概要・あらすじ
生まれる前後の記憶を持つ木岬蒼は、7歳になった頃、自分が生命を創造する力を持っていることに気がつく。蒼が念じると、一瞬だが粘土で作った人形が動き出すのだ。以来、蒼はいろいろな材料で実験を繰り返す。キャベツは人型に変形し2~3分は動くが、その他ほとんどのものは反応がない。この力を動物や人間に使ったらどうなるのだろう。蒼はそんな疑問をいだいていた。ある日、蒼の父親の同級生、井岡隆が訪ねてきた。落ちぶれ追い詰められていた井岡は、借金を断られたことをきっかけに、蒼の両親と姉を殺してしまう。井岡が迫ってきたとき、蒼は「生命創造の力」を井岡に使う。すると井岡の体はクシャクシャに変形し、小さい人形のようになった。それを拾い上げた蒼は、冷静な様子で、警察に事件のことを連絡する。それから数年がたち、小学6年生になった蒼は転校先で、自分と同じ力を持った少女、音宮緋色と出会う。2年前、病気で母親を亡くした緋色は、生命を創る力で母親を創りたいと考えていた。そのために粘土を使って実験を繰り返すが、出来上がった人工生命体(ゴーレム)は、すぐに動きを止めてしまう。蒼によると、ゴーレムには定着しやすい素材とそうでないものがあるらしい。ある日のこと。緋色はあるつまらない出来事がきっかけとなり、クラスでいじめにあうようになった。緋色へのいじめがエスカレートする中、蒼はクラスメートの浅木夏美と公園で話をする。そしていじめの首謀者が浅木であることを突き止めた。その翌日から浅木は行方不明になり、緋色へのいじめもなくなった。緋色と二人きりになった蒼は、カバンから小さな人形を取り出し、人間の姿に復元した。それは浅木を素材にしたゴーレムであった。蒼のいう「定着しやすい素材」とは人間であった。「人間は愚かで弱くて欠陥だらけだ」という蒼は「人類を創り直し完璧な種族を創造しよう」と緋色を誘うのであった。
登場人物・キャラクター
木岬 蒼 (きみさき あお)
「生命を創造する力」を持つ小学6年生の少年。母親の胎内にいるときから意識があり、生まれた直後は、雑然として法則がわからない地獄に来てしまったと嘆く。将棋は大人顔向けの腕前だったが、5歳まで言葉を発することはなかった。7歳の時に、粘土人形に命を吹き込むことに成功し、自分が「生命を創造する力」を持っていることに気づく。しかし創造したものはすぐに動かなくなってしまうことから、いろいろな素材を使って人工生命体(ゴーレム)を創る実験をするようになった。ある日、両親と姉を殺害した井岡隆のゴーレム化に成功。ゴーレムに最適な素材が人間であることを知る。小学6年生になり転校した先で、自分と同じ能力を持つ音宮緋色と出会う。自分は特別な存在、造物主(ライフメーカー)だと考え、弱くて愚かな人類を創り直す野望を抱く。
音宮 緋色 (おとみや ひいろ)
「生命を創造する力」を持つ小学6年生の少女。小さい頃、自分が念じたことで死んだ金魚が数分間生き返ったことから、「生命を創造する力」があることを自認する。2年前、母親を病気で失う。父親には新恋人の水沢亜希ができるが、緋色は彼女のことが嫌いであった。母を生き返らせたいという思いから、粘土を使って人工生命体(ゴーレム)創造を繰り返すがうまくいかなかった。そんなおり、自分と同じ力を持つ転校生の木岬蒼と出会い、ゴーレムの素材には人間が最適であることを知る。「人類を創り直す」という蒼の野望を恐れる一方、「人間を一人犠牲にすれば、お母さんを創れるかもしれない」という彼の言葉に揺れ動く。
井岡 隆 (いおか たかし)
木岬蒼の父親の同級生の男性。40過ぎで短髪、ヤセ型。学生時代はサッカー部のレギュラーで人気者であったが、社会に出てから上手(うま)くいかず、仕事を3回も首になり無職になる。自分の境遇を受け入れられず、思いつめて精神に歪(ゆが)みを生じる。蒼の家を訪ね、借金を申し込むが断られる。妬みと自尊心を傷つけられたことから、蒼の両親と姉を殺害。蒼にも手をかけようとしたところ、人工生命体(ゴーレム)に変えられてしまう。
浅木 夏美 (あさき なつみ)
小学6年生の少女。木岬蒼、音宮緋色のクラスメート。帰宅してもいつも両親が喧嘩(けんか)しているため、学校が終わると、公園のブランコで時間を潰していた。転校生の蒼が公園に来てくれるようになり、蒼に好意を抱く。綺麗で賢く、自分が持っていないものをすべて持っている緋色への嫉妬から、彼女へのいじめを行う。緋色へのいじめを知った蒼により、人工生命体(ゴーレム)に変えられてしまう。
水沢 亜希 (みずさわ あき)
31歳の女性。メガネとロングヘアーが特徴。音宮緋色の父とは、大学の推理小説サークルの先輩後輩の仲。緋色の母親の他界後、いつの間にか緋色の父とつきあうようになったらしい。
書誌情報
LIFE MAKER 5巻 小学館〈ゲッサン少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2021-10-12発行、 978-4098507665)
第2巻
(2022-04-12発行、 978-4098510665)
第3巻
(2022-10-12発行、 978-4098512737)
第4巻
(2023-04-12発行、 978-4098520206)
第5巻
(2023-08-09発行、 978-4098527779)