世界観
5年前に落ちた流れ星をきっかけに、ファンタジックな異世界「どっか」と繋がってしまった、現実と空想が入り混じったような不思議な町「虹ヶ丘町」。この町を舞台に、さまざまな悩みを抱える高校生たちが「docca」との交わりをきっかけに成長していく姿が描かれる。
あらすじ
円山まひるは、進学を機に虹ヶ丘町に戻って来たばかりの高校1年生。しかし入学式の日不思議な格好の少年、クレオール八王子と出会ったのがきっかけで、虹ヶ丘町が奇妙な状態にあることを知る。虹ヶ丘町は、まひるが離れている間に異世界「どっか」と繋がってしまい、以来「どっか」の住人である「docca」が行き来する不安定な状況にあるのだという。なりゆきでクレオールの世話係に任命されたまひるは、「docca」を管理する「七ツ橋高校docca管理委員会」の一員として活動することになる。
作家情報
登場人物・キャラクター
円山 まひる (まるやま まひる)
七ツ橋高校に通う1年生の女子。前髪を目の上で切り、胸の下まで伸ばしたストレートロングヘアをしている。明るくおっとりとした性格で、やや気が弱い。高校入学を機に、3歳まで暮らしていた虹ヶ丘町に戻ってきたばかりで、異世界「どっか」と繋がり不思議な空間となった虹ヶ丘町に驚いている。入学式の日にクレオール八王子と出会い、さらに神田烈花の探知機を壊してしまったのがきっかけで「七ツ橋高校docca管理委員会」の一員として活動することになる。
クレオール八王子 (くれおーるはちおうじ)
異世界「どっか」から現れた「docca」の少年。目が隠れそうなほど伸ばした前髪を、右寄りの位置で斜めに分け、肩につきそうな長さの銀髪を外にはねさせている。虹ヶ丘町にやって来た際に記憶を失っており、「クレオール」という自分の名しか思い出せずにいる。そのため「王子様のような外見をしている」という理由から「虹ヶ丘町に8番目にやって来た王子様的存在」として認定され、「クレオール八王子」の名で七ツ橋高校1年生として生活することになった。 AIにも解析不能な、どこの言語かわからない言葉を話し、当然ながら日本語は不自由。しかし、世話係となった円山まひるのサポートで、次第に虹ヶ丘町に馴染んでいく。
神田 烈花 (かんだ れっか)
「七ツ橋高校docca管理委員会」の一員で、七ツ橋高校の2年生の女子。前髪を目の上で切り、毛量の多いほうきのような髪の毛をツインテールにしている。小柄なため幼く見えるが、実際は円山まひるよりも先輩。男性のような口調で話す。5年前、「流れ星」の来訪を境に「どっか」と繋がってしまった虹ヶ丘町を守るため、「七ツ橋高校docca管理委員会」として来訪者を捕獲、調査する仕事を行っている。 一見クールで淡々と仕事をこなしているように見えるが、行方不明になった未橋開のことを現在も想い、探している。まひるに対してはやや横暴なところがある。
AI (あい)
対「docca」用に開発されたロボット。制作者は鐘下で、「七ツ橋高校docca管理委員会」が所有している。小学校高学年ほどの非常に美しい少年の姿をしており、前髪を目の上で切り、襟足まで伸ばした髪を外にはねさせたショートカットヘアをしている。主に「どっか」からやってきた「docca」の解析とデータ管理を目的に作られ、対象にキスすることで、対象の身体を解析することができる。 優れた人工知能を持ち、主人の命令がなくても自ら考えて行動することができるが、非常に真面目な性格のため、自分の性能の限界について悩むこともある。
鐘下 (かねもと)
「七ツ橋高校docca管理委員会」顧問を務める若い男性。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、髪全体を山なりに整えている。一見穏やかで落ち着いているが、AIをわざわざ美少年の姿にするなど、やや変態趣味なところがある。
星川 遊輝 (ほしかわ ゆうき)
守屋ルナの友人で、「七ツ橋高校docca管理委員会」の一員でもある七ツ橋高校の2年生の男子。前髪を左寄りの位置で分けて上に向かってはねさせた、癖のある髪の毛と髪型をしている。明るく親しみやすい雰囲気で「七ツ橋高校docca管理委員会」のムードメーカー的存在だが、実際はルナ以外のものには関心がないという冷淡な一面がある。 ルナとは幼稚園時代からの付き合いで非常に親しく、頻繁に悪夢にうなされるルナを落ち着かせられる唯一の存在でもある。「虹ヶ丘町に7番目にやってきた王子様的存在」の「七王子」である疑いがあるなど、謎が多い。
守屋 ルナ (もりや るな)
星川遊輝の友人で、「七ツ橋高校docca管理委員会」の一員でもある七ツ橋高校の2年生の男子。額にバンダナを巻いて前髪を上げ、胸のあたりまで伸ばしたストレートロングヘアをポニーテールにしている。クールで寡黙だが、心優しく親切な性格。頻繁に辛い過去の夢を見てはうなされ苦しんでいる。
坂井 光美 (さかい みつみ)
円山まひるの友人で、七ツ橋高校に通う1年生の女子。前髪を左寄りの位置で分けたショートカットヘアをしている。まひるとは入試会場が一緒だったこと、入学式での並び順が前後だったことをきっかけに親しくなった。異世界「どっか」と「docca」に強い関心があり、虹ヶ丘町に来れば不思議なものをたくさん見られると考えて七ツ橋高校を受験した。 「七ツ橋高校docca管理委員会」にも入会を希望していたが、関心が強すぎると「どっか」へ引き寄せられてしまい、最悪迷い込んで帰ってこられなくなる可能性がある、という理由から入会を断念した。
二王子 (におうじ)
かつて異世界「どっか」から虹ヶ丘町に現れ去っていった、「docca」の中年の男性。両サイドに髪を残した禿げ頭に王冠を被っている。細い目と長い鼻が特徴。王子というには若干年を取りすぎているが、絵画だった一王子とは違い、記憶のはっきりした人間で、「虹ヶ丘町に2番目にやってきた王子様的存在」として認定された。時空使いにさらわれたお姫様を救う途中で虹ヶ丘町に立ち寄り、神田烈花に事情を話した後、別の世界へと旅立って行った。
三王子 (さんおうじ)
異世界「どっか」から虹ヶ丘町に現れた「docca」で、全長5、6センチほどの小人の少年。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、襟足まで伸ばしたショートカットヘアをしている。絵画だった一王子や、王子というには若干年を取りすぎている二王子とは違い、王子様らしい容姿をしたかわいらしい人物。そのため「虹ヶ丘町に3番目にやって来た王子様的存在」として認定された。 その後四王子にさらわれて行方不明になってしまうが、意外な場所で発見される。
四王子 (よんおうじ)
「どっか」から虹ヶ丘町に現れた「docca」で、ポメラニアン。やや太り気味の身体に王冠を被っている。容姿は完全にポメラニアンだが「虹ヶ丘町に4番目にやって来た王子様的存在」として認定された。行方不明になった三王子を誘拐した張本人と言われている。五王子とは非常に仲が悪い。
五王子 (ごおうじ)
「どっか」から虹ヶ丘町に現れた「docca」で、細身の猫。容姿は完全に猫なうえ、王冠なども被っておらず、容姿はあまり王子然としていないが「虹ヶ丘町に5番目にやって来た王子様的存在」として認定された。四王子とは非常に仲が悪く、頻繁に喧嘩していた。しかし、どちらの王子も非常に可愛らしい容姿であったことから、当時虹ヶ丘町では多数のキャラクターグッズが販売されるほど人気があった。
六王子 (ろくおうじ)
かつて異世界「どっか」から虹ヶ丘町に現れ去っていった、「docca」の中年の男性。頭にバンダナを付けて髪をしまい、肩につくほどの長さの長髪を外にはねさせている。右目を失って隻眼であることと、口髭と顎鬚が特徴で、ゲーム「サンクチュアリサーガ」に登場する「ゲルハルト」というキャラクターに容姿が似ている。強面の風貌から、とても王子には見えないが、職務質問に「自分は王子である」と答えたことから「虹ヶ丘町に6番目にやって来た王子様的存在」として認定された。 しかもその後すぐに「どっか」に帰ってしまったため、正体は定かではない。
ポメ姫 (ぽめひめ)
異世界「どっか」から虹ヶ丘町に現れた「docca」のポメラニアン。容姿は四王子に非常に似ているがメスで、「虹ヶ丘町に6番目にやって来たお姫様的存在」として認定されている。空間をゆがませる不思議な力を持っていることから、円山まひるはポメ姫こそが二王子の探しているお姫様なのではと捉えている。
円山 正午 (まるやま しょうご)
円山まひるの弟で、小学5年生の男子児童。作中では顔は意図的に描かれていない。身体が弱く、あまり外を出歩けず、学校にも思うように通えずにいる。一方で異世界「どっか」と「docca」に強い関心があり、虹ヶ丘町に戻ることになったまひるに「docca」の写真を撮ってくるように頼む。
里名 (りな)
円山まひるが下宿先で一緒に暮らしている親戚の若い女性。まひるにとっては母親のいとこにあたる。前髪を右寄りの位置で斜めに分け、胸のあたりまで伸ばしたストレートロングヘアをしている。まひるのことは、彼女が生まれた頃から知っており、下宿中のまひるを姉のように見守っている。
ヲト
里名の祖母で、円山まひるが下宿先で一緒に暮らしている親戚の年老いた女性。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、耳の下まで伸ばしたボブヘアをしている。ダジャレが好きで、よくギャグを言っては里名とまひるを困らせている。
ムム
異世界「どっか」から現れた「docca」で、魔女の少女。里名とヲトの家に住みついており、円山まひるの同居人でもある。前髪を目の上で切り、顎の高さで切り揃えたボブヘアをしている。明るく人懐っこい性格。「どっか」で暮らしていた頃は生活のすべてを魔法に頼っていたため、魔法が使えない虹ヶ丘町での生活を新鮮に感じている。
英雄 (ひでお)
異世界「どっか」から虹ヶ丘町にやって来た「docca」の若い男性。現在は虹ヶ丘南3丁目にある「ヒーロー荘」101号室に住んでいる。前髪を真ん中で分けて一筋だけ前に垂らし、顎の高さまで伸ばしたウェーブヘアに無精ひげを生やしている。伝説の剣がやって来たと思われるメロウという土地の存在であることから、まひるから伝説の剣を抜くことを依頼される。 これまでにもさまざまな剣を引き抜いた経験があり、剣の扱いはプロ級。
RAY (れい)
対「docca」用に開発されたロボット。制作者は鐘下のライバルでもある羽田。小学校高学年ほどの少年の姿をしており、前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばしたボブヘアをしている。大きな耳が特徴。非常にプライドが高い慇懃無礼な性格で、自分よりも旧型であるAIを見下している。
未橋 開 (みはし かい)
鐘下の友人で、かつて助手も務めていた、雲母野小学校の非常勤講師として働いていた若い男性。前髪を目の上で切り、髪を襟足まで伸ばしている。5年前に虹ヶ丘町と異世界「どっか」が繋がってすぐに姿を消したため、「どっか」に行ってしまったと言われている。ピュアな少年のような心の持ち主で、鐘下と神田烈花とは、3人で仲が良かった。 好物はアイスクリーム。
集団・組織
七ツ橋高校docca管理委員会 (ななつばしこうこうどっかかんりいいんかい)
七ツ橋高校にある、「どっか」から現れた「docca」を管理する組織のこと。顧問は鐘下で、生徒は円山まひる、神田烈花、星川遊輝、守屋ルナが所属し、「docca」対策用ロボットのAIも在籍している。主に虹ヶ丘町に「docca」が出現した際に出動し、出現した「docca」がどのような存在かをAIを用いて解析したり、保護を行っている。
その他キーワード
docca (どっか)
虹ヶ丘町と繋がってしまった謎の場所「どっか」からやって来た存在のこと。発音は同じだが、「docca」がもともと住んでいた場所をひらがなの「どっか」、虹ヶ丘町に現れた存在をアルファベットの「docca」と呼び区別している。ドラゴンや魔女といった空想上のものとされていた存在や、モソソロソのような不思議な植物など、さまざまな「docca」が存在する。 それぞれが住む「どっか」から虹ヶ丘町に迷い込む理由は偶然の不可抗力によるものと思われていたが、統計をとった結果、自らの意思で意図的に虹ヶ丘町に来た「docca」が多いことが判明している。
モソソロソ
異世界「どっか」から現れた「docca」で、植物の一種。レッテという土地が原産。ひまわりによく似た容姿をしているが、種ができる部分に人の目と口のような模様がある。毒性はなく、天ぷらなどにして食べることができる。食べるとガムのような、お餅のような食感をしている。
流れ星 (ながれぼし)
異世界「どっか」からやって来た「docca」で、正体不明の岩。七ツ橋高校旧校舎の裏山にある施設に保管されている。5年前の7月7日、虹ヶ丘町に初めてやって来た「docca」で、虹ヶ丘町と「どっか」が繋がったのは、この流れ星が落下したことが原因であると考えられている。
一王子 (いちおうじ)
異世界「どっか」から虹ヶ丘町に現れた「docca」で、全長5メートルほどある絵画。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、サークレットを付けた美少年の絵が描かれている。正確には人間ではなく、描かれているのが実際に王子様かどうかも定かではないが、「虹ヶ丘町に最初にやって来た王子様的存在」という意味で「一王子」と呼ばれている。 調査後に焼却されてしまったため、現存していない。
伝説の剣 (でんせつのけん)
異世界「どっか」から虹ヶ丘町に現れた「docca」の剣。主な成分は鉄で、付着物などからAIはメロウという土地からやって来たものだと推測している。ある日突然虹ヶ丘町南3丁目のラーメン屋の入り口に突き刺さった状態で発見されたが、誰にも抜くことはできなかった。200キロまでの重さのものなら持ち上げられるAIでも引き抜くことができなかったため、それ以上の重量がある、あるいは特別な方法を用いないと抜けないと推測されている。