概要・あらすじ
空の大陸には、豊かな自然と共に人と魔獣が住んでいた。空の住人のシアンは、神に匹敵する力を持つといわれる神獣のタマゴを守っていたが、ふとしたミスで地上にタマゴを落としてしまう。そのタマゴは笠置八満の手に渡り、孵化した神獣は八満を親だと思い込む。神獣は正しい心を持つ親が育てなければ、その力が「悪」になってしまうと言われているが、八満は強欲で傍若無人な少年で、とても神獣の親には適さない。そこで神獣が正しく育つために、シアンが監視役として地上に残され、八満と神獣を育てることになった。
神獣を狙う凶暴なクラスメートや海賊、時に身内が巻き起こす様々な問題を、八満はその場の悪ノリと運だけで切り抜けていく。そして神獣は、そんな八満の影響をストレートに受けながら成長していくのだった。
登場人物・キャラクター
笠置 八満 (かさぎ はちまん)
中学2年生の野球部の男子。強欲で傍若無人、どんな時でも自分が一番大事だという考えを崩さない、自分に正直な生き方をしている。面倒事が嫌いだが、お金が絡むと尋常ならざる力と行動力を発揮する。シアンやポン太のことにあまり興味がなく、むしろわずらわしく思っているが、2人のことを嫌っているわけではない。
シアン
空の大陸の長であるチャートの命で神獣のタマゴをずっと守ってきた少女。ポン太を正しい方向に育てるため、親の笠置八満の更生に心血をそそぐ。神獣の側にいるために八満の家に居候し、八満と同じクラスに転入する。その容姿ゆえ多数の男子(と一部中年)を夢中にさせるが、本人にその自覚はない。ポン太を自分の子供のように可愛がり、ポン太を狙う魔の手から身を挺して守ろうとする。 八満のことは親として不適格だと思っていが、何だかんだで信頼している。
ポン太 (ぽんた)
1000年に1度目覚めるといわれる神獣のタマゴから孵化した神獣。肩に乗るくらいのサイズ。刷り込みにより、笠置八満を親だと思い込む。シアンは「ランスロット」と名付けようとしたが、八満の「ポン太」という名前に反応したためこの名前に決まった。強大な力を秘めるが、それが「聖の力」となるか「邪の力」となるかは、親が与える影響によって決まる。 人間の言葉は分かる様子だが、「みー」以外の言葉は喋れない。少しの距離なら人間1人を連れて飛ぶことができる。また、体から炎を出したり飛ばすこともできる。
乙部 清丸 (おとべ きよまる)
笠置八満のクラスメート。科学部の部長だが、いつもマッドな研究を繰り返すため、部員は全員辞めてしまった。探究心が強く、己の目的のためならば手段を選ばない。自己中心主義は八満も同じだが、こちらは知恵と実行力がある分、よりたちが悪い。今は空の大陸や神獣のことを研究して世間に発表することで、地位と名誉を得ようという野望を抱いている。 アクロバチックな行動で海賊船を破壊したこともあり、クリムソンたちだけでなく、クラスメートたちからも危険人物扱いされている。基本的には八満たちの味方だが、油断していると何かを企んでいる。小学生のころから頭に被りものを着け、これがトレードマークになっているが、きっかけや由来などは語られていない。ちなみに作中で後ろ姿のみで出てくる両親も同じ被りものを着けている。 この被りものはビームや花火などの攻撃機能があり、夏場は蒸れないように冷却機能もある。
相田 千津 (あいだ ちづ)
笠置八満のクラスメートで、八満に想いを寄せている。何度も勇気を出して告白しようとするが、その度に邪魔が入って失敗しており、八満と親しくしているシアンにジェラシーを感じている。普段はか弱い女子だが、ひとたび恋心に火が付くと、八満や乙部清丸でさえ引くほどの力と情熱を発揮する。
クリムソン
空の海賊「セント・クリムソン」の船長。神獣を奪うためにはどんな手も使う悪人。笠置八満を殺そうとしたり、校舎を破壊したりなど、手段を選ばない。また、妻に先立たれ、力づくでシアンを後妻にしようともしている。そんな悪辣な一方で、極度の子煩悩でもあり、息子のオーキッドの動向を気にして仲良くしたいと思っている。 関西弁で話す。
オーキッド
クリムソンの息子で、通称キッド。クラスの男子からは「バカJr.」と呼ばれている。女性が好きなナルシストだが、容姿は美青年であるため女子からはモテる。当初は笠置八満の命を狙っていたが、父親がシアンを後妻にしようとしていることを知り、シアンを父の手から守るために同じクラスに転入してくる。しかし神獣の力を自分が手にいれるという目的もあるので、結局どちらにせよ八満は命を狙われ続けることになる。 シアンに惚れていてたびたびアタックするが、シアンにはスルーされ続けている。真剣を使うわりには先端恐怖症で、自分に刃先が向くとパニックになり、この時は話す言葉が関西弁になる。
スミー
クリムソンの付き人。見た目は小柄な老人だが、作中では「おっさん」と呼ばれており、正確な年齢は不明。主立って行動することはなく、クリムソンの側で彼の作戦のサポートをする。自宅ではキッドの世話をしていたり、家事をしている。
チャート
空の大陸の長。千里眼ですべてを見ており、神獣の親になった笠置八満の人間性を確かめるテストをする。その結果が散々だったため八満を殺そうとするが、シアンに止められる。八満を更生させ、ポン太を正しく成長させる役として、シアンを地上に残していく。
八満の父母 (はちまんのふぼ)
『PON!とキマイラ』においては数少ない常識を持ち合わせている2人だが、それゆえに笠置八満たちが起こす問題にショックを受けて頻繁に卒倒している。八満とシアンの関係を恋人、もしくはそれ以上の関係だと誤解しており、シアンの居候も快く迎えている。
三太と岡本 (さんたとおかもと)
笠置八満のクラスメートで、八満と一緒に悪ノリをして教師に怒られていることが多い。一連の騒動の中でけっこう被害を被る場面があるが、乙部清丸からも「死なないんだよ、キャラ的に」と言われた通り、次の話ではひょっこり復帰している。
下加毛 幸夫 (しもかげ ゆきお)
笠置八満のクラスの担任。影が薄く、八満たちの濃いクラスメートの中ではいつも存在すら気づかれない。「自分のクラスの生徒はみんないい子だ」と夢を見ていて、彼らの起こしている問題行動は一切把握していない。すぐに騙されるため、皆からは「扱いやすい担任」だと思われている。
千津の友人AとB (ちづのともだちえーとびー)
笠置八満のクラスメートの女子2人。よく相田千津と一緒にいる。八満との仲を応援してくれている。
八満のクラスメート (はちまんのくらすめーと)
男女ともにノリがよく、順応性がある。空から飛空艇が突っ込んで来たり、突然教室で神獣のお祭りが始まったりしても、最初に少し動じるくらいで、後は何だかんだですぐに馴染んでいる。
柚香 隆盛 (ゆのか たこもり)
野球部員。笠置八満の自称ライバルで、野球を始めいろいろなことで対抗心を燃やして勝負を挑んでくる。そして勝負の度に負傷して退場している。どんなに負傷しても次の話にはひょっこり復活しているキャラクターが多い中で、唯一長期入院したり、臨死体験をしたりと回復が遅い。友情に熱い一面がある。
田中 (たなか)
野球部の部長。野球に対する情熱は本物だが、シアンのことなど私情が絡むと野球は後回しになる。右足の親指の裏に大きな魚の目があるせいで、妙なトラブルに巻き込まれる。
野球部員 (やきゅうぶいん)
ノリがいい野球少年たち。笠置八満とシアンの仲を嫉妬している。
孔雀院 碧子 (くじゃくいん みどりこ)
家庭科部の部長。恋に恋するピュアな性格で、好きになった男子の前では奥手な恥じらいの乙女になってしまう。料理の技術はあるが、作ったものはなぜかすべてまずい。また、あり余るパワーと情熱と非常識のせいで周囲を巻き込むことが多く、周りから引かれている。
家庭科部員 (かていかぶいん)
家庭科部長でもある孔雀院碧子の「料理は体力勝負」という考えのせいで、日ごろから運動部顔負けのロードワークを強いられている。そのせいで部員たちはみんな暗い。
仲井戸 (なかいど)
笠置八満のクラスにやってきた教育実習生。軽い気持ちで臨んでいたが、八満たちの常識外れの行動やその存在に手を焼く。
神野 (かんの)
笠置八満のクラスメート。ポン太にゆで卵をあげようとして火だるまにされた可哀想な男子生徒。
高橋 (たかはし)
笠置八満とは違うクラスに所属するサッカー部員。相田千津に惚れて思いを告白する。
金剛院 (こんごういん)
まじめで熱血な生活指導の教師だが、笠置八満たちと関わると必ず被害を被って退場する。
メカポン太 (めかぽんた)
ポン太とすり替えるために乙部清丸が作ったロボット。明らかにメカなのは一目瞭然だが、日ごろからポンタに関心が薄い笠置八満は気づかない。メカポン太のことを指摘しようとする他の人には、容赦なく口からレーザーを出して攻撃する。
シアンの父 (しあんのちち)
強面(こわもて)で威圧感のある体格をしている。シアンたち娘のことを愛しすぎており、笠置八満の強欲で邪(よこしま)な人間性を見て、力ずくでシアンを八満の手から取り戻そうと襲い掛かってくる。頭に血が上りやすいが、八満の父親と酒で打ち解けたりと、話が通じる人情家なところもある。
エル
シアンの妹。神獣をよこどりした笠置八満に対して怒りを向けている。そのため、他の人に対しては人懐こいいい子だが、笠置八満にはたびたび敵意を向けて衝突する。
ホーウィ
エルと一緒にいる空の大陸の鳥。「なのよ」という語尾をつけた人語を話す。エルの子守役のような存在。
セリーズ
シアンの姉で、おっとりした性格ではあるが極度のシスコン。魔獣カードコレクターで、世界でたった1枚の神獣のカードを作るため、ポン太を借りようと地上に降りてくる。父親や末っ子と違い、特に笠置八満に対する敵意はない。
シェンナ
チャートからの使いで神獣の様子を確認しに来た調査員の少女。神獣が今後どのように成長するかを確かめるため、笠置八満とそのクラスメートたち全員を10年後の仮想世界に飛ばす。
狐のお面の集団 (きつねのおめんのしゅうだん)
神獣祭を行うため、空の大陸からやってきた集団。格好は怪しいが中身は気のいいお兄さんたち。笠置八満たちの教室をあっという間にお祭り会場に仕立てあげる。
海賊船員AとB (かいぞくせんいんえーとびー)
「セント・クリムソン」の船員。神獣のタマゴを狙ってシアンを攻撃していた。しかしタマゴ奪取に失敗したことで罰を受け、その後クリムソン初登場の時の前座として使われた以降、活躍の場はない。ともに関西弁で話す。
セルリア
クリムソンの妻。もう亡くなっているが、クリムソンとキッドの関係が良くないのを心配して現世に降りてくる。その際、笠置八満たちの体を乗っ取って動いていたため、無用な混乱を生じさせる。
ヴァイス
空の大陸を自在に動かせる力を持つ謎の男。空腹で倒れていたところを相田千津に助けられる。神獣の親を狙っているが、親をシアンだと思っている。
華村 満 (かむら みつる)
カレーショップ「なますて」のマスターで、52歳の既婚者。5年前の笠置八満と柚香隆盛のカレー大食い大会の名勝負をもう一度見たいがために、八満と柚香のために大食い勝負の場を提供する。
光菜 (みつな)
乙部清丸が小学1年生だったころの担任。当時から問題児として敬遠されていた清丸に対しても、普通に接してくれていた良い先生。清丸がここまで科学へ情熱を燃やすきっかけになった人物。
場所
空の大陸 (そらのたいりく)
空に浮かんでいる大陸。主に生活圏となっている大きな大陸があり、その他に小大陸がいくつか浮遊している。人と魔獣が共存する世界で、魔獣の力をカードにする技術があり、その魔獣カードをエネルギーとして生活を営んでいる。