概要・あらすじ
自由に憧れる16歳の深窓の令嬢・野崎杏は、兄の野崎成人からの過剰な干渉にうんざりし、ついに家を飛び出してしまう。晴れて自由の身となった杏は、とあるペットショップに下宿して動物のなんでも屋を開業するが、その家の子である氷室美男からアプローチを受けるようになる。世間知らずの身の上ゆえに、杏の過剰なまでに積極的な振る舞いが、美男を引かせることもあるが、2人は少しずつ愛を育んでいく。
登場人物・キャラクター
野崎 杏 (のざき あん)
野崎財閥のただ1人の後継者である16歳の令嬢。両親は1年前に事故で亡くなっている。学校に通うにもロールスロイスのリムジンで送迎されるというレベルの生活をしていたため、一般常識を大きく欠いている。動物好きで、家を出てからは動物のなんでも屋をして暮らしている。氷室美男のアプローチに対し少しずつ心を開いていき、のちに美男のいる高校に転入する。
氷室 美男 (ひむろ みお)
ペットショップ店の息子で、男子高校生。当初はインチキの動物霊媒師の真似事などをして小遣いを稼いでいた。家に下宿している野崎杏が大金持ちだという事実を知らないまま恋愛感情を抱き、アプローチをかけるようになる。故人である母親が身分違いの恋をして苦労したという事実から、貧乏であることがコンプレックスとなっており、のちに杏の素性を知って大きなショックを受ける。
野崎 成人 (のざき なると)
野崎杏の兄。世間には野崎財閥の後継者と認知されているが、実は杏とは血が繋がっておらず、杏の後見人として野崎家に迎えられ育成された養子。そのため、野崎財閥の財産の継承権は持っていないが、それらの事実はごく限られた関係者以外誰も知らない。本名は「高瀬成人」。血の繋がりはないとはいえ、杏のことを兄として深く愛している。 おば様に送り込まれた殺し屋から杏をかばって死亡するが、以降は亡霊となって猫の成人に乗り移り、杏を見守っている。
成人 (なると)
溺れていたところを野崎杏に助けられ、その後飼われるようになった仔猫。どことなく死んだ兄の野崎成人に似ているということから、杏が「成人」と名付けた。実は溺れた時に猫自身の魂は失われており、代わりに本物の成人の亡霊がその身に宿っているが、その事実は誰も知らない。「兄」として密かに杏を見守り続けている。
おば様 (おばさま)
野崎杏のただ1人の血縁者である中年女性。杏が死亡した場合、血縁から野崎財閥の後継者になれる可能性があるため、その資産を狙って殺し屋を雇い杏の抹殺を図る悪辣な人物。さらに任務に失敗した殺し屋を密かに始末するなど冷酷で、目的のためであればまったく手段を選ぶことがない。
東矢 美帆 (とうや みほ)
野崎杏と氷室美男のクラスメイトの女子高校生。性的に極めて奔放な思想の持ち主で、世間知らずの杏に対し、美男との関係を応援する意味と、からかい半分でさまざまな性知識を教え込む。なお、出で立ちこそ不良少女のようなファッションだが、本人が非行行為をしている様子はない。
高須 ちずる (たかす ちずる)
野崎杏と氷室美男のクラスメイトの女子高校生。美男に想いを寄せ、積極的にアピールを繰り返している。杏の美男への気持ちにも気づいており、はっきりと敵視している。一時期、杏との身分違いの恋を諦めようと考えた美男と付き合ったこともあった。
ジュリアナ
13歳のハーフの少女。三菱財閥総帥の父親と、「マハラジャ」という名の母親との間に生まれた。野崎杏とは数年来の友人で、杏によれば可愛らしいから男子にもてるというが、ジュリアナ自身は同性愛者であり、杏に対してしか興味がない。そのため杏に対して求愛を繰り返しているが、杏からは友人以上には見られていない。
集団・組織
動物のなんでも屋 (どうぶつのなんでもや)
野崎杏が営んでいる、文字通り動物に関するありとあらゆることを引き受けるなんでも屋。実態としては、ペット絡みの家庭問題、恋愛問題などに関わることが多い。実は人間の魂を持つ猫の成人が密かに陰からさまざまな助力をしており、活動が成立しているのはそのおかげであるが、杏自身はその事実を知らずにいる。