JINGI 仁義

JINGI 仁義

直情型の神林仁と、参謀タイプの八崎義郎の2人を主人公として、彼らがヤクザの世界でのしあがっていく様が描かれている。仁たちが関東一円会を牛耳るところで物語は集結し、その後は続編『仁義S』『仁義 零』などの続編で新たなキャラを迎えて展開していった。立原あゆみによる『本気!』と比べ、掲載誌が青年誌となったため過激な犯罪手法やセックス情景が描かれるようになった

正式名称
JINGI 仁義
ふりがな
じんぎ
作者
ジャンル
マフィア・ギャング・ヤクザ
レーベル
ヤングチャンピオン・コミックス(秋田書店)
巻数
全33巻完結
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概要・あらすじ

砂組の鉄砲玉神林仁は、元テロリストの八崎義郎を誤射したことをきっかけに行動を共にするようになる。そして2人でヤクザの世界で成り上がっていくことを決意する。金や女、義理、人情、策略とあらゆる手段を使い、義郎は、広域組織の砂組、墨田川会、そして関東一円会の中でのし上がっていく。

そして関東一円会の会長に2人のシンパをつけ、国家予算に匹敵する金を貯えたところで物語は一時幕を閉じる。

登場人物・キャラクター

神林 仁 (かんばやし ひとし)

『JINGI 仁義』の主人公の1人。墨田川会系砂組所属の暴力団構成員。鉄砲玉にされた時に間違って八崎義郎を襲ってしまい、その件が縁になって一緒に行動するようになる。行動派で情に厚く、男気を発して身内を守るタイプ。砂組組長代行、そして関東一円会理事、副理事長へと、出世していく。

八崎 義郎 (やざき よしろう)

『JINGI 仁義』の主人公の1人。墨田川会系砂組所属の暴力団構成員。神林仁の相棒として、金策や陰謀を張り巡らせる頭脳派。元々は学生左翼過激派テロリストで、昨日の牙という名で知られていた。複雑な思想が蠢く反体制運動を見切り、単純明快にヤクザの世界で男を売る仁に惚れこむ。

愛子 (あいこ)

神林仁にとって最初の女房になった16歳の女の子。チンピラ時代に仁が上野でナンパした家出娘。一時期は、風俗で働かされたこともある。仁との間に神林礼一をもうけるが、出産のときに死去する。

黒川 忍 (くろかわ しのぶ)

墨田川会の2代目会長。初代会長だった父親の跡を継いだが、己の力量不足と神林仁の策謀により失脚する。後に黒川組として復帰するが、墨田川会の再編によって、トップに戻れないことを根に持ち、砂川明治を謀殺。引退していた元砂組構成員・畑佐に斬られ、死亡する。

伊藤 小百合 (いとう さゆり)

神林通商の事務員。ぽっちゃり系の女性で、口が堅く、察しも良い。八崎義郎の出してくる指示が犯罪行為と理解しながらも、淡々と事務をこなす。また周囲への気遣いができる有能な女性である。のちにサガン企画の室長を務めることになる。

井上 米助 (いのうえ よねすけ)

神林仁と共に多古の下につけられていた砂組のチンピラ。仁の出世と共に引き抜かれ、神林通商で働くようになる。後に仁が流水組長を殺した罪を負い、刑務所に入る。

神林 礼一 (かんばやし れいいち)

神林仁の一人息子。幼い頃から活発で、人見知りをしない性格。しかし母親の愛子に世話をした由紀子、金原と、礼一に関わった人間が次々と死去したため、駄菓子屋のばあちゃんに預けられることに。物語終了時には中学1年生に成長していた。

野村 (のむら)

証券会社の社員。妻・野村美津子が神林仁と浮気したをきっかけに八崎義郎と知り合い、神林通商にインサイダー情報を流すようになる。後にサガン企画の社長に就任。100億を超える仕手戦を義郎と共に繰り広げる。

関本 祐子 (せきもと ゆうこ)

八崎義郎がテロリストをしていた頃の女。義郎に誘われてテロ集団のメンバーとなった。義郎の持つ爆弾製作技術を身に着け、海外に行く予定だった。

砂川 明治 (すながわ あきはる)

砂組の組長を務める老爺。初代黒川組組長の兄弟分で、砂組を興した。昔から表には出ない黒子に徹した人物で、関東一円にある多くの組長を育ててきたため、墨田川会の中でも一目置かれている。復権を狙った黒川忍によって殺される。

岩見 紀一 (いわみ きいち)

旧財閥の家柄の人物にして、岩見組の組長。関東一円会の理事長も務める。会長・浅見徳二の跡を狙うが失敗、会を割り岩見会を立ち上げる。八崎義郎の謀略により、小笠原竜二によって射殺される。

溝尻 (みぞじり)

殺し屋。南部14年式拳銃を使う。八崎義郎によって爆弾と一緒に船に乗せられ、沖合で爆死する。以降、彼の持っていた銃は義郎の愛銃となる。

山村 (やまむら)

大利根警察署の老刑事。元公安の所属。三途兄弟が爆殺された事件から、公安時代に捕まえられなかった「昨日の牙」の匂いをかぎ取り、八崎義郎を追う。証拠が無いこと、退職が近いこと、そして娘の麻子が三途の弟に襲われた時義郎に助けられたこともあり、逮捕せずに終わった。

相同 一正 (あいどう かずまさ)

砂組の幹部。後に相同組を立ち上げ、組長になる。新宿流会にそそのかされ、神林仁たちを追い落とそうとするが失敗。シノギの麻薬取引を警察にリークされて逮捕される。出所後、再び神林仁たちを狙うが殺人の罪を着せられ再び刑務所送りになる。

幸田 純子 (こうだ じゅんこ)

クラブ「銀猫」のママ。元々は黒川組2代目組長・黒田忍の愛人。後に八崎義郎の愛人となる。小笠原組の藤原光によって殺される。

金原 実 (きんばら みのる)

高校を中退し砂組に入ったチンピラ。神林礼一のお守りに回されるが、家事も子育ても器用にこなしていた。かつて同じ高校に通い、流水会に入った多和田の凶刃から神林仁を守り、死亡する。

芝原 綾乃 (しばはら あやの)

金原実や多和田たちが通っていた高校の教師。一時期神林仁と愛人関係になる。金原の死をきっかけに仁と別れ、田舎の教師になる。

駄菓子屋のばあちゃん (だがしやのばあちゃん)

駄菓子屋を経営する老婆。神林仁の小さなシマに店を構えていたことから知り合いになり、息子神林礼一を預かるようになる。若い頃は仁の親にあたる砂川明治の女だったという。

小笠原 竜二 (おがさわら りゅうじ)

砂組のパンチパーマの構成員。空手と合気道を修得しているため、ガードの役に就くことが多い。岩見紀一の謀殺にも関与する。後に砂組の理事に昇進する。

農協 (のうきょう)

砂組の構成員。元は農協の貸付係をしていたが、組合長の使い込みの罪を負い姿を消した。場外馬券売り場で神林仁と出会ったのがきっかけで、砂組に匿われることに。身辺調査を得意とする。

横山 理樹 (よこやま りき)

高山組若頭。任侠に厚く義理堅い性格。怒涛会に親の高山会長を殺され、関東一円会を脱会。破門を受けながらも、怒涛会会長・榎木田悟、実行犯の鳩山五郎を討つ。その義侠心あふれる行動に、多くのヤクザが憧れた。仇を討ったのちに、一円会に復帰する。

藤原 光 (ふじわら ひかる)

小笠原盛也の参謀。糸丸証券の社長を抱き込んでサガン企画に仕手戦を仕掛けるが、海外市場を使った戦略の前に敗退。八崎義郎の女房幸田純子を殺して逃亡する。後に小笠原盛也の跡を決める会議に酒井元会長を伴って乗り込むが、義郎に撃たれ、死亡する。

岩見 美里 (いわみ みさと)

岩見紀一の娘。プライドが高く淫乱、多くの男性遍歴を持つ。一時期八崎義郎の女となるが、井口の子供・由里を孕み、強制的に所帯を持たされてしまう。後に井口と由里を捨てて失踪、西の組織・極地天道会の副会長の女になる。

酒井 渉 (さかい のぼる)

酒井組の組長。一円会理事長を長年にわたって務めるが、脳溢血で倒れる。引退したくない一心で隠遁。裏でリハビリに励み、回復後に次期理事長を決める会議に乗り込む。しかしすでに時遅く、すべての理事に見捨てられてしまう。

小山 (こやま)

浅草東警察署の刑事。最初は神林仁たちを敵視する。.しかし、八崎義郎に丸め込まれる。金銭の見返りに、情報を流したり、仁たちに都合のいい捜査をするようになる。

名久井 身命 (なくい しんめい)

森の石会の会長。関東一円会の理事でもある。横山理樹に共感し、神林仁の味方をしていた。しかし、小笠原盛也との対決する前に仁たちを潰そうと、サガン企画に仕手戦を挑み敗北。海外に逃亡しようとするが、森の石会の組員に裏切り者として処刑される。

小笠原 盛也 (おがさわら もりや)

浅見組の若頭。後に組長に就任し、最後には関東一円会会長の座にまで上り詰める。神林仁たちを危険視し、3人組のヒットマンを送り込むなど数々の仕掛けをする。森の石会左派に撃たれ死亡。その死を隠すために、遺体はクジラ肉と一緒に冷凍室に入れられた。

柳澤 恒成 (やなぎさわ つねなり)

森の石会の構成員。名久井身命亡き後の騒乱を修め、森の石会を継いだ。神林仁や横山理樹らの支援を受けて関東一円会会長の座に就く。

集団・組織

墨田川会 (すみだがわかい)

『JINGI 仁義』の暴力団組織。東京都墨田区・隅田川周辺を縄張りとし、下部に神林仁が所属する砂組をはじめ、別当組、古沢組、流水会などがある。2代目会長の引退とともに、合議制へと移行。さらに神林仁が会長となった時に砂組がトップとなる形で参加団体が一本化された。

神林通商 (かんばやしつうしょう)

『JINGI 仁義』の組織。八崎義郎が興した会社。シマをほとんど持たない神林仁のシノギとして、彼を社長として作り上げた。主な仕事は金融や商品流通。しかしそのやり口はインサイダー取引や密輸などの犯罪そのもの。事務のほとんどは伊藤小百合に任せている。

サガン企画 (さがんきかく)

『JINGI 仁義』の組織。八崎義郎が興した会社。証券会社を辞めた野村を社長、伊藤小百合を室長に、さらに多くの社員を雇用する。義郎がプログラムした相場予測ソフト・ギロウを使って、株式売買を行っている。会社名は小説家のフランソワーズ・サガンからつけられている。

関東一円会 (かんとういちえんかい)

『JINGI 仁義』の組織。関東に存在する暴力団組織が参画する広域組織。会長をトップに、副理事、理事によって構成される。

God Grove (ごっどぐろーぶ)

『JINGI 仁義』の組織。海外の仕手集団。イギリスの金融街シティ・オブ・ロンドンで活動をしている。その実態は八崎義郎が作らせた神林通商の海外版。

続編

仁義S (じんぎたち)

立原あゆみの代表作『JINGI 仁義』の続編。現代の東京を舞台に、極道組織のチンピラ、猿山アキラと、紆余(うよ)曲折を経て医者の座を追われた大内が、コンビを組んで極道の世界でのし上がっていく姿を描いた... 関連ページ:仁義S

書誌情報

JINGI 仁義 全33巻 秋田書店〈ヤングチャンピオン・コミックス〉

第1巻

(1988-12-19発行、 978-4253142717)

第33巻

(2002-09-12発行、 978-4253145879)

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