NGライフ

NGライフ

星武高校に通う高校2年生の冴木敬大は、前世のシリクスの記憶を持つ。西暦79年のイタリアの都市、ポンペイで生きたシリクスには、親友のロレイウスや最愛の妻、セレナがいたが、現世でロレイウスは女性に、セレナは男性に転生を果たしていた。奇妙な縁で結ばれた三人の高校生が繰り広げるラブコメディ。「ザ花とゆめ」2006年2月1日号に掲載後、「花とゆめ」2006年8号から2009年7号にかけて掲載された作品。コミックス第7巻と第9巻には番外編エピソードも収録されており、第9巻収録の一部番外編エピソードは、コミックス刊行にあたり新たに描き下ろされたものとなっている。

正式名称
NGライフ
ふりがな
えぬじーらいふ
作者
ジャンル
ラブコメ
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あらすじ

第1巻

イタリアの都市、ポンペイでシリクスとして生きた前世の記憶を持つ、星武高校2年生の冴木敬大は、前世の記憶や想いにとらわれ、敬大として現世を生きているにもかかわらず、満たされない日々を送っていた。前世で親友だったロレイウスの生まれ変わりである芹沢美衣にだけは前世のことを話しており、彼女の存在が、敬大の唯一の癒しになっている。そんなある日、敬大は前世でシリクスの最愛の妻だったセレナが、隣の家に引っ越して来た。運命の再会と喜ぶ敬大だったが、セレナは前世の記憶を持たず、さらに男性、佑城裕真として転生していたのであった。しかも、裕真は美衣が気になっている様子。こうして敬大は裕真に、裕真は美衣に、そして美衣は敬大に惹かれるという、奇妙な三角関係が始まる。

第2巻

奇妙な三角関係となった冴木敬大芹沢美衣、そして佑城裕真の三人だったが、いっしょに温泉旅行に出掛けたり、風邪を引いてしまった美衣の看病をしたりと、お互いを意識しながらも仲よく過ごしていた。そんなある日、教育実習生として加賀巳凌が星武高校に短期赴任して来る。凌は敬大や美衣のクラスの担任を受け持つが、敬大は彼から妙な視線を感じる。実は、凌は敬大と同じように前世の記憶を持つ人間であった。敬大は同じ記憶を持つ人に初めて出会えて喜ぶが、凌からは裕真に近づくなと忠告されてしまう。

第3巻

ある日、花見をしていた冴木敬大芹沢美衣達の目の前に、まるで裕真と生き写しの榊原麗奈が忽然と姿を現わす。麗奈は前世の記憶や想いを大切にしている敬大に悪態をつくが、別れ際に「シリクス」の名前を口にし、そのまま行方をくらましてしまう。一方で美衣は、セレナに似たの女性が現れたので、動揺を隠せずにいた。さらには、美衣の敬大に対する想いが表面化したため裕真は焦り出し、球技大会で優勝したら美衣に告白すると、敬大に宣言する。

第4巻

謎を残したまま姿を消した榊原麗奈が、星武中学校に転校して来た。麗奈はやたらと冴木敬大に絡んでくるが、麗奈自身には前世の記憶はなく、彼女の近くに前世の記憶保持者がいることが発覚する。その日の帰り道、敬大は道端で倒れている麗奈の姉、榊原朱奈に出会う。一目見るなり、朱奈が前世で仕えていたアグライヤであると気づいた敬大は、再会の喜びを分かち合おうとするが、朱奈には前世の記憶がなかった。しかし厳密には、最初から前世の記憶がないのではなく、敬大に出会う2週間ほど前に、朱奈は前世の記憶を失ってしまったのだった。記憶の喪失という事態に動揺を隠せない敬大は、麗奈と朱奈の家で、前世においてシリクスの因縁の相手であったディロスの生まれ変わりの御影蒼一と再会を果たし、朱奈の記憶喪失の原因について追求する。

第5巻

芹沢美衣の所属する演劇部が行なった舞台「親愛なるポンペイ」は、前回の上演が好評で、星武高校のチャリティー感謝祭での再演が決定。今回は榊原朱奈榊原麗奈も参加し、一行はさらなる盛り上がりを予感する。しかし、舞台の練習を行う中、フィクションであるはずの舞台内容や登場人物に対して、まるで知っているような素振りを見せる冴木敬大加賀巳凌御影蒼一らの姿を目にして、佑城裕真は違和感を覚えはじめる。一方、前世の記憶や想いに固執する記憶保持者達に嫌悪感を抱いていた麗奈は、自分の前世が見られるかもしれない、という退行催眠を行った結果、情緒不安定なままチャリティー感謝祭当日を迎える。舞台の上演が迫る中、麗奈に促されるままに退行催眠を行った裕真は、意識を失った状態でセレナのように振る舞い始め、麗奈の代わりにセレナ役として舞台に上がってしまう。本物のセレナがいる、と動揺を隠せない敬大たちをよそに、裕真の意識はセレナとの再会を果たしていた。

第6巻

アミューズメント施設「アニマルゲームランド」のチケットを手に入れた冴木敬大は、芹沢美衣佑城裕真を誘う。だが裕真には断られてしまい、意図せずして美衣と二人きりで遊びに行くことになってしまう。二人で出掛けることなど、以前にもあったにもかかわらず、変に意識してしまう敬大と美衣。美衣の父親、芹沢極の邪魔も入り、敬大は美衣に予想外の告白をするのだった。後日、榊原家のお茶会に誘われた敬大や美衣、裕真。加賀巳凌御影蒼一も加わり、罰ゲームありのゲームをしたりと、楽しく過ごす一同であったが、その日の夜、蒼一と口論した榊原朱奈が姿を消してしまう。手分けして朱奈を探す敬大達は、そこで喧嘩の原因が朱奈の記憶喪失に関わるものであると知る。

第7巻

冴木敬大芹沢美衣佑城裕真榊原麗奈の四人は、エンターテイメント施設「ラウンド10」に遊びに行く。これは、失恋してしまった麗奈を慰めるためにと、敬大が企画したものだったが、そんな中、引いていた風邪が悪化して敬大が倒れてしまう。裕真や美衣、麗奈、さらに榊原朱奈加賀巳凌御影蒼一らに総出で看病してもらった甲斐もあり、敬大の風邪は無事完治する。しかし、元気になったのも束の間、置き手紙を残して敬大の母親、冴木蓮香が家出し、敬大達はなにかとトラブルが絶えない日々を送ることとなる。そんな折、美衣の幼なじみである琴宮清彦が、星武高校に転校して来る。美衣の助けもあり、清彦との仲を深めて喜ぶ敬大だったが、放課後の教室で美衣と清彦がキスしているところを偶然目撃してしまう。

第8巻

芹沢美衣琴宮清彦の放課後の一件を目撃してしまった冴木敬大は、表面的には平静を装いながらも、動揺を隠しきれない自分に気づく。一方、美衣も「敬ちゃんの親友」というポジションは変わらず、八方塞がりになっていた。そんな二人の様子を見かねた佑城裕真榊原麗奈に後押しされ、敬大は美衣の所属する演劇部に入部し、演劇部の合宿に参加する。セレナが好きなシリクスの想いを尊重して、自分の気持ちを誤魔化し続けていた敬大は、合宿先で自分の気持ちと改めて向き合い、意を決して美衣に好きだと告白する。しかし、美衣は敬大の気持ちを素直に受け止められず、反射的に彼を拒否反応してしまう。

第9巻

芹沢美衣を想うと前世の記憶が失われるのだと気づいた冴木敬大は、美衣への想いを押しとどめようと決意する。また、敬大の本心がわからない美衣も、自分の気持ちを押し殺して今まで通りに接しようとしていた。一方、前世の記憶にとらわれる敬大に、自由になって欲しいと願う佑城裕真は、自分がセレナであるのを承知のうえで、「前世の記憶がなくなってもセレナは悲しまない」と告げるが、これがきっかけで敬大と仲違いしてしまう。敬大、美衣、裕真ら三人の関係が気まずくなっていく中、星武学園では創立祭の準備が慌ただしく行われていたが、創立祭用の神輿が転倒。下敷きになりそうな裕真を庇った敬大は、代わりに大怪我を負い、原因不明の昏睡状態に陥ってしまう。

登場人物・キャラクター

冴木 敬大 (さえき けいだい)

星武高校に通う高校2年生の男子。クラスメイトの芹沢美衣からは「敬ちゃん」と呼ばれている。イタリアの都市、ポンペイでシリクスとして生きた前世の記憶を持ち、シリクスが心から愛したセレナとの再会を待ち望んでいた。事あるごとにシリクスとしての想いや記憶が蘇るため、前世と現世とのギャップに苦しんでいる。 特に、最愛の妻、セレナが男性として現世に転生しており、心から求めているのに叶えられないのが最大の悩み。佑城裕真を通して現れる美しいセレナ像を、脳内で留めておこうと努力はしているが、思考が態度や表情に出やすく、パニック状態に陥ることが多々ある。ちなみにパニック状態に陥った敬大を、クラスメイト達は「残念な冴木」として面白がっている。 なお、前世の記憶保持者は、相手の瞳を見れば相手の前世がわかるため、中学時代に美衣がシリクスの親友、ロレイウスの生まれ変わりであると気づき、再会を果たした。前世の記憶については、前世で親友であった美衣にしか話していない。手先が器用で料理や裁縫などが得意で、黙っていればイケメン。

芹沢 美衣 (せりざわ みい)

星武高校に通う高校2年生の女子。冴木敬大のクラスメイト。シリクスの親友、ロレイウスの生まれ変わりだが、前世の記憶は持たずに異性として転生した。前世の知り合いに初めて会えたと喜ぶ敬大から、「友だちになってほしい」と一方的に迫られ、中学1年生時から友情を育んで5年目になる。芹沢美衣としては、知り合った当初から、敬大には友達以上の感情を抱いているものの、男友達のように接してくる敬大に合わせ、自分の気持ちを押し殺して振舞っている。 敬大に前世の話を打ち明けられており、シリクス達についても知っている、敬大のよき理解者。四六時中敬大とつるんでいるため、クラスメイトたちには付き合っていると誤解されている。いきなり廊下でパンを食べ始めたりと、我が道を突き進むタイプだが、気さくで話しかけやすく、クラスの男子達にも人気が高い。 演劇部に所属しており、敬大から聞いた話をもとにシリクスらを主人公にした劇を演じてみたり、シリクス達が暮らしていたイタリアの都市、ポンペイについて図書館で調べてみたりと、自分なりに過去の記憶を取り戻そうと、健気な面も見せる。 パニック状態に陥っている敬大を見ているのが好き。

佑城 裕真 (うじょう ゆうま)

冴木敬大の隣の家に引っ越して来た、中学3年生の男子。敬大の通う星武高校の中等部である、星武中学に転校して来た。敬大の前世、シリクスが心から愛したセレナの生まれ変わりだが、佑城裕真自身には前世の記憶はなく、また異性として転生している。記憶はないが、前世のセレナの記憶の影響で暗所恐怖症。引っ越しの挨拶回りの際、運命の再会を喜んだ敬大に抱きつかれ、殴り倒すという最悪な出会いを果たしている。 実際、女性と間違えられるほどの綺麗な顔立ちをしているが、それゆえに女扱いされるのが大嫌い。可愛い自分から早く脱却するために、密かに筋トレをしている。そんな自分をかっこいいと言ってくれた芹沢美衣に対して淡い恋心を抱く。しかし、美衣が敬大に惚れていると知り、二の足を踏んでしまう。 いとこの加賀巳凌の希望もあって、前世のことを知らないままで過ごしているが、敬大や美衣、凌が自分のいないところで、自分の知らない話をしているのに気づき、自分だけ蚊帳の外にいる気持ちになってしまう。

加賀巳 凌 (かがみ しのぐ)

星武高校に短期赴任して来た、教育実習生の青年。担当教科は歴史で、冴木敬大のクラスの担任も務める。前世はセレナの姉、スミルナで、記憶保持者。今世ではセレナの生まれ変わりである佑城裕真のいとこであり、彼を弟のように溺愛している。前世の頃から大の女好きで、男性として生まれ変わって、むしろ喜びを感じている。 大好きなセレナを奪ったシリクスを快く思っておらず、シリクスの生まれ変わりである敬大に対しても、何かと悪態をつく。また、前世の親友、アグライヤを哀しませたディロスの生まれ変わりの御影蒼一に対しても、嫌悪感を露わにしている。

榊原 麗奈 (さかきばら れいな)

花見をしていた冴木敬大、芹沢美衣達の前に忽然と姿を現した中学3年生の女子。佑城裕真と瓜二つの姿形をしている。のちに、星武中学校に裕真のクラスメイトとして転校して来る。小さい頃から姉、榊原朱奈と幼なじみの御影蒼一に「セレナ」と呼ばれていたが、榊原麗奈自身は前世の記憶を一切持たない。 蒼一に想いを寄せているが、姉の朱奈と蒼一が前世から惹かれあっていると知っており、自分が入っていくスキがないと痛感している。前世の記憶を持たない、似た者同士として、裕真に同情して気遣っている部分がある。セレナの偽物という意味で、出会った当初は、裕真に「ニセレナ」と呼ばれていた。

榊原 朱奈 (さかきばら しゅな)

榊原麗奈の姉で、高校2年生。星武高校に転校して来て、冴木敬大のクラスメイトとなった。アグライヤの生まれ変わりで、記憶保持者だったが、敬大達に出会う2週間ほど前に前世の記憶を失っている。親切心の塊のような女性で、所持金があればあるだけ、人助けやボランティア、募金につぎ込んでしまう性質。スーパーのそぼろ弁当が食べたくて外出したところ、財布を子供にあげてしまったために空腹で行き倒れ、敬大に助けられた。 自分を通してアグライヤの姿を見ている御影蒼一に腹を立てている。

御影 蒼一 (みかげ そういち)

榊原麗奈、榊原朱奈の幼なじみの青年。アグライヤに仕えていた傭兵、ディロスの生まれ変わりで、記憶保持者。前世で犯した罪にとらわれながらも、アグライヤの生まれ変わりである朱奈の側にいようと決意している。ひょうひょうとした性格で、心の内をなかなか見せず、周囲の人をやきもきさせるタイプ。自分に対する麗奈の気持ちを受け止めつつも、前世のディロスの気持ちを忘れられず、アグライヤである朱奈を求めている。

冴木 蓮香 (さえき れんか)

冴木敬大の母親。シリクスの妹、アリアの生まれ変わりだが、記憶はない。敬大と前世では兄妹、現世では親子という奇妙な関係にある。敬大の父親、冴木秀吾に惚れ込んでいるが、多くの女性にもてはやされる彼を見て、なぜ自分なんかが選ばれたのか不安になる時もある。料理が苦手で、幼少期から敬大に手伝ってもらっている。

冴木 秀吾 (さえき しゅうご)

冴木敬大の父親。シリクスの恋のライバル、ラウルの生まれ変わりだが、記憶はない。淡々とした性格で、冷静に物事を判断する。また、女性を落とす術を心得ている。近所の奥様方にモテるが、浮いた顔一つせず、妻の冴木蓮香一筋。息子の敬大がトラブルに巻き込まれているのを見ているのが好き。霊感が強く、霊を見ることができる。

芹沢 極 (せりざわ きわめ)

芹沢美衣の父親。つねに締め切りに追われている漫画家で、何かと理由をつけて逃げ出そうとしては、担当編集者を困らせている。一人娘の美衣を溺愛しており、美衣に近づく男は誰一人として容赦しない。実際、美衣の家に行ったり、美衣と一緒に出掛けたりした冴木敬大は、半殺しの目に遭わされている。

芹沢 鞠音 (せりざわ まりね)

芹沢美衣の母親。夫、芹沢極と同じく漫画家で、漫画の資料になるのであれば、娘の美衣にも、男女の絡みのシーンを再現させようとするほどの仕事人。仕事が忙しいので、食事や洗濯など家事の一切を美衣に任せている。また、トーン貼りなど仕事の手伝いをお願いすることもある。

琴宮 清彦 (ことみや きよひこ)

高校2年生の男子。芹沢美衣の幼なじみで美衣には「清ちゃん」という愛称で呼ばれている。星武中学に通っていたが、中学2年生に上がる時に転校してしまった。絵を描くのが好きで、中学生の時は美衣といっしょに美術部に所属していた。高校生になって星武高校に戻って来る。言葉足らずで物事をストレートに伝えてしまうため、周りに誤解を与えやすく、美衣が他人とのコミュニケーションの緩衝材となっていた。 美衣に想いを寄せており、美衣が所属する演劇部の手伝いとして、舞台美術を担当する。

茉緒 亜季 (まつお あき)

中学3年生の女子。佑城裕真のクラスメイトだったが、最初は裕真に友達として認めてもらえなかった。しかし、徐々に仲よくなり、いっしょに行動するようになる。榊原麗奈が転校して来てからは、彼女とも仲よくなる。前世に必要以上に固執する麗奈に退行催眠の存在を教え、実際に行った。

シリクス

冴木敬大の前世で、イタリアの都市、ポンペイで生きていた青年。己の生死をかけた闘技場で働いていたところ、フェリクス家のアグライヤに助けられ、傭兵として雇われた。真っ直ぐな性格をしており、悪い事を許せない。親友であるロレイウスに仲を取り持ってもらい、一目惚れしたセレナに近づくことに成功する。 ポンペイ最後の日といわれているヴェスヴィオ山の噴火の際、大切にしていた人達を誰一人として助けられず、後悔の中で死んでいった。

セレナ

ポンペイの外科医の娘で、スミルナの妹。多くの男性から求婚されるほどの美人で、ラウルにも言い寄られていた。ロレイウスとは、彼が奴隷の時からの知り合い。奴隷に対しても一人の人間として向き合おうとする優しさと、いざという時は気丈に振る舞う芯の強さを持つ。ロレイウスの計らいによってシリクスと知り合い、互いに惹かれ合っていく。 包帯をうまく負けないほど不器用だが、力持ち。佑城裕真の前世でもある。

ロレイウス

奴隷としてこき使われていたところをシリクスに助けられ、彼に忠誠を誓った青年。のちに、シリクスと共にアグライヤに仕えるフェリクス家の傭兵となる。アグライヤの寝室の壁画を任されたほどに、絵描きとしての才能にあふれている。しかし、シリクスやセレナ、アグライヤを守るために剣を持つほうを選んだ。シリクスとセレナを引き合わせるために、シリクスにわざと怪我をさせるといったお節介な面もあるが、大切な人の幸せを一番に願う、優しい心の持ち主。 芹沢美衣の前世でもある。

スミルナ

セレナの姉。大の男嫌いで、女好き。妹も溺愛しており、セレナを娶ろうとするシリクスを毛嫌いしている。また、女好きのラウルや、親友であるアグライヤの側にいるディロスも嫌っている。セレナに求婚したシリクスに対し、ライオンと戦い勝ったら結婚してもいいという条件を出した。ポンペイ最後の日、「セレナを独りにしない」という約束を破ったシリクスを恨みながら死んでいった。 加賀巳凌の前世でもある。

アグライヤ

フェリクス家の娘。シリクスやロレイウス、ディロスの雇い主でもある。スミルナとは親友で、スミルナの妹、セレナを実の妹のように可愛がっていた。貧困に悩まされている人々を放ってはおけず、飲食を与えたりと優しい面を持つ。冷静な女性で、ものごとの判断において感情に流されない。どこか歪んでいるポンペイの未来を危惧しており、本当の平和を望んでいた。 榊原朱奈の前世でもある。

ディロス

アグライヤに仕える、フェリクス家の青年傭兵。アグライヤに対して忠誠を誓っているシリクスやロレイウスに比べ、金さえもらえればいい、という軽薄な態度を表向きは取っている。しかし、アグライヤに特別な感情を抱いており、その気持ちを押し殺しながら仕事に徹している。ポンペイ最後の日、アグライヤを裏切った後悔と恋心を胸に秘めたまま死んでいった。 御影蒼一の前世でもある。

ラウル

シリクスの雇い主という立場にある青年。闘技場の造営委員の甥っ子。女好きで有名で、セレナにも手を出していたので、セレナの姉、スミルナには警戒されいている。また、セレナをめぐってシリクスとは恋のライバルでもある。闘技場の儲けのためなら手段を選ばないため、日頃からシリクスに無茶な要求をする。冴木敬大の父親、冴木秀吾の前世でもある。

アリア

シリクスの妹。いつ命を落とすかわからない闘技場という場所で闘っている兄を、日々心配している。シリクスに無理難題を突きつけるラウルにはいつも泣かされているが、時折見せるラウルの優しさにときめき、最終的に心を奪われてしまう。なお、ラウルへの想いは、兄のシリクスに気づかれていない。冴木敬大の母親、冴木蓮香の前世でもある。

ティナ

セレナが仲よくしていた元奴隷少女。顔が美しくないという理由で雇い主に捨てられたため、自分の顔に自信が持てず、顔を隠して生きている。綺麗で優しいセレナを慕っている反面、幸せそうな彼女をうらやましくも思っている。のちに、ティナ自身も現代に転生していたと判明する。

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