われそうになったが勝によって救われる。
麻雀みやこ
シュンがイカサマをして稼いでいた雀荘。イカサマがマスターにバレ、指を狩る男を呼ばれる羽目になってしまう。指を狩る男はまずここの若い男性店員の指を3本切り落とし、次にシュンの指を切ろうとしたところで、財布を取り戻そうと店まで追って来た勝と麻雀を打つことになった。
楽薗
一見普通の茶屋町に2のつく日にのみ立つ、特別な賭場。吉川を中心に、特等席で人の破滅を見るために集った吉川の取り巻きが2人、場に座って客を待っている。イカサマなどはないヒラ場だが、点10万円、トビ罰符が1000万円の高レートで麻雀が行われる。