大阪のマチ金・帝国金融を舞台に、一線を踏み越えてしまった人々の悲喜劇を描く。会社経営の失敗などを経て40代でデビューした作者の、経験を踏まえたリアルな描写が話題を呼んだ。ど素人の新入社員が一人前の金融マンに成長していく、成長物語でもある。その後一つのジャンルとして定着したマチ金・闇金ものの先駆的な作品。固有名詞のネーミングのエグさが、発表当時話題になった。レギュラー以外の人物名肉欲棒太郎、銭田掏二朗、悪徳栄、腹黒助平など、現実には考えにくい姓名がキャラクターを端的に表現している。また、細かく描き込まれた背景の、会社や店舗の名前がことごとくシモネタで(例:「レストラン・スペルマ」、「純喫茶ただれ」、「スナック・奥ヒダ」など)、細部にわたる作者のこだわりが感じられる。