JOKER

JOKER

私立新英知学館に通う女子高校生・中園江梨衣が、文化祭でのライブをきっかけに、早乙女藤馬や市堂尊らと共にロックバンド「JOKER」を結成し、音楽への道を歩んでいく。歌う事の楽しさや仲間との信頼関係をベースに、恋と友情の相違点を描く物語。

正式名称
JOKER
ふりがな
じょーかー
作者
ジャンル
バンド
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あらすじ

JOKER結成とファーストライブ(第1巻)

中園江梨衣は、実家の銭湯「松の湯」の番台で、人間ジュークボックスとして演歌を歌い続けていた。演歌以外は歌わないがその歌唱力は高く、銭湯の看板娘として大人気となっていた。そんな江梨衣が通う私立新英知学館は文化祭を控えていた。江梨衣は文化祭実行委員として過去の文化祭では見る事ができなかったような、斬新でどでかい企画をクラスでやりたいと提案。するとクラスメイトの市堂尊が、「屋外喫茶」と称したライブ喫茶をやるのはどうかと提案する。提案者の市堂、ベース経験が少しあるという早乙女藤馬、そして市堂と同じくロックバンド「BLOODY ROUGE」のメンバーで、彼と恋人という噂のあるボーカルの浦川街子、さらには江梨衣の兄で和太鼓演奏の経験がある中園比呂衣がドラムを担当して、バンドが結成される事となった。

しかし学園祭当日、ライブの時間になってもボーカルの街子が現れない。企画を潰すまいと、急遽江梨衣がボーカルを務める事となった。江梨衣はカンペを見ながらJ-POPを一生懸命に歌い、ゲリラ的に行われたライブは大きな盛り上がりを見せた。そんな中、バンド名を聞かれた江梨衣は、とっさに「おふざけ者」の意味で「JOKER」と命名する。

JOKERセカンドライブとキーボード加入(第1巻)

ロックバンド「JOKER」は学内で脚光を浴びたものの、中園江梨衣早乙女藤馬市堂尊は、風紀を乱す出し物をした事により、校長から「廊下で正座」という罰を与えられてしまう。一方で生徒たちは「JOKER」のセカンドライブを熱望し、江梨衣はこれに応えようと、早乙女や市堂、中園比呂衣と共に「JOKER」を正式に結成し、セカンドライブの舞台として地元の夏祭りへの参加を決める。そんな中、市堂は表現できる音の幅を増やすためにキーボードが必要だと提案。江梨衣は、となりのクラスの桜井春夜を誘いにいくが、ロックを全否定する桜井に参加をきっぱりと断られてしまう。

そんな中、ロックバンド「BLOODY ROUGE」のメジャーデビューが決まり、浦川街子私立新英知学館を自主退学してしまう。メジャー行きに反対していたうえ、最後の話し合いにも呼ばれなかった市堂は仲間たちの裏切りに衝撃を受けるが、「JOKER」こそが今の自分の居場所だと思いを新たにする。

そして迎えた「JOKER」のセカンドライブ当日、江梨衣は法被を着て登場。会場を大いに盛り上げ、ライブは大成功をおさめる。そして会場にいた桜井は、歌の楽しさを届けようとがんばった江梨衣の思いに心を動かされ、キーボード担当として「JOKER」への加入を決めるのだった。

オリジナル曲完成(第2巻)

キーボードの桜井春夜が加入したロックバンド「JOKER」の次のステップは、鹿島楽器が主催するコンテスト「R・W・F」への出場。そのためにはオリジナル曲が必要で、作曲を市堂尊、作詞を中園江梨衣が担当する事になった。宮島物産の倉庫で練習を重ねた「JOKER」は、ついにオリジナルのハートフルな曲を仕上げ、「R・W・F」に臨む。そこでロックバンド「BLOODY ROUGE」の迫力のライブを目にした中園江梨衣は自信を失うが、桜井春夜はそんな江梨衣を元気づけ、さらには告白までするのだった。恋愛など考えた事もなかった江梨衣は、そんな彼の思いを断ってしまう。それからしばらくして、江梨衣のもとに「R・W・F」の一次予選を通過した報せが入る。江梨衣はこの事を真っ先に市堂に知らせようとするが、そこで自分が市堂に思いを寄せている事に気づくのだった。

R・W・F本選へ(第2巻)

コンテスト「R・W・F」の一次予選を通過したロックバンド「JOKER」は、二次予選に向けて練習を続けていた。しかし、中園江梨衣市堂尊に思いを寄せている事を知った桜井春夜は、バンドメンバーたちに八つ当たりし、練習にも参加しなくなっていた。だが、そんな桜井の心情を知る早乙女藤馬は、自分も桜井と同様すでに江梨衣にふられている事を告げたうえで、頭を下げて協力を要請する。そして迎えた二次予選当日、早乙女の言葉を受けて桜井は会場入りしていた。「JOKER」はフルメンバーで参加する事となり、無事に本選出場を決めるのだった。

その頃、会場では「R・W・F」を主催する鹿島楽器が「JOKER」のキャラクター性を気に入り、入賞させようと検討を始めていた。もともとこのコンテストは出来レースであり、本来はロックバンド「BLOODY ROUGE」が優勝してメジャーデビューをするというシナリオが組まれていたが、「JOKER」と共にダブルでグランプリを受賞させようと方針転換し動き始めていたのである。この事実を知り、「BLOODY ROUGE」のカズヤは激怒。情報を伝えられた市堂や中園比呂衣は、鹿島楽器の目論み通りに本選へ進んでいいものかと迷い始める。

登場人物・キャラクター

中園 江梨衣 (なかぞの えりい)

私立新英知学館高等部、2-Bに在籍する女子。セミロングの赤い髪をしており、愛称は「エリー」。実家の銭湯「松の湯」の番台で人間ジュークボックスとして演歌を歌い、銭湯に来る客を喜ばせていた。学校祭でのライブでは、浦川街子の不在により急遽バンドのボーカルを務めて学校中を沸かせ、これをきっかけにロックバンド「JOKER」を結成した。 以降、ロック歌手への道を進んでいく。恋愛に対して鈍いところがあり、早乙女藤馬や桜井春夜からの恋心には一切気づかなかった。しかし、音楽活動をしていくにつれ、自分が市堂尊に対して恋をしている事に次第に気づき始める。

早乙女 藤馬 (さおとめ とうま)

私立新英知学館高等部、2-Bに在籍する男子。金髪で、緑の目をしている。ロックバンド「JOKER」のベースを担当しており、ムードメーカー的存在でもある。旧姓は「桂木」で、親の離婚をきっかけに3年前に中園江梨衣が通う中学校に転校し、以降は江梨衣と親しい友人関係を築いている。前の学校では喧嘩ばかりしていたが、高校生だとウソをついて鹿島楽器でアルバイトを始め、そこで出会った孝也に誘われてベースを始めた。 しかし、孝也が早乙女藤馬をかばって腕を怪我して以降は音楽活動を辞めていた。そして転校をきっかけに、しゃべり方や服装も変え、まったくの別人を演じていた。江梨衣に対して密かに恋心を抱いていたが、江梨衣が市堂尊に惹かれている事を知ってからは諦め、親友として江梨衣を陰ながら支えようとしている。 音楽活動を再開してからは、家に迷惑をかけないよう、新聞配達をしながらこっそり鹿島楽器でのアルバイトを再開した。この時に「R・W・F」という大会が行われる事を知る。

市堂 尊 (いちどう たける)

私立新英知学館高等部、2-Bに在籍する男子。茶色の髪に褐色の肌で、眼鏡をかけている。ロックバンド「BLOODY ROUGE」でギターを担当していたが、バンドがメジャーデビューする事に関し、メンバー内で一人だけ反対していた。最終的に「BLOODY ROUGE」のメジャー行きが決定したあとは、脱退し新たにロックバンド「JOKER」のメンバーとして活動する事を決める。 オリジナル曲の作曲も担当し、中園江梨衣に対し、音楽に関する的確な助言をしていく。浦川街子と付き合っていると噂されていたが、江梨衣が密かに想いを寄せる相手である事から、桜井春夜に恋のライバルとして敵視される事になる。

桜井 春夜 (さくらい はるや)

私立新英知学館高等部、2-Aに在籍する男子。ベージュの髪に青いタレ目が特徴。医者の息子で成績は優秀。幼い頃からピアノコンクールで優勝し続ける事に執着していたが、一度優勝を逃した際、父親から音楽を否定されてからはピアノを辞め、ロックも否定していた。しかし、中園江梨衣によって音楽の楽しさを思い出してからは、前向きな姿勢を取り戻す。 その後、ロックバンド「JOKER」にキーボード担当として加入するが、市堂尊が江梨衣を巡る恋のライバルだとわかると、あからさまに敵視するようになる。ちなみに、宮島清華とは中学時代にクラスメイトだったが、彼女の事はまったく覚えていない。

中園 比呂衣 (なかぞの ひろい)

中園江梨衣の兄。私立新英知学館の卒業生で、現在は大学生。愛称は「ヒロ兄」。赤く長い髪を後ろで結んでいる。普段は和太鼓の練習をしていて、町内会の祭りがある時には太鼓を叩いている。江梨衣に文化祭でドラムを叩いてほしいと頼まれ、高校生のふりをしてライブに参加。その後、ロックバンド「JOKER」に正式に加入し、本格的なドラムの練習を始める。

宮島 清華 (みやじま さやか)

私立新英知学館高等部、2-Bに在籍する女子。紫のセミロングの髪型をしており、つり目が特徴的。宮島物産の社長の娘であり、学校では新聞部で部長を務めている。文化祭ではロックバンド「JOKER」の活躍を学内新聞で大々的に取り上げた。その後もキーボード担当として桜井春夜を推薦したり、練習場所を提供したりと精力的に「JOKER」を支えており、中園江梨衣にも頼られている。

浦川 街子 (うらかわ まちこ)

私立新英知学館高等部、2-Bに在籍する女子。セミロングの髪型で、両耳にピアスをしている。ロックバンド「BLOODY ROUGE」のボーカルを担当しており人気も高い。同じくメンバーでギター担当の市堂尊と付き合っていると噂がある。バンドのメジャーデビューをきっかけに、音楽の道に専念するため学校を退学。この時、一度はメジャーデビューに反対していた市堂を説得するが、その後は彼の事は引きずる事なく自分の道を進んでいく。

中園 万梨衣 (なかぞの まりい)

中園江梨衣の幼い妹で、髪を両サイドで結んでいる。愛称は「マリー」。早乙女藤馬の事が大好きで、彼が銭湯「松の湯」にやって来ると、必ずといっていいほど抱きついている。中園比呂衣と江梨衣が所属するロックバンド「JOKER」のファンで、ライブには必ず友達といっしょに応援に行っている。

カズヤ

ロックバンド「BLOODY ROUGE」で、ベースを担当する青年。長身で、長くウェーブがかっている髪を後ろで束ね、オネエ口調でしゃべる。もともと、「BLOODY ROUGE」のメジャー行きに反対する市堂尊と意見を衝突させていたが、最終的には市堂を外してメジャーデビューする事を決めた。

宮島清華の母 (みやじまさやかのはは)

宮島清華の母親で、宮島物産の社長を務めている。年配の女性ながら、ショートカットの髪型で若々しい外見をしている。ロックバンド「JOKER」に対し、コンテスト「R・W・F」でグランプリを取る事を条件に、会社の使用していない仮倉庫を、練習のために無期限無料で貸し出した。

孝也 (たかや)

中学時代に早乙女藤馬が組んでいたバンドのメンバーの男性。鹿島楽器でアルバイトをしていた時、喧嘩に明け暮れていた2歳年下の早乙女をバンドに誘い、彼に音楽の楽しさを教えた人物。早乙女に恨みを持つ生徒が仕返しに来た時、早乙女をかばって右腕を負傷し、ギターのピックを持つ事ができなくなってしまった過去がある。

集団・組織

JOKER (じょーかー)

中園江梨衣がボーカルを務めるロックバンド。ほかにギター担当の市堂尊、ベース担当の早乙女藤馬、キーボード担当の桜井春夜、ドラム担当の中園比呂衣が所属している。私立新英知学館の文化祭で結成されたバンドで、名前には「おふざけ者」という意味が込められている。

BLOODY ROUGE (ぶらっでぃるーじゅ)

浦川街子がボーカルを務める人気のロックバンド。ほかにギター担当の市堂尊、ベース担当のカズヤ、さらにドラム担当のメンバーが一人所属している。「BLOODY ROUGE」がメジャーデビューするにあたり、方針の違いから市堂が脱退する事となった。

場所

松の湯 (まつのゆ)

中園江梨衣の実家が営む銭湯。老若男女問わず色々な客が来る場所で、江梨衣は番台をしながら人間ジュークボックスとしてリクエストされた演歌を歌い、客を喜ばせている。

私立新英知学館

中園江梨衣や早乙女藤馬が在籍する学校。中等部、高等部と別れており、江梨衣たちは高等部に在籍している。文化祭では文化的な展示を推奨しているため、バンドなどの風紀を乱しかねない催し物には反対する傾向にある。

宮島物産 (みやじまぶっさん)

宮島清華の母が経営する会社。もともと、宮島清華が会社の使われていない仮倉庫の合鍵を無断で作り、ロックバンド「JOKER」の練習場所としてこっそりと提供していた。のちに社員にそれが見つかり、メンバーは追い出される事となった。その後、「JOKER」のメンバーは改めて宮島清華の母に交渉し、R・W・Fでグランプリを取る事を条件に練習場所として仮倉庫を借りられる事となった。

鹿島楽器 (かしまがっき)

大手国内楽器メーカーであり、コンテスト「R・W・F」を主催する会社。早乙女藤馬や孝也がかつてこの会社でアルバイトしていた事がある。今まではピアノをメインに販売していたが、最近は初心者向けに新型のベースやギターを売り出す計画が進んでいる。そのイメージキャラクターとして、コンテスト「R・W・F」の二次予選を通過したロックバンド「JOKER」に注目をする。

イベント・出来事

R・W・F (ろっくうぇーぶふぇすてぃばる)

鹿島楽器本社が主催するアマチュアバンドのコンテスト。毎年夏に開催されていて、ロックバンド「JOKER」や「BLOODY ROUGE」も出場した。一次審査の書類とデモテープ、二次審査のライブ審査を通過すると、本選出場となる。優勝すれば、賞金100万円獲得とプロデビューへの道が約束される。実際は出来レースであり、BLOODY ROUGEがグランプリをとってメジャーデビューを果たすというシナリオが組まれていたが、JOKERの登場により事態が変化していく。

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