MUJINA INTO THE DEEP

MUJINA INTO THE DEEP

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』に次ぐ、浅野いにおの連載作品。舞台は、現代日本の都市に似た架空の街「九十九」。人権(ライツ)カードによって、全国民の人権が管理されるなか、非人権者である「ムジナ」たちの戦いを描いたバトルアクションコミック。社会や人権、幸福の意味を問う、社会派の側面もある。小学館「ビッグコミックスペリオール」2023年7号より連載。

正式名称
MUJINA INTO THE DEEP
ふりがな
むじないんとぅざでぃーぷ
作者
ジャンル
殺し屋
 
バトル
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊3巻
関連商品
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管理社会からはみ出した、非人権者「ムジナ」

本作の舞台となるのは、全国民に人権(ライツ)カードを発行する法律「人権保護法」の制定から10年以上が経過した架空の日本。国民の人権は、人権管理センターによって管理されており、人権カードがないと、駅や病院他、ほとんどの施設の利用や電子マネーの使用ができず、まともな社会生活が送れないのが現状である。そんな中、人権を放棄した「ムジナ」と呼ばれる非人権者も存在する。ムジナは人権カードを持たないため、現金を使用するしかない。また、医者や住居なども、闇ルートで手配することになる。そんな彼らの多くは殺し屋を稼業としており、エージェントからの依頼を受け、金銭のためにどんな仕事も引き受けるのが通常である。なお、「人権保護法」には、高齢化対策としての側面もある。85歳以上の国民を人権を持たない「最高期高齢者」と定義し、全国に設置された「高齢者特区」に移住させる前準備の法令でもあるのだ。

ムジナ同士のルール無用のバトル

ムジナは非人権者だとバレると、通報され処分される可能性があるため、屋上のような人目につかない場所を活動拠点にしていることが多い。ビルや家屋を飛び回るムジナは、「グラウンドキーパー」というジャンピングシューズを履いている。危険なため民間の使用許可は下りなかったが、流出した試作機の改造品が出回っているのだ。また、任務の際は「CB(クリーンブースター)」という、五感を拡張する薬物を注入するのもムジナの特徴である。なお、ムジナの戦いにルールはなく、どんな武器を使用してもよい。主人公であるムジナのウブメは、耐刃武装の相手に備え、柄のスイッチで刃が帯電する日本刀を持っているし、凄腕(すごうで)のムジナ、ヒデまんの両腕は、ロケットパンチができる仕様になっていた。

ライバルと公的な敵組織

ひょんなことから出会った、ウブメと15歳の少女の大島ジュノ、ゲーム会社社長のテルミ・モーガンの三人は、テルミのマンションで同居することになる。売春組織に人権カードを奪われたジュノのために、テルミとウブメは、エージェントから人権カードを入手するが、その対価は8億円という巨額なものであった。そこで、ウブメがテルミのマンションを拠点にエージェントの依頼を受け、その報酬から天引きして返済に当てることになった。そんなウブメのライバルは、ムジナでありながら、若い子たちに人気のインフルエンサー、テンコである。殺しの現場でウブメと戦ったテンコは、ウブメのことをライバル視し、繰り返し挑発を行う。また、公的な機関では、ムジナの拘束や処分を行う「人権管理センター特殊公安局」がウブメたちの敵。特に「特級ムジナ」をリスト化し管理している特殊公安局9課は、エリート揃いの強敵である。

登場人物・キャラクター

ウブメ

30歳の女性。非人権者であるムジナで、毛先に派手なメッシュが入ったボブカットが特徴。ジャンピングシューズで空を翔(と)び、背負った日本刀でターゲットを倒す殺し屋。ある任務をしくじって傷を負い、ジュノを連れて闇医者を訪れた際にテルミと出会う。その後、ジュンとともに、テルミのマンションで同居するようになる。10代の記憶はないが、その頃、たぬきのぬいぐるみを着た男が、大勢の人間を惨殺した姿が頭に焼き付いており、その「たぬき男」を探している。

テルミ・モーガン

フランス系カナダ人の父と、日本人の母の間に生まれたハーフの中年男性。日本で生まれ育ったため、英語は話せない。6年前に大手ゲーム会社から独立して、小さな会社の社長になりゲーム開発を請け負う。離婚歴があり、元妻の連れ子だった息子とたまに面会している。生きがいを失っていたが、自宅に転がり込んできたウブメとジュノと同居しはじめてから、元気を取り戻した。

大島 ジュノ (おおしま じゅの)

ツインテールが特徴の15歳の少女。田舎でいじめにあい、胸に火傷を負っている。1年間引きこもった後、上京する。東京で稼いで火傷の跡を消し、ムジナに依頼して地元の奴らを皆殺しにするという目標を持っている。上京直後に売春組織に騙(だま)され、人権カードを奪われる。売春をさせられそうになっていたところをウブメに助けられ、テルミの家に住むことになる。

テンコ

金髪のロングヘアーが特徴の、ムジナの少女。非人権者ながら、若い子に人気のインフルエンサーで、「ルーフトップカルチャー」というムーブの代表として海外にまで名を知られている。動画サイトの武術や格闘技の動画で勉強し、独学で殺しを行う天才。また、ムジナが使用する、五感を拡張する「CB(クリーンブースター)」も使わない。ウブメと刃を交えて以来、ウブメのことを気に入り、挑発的な行動をとる。

書誌情報

MUJINA INTO THE DEEP 3巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2023-09-28発行、 978-4098625130)

第2巻

(2024-03-22発行、 978-4098627585)

第3巻

(2024-10-30発行、 978-4098631148)

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