概要・あらすじ
大阪タイガース入団1年目の新人投手、蘭四郎は、デビューから連勝を重ねる天才だった。だが直球での勝負にこだわるあまり監督の村田と衝突し、数字を重視するオーナーの渋谷に疎まれる。いっぽう同じく大阪タイガースの新人投手、天草圭は、前例のない球種の豊富さと情報収集が武器。天草は蘭へのライバル心を燃やし、同じく連勝を続けていた。
そんな2人の前に現れたのが、スワローズが獲得した外国人選手ボブ・ロイ。傲岸不遜なロイは初打席の初球で場外ホームランを放ったのを皮切りに、8割近い打率で日本球界を翻弄する。天草をはじめ全ての投手がロイを敬遠するようになるが、蘭だけは監督やオーナーの指示を無視して直球勝負を挑むのだった。
2度のホームランを浴びることになったが、3度目の対戦で蘭はついにロイを三振に仕留める。だがオーナーは蘭のスタンドプレーを許さず、球団から追放。蘭も日本球界に愛想を尽かし、米大リーグのテスト生となる。
登場人物・キャラクター
蘭 四郎 (あららぎ しろう)
プロ球団大阪タイガースの新人投手で、背番号は46をつける。デビュー戦から連勝を続ける天才。だが直球一本やりへのこだわりとプライドの高さが嵩じて、審判のボール判定を不服として3連続フォアボールを出す、プルペンでリリーフ投手が投球練習を始めると気分を害してマウンドを降りるなど、数々の問題を起こす。 そのためオーナーの渋谷に疎まれ、右ひじの故障という名目で二軍に落とされた。だが来日したボブ・ロイが蘭と対戦させろとマスコミで挑発したことで、一軍に復帰。ロイとの3度の対戦の後にオーナーの渋谷がトレードで放出する方針を固めるが、球界に嫌気の差した蘭はビーンボール、試合中の乱闘などの騒ぎを繰り返した。 そのため引き受け手がないまま大阪タイガースを退団し、渡米してカリフォルニアエンジェルスのテスト生に。
天草 圭 (あまくさ けい)
大阪タイガースの新人投手で、背番号は1をつける。蘭四郎と同じくデビュー戦から連勝を続ける天才。蘭と対照的に、球種は前例がないレベルで豊富である。リーグ全打者のウィークポイントが頭に入っており、バッターの挑発も含め全て計算づくで完璧に打ち取った。相手チームによるコンピュータを使ったピッチングパターンの分析も、難なく切り抜ける。 常に笑顔だが、内面は不遜で傲慢。同僚からは、頭はいいがエースの器でないと評されている。
村田 (むらた)
大阪タイガースの監督で、背番号は11。蘭四郎を巡ってオーナーの渋谷に野球は数字じゃないと主張するが、無視される。蘭とボブ・ロイの3度目の対戦中にオーナーから電話が入るが、出ずに勝負を続けさせた。
安藤 (あんどう)
大阪タイガースのベテラン投手で、背番号は95。蘭四郎のリリーフで200勝を達成し、念願の名球会入りを果たす。蘭にリリーフを頼む際に交わした約束通り、200勝達成とともに引退を宣言した。
ボブ・ロイ (ぼぶろい)
スワローズが獲得した外国人選手で、背番号は80。「俺様が本物のベースボールを教えてやる」、「お前らの戦後は終わっていない」など、来日当初からメディアを通じて日本球界を挑発する。時差ボケと二日酔いで迎えた初打席の初球を、左打者ながら右打席で場外ホームランに仕留めた。 その後、天草圭をはじめ各球団の投手は軒並み敬遠するように。蘭四郎との3度目の勝負で三振に倒れた後、アメリカに帰国。実は左手に故障を抱えていた。
オーナー
大阪タイガースのオーナー。スタープレーヤーや名勝負は過去のものであり、ファンも球団に数字しか求めていないという信念を持つ。直球勝負にこだわる蘭四郎を疎ましがり、ボブ・ロイを敬遠する指示に再三従わなかったことでトレード放出を決めた。
平井 (ひらい)
大阪タイガースで遊撃手を務める。背番号は32。蘭四郎、天草圭らの登板でエラーを繰り返し、天草からベースを枕に寝ていろと言われる。
木下 (きのした)
ドラゴンズの選手で、背番号は9。代打の切り札で、ゴリラの異名を持つ。よく場外ホームランを放っては駐車場の車のガラスを割ることで有名。
ビル・ジャリクソン (びるじゃりくそん)
ジャイアンツの投手で、背番号は20。強肩の持ち主で、120球を投げても時速155kmの球速が衰えない。
小池 (こいけ)
ジャイアンツの選手で、背番号は33。ふだんは初球に手を出さない。全打者のデータを暗記している天草圭は小池を相手にした際、第一球目で油断したボールを投じてしまう。しかし小池は裏をかいてこれを場外ホームランに仕留めた。