江戸時代で幕を開ける、新たなる『GANTZ』
原作となる『GANTZ』は、集英社「ヤングジャンプ」にて2000年31号から2013年29号まで連載。コミックス全37巻の長編作品で、連載のあいだにアニメ化やゲーム化、映画化といったメディアミックスが多数行われる大ヒット作となった。本作『GANTZ:E』は江戸時代の日本を舞台にしているが、死を経て「牙武偸(がんつ)」と呼ばれる球体に招かれ、提供される武器を使って異形の存在と戦うなど、『GANTZ』の設定や展開、世界観を継承したものとなっている。原作とは異なり花月仁が作画を担当しているが、原作同様に臨場感あふれる戦闘が描かれている。
「牙武偸(がんつ)」に集められた人物たちの、戦いと日常
本作『GANTZ:E』は、江戸時代を舞台にしているため、原作の玄野計や加藤勝などの現代人は登場せず、半兵衛や政吉といった、江戸に生きる人々の戦いや生活を送る姿が描かれる。敵に関しても意匠を凝らしており、宮本武蔵や佐々木小次郎、吉岡伝七郎、吉岡清十郎といった、半兵衛たちにとっても過去の偉人となった剣士たちを模した異形の存在が現れる。また、意思を持った仁王像や十二神将の像、東大寺盧舎那（るしゃな）仏像が、原作における異星人や巨人のごとく参加者たちに襲い掛かり、まさに江戸時代における『GANTZ』というべき、人間と化け物の戦いが展開される。
時代を超えても健在する、SFゲーム要素
半兵衛や政吉を召喚したと思（おぼ）しき黒き球体である「牙武偸(がんつ)」は、原作で計や勝たちを導いた「ガンツ」とほぼ同じ形状で、中には人間らしい存在や、Xガンやガンツスーツ、ガンツソードを提供したり、戦いから逃げ出そうとする人間を殺害するなど、いくつかの共通点がある。また、化け物と戦う人間たちを採点する機能を有しており、その結果次第で参加者は自由の身になれるなど、戦いのルールそのものも原作を踏襲している。この事実は、西暦2000年以前に「ガンツ」にまつわる戦いが発生していたことの証左となっている。一方で、ゲームの開始を告げる前に民謡「佐渡おけさ」を歌って聞かせるなど、独自の機能も持つ。
登場人物・キャラクター
半兵衛 (はんべえ)
百姓の少年。年齢は17歳。黒髪ショートヘアで、長身の偉丈夫。同じ村に住む幼なじみのお春に求婚するが、彼女が隣村に住む政吉に思いを寄せていると知り、政吉に相撲勝負を挑んだ。その際、増水した川で流される少女に遭遇し、政吉と共に彼女を助けたものの、激流に流されて意識を失ってしまう。その後蘇生（そせい）され、「牙武偸」と呼ばれる大きな黒い球体によって見知らぬ古寺に召喚された。その場で、涙目で戦闘準備をうながす男装の少女、お咲の言葉に従い、誰よりも早く身体能力を増幅させるスーツを身につけた。もともと怪力だったこともあり、カラス頭の敵兵の体を鎧（よろい）ごと潰すことができる。戦闘センスも優れており、政吉と連携した攻撃は凄（すさ）まじい威力を誇る。
政吉 (まさきち)
半兵衛の隣村に住んでいる百姓の少年。長い黒髪をポニーテールにしている。百姓でありながら刀を差しており、竹林で剣術の練習に励んでいる。半兵衛よりも長身で、戦闘センスにも優れている。半兵衛に相撲勝負を挑まれて応戦している中、増水した川で流される少女に遭遇し、半兵衛と共に彼女を助けたものの、政吉自身は激流に流されて意識を失ってしまう。その後に蘇生され、大きな黒い球体によって見知らぬ古寺に召喚された。強者を前にして物おじすることなく、立ち向かう度胸を持っている。
クレジット
- 原作
ベース
GANTZ (がんつ)
奥浩哉の代表作の一つ。現代の日本を舞台に、謎の黒色の球体ガンツに呼び出され、謎の「星人」を撃破するというミッションを強制的に課された人々の存亡をかけた戦いを描く、SFアクション漫画。集英社「週刊ヤング... 関連ページ：GANTZ
関連
GANTZ:G (がんつ じー)
奥浩哉の代表作『GANZ』と設定を共有する作品。事故などで死亡したと思われた人々が集められ、「星人」と呼ばれる異形の怪物と死闘を繰り広げるデスゲームを描いている。集英社「ミラクルジャンプ」2015年1... 関連ページ：GANTZ:G
書誌情報
GANTZ:E 6巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉
第1巻
(2020-08-19発行、 978-4088916781)
第2巻
(2021-04-19発行、 978-4088918600)
第3巻
(2021-12-17発行、 978-4088921600)
第4巻
(2022-07-19発行、 978-4088923710)
第5巻
(2023-03-17発行、 978-4088926315)
第6巻
(2023-11-17発行、 978-4088930558)
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